刀使ノ巫女RTA 綾小路武芸学舎フリーエディットAny% 作:滑落車博士
『話は聞かせてもらった!
つまり、折神紫こそが大荒魂だったんだよ!!』
『『『な‥‥なんだってーーー!!』』』
『オレ達はとんでもない考え違いをしていたんだ…。
二十年前、あの″相模湾岸大災厄″
あれは、大荒魂を封じてなんかいなかったんだ!!』
『どういうことだ それは・・・』
『おれたちは……何もかも……
何もかも遅すぎたんだ…………!
折神家が主導となって集めた大量の"ノロ"
記録から抹消された二名の刀使…
まさか・・・そうか・・・
そういうことだったのか・・・!!』
『!?』
『教授!!』
『これは一体!!』
『大荒魂のタギツヒメだよ!!』
『そう―――人類は滅亡する!!』
・・・なRTA、はっじまっるよー!
前回、二人を追い詰めた後、イベントムービーで『折神紫=大荒魂』という重要情報を手に入れました。今更感がありますが、ホモちゃんは情報を持っていなかったので今までは完全にフィーリングで動いていました。『走者の真似とてチャートを走らば、即ち走者なり』とはケンコー=ホーシも書いています。まあRTA者的にはいつものことですね。
いくつか会話を挟んで、舞衣ちゃんが可奈美ちゃんにクッキー☆を渡すのを確認しておきましょう。ごく稀に、ここでクッキーイベントが発生しない場合があり、その時には二人の逃避行が迷走する可能性があります。(3敗)
東京のネカフェに潜伏したままだったり、何故か独力で舞草の里まで脱出してたり………逃げたのか?自力で脱出を!? うっかり足取りが判らなくなった場合は諦めてリセットしたほうが賢明です。ガチで居場所を調べるのに時間がかかってロスです。…ここの乱数調整が可能であれば、移動方向を誘導して大幅短縮の可能性もあるらしいのですが…今後の学会での研究に期待です。
あ、舞衣ちゃんがクッキーを渡すのに合わせて、ホモちゃんからもプレゼントを渡しておきますね。渡すのは現金です。お金、マネーです。面白みも何もありませんが、ぶっちゃけこれが一番姫和さんの好感度を稼げます。資本主義バンザイ! 実際、お金がないのは大変ですからね…(遠い目)
「敵からの施しは受けぬ!」とばかりに姫和さんが可愛く睨みつけてきますが、無理矢理にでも万札を数枚渡せば好感度が上昇します。姫和さんは表面上はツンツンしてるようにみえますが、真面目で義理堅くて「死ぬのは私一人でいい…」と思い詰めてしまうような娘さんなので…。…心理的に貸しを作っておくと、それだけで合流後に好感度が確定アップします。その時にでも、雑談の中でチョコミントアイスの話を振ればコロッと落とせます。チョロいモンです。ついでに打算100%ですが岩倉さんの無事を伝え、彼女も心配してたから無理しないでね?なんて言葉をかけておきましょう。
ややあって。舞衣さんとホモちゃんは動揺のあまり二人を取り逃がしてしまいます。決してわざとではありません。荒魂退治と避難誘導およびノロの処理を優先しただけです。嘘は言ってません(強弁) 市民の安全が最優先、はっきりわかんだね。
―――さて、実はここからしばらくは、特に消化しないといけないイベントはありません。
というのも、沙耶香ちゃんの高級マンション襲撃、長船組の追撃戦、親衛隊の伊豆山狩り…とイベントは目白押しなのですが、ぶっちゃけシナリオ進行としてはホモちゃん不在でも進むからです。
何にも関与しないと流石に本編パーティーに合流できないので、舞衣さん&沙耶香ちゃんが離脱するときに便乗して鎌倉を離れ、舞草の里に合流するのが一番早いと思います。あと、地味に経験値大量獲得ポインヨがあるので狙っていきます。ヒントは、『荒魂を斬るよりも経験値が美味しい』です。
さて、折神屋敷に戻ってきました。
相変わらず折神家のおもてなしにより、高級旅館と見紛うサービスを受けられます。中学生なのでお酒は出てきませんが、なんとも至れり尽くせりです。
さあって、一度部屋に戻って着替えの準備をして風呂に…。
「ーーー紅葉」
あ、鈴本葉菜ちゃんが部屋の中に居ましたね。
同じ学校の代表選手は同部屋に宿泊しているので当然なのですが…って…、あ゛っ! すっかり葉菜ちゃんのことを忘れてましたね…。通常周回だと葉菜ちゃんは代表に選ばれてないので、うっかりしてました。
……えーと。怒ってます…?
「怒る? 僕が? 何でそう思うんだい?」
嘘つけ表情グラは『笑顔』だけど絶対に怒ってるゾ。
美少女を攻略しようとするノンケ兄貴は覚えておきましょう。麗しきレディが口にする『大丈夫』『平気』「怒ってないよ』といった言葉のニュアンスは非常に繊細です。日々の安寧に甘んじて、ぬるい湯のような関係性を惰性で続けていると、突然『もう、別れよっか』なんて言葉が飛び出します。注意しましょう。
え、っと。無断で飛び出しちゃったから。
あと、夜帰らなかったのに連絡もしなかったから。
ーーーその、ごめんなさい…。
「殊勝にされても困るんだけどね…。
いきなり走り出したかと思えば、そのまま拘束されたっていうし。その後も全然戻ってこないし、連絡も一切ないし…」
そ、それはそのぅ…。て、テヘッ (・ω<)
「テヘッ!…じゃあない! 全く、僕がどれだけ心配したと思ってるんだい!」
これは…おこですね…。ムカ着火ファイヤーってカンジです。女子校生の怒り表現としては割と上位です。因みに次の段階がカム着火インフェルノォォォォオオウらしいです。
ーーーって、ファッ!?
「待って、紅葉。
……何か、僕に言うことがあるんじゃないかい? それとも、隠さなくちゃいけないことでもあるのかな?」
突然、葉菜ちゃんが乱心し、ホモちゃんに迫ってきました。
葉菜さん!?ちょっと、まずいですよ! やべーぞ壁ドンだ!! なんか今まで見たことない表情差分なんですけど! 目からハイライトが消えてるのに薄い笑顔なのが逆に怖いんですが!?
「話してくれないんだったら…僕は……」
(ピッ)
〉全てを話す
〉嘘を吐く
〉……、……(何も言わない)
……。あー。はいはい、選択肢ですね。
ーーーん?
……。
選択肢のカーソルが動かせない?
あ、あれっ?(ガチャガチャ)
(無言のキー連打)
あ、ああああああぁああ!?
あああああァ!? ちょ、ちょ、ちょっと待っ待って! 助けて!待って下さい! ンンッ… マ゜ッ!ア゛ッ!?↑
選択肢が選べない!カーソルが動かせない! すわバグか?とパニックになっている走者ですが、これには理由がありました。録画後に気づいたのですが、初期スキルで『一本気』を取得してしまっていた弊害です。それでホモちゃんは嘘を吐くことができなかったんですね(白目)
冷静に考えれば焦らなくてもいいはずなのですが、顔が良い親友に密室二人きりで迫られるという状況に、無駄に動揺してしまっています。
葉菜ちゃ、きょ、距離が近い近い!
せ、せめてお風呂に入ってからの方がいいと思うの!(錯乱)
ヤメロー! ヤメロー! アッ! ……ンアーッ!
ーーーーーーーーーー
・・・顔が近い。
それはよくあることだった。紅葉は妙にパーソナルスペースが近いから、話している途中で急に顔を近づけられてビックリすることも多かった。
なのに、この違和感はなんだろう。少し考えて、ああ、と腑に落ちた。答えは簡単……僕の方から近づいて、こんな至近距離に踏み込んだことは殆ど無いのだ。強いて言うなら、木刀で斬り結ぶ時には鍔迫り合いながら接近するけれど、あれはまた少し別物だろう。
「は、葉菜…? どうしちゃったの…?」
僕は片腕を壁に押しつけて、紅葉の体を壁に追いやる。逃げられないように、離れていかないように。俗にいう”壁ドン”というモノらしいが、勿論そんなロマンチックなモノでは無い。
視線を上げた先に、困惑した様子の紅葉の顔がある。僕も身長が低い訳ではないのだけれど、彼女の方が10cm以上も背が高いのだ。自然、軽く首が上向く姿勢になってしまう。三流小説とかだと、こういうシチュエーションでは相手の睫毛の長さや香水の香りに気付くことが多いのだろう。生憎と、鼻孔には薄い汗の匂いくらいしか感じられないが。
「紅葉、昨日は何をしてたんだい?」
問う。口調が厳しくなっているのが自分でも判る。
「何を…って言ってもねぇ…」
紅葉は、少し言い淀んで答えを返す。
「……えっと、舞衣ちゃんに着いていって、それで逃げてる二人を追いかけて…。そして、原宿のあたりで見つけただけだよ。結局、逃げられちゃったけどねぇ」
じっと見詰めると、困ったような表情で目を反らされる。
嘘だ。いや、今の発言はたぶん嘘では無いんだろうけれど、たぶん何かを隠してる。
「紅葉。ーーー君はやっぱり御前試合の後から変だよ。突然走り出して他人を事件の共犯者だと疑った事といい、妙に犯人探しに積極的な事といい……僕が知っている『本多紅葉』は、そういう人間ではなかった筈なんだけどね」
「い、いやぁ…。なんて言うか…こう…風の吹き回しってヤツ?」
目線が泳ぐ。相変わらず嘘が下手だ……いや、ひょっとしてこれも演技? だとしたら、とんでもない稀代の詐欺師か悪女だろう。親友を信じたい僕と、彼女を疑っている僕が半々のまま、更に追求する。
「平城学館の生徒から聞いたよ。随分と大立ち回りをしたらしいじゃないか。それは、一体何故なんだい? 君が動かなくても、場内の警備に任せておけばよかっただろう?」
「うう…。今思うと、ちょっと先走って余計な事をしちゃったとは思ってるんだよぅ…。つい体が動いちゃったっていうか、最悪を考えて咄嗟にやっちゃったっていうか…」
「最悪、かい?」
うん、と。
その問いに、紅葉は素直に頷いた。
「誰か、殺されたかな、って」
「ーーー、ーーー」
それは、
「それで、あそこで狙われるなら間違いなく折神のご当主様だろうって。
いやぁ、冷静に考えた訳じゃなくて一瞬の直感みたいなモノなんだけどさぁ…。それで最悪を考えたら、できるのはアレくらいだったからねぇ」
「それだけで、あんな事を…?」
「だからあんまり説明したくないんだよぅ…。親衛隊の獅童さんにも滅茶苦茶聞かれたんだもん…」
だもん、では無い。
が、この発言は嘘ではなさそうだ。少しむくれて「そのせいで、あたしも共犯者だと疑われるとは思わなかったんだよぅ…」と呟く表情に、邪気は無い。何故、その瞬間にそんな突拍子もない事を直感し、それを確信して行動したのか…という問題はあるものの、とりあえず悪意や企みによる行動では無いらしい。
ますます、訳が判らなくなってくる。
「それで、その後も犯人を探したのはーーー」
「いや、えっと。葉菜? あたしがヘンな行動をしたのは悪かったからさ…もう許してくれない? 全部、あたしが悪かったんだからさっ、もうそれでいいでしょ?」
ほら、早くお風呂入りに行かなくちゃだし! なんて、おどけて話題を変えようとする紅葉に、僕は少し笑ってみせる。
「紅葉、君はまだ何か隠してるよね?」
「ふぇっ!?」
動揺の声は随分と可愛らしい。背が高くてしっかりしてそうな外見なのに、そういうとこだけ妙なギャップがあるのは狡いと思う。
「その隠し事は、僕には言えない内容かい?」
・・・ここが、分水嶺だ。
もし仮に、本多紅葉が折神紫や親衛隊の手先だった場合、これ以上追求すれば僕の正体も勘付かれる可能性がある。
いや、今までの質問だって相当に危うい。僕が慎重策を採るのであれば、何も詮索することなくやり過ごすことは可能だった筈だ。無駄にリスクを抱え込む必然性は無いのだから。
ただ、僕は紅葉を親友だと思いたかったのだ。それは、『任務』を考えれば決して賢い選択ではなかったけれど、偽りだらけの毎日を過ごしている僕にとっては、本来なら表に出してはならない『本心』だった。
「ーーー言わなきゃダメ?」
「……強制はしないよ」
無理に言わせるということは、背後に何かしらの意図があるということだ。お互いに、…もし隠し事や後ろ暗いことがあったとして…逃げ道を完全に塞いでしまえば、あとは詰まらない結末しか迎えられない。臆病かもしれないが、最後まで知らぬ存ぜぬを言い張れる余地は残しておきたかった。
紅葉は、うぅ、と呻いて声を絞り出す。
「言いたくは無い、かな。
でもーーーえっと、言わなきゃ駄目…だよね」
紅葉は、悩んでいるようだった。ある種、苦しんでいるようでもある。しばしの葛藤の後、紅葉は言葉を継いだ。
「話してないことが、二つあって。その内の一つは話せる…と思う。うん。 ……でも、もう一つは、言えない。言ったら、葉菜を巻き込んじゃう。だから、言えない」
「巻き込む、って…」
「言ったら、葉菜を困らせちゃう」
それは…。
「ごめん。…あたしも混乱してて…。暗殺事件だと思って追いかけてたら、まさかこんなことになるなんて思ってなくて…っ。
その、さっきね、追いかけてた二人にご当主様に斬りかかった理由を聞いたんだよ。暗殺なんて、どうしてそんなことをしたの?って。 それで、その理由を聞いたの」
その答えは。
「ごめん…。葉菜にも、ううん、葉菜だから絶対に言えない。もし言っちゃったら、葉菜を巻き込んじゃう…! もし知っちゃったら大変なことになっちゃうんだよ…っ!」
その情報を、僕は既に知っていた。
……蓋を開けてみれば、随分と呆気ない話だった。舞草の人間であれば、それは既知の情報だからだ。しかし、何も知らない紅葉にとっては、知らぬ間にとんでもない大事件に巻き込まれてしまった心境だったのだろう。刀使を司る折神家の当主が大荒魂にすり替わっているなど、容易に他言できる内容では無い。言っても信じてもらえないと考えるのが普通だ。紅葉の言い募る言葉は、段々と涙声になっていく。
「ごめん…これだけは、言えない。もし言っちゃったら、葉菜が危ない目に遭っちゃうかもしれないのっ。だから…秘密にさせてっ」
頭が、少し冷える。
涙目になった紅葉の顔を見て、ゆっくりと息を吸い込む。ーーーよし、大丈夫。思考は回っている。まずは落ち着こう。
まず、暫定的な結論として。紅葉は敵ではない。
おそらく、『折神紫が大荒魂である』という情報を知ってしまって、酷く不安定になっているだけだ。紅葉の認識の中では、僕はあくまで『何も事情を知らないただの親友』なのだ。
「ーーーなんだ。安心した」
「は、葉菜…?」
知らず、抱きしめていた。
全然己を律せていない自分が馬鹿みたいだけれど、ぎゅっと抱きつく。紅葉は、僕をちゃんと親友として慮ってくれたのだ。単独行動をしていたのも、秘密を抱えていたのも、平気なフリをしていたのも、全部。
顔がにやけてしまいそうになる。自分でも心の振れ幅がさっきから大きくて平静を装えていない。ただのクラスメイトや友人なら、こんなに気持ちが揺れ動かないだろう。やっぱり、僕にとって紅葉は親友なのだ。いや、ひょっとしたら、それ以上のーーー。
逸れた思考を打ち切って、紅葉に語りかける。
「大丈夫。ーーー大丈夫だよ。
だから、泣かないで。僕も、結論を急ぎすぎた。落ち着いて、ゆっくり話してくれれば、それで良いから…」
壁に押しつけられたまま静かに泣き始めた紅葉と、うっかり貰い泣きしそうになった僕は、そのまま暫く身を寄せ合っていた。
ーーーーー
……まだ比較的に早い時間だから、風呂場は空いていた。
先に風呂に入って、夕食を食べてしまおう…話の続きは、その後で…と。一旦お互いに落ち着くために決めたものの、結局、風呂にしても食事にしても同行するのだから、微妙に気まずい雰囲気になっていた。
いや、悪い空気ではないのだけれど、なんだか距離感を測りかねてしまうというか。勘違いとはいえ腹の探り合いのような事をしてしまったし、詰問して少し泣かせてしまったし、このあと話さなくちゃならないこともあるし……。
何というか落ち着かない。
そわそわとして、心と体が逸ってしまう。
何故だか蟠っていた熱が外に出ようとする。
「そうだ。体を洗い合おう」
「か、体を?」
「うん。友達の背中を洗うくらい、普通なんじゃないかな」
ーーー普通か?
友人としての距離感が微妙に狂ってしまったような気がしないでもない。戸惑ってる紅葉を押し切って背中を向かせ、僕はスポンジを手に取った。
紅葉の背は広い。あんまり弄ると拗ねるので言わないが、肉体的にはバスケットボールのような球技に向いていそうな体型なのだ。もう少し背の低いほうが良かったのに、なんて零していたこともある。本人的には、もっと小さくて華奢で線の細い女の子になりたかったらしい。つい先日聞いた話ではあるが、それなりの家格の生まれだということを加味すれば、まぁ深窓の令嬢然とした容姿に生まれつきたかった、というのは分からぬ話ではない。
スポンジにボディーソープをとって泡立てる。
そっと泡を背中に塗りつけて洗い始めると、紅葉はくすぐったそうに身を捩った。
「く、くすぐったいんだけどっ」
「我慢して」
「う、うん…っ」
「ーーー、ーーー」
互いに黙ってしまう。いつもなら気にならない筈の沈黙も、どうしてか意識してしまう。あまり時間をかけても変だろうから、手早く泡立てて背を洗って、湯をかけて流してしまう。
「え、っと。じゃあ、次はあたしが…」
「ん…」
今度は逆に、僕が紅葉に背を向ける。
姿が見えない、というのは心理的な不安を呼び起こすもので、しばらくして背に泡の感触が触れると、反射的に体を震わせてしまう。
「はーい。どこか痒いとこはありませんかーっ」
「……なんか、それも違うような…美容室?」
「アレって、痒いとこあります!って伝えたら掻いてもらえるのかなぁ」
「…さぁ…?」
他愛のない言葉を重ねながら、ふわふわの泡で包まれるように洗われる。思っていたよりも丁寧に、しっかりと洗われた気がするのは自意識過剰だろうか。鋭敏になった感覚が、泡を暖かな湯で押し流していくのを心地よく感じ取る。
「ーーー部屋に戻ったら、全部話すから」
湯船の中で、肩を寄せ合って。
湯煙に包まれながら、紅葉は小声で囁くように言った。
「あたしが知っちゃったことと、黙ってた理由と……あと、ついでにうちの家の話とか流派の話とか…とりあえず、もう全部話しちゃうねっ。うん。やっぱり、黙ってるのも良くないだろうしっ」
それは、いつもの紅葉らしい表情だった。
ヘンに押し黙ったり、一人で抱え込んだり、拙い嘘で塗り固めていない、とても素直な表情。いつもの紅葉の顔だ。それを見て、僕は安心する。
やっぱり、紅葉に嘘は似合わない。
元に戻った親友の姿に、僕はようやく安心して笑い返せたのだった。
「ーーーこないだも思ったんだけどさぁ。葉菜、また少し大きくなったよねぇ…」
「そ、その手の動きは何だい? 別に、背は伸びていないよ?」
「そうじゃなくてっ! 胸っ! あたしは背ばっかり伸びてそっちは全然なのにっ! 葉菜ばっかりズルいっ!」
「いや、狡いと言われてもね…。って、うわっ…!?」
このあと風呂場で無茶苦茶いちゃいちゃした。
あと個室に戻って、しっぽり(と互いの秘密について密談)しましたとさ。
完全に余談ですが、作中の相模湾岸大災厄が1998年で、本編がその20年後なので…『時空を越えて あなたは一体何度ーー 我々の前に立ちはだかってくるというのだ!! ノストラダムス!!!』ってカンジです。大荒魂の復活は予言されていた…?