一回戦第六試合
常闇踏陰 対 八百万百
この試合は、常闇の圧勝であった。八百万が『創造』の個性で何かを創らせる前にダークシャドウによる中遠距離攻撃。八百万は何もできずに敗退することとなった。
八百万の個性と三崎の個性は、似た部分があるが、根本的に違うものである。八百万の個性は、自身の脂肪を自身の知識のある物体にして創り出す。そのため、大きかったり構造が複雑なものほど創り出すのに時間がかかってしまう。
対して、三崎や倉本の個性は、武器を取り出す能力である。本人たちにはどこにしまっており、どこから取り出しているのかは理解していない。自身の持ち物を袋から取り出している。それぐらいの感覚である。武器もいつの間にか増えている。また、取り出せる武器は使い方がなんとなくわかるのである。故に、誰から学んだでもなく、修行したでもなくても、ある程度使いこなすことができていた。本来、三崎の膂力は大剣を振り回すだけの強さはない。しかし、三崎の個性は身体能力を僅かに向上させ、身体の動かし方を感覚的にわかっているために自由に振り回すことを可能にしていた。
汎用性、万能性においては、八百万の方が圧倒的に上だが、三崎や倉本の個性の方が直接戦闘には向いていた。
一回戦第七試合
『普通科、ミステリアスボーイ! 一ノ瀬薫!』
『対』
『ヒーロー科、堅く熱い漢! 切島鋭児郎!』
「おい、肩にいるその猫。危ねぇから誰かに預けとけよ」
一ノ瀬の肩には、小さな白猫が座っていた。不安定であろうに、優雅に気品さえ漂わせる不思議な猫だ。
「心配ないよ……キミには、ボクも『彼女』も傷つけることはできはしないから」
一ノ瀬の発言にむっとする切島。
「実際、一ノ瀬くんに不利になると思うけど、いいの?」
ミッドナイトがそう確認を取るが
「構わない。『彼女』と一緒でなければ戦う意味がない」
「……理由はよくわからないけど、互いに合意があるなら許可します。切島君もそれでいい?」
「構わねぇっすよ。後悔すんじゃねぇぞ」
「後悔させられたら、いいね」
『START!』
「このっ!」
切島は、若干の苛立ちを抑えられず、硬化を使って一ノ瀬を攻撃にかかる。一ノ瀬は、その攻撃をただ避けていた。攻撃する素振りもなく、ただ避けていた。
「逃げ回んなよ! 男らしくねぇぞ!」
「……つまらないな」
「はぁ?」
「キミは堅くなるだけだ。こんなことでは『彼女』が退屈してしまうよ」
一ノ瀬は自身を抱くように腕を組む。
「はぁああああ! はぁ!」
周りから見ればただ叫んだだけ。だが、三崎にはそれがはっきり見えていた。
「あいつ……!」
三崎には、変身し、猫の様な姿をした人型の憑神が見えていた。下半身は薔薇の花の様な形をしており、手には鋭い爪が伸びていた。背にはベールの様なものが浮かんでおり、ドレスを着ている様にも見える。
他人の憑神を見るのは香住の使っているもの以来だが、その感覚を忘れてはいなかった。まるで異空間に送られたかのような空気の変化。通常の変身とは違う、変化。周りを見渡してもその変化に気付けている者がいるようには見えない。一ノ瀬が変な叫び声を上げたかのようにしか見られていないようだった。
一ノ瀬の憑神は、手を上に延ばす。
「消えてくれ……キミはただのみにくい人形だ……」
憑神の手には光が集まり、それを振り下ろす。
「切島! 避けろォ!!」
三崎は、限界まで声量上げて叫んだ。自分も使うつもりであったそれだが、感覚的にわかってしまったのだ。それが、どんなに凶悪な力であるか。
切島は硬化で備えていたが、光が切島を襲った。憑神は、元の一ノ瀬の姿へと戻り、切島は倒れ伏した。
『な、なんだぁ!? 何が起きた!?』
『……俺にもわからん』
碑文使い以外には、何が起きたかなどわかりようもない。憑神が見えないのでは、攻撃したかもわからない。会場がざわつく。観客席に居る多くはスカウトに来たプロヒーローだ。それが誰一人として一ノ瀬のしたことがわからなかった。観察眼に優れたヒーロー、イレイザーヘッドこと相澤でさえ見極められなかった。
審判であるミッドナイトが、切島の状態を確認する。
「……気絶してるわ。呼吸も脈拍も正常ね……」
ミッドナイトは切島が唐突に気絶した(様に見えた)ものだから少しばかり焦っていた。とりあえず、ちゃんと生きていることを確認できたので一安心する。
「一ノ瀬くん二回戦進出!」
切島は、1分ほどで起き上がったが、何をされたかわかっていなかった。悔しいことには違いないが、釈然としない気持ちでいっぱいであった。
相澤は、一ノ瀬に関して疑問を覚えていた。
「あれだけの力があって、何故ヒーロー科に受からなかった……?」
プレゼント・マイクがそれに反応する。
「そりゃ、あれ対人限定とかじゃねぇの?」
「障害物競走の時にあいつの身体能力の高さを見ただろう。なのに一ノ瀬の得点は0だ」
「冷やかしとかじゃね?」
「……どうだろうな。一ノ瀬は、実技試験の会場内には入っているんだ。だが、何もしなかった」
「やっぱ冷やかしじゃねぇの? 雄英(ウチ)を記念受験する奴だって結構居るだろ」
「杞憂ならいいんだがな……どうも一ノ瀬からは、妙な気配を感じる」
そして、観客席では
「三崎さん」
三崎に声をかけたのは、八百万であった。
「先ほど切島さんの試合で避けろとおっしゃっていましたが、何が起こったのか見えていたのですか?」
「ケロ。私も気になるわ」
「俺も俺も」
近くに座っていたA組の面々が質問してくる。
三崎は何と言っていいものか悩んだ。咄嗟に大声をあげてしまったが、事は国家機密だ。安易に言って良いものじゃない。一ノ瀬はそれを堂々と全国放送で使ったわけだが、奴にとってはただの力でしかないからだろう。
「……勘、みてぇなもんだ」
「勘……ですか?」
「なんとなくあいつがやばそうな事をしそうだと思った、それだけだ」
「なんだ、つまんね」
「ケロ。でも、それにしては確信をもって言ってそうな気がしたけど」
鋭いな。と、内心で舌打ちを打つ。蛙吹は、人を良く見ている。だが、それも証拠があるわけじゃない。
「俺の勘。結構、当たんだよ」
適当な誤魔化しを入れておいた。一応はそれで納得はしてもらえたようだった。
そして、一ノ瀬の試合をテレビで観戦していた死柄木弔。
「はぁ?! なんだよ、今の」
弔が声を挙げたことに対し、通話が繋がっていたオールフォーワンが反応する。
『弔、どうしたんだい?』
「普通科のガキがヒーロー科のガキを倒した」
『へぇ……』
「しかも、何をしたのかまるでわからなかった。それも、観客のプロヒーロー含めてだ」
『それは興味深いね。もしかしたら、彼の言ってた奴かな?』
「碑文使い……だったか?」
『碑文使い以外には見えない個性。不可視にして防御不能の一撃。これは、欲しくなるなぁ』
オールフォーワンはオーヴァンに関して情報集めを続けているが、オーヴァンの目的は未だに見えてこなかった。オーヴァンは全てが未知数だ。死柄木弔に任せるには、まだイレギュラーが過ぎる。自身が万全であったとしても、警戒に値する。そういう男だ。利用価値は十分にあるとも思っているが、そろそろ切ることも考えた方が良いのかもしれない。
一回戦第八試合
麗日 対 爆豪
この二人の対決は、意外な好勝負であった。と言っても、最終的には爆豪の個性の圧倒的な火力によって麗日は敗北してしまった。
麗日は、生物、非生物を問わず触れたものを無重力状態にすることができる。故に触れてしまえばほぼ確実に相手を場外に出せる。爆豪はそれを警戒し、一切手を抜かず爆破で応戦した。途中、観客席から遊んでないでさっさと場外に出してやれとブーイングを受けるが、相澤によって喝が入れられた。ここまで勝ち抜いてきた相手に対して油断できないからこそ全力なのだと。そして、麗日はただ攻撃されていたわけではなく、爆破によって飛び散った瓦礫を浮かせて空中に武器を貯めていたのだった。瓦礫を落下させて爆豪を攻撃するも爆豪はそれを爆破で全て破壊してみせた。麗日は、個性による限界を超えたためにそこで倒れ、勝者は爆豪となった。
以上、これによって二回戦に勝ち進んだ選手が決まった。
緑谷出久
轟焦凍
倉本智香
飯田天哉
三崎亮
常闇踏陰
一ノ瀬薫
爆豪勝己
この8名によって、二回戦が行われる。
三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)
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日下千草(アトリ)
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倉本智香(揺光)
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久保萌(タビー)
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芦戸三奈
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拳藤一佳