「うらぁあああああああああああああああ!!」
目の前で狼牙を捕らわれるのを見た一誠は雄たけびを上げ音也に挑む
爆破の衝撃を利用し前に飛び拳を突き出す一誠
「っふ!」
「がぁ!?」
しかし拳を払われ首を掴まれる
宙ぶらり状態になった一誠に無理やり魔力を流し込み追い討ちをかける音也
「ぐぁああああああああ!!?」
鎧に火花が飛び散り、さらに兜にもヒビが入る
バキンッ!
とうとう兜が割れ、素顔が現れる一誠
負けじと自分も音也のベルトを掴み力を入れる
「っはぁ!」
音也は首を掴んでいた手を離し、一瞬に裏拳を叩き込む
強い衝撃と共に吹っ飛ばされる一誠。地面に何回かバウンドし
ズドォォォォン!!
壁に激突する
砂埃が舞い、姿が確認できないが響いた音で只では済んでいないのは確かである
「弱い。これが本来の倍増の力の持ち主か?」
音也の言葉を発した瞬間、他の者達も動き出す
どちらの勢力も理由は単純、仲間を傷付けられたことである
まず最初に動いたのは木場、ゼノヴィア、ジークフリートの三騎士である
「はぁっ!」
「やぁっ!」
「せいぃ!」
聖魔剣、エクス・デュランダル、魔帝剣グラムの三本が音也に迫る
「…遅い」
音也は右足でエクス・デュランダルを蹴り上げて弾き
片手で聖魔剣を打砕き、魔帝剣グラムを弾く
隙が出来た所を殴り飛ばし、足払い、蹴り飛ばすなどの攻撃を繰り出す
「くたばりやがれぇぇぇ!!」
そこへヘラクレスが駆け出してくる
拳を音也の体に叩き込もうとする
『Bind!Bind!Bind!Bind!Bind!Bind!Bind!』
しかし簡単に攻撃を食らう音也ではない
ヘラクレスの攻撃が当たる寸前に周りから鎖を出し拘束する
さらに足元から紋章を作り出しヘラクレスを背後へと移動し拘束し攻撃する
「ぐぁあああああ!!?」
拘束され電撃を食らうヘラクレス
音也は手を引くような動作をするとヘラクレスが紋章の拘束から解放され、音也に向かって飛んでくる
そこを蹴り飛ばし紋章に叩きつけ再び電撃で拘束し、同じ動作を繰り返す
「よくもイッセー君を!!」
一方的にヘラクレスを痛めつけている時、イリナが光の槍を出し攻撃を繰り出す
そこに便乗してジャンヌもレイピアによる突きで音也に攻撃する
しかし、二つの攻撃は簡単に避け、紋章に貼り付けていたヘラクレスを飛ばしぶつける
追い討ちかけようとするが音也の足元に魔法が飛び行く手を阻んだ
「狼牙さんを返しなさい!」
行く手を阻むはロスヴァイセ
「あのドラゴンウルフか…奴は私の能力の一部となった。返す訳がないだろ」
「ッ!?」
ロスヴァイセは怒りで魔法を連続で繰り出す
だが魔法は音也の周りにはりめぐらた鎖によって防がれる
「こんなものではないだろ。私を止めたければ、全員で来い」
「うぅ……い…てぇ…」
痛てぇよ
体中が裂けるように痛い
頭の中もぼんやりして目の前が霞んでて見えてね
『相棒!しっかりしろ相棒!』
「ド、ドラ…イグ」
ひびが入り点滅する宝玉から聞こえるドライグの声と大量に流れている自分の血が見える
地面が近くに見えるってことは俺は倒れてるのか?
『ようやく目覚めたか!』
「…あぁ、何とか…生きて…はい…る」
激痛に耐えながらも体を起こす
ふらつきながらも立ち上がる
「ドライグ…皆は?曹操達はどうなったんだ?」
『………』
すると突然ドライグが黙った
「オイ、なんで黙っ…て…」
俺は霞んでいた視界が回復しはっきりと目の前の状況を知る
しかしそれは俺にとって知りたくなたっか現実があった
「なんだよ…これ…」
俺の目の当たりにした光景
それは残酷の一言に尽きた。木場やイリナ、ゼノヴィアに至ってはズタボロの状態で鎖で巻かれ宙吊りされ、ロスヴァイセ先生は地面に倒れ伏せている。英雄派も同じように手足に枷が填められ倒れている
そして突然と現れた
『くそぉぉぉぉ!こんな鎖なんか』
匙の体からラインが飛び出し奴の力を吸い取ろうとしていた
「私から力を吸い取ろうと言うか。なら手伝ってやろう」
奴がラインの一本を握りしめるとどす黒い何かがラインに送り込まれていく
徐々にそれは匙の方まで送られる
『ッ!?!?ぁぁぁぁあああああああアアアアアアアアアア!!!!』
突然と匙が苦しみだすと龍王の体が消え、体から黒い炎で焼かれる匙が出て倒れる
「……ほぉ、まさかこれは」
奴が匙を見て何か言っている
「まぁいい。時期に分かることだろう…さて次は」
奴が九尾となった九重の母に向けて魔力を溜め始めた
このままじゃ九重の母が…!
「貴様!母上に何をする気じゃ!?」
その前に立ちふさがったのは九重
「どけ、貴様も巻き添えになるぞ」
「母上をこんな目に会わして只では済まさんぞ!」
「何を言っている。私はただ降りかかった火の粉を払おうとしているだけだ。それにこのまま放置していれば何れ世界に悪影響を与えかねん。だから今うちに息の根を止める……例え貴様の母であっても」
奴の背後から無数の鎖が飛び出てくる
その鎖は九重にすべて向けられる
「もう一度言う。どけ」
「いやだ!!」
「そうか…ならば」
「母と共に逝け」
奴が手を上げた瞬間
背後の鎖が九重に襲い掛かる
「やめろぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
俺は倍増した力で背中のブースターを噴射させ殴りかかった
「…くどい」
奴の一言を聞いた瞬間
地面から鎖が飛び出し巻きついてくる
「こんな鎖「くどいと言っている」ぐはぁ!?」
いつのまにか殴られ、さらに鎖が体中を拘束され雁字搦めに縛られる
「これが今の赤龍帝か。まるで話にならん」
「…ち…くしょ」
再び奴が鎖を出して九重の元に向かう
魔力がほとんど無い俺は鎖を引き千切る力すら残っていない
…何してんだ、俺…動いていけくれよ。どうして俺は肝心な時に体が動かないんだ!
―――悔しい
なんでこうも弱いんだ!?どうして俺は!!
俺はまだやれる!いや、やらなければならないんだ!!
―――でもどうやって?
奴との力の差は明らかだ
それに奴の仲間も入る。どうやって勝てばいいんだ?どうすればいいんだ?
分からない
分からない
分からない
分からない
分からない
分からない
『諦めてしまうの?』
―――っ。俺の仲に語りかける誰か。この声は―――
……エルシャさん?
『ええ、そうよ。どうして諦めているの?』
俺の内に語りかける人。神器の内部にいる先輩のエルシャさんだった
…俺は情けなくて……。どうしてこんなに自分が弱いのか…。肝心な時に全く役に立てないんです
『そう、それは悔しいでしょうね。けれど、忘れたの?以前、堕天使の総督と人狼の悪魔が入っていたことを。貴方は可能性の塊だと』
確かにあの時、アザゼル先生が言っていた。けど今の俺じゃ
『何情けない事言ってんだ?』
「………え?」
この声って―――間違いない
この声は狼牙先生の声
『お前が無理やり魔力を送られた時にベルトを掴んだお陰で俺達の力を魔力を送ることができた』
……俺達?
『そう。僕達の魔力…と言うより種族の力をね』
『なんとか出来たな』
狼牙先生以外にも二人の男の声がする
けど、種族の力って?
『いいかイッセー。奴は俺達が生きていた時代の全ての頂点にたった種族の王だ。並みの力では瞬殺されるがオチだ』
そんなに強いのかアイツって
『あぁ…だからこうするのさ』
狼牙先生の声と共に赤いオーラが全身から迸り、俺と周囲を包み込む
…気づくとそこは白い空間だった
突然のことに困惑する俺の目の前に五人の人物が現れる
エルシャさんと狼牙先生と―――ダンディな風体の男性に背の低い優男とガタイの良い大男だ
『今からお前の力を解放する。本来の『覇龍』とは全く違う力だ』
…全く違う力?
『そう。僕達は帝王から逃げる時に彼に僕達二人の力を託したんだ』
『そのお陰で本来の力が出せずに捕まって神器に封印された』
優男と大男の姿が変わる
優男は鳥のような姿に大男は牛のような姿になる
『これが二人の本来の姿だ。セイレーンとタロス…何れも俺と同じ悪魔とのハーフだ』
……狼牙先生って色々とすごいなぁ
『逃げ延びた俺は奴が封印されるまで隠れていた。そしてお前と出会い密かにお前の神器に力を宿していった』
『本当は僕達が奴を倒したかったけど、力を封じられて』
『結局他人任せになってしまった』
『だから可能性のあるお前に力を託したんだ。今まで黙っていてすまん』
先生達が申し訳ない顔をしながら話す
『さて、そろそろ時間もなくなってきたな』
そう言う狼牙先生と他の四人の姿が少しずつ消えていく
なんで…どうして!?
『本来の俺達は言わば思念体のような物だ。ここまで話せる事自体も奇跡的なものだぞ?』
……けどどうしてエルシャさん達まで
『ここに留まってる私達だった者の記憶の断片に過ぎない。既に死んでいる私達が消えるのは自然でしょ?』
で、でも俺はまだ訊きたい事やアドバイスを!
『貴方には私達は必要ない。それに私達より長生きした先生やドライグ、仲間達がいればもう大丈夫よ』
『歴代の赤龍帝にそう言って貰えて光栄だぜ。さてイッセー』
狼牙先生が遠くを指で指す
そこには赤い扉がある
『あの扉の向こうには俺達がお前の神器に宿した力が眠っている。お前が奴と戦う覚悟が有ればの話だがな』
……今更そんな事言って引き下がるわけ無い
俺は扉の前に立つ
『良い覚悟だわ。さあ、私達はもう逝くわ。ベルザード、最期に彼に何か語りかけてあげて』
歴代最強の赤龍帝とされるベルザードさんが俺に微笑む
ありがたいお言葉を掛けてくれると思ったら人差し指を突き出し、扉とは反対のを方を指差す
けれどそこには何も無い
『………』
無言のベルザードさん
その目には真剣さと何かを伝えようとする目だったが、すぐに笑顔になった
『彼も満足したみたい。さあ、逝きましょうベルザード』
エルシャさんとバルザードさんは満面な笑顔で消えていく
あのベルザードさんの行動はなんだったんだろうか
いや、考えるのは後だ!
俺は扉を思いっきり開けるとそこから紅の光が広がっていく
「いくぜぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!ブーステッド・ギアァァァァアアアアア!!」
『Desire!』
『Diabolos!』
『Determination!』
『Dragon!』
『Disaster!』
『Desecration!』
『Discharge!』
『DDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD!!!!!!!!』
『DragonWolf!』
『Seiren!』
『Talos!』
『Race Force!!』
一誠の叫びと共に神器から力が溢れ出し『D』という音が繰り返される
その後に違う音声が鳴り、紅の光りが包み込みしばらくして光が止む
龍の頭部の模した両籠手と両足
腰には蒼・翠・紫の宝石が埋め込まれたベルト
肩や尻尾は鋭くなり、龍っぽくなった鎧の装飾
兜に翼のような物が付けされ、瞳と宝玉が緑から黄色になる
一誠は『悪魔の駒』と『赤龍帝の籠手』に秘められていた可能性
そして狼牙達の力を解放した新たなる力
本来の