二回戦第一試合
轟焦凍 対 緑谷出久
轟は氷結による範囲攻撃で攻めたが、緑谷は、指を弾くことによる風圧によって防いだ。しかし、緑谷のその手段を使うたびに指が壊れていく。轟が近づいてきた時に距離を取るために左腕を使って振り払ったために左腕を大怪我してしまっていた。早々に両手分を使い果たしてしまった。轟はとどめの氷結を放ったが、緑谷は壊れた指で再度氷結を防いだ。緑谷の指は更にボロボロになっていた。それに焦りはじめた轟が接近戦を仕掛けてきたところで緑谷は壊れた指で握って拳を叩きこんだ。轟の氷結の個性は、使うたびに身体が冷えるために動きが鈍くなる。緑谷はそれを見抜いた。そして、その弱点は左側の個性である炎熱の方を使えば解消できることも指摘した。緑谷はその最後の締めくくりに「君の力じゃないか!」と叫んだ。
轟はその言葉に応じて炎熱の個性を使用した。そして互いの全力を撃ち込んだ結果、冷やされた空気が一気に膨張したことで大爆風を起こした。それにより緑谷は場外にはじき出され、轟が三回戦へと進出した。
壊れた舞台を直すために、しばしの休憩時間が与えられた。飯田、麗日、蛙吹、峰田は、緑谷の見舞いに行った。そして、三崎は轟が居る場所に向かっていた。
「よぉ」
「三崎か……」
「左は使わねぇんじゃなかったのか?」
その言葉には棘があるようで、ただの問いでしかなかった。
「……そうだな。でも、あん時だけはそのことを忘れた。今でも親父を否定したい気持ちがなくなったわけじゃねぇ」
「俺に気遣う必要はないぜ。勝手にお前に同族意識を感じてただけで、本当は違ったなら今まで通りって言うだけの話だ」
「別に気遣ったつもりはない。俺の本心だ。だけど……なんか、すまねぇ」
三崎は味方とまでは言わなくとも共感できる相手を探していたのではないかと、轟は思った。その期待を裏切ってしまったのではないかと。
「謝んな。そんなつもりで来たわけじゃねぇんだ。お前のそれが良いのか悪いのかはお前が勝手に考えることだ。ただ、それでお前が先に進めるのなら悪いことじゃねぇんだと思う」
「俺の親父を否定してやりたい気持ちも復讐心なんだと思う。だから、お前と似たような気持ちを持っていたんだ。俺はただ親父を否定することだけを考えてきた。自分がどうしてヒーローになりたかったとかそういうことも全部忘れるぐらいにな。でも、三崎。お前は周りが見えている。お前も復讐だけじゃないはずだ。まだ、俺も清算できてねぇから偉そうなこと言えねぇし、上手く言えねぇけど、俺はお前の仲間だ」
轟なりの精一杯の応援。とてもありがたいことで、嬉しく思う。でも、それに絆されて復讐を諦めてしまいそうで、怖くもあった。
「いらねぇよ。お前が何をするのかは勝手だ。でも、俺は絶対に復讐を遂げてみせる」
「三崎……」
「控室に行ってる」
轟は未だ自分の進むべき道を迷っている。三崎もきっとそうなのだろう。緑谷の様に抱えているものをぶっ壊すことが必ずしもいい結果を産むかはわからない。結果はまだ出ていない。でも、三崎も言ったように前に進めた。三崎も前に進めるように味方をしてやりたい。そんな想いを抱えていた。
二回戦第二試合
『続いていくぜ! 倉本 対 飯田 だ!!』
倉本は、双剣を逆手で構える。
『START!!』
飯田は、走って倉本との距離を詰める。個性『エンジン』のためにその速度は並みではない。
「へぇ……一回戦のよりはマシかもね」
倉本は真正面から受けて立った。飯田の加速の付いた蹴りを難なく双剣でいなす。
「僕より速い……!?」
「でも、その程度じゃ話にならない」
剣を眼前へと突きつけられる。
「くっ……レシプロバースト!!」
飯田の限界を超えた加速。騎馬戦の際は、緑谷が一切の反応すらできなかった超スピードだった。
その速度の蹴りは速さゆえに避けづらく威力も高い。だが……倉本はその悉くを避けた。飯田のレシプロバーストは、十数秒しか持たない。そして、エンストを起こし動きが止まる。
「……ふぅ。速さだけはアタシに本気を出させたんだ。褒めておくよ」
飯田は再度、眼前に剣を突きつけられる。
「それで、次は?」
「降参だっ」
飯田は唇をかみしめ悔し気にそう告げた。
二回戦第三試合
『どんどんいくぜ! お次は三崎 対 常闇だぁ!』
常闇の個性は、中遠距離攻撃を得意とする。対して三崎は近距離攻撃しかできない。懐に詰めさえすれば、勝利を掴むのは容易いはずだ。
『START!!」
「ダークシャドウ!」
「アイヨッ」
常闇の個性『ダークシャドウ』は、それ自体に意思が宿っている。常闇の命令を受けて常闇の身体から黒い影のそれは伸びてくる。
三崎は双剣で迎え撃つ。ダークシャドウの攻撃は腕によるものだ。三崎はそれを剣で受けるが、ダークシャドウ自体にダメージを与えられている様子はない。
「ちっ!」
防戦一方で攻撃に移れるタイミングがない。一時的にでも振り払えれば距離を詰めることはできそうだが、ダークシャドウ自体に体力の概念があるのかはわからない。常闇がダークシャドウを操ることによる消費と三崎がダークシャドウの攻撃を捌くことにかかる消費はほぼ間違いなく後者の方が大きい。
このままではジリ貧だ。三崎は双剣を仕舞う。
「臆したか!?」
「はぁあああああ!!」
三崎の身体は変化を起こす。その身は巨大な人形の様な姿となる。
「いい加減、鬱陶しいんだよ!」
拳を握り、ただ振り下ろす。巨大であるが故にそのリーチも質量も生半可ではない。数メートルの距離だろうと三崎の変身した姿では、腕が届く距離だ。
「ぐっ! ダークシャドウ!」
常闇はダークシャドウで守りをかためる。ダークシャドウでは、勢いを殺しきれずにステージギリギリまで吹き飛ばされた。
「何と重い攻撃だっ!」
「これで止めだ!!」
三崎はダメ押しとばかりにもう一度拳を振るう。
「ダークシャドウッ!!」
「アイヨッ!」
ダークシャドウは影を伸ばし、人形の拳を伸ばした影で包帯の様に巻いて止めにかかる。
「てめぇのパワーじゃ足りねぇよ!」
「そうかもしれん。だが、ここで諦念していては己の信ずるものに到達など決してできん!」
ダークシャドウによって一瞬止められたかの様に見えたが、勢いは全く死なず人一人分はある大きさの拳が常闇に直撃した。
「ぐおぉっ!!」
常闇はそのままステージ下へと叩きつけられた。
「無念」
三崎は次の試合に出る爆豪のところに居た。
「てめぇ、何の用だよ?」
普通に観客席に戻っていれば、すれ違うはずもなかった。それがこうして目の前に爆豪の目の前には三崎が立っている。
「お前が俺の言うことを素直に聞くとは欠片も思っちゃいねぇが、ちょっとしたアドバイスだ」
「あぁ? いらねぇよ!」
「黙って聞いておけよ。あいつの持っている力に対処するには、特別な力がいる。強い弱いじゃねぇ。持ってるか、持っていないかだ」
「だから、降参しろってか? ふざけんじゃねぇ!」
「本当はそういうつもりだったけど、お前がそういうことを聞くなんて最初から思ってねぇから。俺が言いたいのはお前の唯一の勝ち筋だ」
「てめぇに言われなくても俺だけの力で倒す」
「断言してやる。あいつが力を使えば、その時点でお前は負ける」
「あぁ!? んだと!」
爆豪が三崎の胸倉を掴む。
「だから、力を使わせる前に速攻でぶちかませ。何故かは知らねぇけど、あいつは一回戦でそれをすぐに使おうとはしなかった。なら、使う前に倒しちまえ」
爆豪は投げ捨てるように手を離した。
「てめぇ、なんでそんなことを俺に教える」
「特に深い理由はねぇよ。敢えて言うなら、俺はお前のことを買っているってとこだな」
「は! てめぇに認められたって嬉しかねぇよ! 俺は俺の手で1位になるだけだ! あの野郎もてめぇも超えてだ!」
「勝てよ」
「言わるまでもねぇ!」
三崎は本当は爆豪を止めようと思ったが、それを聞くような相手ではないことはわかっていた。おそらく憑神のことをちゃんと伝えたとしても降参することはなかっただろう。切島は無事に済んだが、また次に誰かがくらえば無事で済むとは限らない。確実に無事であるためには、爆豪が一ノ瀬に憑神を使わせる前に勝つしかない。それを祈る他ない。
二回戦第四試合
『これで二回戦も終わり。一ノ瀬 対 爆豪だ!!』
『START!』
開始の宣言がされても、一ノ瀬は棒立ちのままだ。というより、肩に乗っている猫と戯れている。
「この野郎っ!!」
爆豪はそれを自身がなめられていると感じ、一気に血が頭に昇る。
掌で爆発を起こして加速し、一ノ瀬に爆破攻撃をしかける。
一ノ瀬はそれを何でもないかのように、速いようでいて緩やかに流水を思わせる動きで攻撃を躱していく。
「……なかなか速いね」
「あぁ!? 上から見てんじゃねぇ!」
少しばかり大きな爆破で、目の前の視界が塞がれる。
一ノ瀬は煙幕の中から飛び出る腕に対して一瞬、反応が遅れた。
「遅ぇ!」
一ノ瀬の眼前まで迫った爆豪の掌。確実に捉えた。そう確信した。
「ふっ」
しかし、一呼吸の内に一ノ瀬が眼前から消えた。一ノ瀬は刀を取り出し、それを地面に突き刺してその柄を利用して、爆豪の背後に回っていた。一ノ瀬は攻撃するチャンスであったにもかかわらず、そのまま距離を取る。
「強いね。キミは」
「なんなんだよ! てめぇは! なめてんのか!?」
「『彼女』はキミが気になっているみたいだ……少し妬けちゃうな」
「んの野郎!!」
爆破で飛び上がりさらに爆破で回転を加えて、一ノ瀬に飛び掛かる。
「
爆豪の最大火力。威力も範囲もおおよそ防ぎきれるものではない。
しかし、一ノ瀬は無傷で立っていた。
「でも、キミがいくら強くても『彼女』はボクに負けることを許してはくれない」
「な、何っ……!?」
確かに直撃したはずだった。真正面から無事であれを受け止められるはずなどない。
「強くても資格がないキミには、最初から勝ち目なんてなかったけどね。哀れだね……キミは」
「俺が……哀れだと? 見下してんじゃねぇ!」
「そうやって吠えずにはいられない。キミはそのまま吠え続けることしかできないまま、夢も目標も叶えることもできずに老いて死んでいくんだ。可哀想に……かわいそう……カワイソウ」
「は?」
爆豪は完全にキレていた。見下されていることが許せない爆豪にとって一ノ瀬の言動、行動は癪に障るどころではない。騎馬戦においてB組の物間に対してもキレていたが、その時はある程度は抑えられていた。今回は、怒りが沸騰を通り越して逆に冷静になっていた。
自分は何故今こんなにも見下されているのか。哀れまれているのか。怒りというよりも疑問に近いものだ。そもそも何故爆破が効かなかったのかもわからない。思考は加速し、どれだけ考えを巡らせても答えはでない。少しだけ引っかかったのは一ノ瀬が言ったことと三崎が言っていたことが少し被っていたこと。三崎は、「その力を持っているか持っていないか」一ノ瀬は、「資格がない」と。それがどういった意味なのかは一切わからない。それが比喩などではなく、事実そのものなのだとしたら……そんなことあってたまるか、とその仮説を否定する。
「これでキミは終わりだ。さようなら」
爆豪には、決してみることは叶わない。爆豪がハウザーインパクトを放つ前には一ノ瀬は既に憑神を使っていた。憑神は、この世界の法則とは外れた位置に存在する。それ故に普通の方法では傷すらつかない。憑神を倒すためには同じく世界の法則から外れた攻撃をするしかない。
爆豪にはここで諦めるなどという選択肢はない。正体を暴いてみせる。そして、ぶっ倒す。ここで考えているのはそれだけだ。
一ノ瀬の憑神の腕が振り下ろされる。爆豪には一ノ瀬が特に何かをしているようには見えない。ただ一挙手一投足見逃さないように神経を張り巡らせていた。それでも、何も見えないままに憑神の爪によって爆豪は切り裂かれ意識を失った。
切島と同様に呼吸、脈拍共に問題はないようだった。しかし、すぐには目を覚まさなかった。
一ノ瀬は勝利宣言を受け、爆豪は担架でリカバリーガールの保健室へと運ばれていく。
観客席で三崎は頭を抱えた。爆豪をみすみす見殺しにした。まだ本当にそうかはわからないが、未帰還者になる可能性も捨て置けない。気になっているので見に行きたいところだが、準決勝まで時間がない。このタイミングで行くのも不自然な気がして行きづらかった。
轟との対戦で大怪我を負い、その手術が終わって観客席から見ていた緑谷はいつものようにぶつぶつと呟きながら思考していた。緑谷は爆豪が負けたことに少なからずショックを受けていた。幼馴染でその実力のほどをよく知っている。簡単に負けることなど想像もつかなかった。しかし、それ以上に試合展開が不思議でしょうがなかった。そして、三崎がその場に居たのなら聞き逃しできない一言を呟いた。
「かっちゃん、どうして避けようともしなかったんだろう?」
三崎の代わりに爆豪が煽られました。原作と違って一ノ瀬(エンデュランス)に会うより前に開眼しましたしね。でも、とりあえず入れておきたかった台詞。
正直、ヒロアカ側のキャラの扱いを決めかねているのが多いです。.hack側は大体どういう風にするか決まっているんですけどね。
三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)
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日下千草(アトリ)
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倉本智香(揺光)
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久保萌(タビー)
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拳藤一佳