6部2話
俺たちは執事に促されて長テーブルのある部屋に入ると、そこにはアイリス様とクレアとレインがいた。
アイリス様は俺と目を合わせると笑顔を返してくれた。俺も笑顔を返す。
クレアとレインは俺と頑なに目を合わせようとしない。俺はガンを飛ばしておいた。
そういえばクレアをいたぶってなかったな。俺は危険なポーションを無理やり飲まされたことを安易に許すほど心の広い人間ではない。あとで泣き叫ぶまでいじめるつもりだ。
俺の席はアイリス様と一番近い席だ。
なんだかアイリス様の綺麗な青い目を見ていると、怒りが収まってくる。
全員がそれぞれ席についた後クレアが言った。
「皆さま、この度は魔王討伐という偉大な功績を称え我が城にお招きしました。本日は夕食を共にし、勝利を祝いましょう。また、今日は特別にアイリス様との会話が許可されておりますが、くれぐれも無礼のないようにお願いいたします。」
今日初めてクレアと目が合った。
あいつしばこう
「それでは皆さん、魔王討伐を祝い 乾杯!!!」
「「「「かんぱーい!!!」」」
アイリス様とめぐみんとゆんゆんはぶどうジュース
その他みんなはワインで乾杯した。
「お兄様、本当にお疲れ様でした。」
アイリス様が俺の手を握り、満面の笑みを向けてくれた。こう言う時は勇者らしくかっこいい言葉を…
「アイリス様、お手紙ありがとうございます」
「もう、そんなに堅苦しくならないでください。全然友達のように話してください」
「いやいや、そういうわけには…」
「いえいえ、むしろ今後は気まずくなってしまうので、兄弟のように接していただければ嬉しいです。」
今後?
その後は魔王討伐の話をしてあげた。妹はその話を目を輝かせて真剣に聞いてくれている。時折「まぁ!」とか「すごいわ!」とか反応してくれるのでとても話すのが楽しかった。
「素晴らしいですお兄様、どうやったらそんな方法を思いつくのかしら、でもどうやってそんなにスキルポイントを稼いだのですか?」
それは聞かないでもらってもいいかな?
「それは…企業秘密でして…」
まさかリッチーと悪魔に手伝ってもらいながらダンジョンを進んでレベルが上がったらレベルを下げていたなんて言えるわけがない。
「そこをお願いします、お兄様」
妹は目を輝かせながら言ってきた
知的好奇心から聞いているのだろうが今回は本当に言えない。英雄から一転し犯罪者になりかねない
「申し訳ないですが、それは言えないです。」
アイリス様は少し悲しそうに
「わかりました、無理に聞くのは良くないことです。あなた方から学びましたからね」
もしかしてあれって違法なのかな?
「お兄様、もっと話を聞かせてくださいませんか?」
「喜んで」
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アイリス様に冒険話をしながら夕食をとっていると
「カ、カズマ殿。あの、折り入ってお話したい事があるのだが…」
いつも通りの白スーツを着たクレアが恐る恐る話しかけて来た。
いい度胸だな。こいつをどうしてやろう
「なんだ白スーツか」
サラダにフォークを突き刺しながら無愛想を装って言ってみた。
「ク、クレア様と呼べ!その…話があるからこっちへ来てくれないか?」
ビビりながらも高圧的な態度は変えないらしい。貴族って本当にめんどくさい奴が多いな。
「あ?」
とりあえず俺も威圧的な態度を取ってみると、少しビクッとして、
「だ、だからこっちに来てって言っているんだ」
と、変に上ずった声で言ってきた
「はいはい」
無愛想を装ったまま言った。
「で、ではこちらへ」
クレアについて行こうとする俺の袖を掴んでアイリス様が耳元で言った。
「クレアは昨日からとてもお兄様のことを怖がっていまして、反省もしています。どうかクレアを許してあげてくださいませんか?」
可愛い妹の言う事なら仕方ない。少しいじめるくらいでゆるしてやろう。
俺たちは宴会場を出て、廊下を歩き、少し離れた部屋の中に促された。
クレアが扉をガチャっと閉めて、ランプをつけてふうと深呼吸すると、
「こ、この度の魔王討伐は誠にご苦労であった」
クレアが冷静を装って、俺の後ろの壁を見ながら行った。
「そりゃどうも」
ぶっきらぼうに言ってみた
「あの…もしかしてこの前のことを覚えているか?」
「ポーションのことだろ?鮮明に覚えてますけど?」
「やはりそうか、あの、その、その件については水に流してくれたら嬉しいかなって思って…」
最後の方をゴニョゴニョと言った。
まぁアイリス様にも言われてるし何もしないつもりだが、少し楽しむくらいはいいだろう。
「へぇ、記憶を消すはおろか脳をパァにしかけた人に対しての言葉がそれですか、俺はけっこう怒ってるんですけどね。俺は今バインド用のワイヤーとマナタイトがここにあるんですが。」
脅すようにワイヤーとマナタイトをチラつかせると、それを確認したクレアが一歩後退りしながら、
「そのワイヤーとマナタイトをしまえ!しまってってば!」
とガタガタ震えながら言った。
「俺は爆裂魔法を習得してまして、この城の一部ごとあなたを消し飛ばす事ができるようになっちゃったんですよ。まぁそれが嫌ならスティールで全裸にして街のオブジェにするくらいで許してあげますよ?」
俺は伊達にクズマなんで呼ばれているんじゃないんだ。俺は人が嫌がる事を的確に見つけ出す才能がある。
「わ、我が名高いシンフォニア家の長女である私にそんなことできるわけないだろう?ないよな?それに仮にも私も女なのだ、女なのだぞ…カズマ殿にもそれくらいの良識はあるだろう…」
涙目のクレアがすがるように言ってくる。そんなクレアを見て若干意地の悪い笑みを浮かべた。
「俺は真の男女平等を掲げる者、さぁどっちにするか選べ!答えないなら爆裂魔法放つぞ」
自分に魔力向上の支援魔法をかててマナタイトを持つとクレアは足の力が抜けたようにヨロヨロし始めた。
「まさか本当にやるわけないよな?そうだよな?謝るからやめてくれ…」
「黒より黒き闇より深き漆黒に、我が真紅の混淆を望みたもう…」
「うわぁぁぁぁぁぁ、まって、や、やめて、ごめんなさい!すいませんでしたっ!!何もしないでください!お願いします!」
クレアが涙ながらに言ってきた。これを見て楽しんでいる俺はS属性持ちなのだろう。
貴族とニートの立場が逆転した瞬間だった
「まぁ何もしないですけど」
変な抑揚をつけながら言った。
その悪感情、美味である。
「こ、殺す!」
クレアが泣きながら掴みかかってきた。こいつといいダクネスといい貴族って意外と口悪いのかもしれない。俺の胸ぐらを掴み、揺さぶってきた。
「ごめんごめん、わかったから離せ!」
5分後
「何もしないって言ったのに…」
ドレインタッチで魔力を吸われたクレアが地面にうずくまりながら泣いている。
少し罪悪感がないわけでもないがこれでも足りないくらいだろう。
「俺も悪かったよ」
「何もしないって言ったのに…」
クレアが消え入るような声で言ってきた
「わかったからごめんって」
少し魔力を分けてあげるとクレアはヨロヨロと立ち上がったが、クレアが泣き止むまでしばらくかかった。
「そういえば話ってなんだよ?謝罪だけ?」
「いやまだあるんです、でもあとで、落ち着いてからにしましょう」
クレアは俺を宴会場まで連れていくと、そのままどこかへ行ってしまった。
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「遅かったじゃないカズマ、メインが冷めちゃうわよ」
アクアがリスみたいな顔をして言ってきた。
「お疲れ様です、お兄様。お話聞かれましたか?」
なんだか答えがとても気になるような顔をしていた。だが俺は謝罪しか受けていない。多分、今アイリス様が気になっているのはさっき聞きそびれた話だろう。
「いや、その 世間話で時間がかかり過ぎてしまいまして。まだ全部は話を聞かせてもらってないんですよ」
するとアイリス様は
「そうですか」
とだけ言い自分の食事に戻った。なんだか思ってた反応と違うと言わんばかりの反応だ。もしかして俺が聞きそびれた話はとても重要な話だったのかもしれない
宴会はとても楽しかった。
料理も美味しかったし、その後はアイリス様も普通に戻り、宴会芸の神様は本領を発揮し大受けだった。
しかし、どこか引っかかるものがある。あの話の内容はなんだったのだろう。
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宴会も終わり俺たちには豪華な部屋が一人一部屋割り当てられた。
プールほどもある風呂に入り、今はなぜか8人全員が俺の部屋に集まっている。
「なぁ、なんでみんな俺の部屋なんだよ?」
「なんとなくです、不服ですか?」
めぐみんはゆんゆんをボードゲームでボコボコにしながら言う。
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
3人とゆんゆんはまだいいとしても、なんかミツルギ達はなんだか場違いな気がする。
「ならいいじゃないか、こんなに大人数で遊ぶのも楽しいだろう」
ネグリジェ姿のダクネスが、俺からもらった鎧をピカピカに磨きながら言った。
「なぁサトウカズマ。お前ボードゲーム強すぎないか?」
これでミツルギに6戦6勝。もう紅魔族以外は相手にならん。
そんな楽しいこと時間からを過ごしているとクレアがやってきた。
「カズマ殿、さっきの話の続きだ」
俺はまた別の部屋に連れられて中に促された
なぜ毎回部屋に入る?
盗聴されたくない話なのだろうか
「早く話をしてくれよ、すごく気になるんだけど」
「うん、わかった」
少し間を置き一息で言った
「実はアイリス様がカズマ殿を側室に置きたいとおっしゃっている」