若き司書騎士   作:ゴールド@モーさん好き

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シエル・スクライア

 薄暗い空間、周りには本がギッシリと詰まっている棚が広がっている中響く金属音。銀の短い髪を揺らし、深紅の瞳で鉄の兵士を見すえる褐色の少女。

 敵の猛々しい拳を盾で受止め味方が攻撃する隙を作り、逆に味方が撃った魔力弾で気を取られている隙に魔力を纏わした剣を一閃させ薙ぎ倒す。

 

「封印班の方々、お願いします!」

 

 彼が後方にそう叫ぶと幾人かの魔導師が陣を描き、光る布の様な物を飛ばしたかと思えばそれらは全てが一つの本を包みこんでいく。

 数秒したら光は霧散していき、本へ魔法を発動させた人達の1人が回収した。

 

「封印、完了しました」

「分かった、負傷者は居るか」

「軽傷者が複数のみ重傷者は無しです」

「うむ、それでは応急処置をした後に撤退する」

 

 無限書庫‪──‬そこは管理局が保有する『亜空間型』ロストロギアの内部の総称である。この無限書庫は書物を収集し、限界が来たらその分亜空間内部が広がるが外部への影響は全く無い。

 無限書庫はこのような特異性の他にも今迄部署として確立させれなかったのには理由がある、それはありとあらゆる書物を収集するが為に周囲へ危険を振りまく魔導書すらも収集してしまうからだ。

 これは無限書庫という場所で恩人に報いろうとする若すぎる騎士の話である。

 

 ♢

 

 場所は無限書庫安全区域、数人集まっているチームがそこらに散開し各々が業務をこなしている。そこにはここの長たる司書長、ユーノ・スクライアの姿もあった。

 

「それでは司書長、こちらの方はクルーゼ艦長の方に転送しておきます」

「お願いね、こっちのは僕が地上二課に転送するよ。それからこの関連資料は五日後迄に纏めておいてくれる?」

「分かりました」

 

 何時もの様に仕事をこなしているとユーノは遠くの方から誰かに呼びれている気がし、そちらの方へ振り向く。

 

「ん? 今誰かに呼ばれた気が」

「ししょちょー!」

「わ! っと、おかえり”シエル”」

「はい! ただいまです!」

 

 少女いや、愛娘であるシエルとユーノは帰路の挨拶をかわす。

 

「こらシエル、司書長にいきなり抱きついたらびっくりしちゃうでしょ」

「ぶー、僕いきなり抱きついてないよ! ちゃんとししょちょーって呼びながら抱きついたもん!」

「いきなりな事には変わらないでしょ」

「まぁまぁ、それで”奥の方”はどうだった? ロクス部隊長」

「はい、今回は危険な物も傀儡兵の召喚魔法それも個人用だったのか数も二機と少なかったので問題はありませんでした。此方がその魔導書です」

「うん、確かに……それでシエルの方はどうだった?」

「シエルはよくやってくれました、敵の注意を引きつつも攻撃し役割を果たしてくれました」

「ふっふーん、そうでしょそうでしょ」

 

 ロクスの言葉にシエルはあからさまにウンウンと頷き、気分を上げている。

 

「ただ」

「え?」

「やはりまだまだ戦闘員としての意識の低さから”奥”の開拓メンバー”正式入隊”は見送るという答えを出す他ありません」

「‪──‬だってよシエル、残念だったね」

「そんなぁー?! 二人ともそんな事言わないでよ! 何がダメだったのロクス、ソレちゃんと治すからお願い!」

「ダメな物はダメです、ソレに貴方のは言ってすぐどうこうなる物ではありません。ですからもう暫くは”此方”の方、一般司書として頑張ってください」

「…………暫くってどのくらい?」

「分かりませんね、貴方のは個人差がよくあるので。ですけど最低でも二、三年は必要と考えて下さい」

「そういう事だからシエル、これからも今まで通り頑張ろうね」

「うぅ……二人とも酷いや」

 

 シエル・スクライア、齢推定14歳。現無限書庫司書長、ユーノ・スクライアを養父とする少女である。

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