刀使ノ巫女RTA 綾小路武芸学舎フリーエディットAny% 作:滑落車博士
刃が交わり心を通わす美少女剣戟RPGはっじまーるよー。
このRTAを走る前に、偉大なる先人走者兄貴の記録を拝見したのですが、なーぜーかー先人走者ニキのルートが前人未到の新規ルートを開拓してしまい絶賛有志wikiにて検証班総出の全容解明に当たるという珍事に発展したため、僭越ながら私が本編準拠シナリオを完走してやるぜ! というコトになりました。
先人走者兄貴のレギュレーションと異なり、こちらはPC版(全年齢ver)環境での記録となります。ご了承ください。
さて、各走者のみなさまにとっては常識かもしれませんが、剣戟アクションRPG『刀使ノ巫女』は全二十四話のアニメーション作品、漫画、小説、スピンオフアニメ、ソシャゲ及びOVAと各媒体で展開するマルチメディア『女子中高生×刀』作品です。
今なお新キャラが追加され新規テキスト追加及び新ルートが開拓されていく。ゲームとしても自由度は非常に高く、RTAに挑んだ走者が未知のルートに直面するなんて日常茶飯事。女心と秋の空は変わりやすいなんていいますが、チャートをガン見していた筈が好感度調整を少ーし失敗して修羅場に!なんてことも多々あります。ヤンデレ怖いでしょう…。
しーかーしー、それを補ってあまりある独特の魅力がある作品なのも事実です。各剣術流派ごとに設定された緻密なアクション、勝敗が一瞬で決まることもある白熱したバトル、心と感情がぶつかり合うシナリオ、そして可愛らしく魅力的な少女たち…と、語り尽くすには余白が足りない作品です。
プレイヤー人口が一人でも増えてほしい。とじともの輪が広がってほしい。そういった思いで私も走ろうと思いました。これだけははっきりと真実を伝えたかった。
キャラクリエイトから開始していきます。
外見は速度を優先してランダム生成、名前は入力速度を考慮して『
有志wikiによるとキャラクターの名前に入っている漢字の属性…『日、月、星、神に代表される神話系』、『春夏秋冬の季節系』『花や鳥といった動植物系』『織田、武田、上杉など武将系』…等、ネーミングパターンによって初期ステータスの変動、各種イベントの発生率及び主要キャラクターへの好感度補正があるようです。詳細はググってもらえればと思いますが、攻略キャラが決まっている場合には重要となる要素ですのでしっかり考えて入力しましょう。
さて、次に決定することになるのは全国に五校ある刀使養成学校、通称『伍箇伝』の選択です。
現在のバージョンはver1.2なので、詳細設定を行ってから開始します。所属校および主人公の年齢によっては本編キャラクターとの接点等が追加されます。また、周回要素にはなりますが、『最初から親衛隊ルート』『舞草工作員ルート』『ダブルスパイルート』などを選べますので、今回のアップデートによって選択できるルートは三倍超との噂も耳にしますね。政治闘争や組織間の謀略合戦ができるようになったのも見所さんです。
が、しかし! 今回私が選択するのは、王道『本編シナリオ』ルート! 新規追加されたシナリオ群とは違い、信頼と実績のある堅実なチャートを進んでいきます。有志wikiによる検証データも多いので、不安定要素はありません。この私に精神的動揺による操作ミスは決してない と思っていただこうッ!
と、いうわーけーでー。所属は『綾小路武芸学舎』、流派は『巌流』、学年は『中学三年』を選択します。
詳細設定ですが、「所属組織」に『柳瀬グループ』、「交友関係」に『柳瀬舞衣』を選んでおきましょう。組織としては本編ストーリーにあまり関わらない柳瀬グループですが、政財界にもパイプのある巨大組織の一つです。ここでコネを確保しておくことにより、暗札未遂事件発生後に舞衣さん経由でのパーティー合流がスムーズになります。
続いて、ステータスですが、ここは攻勢一点伸ばしにします。
え、敏捷を伸ばさないの? という疑問をお持ちの視聴者もおられるでしょう。これについては後述します。
(……刀使饅頭乙女生成中……)
オープニングムービーは省略だ。
本編開始前、中学三年の春からスタートです。
おはようございまーーーーす!
流れるように起床し、ベッド横の机を調べずに廊下へ出ます。
うっかり机を調べるとスペクトラム計(旧)を入手してしまい、そのままシナリオを進めると漫画版ルートへ分岐するので注意が必要です。RPGにありがちなタンスや壺をマメに確認するプレイヤー心理を利用した姑息な罠を許すな(十五敗)
一瞬だけステータス画面を開いて、ランダムで設定される初期スキルを確認しておきます。……『一本気』ですか。交渉や謀略が苦手になる代わりに、意志力を強化するスキルです。組織間の暗闘に巻き込まれると致命的な弱点になりかねないスキルですが、今回は戦闘さえできれば問題ないのでこのまま進めます。
ちなみに御刀は『鬼神大王波平行安』でした。波が平らでイクに安い。RTAに相応しい御刀と言えるでしょう。これは幸先が良さそうです!
そのまま中等部の教室に直行します。このタイミングで高等部に向かうとアプリ版のメインキャラクターの一人である木寅ミルヤお姉さまにエンカウントできますが、その場合はアプリ版シナリオ『刻みし一閃の灯火』寄りのイベントが発生しやすくなるため、狙わないのであれば避けましょう。……個人的には水科絹香お姉さま関連のイベントを進めるのも好きなのですが、完全にサブイベントの寄り道になってしまうので泣く泣く無視します。
教室に入ると、クラスメイトの鈴本葉菜ちゃんがいるので話しかけましょう。彼女は成績優秀、品行方正、極めて優秀な真面目さんです。刀使としても優秀で、しかも僕っ娘です。 なんだこの完璧超人!? ですが、彼女には秘密があって…というのが一部ルートでは開示されるのですが、それについては省略します。
「おはようございます。紅葉」
おっはよー。元気にしてたぁ?(気さくな発言)
朝のホームルー厶が開始するまでの間、積極的に話しかけて鈴本さんの好感度を稼いでおきましょう。お前中々……可愛いじゃねぇか…(ねっとり)
好感度は、本ゲームのRTAにおいて重要なポイントになります。『刀使ノ巫女』ではキャラクター間の絆、感情によってステータスに大幅な補正が入ります。代表的な所では、糸見沙耶香ちゃんが人の心の温かみを知ってパワーアップしていくイベント等ですね。まいさや尊い…尊くない?
通常ですと他のクラスメイト(モブ)と談笑したり、校内探索してアイテムを入手するのですが…、今回のRTAにおいてはそういった要素はフヨウラ! 御前試合までの僅かな期間、つまりホモちゃんが学舎を出る前に、可能な限り鈴本さんの好感度をグイグイ上げておきましょう。下手に中途半端な訓練するよりもステータス上昇が見込めます。ホモちゃんはレズ、はっきりわかんだね。
さて、時間になったのでホームルー厶が開始されます。ここからは先生からのありがたいお話、もとい各種チュートリアルおよび世界観説明が続きますので…。
み な さ ま の た め に ー
綾小路武芸学舎スタートのメリットについて詳しく解説します(11倍速)
まず、他校スタートの場合、いわゆる本編での主要キャラクターイベントが発生しなくなる、あるいはしにくくなる、という問題があります。
というのも、プレイヤーが美濃関学院、長船女学園、平城学館の代表選手に選出された場合、メインキャラクターから柳瀬舞衣さん、益子薫さん、古波蔵エレンさん、岩倉早苗さんのいずれかが御前試合に出場できなくなります。これは、基本的に各校二名しか代表選手を出せないからです。仕方ないね。
その場合、彼女らがシナリオ上で参戦するタイミングは本編アニメでいう第4話以降となる可能性が出てきます。
長船の益子、古波蔵ペアはシナリオの展開からほぼ確実に登場するのですが、クッキー☆お嬢様こと柳瀬さんは大会前のフラグ管理によっては御前試合の前後で接触できなくなり、岩倉さんに至ってはエンディングまで登場することなくシナリオが進行してしまいます。
一方、鎌府女学院は極めて自由度が高くフリーエディットで進めるには最適…と思いきや、学長がヒステリーおばさんこと高津雪那であるため、シナリオの要所要所で強制イベントが入り、西に東に振り回される破目になります。なんだこのオバサン!?(驚愕)
先人ニキのように、鎌府スタートの場合は離反前提で親衛隊や糸見沙耶香ちゃんの好感度を上げて行くのが定石ですね。
さて、ここからが本題です。
綾小路武芸学舎スタートで折神家御前試合に出場する場合、相棒たるバディは『山崎穂積』さんになります。「え、誰?」とお思いの視聴者さんも多いのではないでしょうか? 私は思いました。えー、御前試合第一回戦で十条姫和さんと戦って初戦敗退していた娘さんです。
つまり、綾小路武芸学舎スタート最大のメリットは、『プレイヤーキャラクターが参戦する事による他メインキャラクターの登場イベント、成長イベント発生を阻害しない』 これに尽きます。
本編シナリオ準拠ルートを進んだ場合、主人公の干渉しない場所で成長イベントがオート消化され、可奈美さんや姫和さんが順当にパワーアップしていくので、プレイヤーキャラクターは比較的低レベルのまま攻略が可能なんですね。そのため、他ルートで必要となる経験値、アイテムやフラグを無視し、自力ではなく他力(大正義主人公な可奈美さんパゥワー)でイベントボスを頃していこう!という戦略になります。
……おっと、説明している間にチュートリアル戦闘に入ったみたいですね。
このシーンはアニメ本編1話のアバン、荒魂戦のオマージュになっています。
機動隊によって封鎖される道路、荒れ狂う『荒魂』、それに立ち向かう日本刀を持った女子校生…という、この作品が描きたいテーマをババーンと提示したようなシーンになっています。ほーいいじゃないか、こういうのでいいんだよ、こういうので!(少年の心)
まあ親の顔より見たチュートリアルなので、操作方法の説明を全スルーしつつスルッと撃破します。(激ウマギャグ)
ここでは自機の体力無限、奥義技を含めた各種アクション動作の練習が可能、中盤以降で活躍するSスーツの挙動確認といった細かな場所に手の届く良ステージなのですが、これはあくまでRTA。無被弾ノーダメージでムカデ型荒魂をコロコロします(王者の風格)
ここでSランククリアをしておくと、初期に保有している人間関係が一段階上昇し、更に成長補正が乗るなど良い事尽くめです。おそらく、既に刀使として相応の経験を積んできている、という演出になるみたいです。
難易度も周回プレイヤーにとっては余裕のよっちゃんさんなので、最後は華麗に奥義にてテーレッテーしましょう。さくっと御刀の錆になってくれよな〜。
奥義モーションは数秒のロスでは?と思うかもしれませんが、ちゃんと内部処理で戦闘の評価点に加算されているので、うま味です。数秒が貴重な経験値になると思えば、序盤はむしろメリットになります。本編ルートだとレベルアップを狙える機会も少ないですからね。雑魚戦では流石にタイムロスになるのですが、ボス一体のみの戦闘では積極的に狙いましょう。
はい。ホモちゃんが奥義をヒットさせたので今回はここまで。
ご視聴ありがとうございました。
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「おはようございます。紅葉」
「おっはよー、葉菜。元気にしてたぁ?」
朝、いつものように紅葉と挨拶を交わす。
僕、
隣の席になったのが縁の始まり。そこから他愛もない話をするようになって、いつの間にか友人になり、気がつけば親友になっていた。そんな間柄だ。
「あー、そろそろ校内選抜も始まるんだったかぁ。葉菜は代表狙ってるの?」
「ん? 僕は、それなりに…かな?」
なんだよぅそれなりってー、と。紅葉が朗らかに笑い飛ばすのを、僕は目を細めて観察する。
彼女は、基本的に陽の人間だ。明るく笑い、感情表現は明瞭で、喜怒哀楽がはっきりしている。そして、適度に真面目で、時々不真面目だ。つまり、友人としては非常にありふれた存在。一緒に撮ったプリクラを手帳に貼って大事にしてしまう程度の、放課後に繁華街へ遊びに行ってタピオカミルクティーを飲んで笑い合う程度の、限りなく普通の友人だった。
それは、『とある事情』で綾小路武芸学舎に通っている僕にとって、小さな幸運だった。
優秀であることと、目立ちすぎないこと。
極めて微妙に相反する2つを要求されている僕にとって、本多紅葉は誂えたような人材だった。彼女は謙遜するだろうが、同学年で彼女の剛剣を止められる生徒はいない。彼女は順当に校内選抜を勝ち抜き、御前試合に出場する切符を手に入れるだろう。それくらい、彼女は普通に強かった。
対して、僕はそこまで強くはない。
成績優秀、品行方正。
そうであるように振る舞っている僕は、剣の才能としては秀才だろう。それで良いのだし、『武勇の紅葉に知略の葉菜』『綾小路中三の
目立つ人間が隣にいると、色々と便利だ。
けれど、だからといって、この友情に偽りは無い。
思っていたよりも校内で注目される立場になってしまった、という問題もあったものの、そこは最終的に理想的な立ち位置を確保できたので問題はなかった。僕の『任務』はあくまで鈴本葉菜という個人に結びついているのであって、隣にいる本多紅葉が優秀な刀使であることとは関係がなかった。もし彼女が目立つ人間であってもなくても、僕が仮に普通の一生徒だったとしても、この友情に変わりはなかっただろう。
だから、僕の胸の裡にある小さな罪悪感以外は、問題無かった。
友人に嘘を吐いている。親友を騙して利用している。
そして、それを決して告げられないこと。
告げればきっと許してもらえるのを判っているから、この秘密は墓まで持っていかなきゃなぁ、なんて思ってしまうこと以外は。何も問題無いのだった。
「ーーーねぇ。葉菜、聞いてる?」
ふ、と意識が戻ったら、紅葉の顔が目の前にあった。
顔が近い。この愛すべき友人は、妙にパーソナルスペースが狭い部分があって、時々ドキリとしてしまう。背が高くて、高校生に充分見えるほど大人びていて。でも浮かぶ表情は子供っぽくて。話題は他愛のないテレビや雑誌の話ばかり。それなのに御刀を抜けば人一倍に真剣な表情をする…そんな紅葉は、可愛いと美人と格好良いのどれでも無い、紅葉だなぁという表情をしているのだ。
「校内選抜、楽しみだねぇ。今年こそは勝ちたいねぇ」
「―――勝てますよ。紅葉なら」
彼女に笑って言えば、「そうかなぁ、去年は準決勝で負けたからなぁ」なんて答えが返ってきて。それでも、僕は、本多紅葉が校内選抜戦で優勝するのを信じて疑わなかった。
―――だって、僕の親友は、強い。
荒魂相手に、写シを傷つけられたのを見たことが無い。
彼女の御刀、三尺余の『鬼神大王』で断てない荒魂は居ない。
今だってそうだ。
緊急招集された荒魂戦で、事も無く百足型の荒魂を受け止め、その巨大な図体を斬り伏せ、止めを刺そうとしている。
その顔は、教室で見せている明朗快活な表情とは違う。
「―――、―――」
真剣。
必死では無く、揺れず乱れず、ただ只管に斬る。
御刀そのものが飛び回り敵を討つかのような、邪念も迷いも感じられない太刀筋。
たしかに、彼女に速度で勝る刀使なら居る、技術で勝る刀使も居る…けれど、躊躇い一つ無く飛ぶ剛剣を、腕脚よりも迅く伸びる剣閃を、正面から撃ち落とせる刀使は殆ど居ない。
そして。
「―――せめて、奥義にて仕る」
驚くほど低い声。
別人のような声色で告げた彼女は、その御刀を上段に構える。
それは、奇怪な構えだ。
相手に僅かに背を向けて、御刀を担ぐようにする。霞の構えのように切っ先は曖昧となり、八双のように振り降ろされる斬撃は激烈となる。……その構えは、我流なのだと微笑んでいた紅葉は、奥義なのだから格好つけたいなんて笑っていた彼女は、その瞬間だけ悪鬼羅刹もかくやという冷たい眼になるのだ。
「……奥義、二連斬」
せめて、もう少し良い名前が思い浮かべばよかったのに。
そう笑っていた『奥義』は、一瞬で荒魂を二回斬りつけて倒していた。
―――僕の親友は、強い。
それは、どこか誇らしくて。どこか憎らしくて。
けれど、それで別に良いと思っていた。
自分は、鈴本葉菜は、優秀で秀才で。
自慢ではないけれど、才媛として声がかけられる存在だ。
だから、隣にいる本多紅葉に、蟠る気持ちを抱える必要などない。無いのだ。
―――本当に?
『武勇の紅葉に知略の葉菜』
『綾小路中三の双葉コンビ』
そう渾名されて嬉しかった気持ちの幾許が、彼女と並び立てる僕にあっただろう。
想像してしまうのは、校内の代表として選ばれるのは二名だけだということ。
その一人は、紅葉だ。それは、友人であり親友である僕にとって確信だ。わざと手を抜きでもしない限り、紅葉は代表に選ばれる。そして、御前試合に向かうのだ。
そして、もう一人。誰か知らない女が紅葉の隣に立って、綾小路武芸学舎の代表として出場する。校内予選を準優勝で突破した誰かが、紅葉と一緒に御前試合に向かうのだろう。紅葉と一緒に新幹線に乗って、紅葉と一緒にホテルに宿泊し、同じモノを食べて笑って肩を並べて、刀使として貴重な経験を積むのだろう。
……僕以外の、誰か、が?
「―――っ!?」
「えっ、葉菜? 大丈夫、どこか怪我でもしたのっ!?」
顔が近い。
紅葉は、荒魂を討伐して元の表情に戻ったと思えば、ぼうっとしていた僕を心配してあわあわと表情を動かしている。
僕は努めて平静を装ったまま、心の中で思いがけず深く刺さった棘に驚いていた。
・・・そっか。僕は、別に代表になりたい理由はないけど。
紅葉の隣に居たい、なんて気持ちはあったらしい。
「いや…、今の紅葉の動きを覚えておけば、代表決定戦で当たったときに勝てるかな? って思っただけだよ」
「……! 葉菜がやる気になっちゃうなんて、珍しいねぇ」
「負けてばかりじゃいられないからね。たまには、刀使としても頑張らないと」
「それじゃあ、双葉コンビで代表狙っちゃう?」
「―――負けないよ?」
「それはこっちの台詞だよぅ!」
それは、僕の『仕事』には不必要な感情だったけれど。
同時に、どうしても無視はできないのが自分で理解できてしまった、そんな淡い執着心なのだった。