ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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サイドストーリー





 我は紫電様直属の【忍者部隊の頭領】。

 と言う事になっているが、実体は皇神(スメラギ)の元となった組織から枝分かれした国防の要である表沙汰には出てこない組織【裏八雲】から派遣された隠密と言った所だ。

 そんな我の任務は皇神グループの監視、そして……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 この二つがそうであった。

 この事を仮に皇神グループの関係者が聞いたとしたら、皇神に存在している宝剣開発部門が存在している事をおかしいと思うだろう。

 その答えは宝剣開発部門は裏八雲によって製造されている宝剣の出所を隠す為の偽装なのだが……皇神グループ内、正確には紫電様の周辺においてとある理論が流れ出してから、宝剣開発部門と言う組織の存在意義が変化し始めた。

 その理論とは、()()()()()()()()()()()()と言う物だ。

 当時の話を時の我は何を馬鹿なと思った物だったが、それを裏八雲の長達に報告した際、宝剣の鍛造を行っている長が興味深そうに聞いていたのを見逃さなかった。

 そしてその理論を出したフェムト殿の宝剣の要望を聞いた鍛造の長は、嬉々として作業を始めたのだ。

 あの気難しい、常に張り詰めた雰囲気を切らさないあの長がだ。

 そうして完成した物が、今はフェムト殿の持つ第七波動(セブンス)を封印するのに使われた人型の宝剣、その素体であり、もしも第七波動に意思が存在すると言うのなら動かせるはずだと、裏八雲に存在する古の古文書に記されていた傀儡人形に使われる技術すら組み込んだ特注品。

 その後、第七波動摘出手術を行ってフェムト殿から第七波動因子を取り出し、手術が完了してフェムト殿が別室で療養目的で眠りについていた時、それは起こった。

 あれは、第七波動青き交流(リトルパルサー)を宝剣へと封じ、我は一部の職員たちと共にその後の経過観察をしていた時の事だった。

 突如として青き交流を封じた宝剣の素体から、淡い藍色の柔らかな輝きが、繊細と表現するほかない電流と共に放たれたのだ。

 その輝きは、宝剣本体と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を包む様に幻想的に揺らめいた少し後、爆発したかのように煌めいた。

 これはこれまでの第七波動には無かった未知の現象。

 本来ならば速やかに我も職員達も退避、或いは止めなければならなかったのだが、誰一人としてこの場を動く事が出来なかった。

 何故ならば余りにも神秘的で美しい光景だったからだ。

 藍色の輝きと電流が、裏八雲にある式札に描かれた術式とでも、もしくは幾何学模様の魔法陣とでも表現すればよいのだろうか?

 そんな非現実的な美しい輝きが我らの目を潰す事無く優しく飛び込んで来る。

 この藍色の煌めきは暫くの時間、約半刻ほど続いた。

 その後、少しづつ輝きが消えていき、やがて夢から覚めたかのように収まった。

 その、宝剣のあった場所には……。


「あ、ありえない……」

「宝剣が、完成している……いや、完成()()()のか! 自力で! 青き交流本体が!」

「だが、情報処理能力的には可能だとしても、青き交流はそもそもこんな事が可能な出力は出せない筈。……いや、これは!」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() それも()()()()()()()()()()()()


 少女型のヒューマノイド(完成した人型の宝剣)の姿が、そこにはあった。

 ……とまあこんな顛末を経た事で、フェムト殿は紫電様と同じ様に裏八雲でも一目置かれる事となった。

 そんなフェムト殿ではあったが、初めにフェムト殿が紫電様に紹介された時の最初の印象は、「春に咲き誇る花々」のように、または、最も美しいとされる月であると言われる「秋の月」を連想させるような、正しく「春花秋月」を体現したかのような美しさを持った少女に見紛う程の少年と言う物であった。

 初対面の時期は確か……フェムト殿がまだ入社してまだ半年も経っていない頃だった筈であり、その切欠は紫電様から、我等忍者部隊の鍛錬にフェムト殿を参加させてやって欲しいとの命令を受けた事。

 曰く「彼が後方支援での雑務処理がメインであるのは確かで、こっち(武力)に力を入れるのはおかしいと思うだろうね。だけど、それを通して彼の能力を伸ばすとその後方支援による効率も良くなるんだ。実際、通常の訓練を始める様になってから目に見えて効率が段違いになった。だけど……彼は通常の訓練だと自身の力を持て余してしまうんだ」と語っていた。

 当時のフェムト殿はまだ入社して半年も経っていない時期。

 いくら能力者であるとは言え、半年ほどの訓練では半分ほどの工程辺りで音を上げる普通であり、それは通常の能力者であっても例外では無かったが、フェムト殿は違った。

 そう、曲がりなりにも最強の能力の一つであると言われる蒼き雷霆(アームドブルー)から派生した第七波動の持ち主なのだから、力を持て余すのは、何もおかしな話ではないと我は思った。

 それにフェムト殿は、何やら日頃から能力を鍛える為にある習慣を付けていたという。

 それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う物だ。

 これはどうやらフェムト殿が研究施設に居た時から行っていた物で、当時一緒に居たニコラ殿にも内緒だったそうだ。

 なんでも、当時のフェムト殿は少しでも自身の能力を使いこなしたいと言う思いと、体を鍛えると能力の扱いも良くなったと言う成功体験があった為、気が付けば体に負荷をかけるのが普通となり今日に至っているとの事。

 そう言った話を聞いて確かにそれでは通常の訓練では持て余すかもしれないと思うと同時に、フェムト殿の身長が伸びない理由にもなっていた。

 常に筋肉に負荷をかけ続けているという事は、同時に成長するはずであろう骨の成長を阻害してしまう事が考えられるからだ。

 流石に眠っている時は負荷を消しているそうだが……そうで無ければフェムト殿は体を壊していただろう。

 これを知った時のフェムト殿の落ち込み様は何とも言えず……しかも、完全に癖になってしまっているので、眠る時、或いは意識しないと負荷を解除できない領域にまで突入してしまっているとの事。

 つまり、フェムト殿はやりすぎてしまったのだ。

 だが低身長である事は我が率いる忍者部隊において、必ずしも不利になるという事は無い。

 寧ろ的が小さく、懐に飛び込みやすい利点も考えると長所であるとすら言える。

 ……話を戻すが、紫電様はそう言った理由で我らの訓練にフェムト殿を加える様に命令され、我等もこれを引き受けた。

 フェムト殿の能力を伸ばすという事、これは即ち皇神の、紫電様の利益に直結するのだ。

 実際フェムト殿が居ない時の能力者部門は、それはもう雑務処理を始めとした情報処理が得意とする人材が少なかった為、毎日が雑務に追われる日々であり、我等も陰ながら支援せねばならなかった程であった。

 それがフェムト殿が入社してからは劇的に改善され、それどころか他の部署の手伝いまで始める様になり……今ではフェムト殿は皇神における総合的な情報処理における長の地位に上り詰めるにまで至った。

 そんなフェムト殿は紫電様の直轄でもある為、結果的に紫電様は更なる権力を得ているのだ。

 そしてフェムト殿を鍛えている我も装備がより充実したり、陰ながら手助けしていた雑務処理もする必要が無くなった所か、にこちらの、表に出しても大丈夫な物限定ではあるが、それの情報処理を手伝ってもらったりするといった形などで恩恵を受けている。

 そんなフェムト殿なのだが……


「……今、なんとおっしゃいましたか?」

「紫電が私に休暇をいい加減に取ってくれって言ってたから、そろそろ休暇を取りたいんだ」


 アイエエエ!? キュウカ!? キュウカナンデ!? 我はしめやかに爆発四散……する幻想を一瞬垣間見てしまった。

 ……いや、普通に考えてこれはおかしな事でも何でもない。

 フェムト殿は我から見ても働きすぎな所があるのだから、休暇を取る事は何もおかしくはないのだ。

 だがしかし、フェムト殿が休暇で居なくなると皇神で再び雑務処理と言う名の地獄(デスマーチ)が始まってしまう。

 何しろ一時期のフェムト殿は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 とは言え、情報処理部門を立ち上げる様になってからは流石にそう言った事は無いのだが……

 それが理由で我らが珍しく動揺を隠せずに狼狽えている事を心配されたのか、フェムト殿は既に対策を立てている事を話してくれていた。


「流石にいきなり休暇の申請はしないよ。今はまだ各部署に根回しを済ませている段階で、今すぐに休暇をって訳じゃ無いんだ。それに休暇に入る前にする事は沢山あるからね」

「と、いいますと……?」

「例えば私が立ち上げた情報処理部門の私抜きでの稼働状況の確認であるとか、休暇をする際に外出をする為の服の調達だとか、一緒に私の休暇に付き合ってくれる人を誘ったりするとかね」


 よ……よかった……。

 本当に、ほんつつつとうに良かった。

 フェムト殿が、あのメラク殿みたいに急に休暇に入る様な御方では無くて。

 しっかりと根回しして貰えるならば、我も安心できると言う物だ。


「それと、()()の習熟もしないといけないから」

「それは……鉄扇ですな。なるほど、我に頼みたい事とは、それのことですか」

「ええ、忍者である頭領さんならば扱い方を指導してもらえるかなと思ったのです」

「確かに、それならば我の力を貸す事が出来ますな」

「では鉄扇の扱いの指導、お願いできますか?」

「ええ勿論です。我等はフェムト殿に間接的にではありますが、いつも助けられていますからな。……早速ですが、今から始めても?」

「ええ、よろしくお願いします」

「では我が持つ鉄扇を用いた際の御業、その基礎のみですがフェムト殿にお教えしましょう。何、いつも我等の訓練に参加していたフェムト殿ならばそう難しい事ではありますまい。……本当ならば、奥義もお教えしたい所でありますが」

()()()()()()()()()()()()()における奥義は秘中の秘だと紫電からも聞いています。そこまで求めるのは贅沢と言う物。それに自衛するだけならばそこまで必要にはならないでしょう」

「……そうですな」


 フェムト殿はご自身を後方支援役で、戦闘はからっきしだと思っているみたいですが、そんな事は無いとこれまで共に訓練をして来た我を含めた忍者部隊の皆は思っている。

 何故ならば……現段階のフェムト殿は、純粋な体術戦において、既に我等を圧倒している*1からだ。

 だがそもそもフェムト殿は活躍の場が後方支援が主であり、そんな彼はどうしても第七波動能力者において重要な要素である直接的な戦闘能力は美しく、可愛らしい見た目もあいまってあまり高くは無いと一部の者を除き周りからは思われており、それはフェムト殿自身も例外では無い。

 それもあってかフェムト殿は様々な条件が重なり、戦場に出陣せねばならない事が起こりうる事を想定し歌姫プロジェクト完遂後、正式に実戦配備されたフェムト殿専用の機械人形(リトルマンティス)*2が紫電様の権限によって与えられている。

 そんなフェムト殿の戦における最大の武器は、自身の能力によってブーストされたその学習能力。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う普段から情報処理をしてる際の能力の使い方が、その理由だ。
 
 そして、フェムト殿はそんな学習能力を持ちながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 これで戦闘がからっきしであると言うのは、逆に無理があると言う物。

 それでもなおその認識が皇神内で広まっているのは、紫電様の指示で隠蔽されているのが主な理由。

 当時は歌姫(ディーヴァ)プロジェクト等の極めて重要な案件が山の様にあった事や能力者専用の情報処理部門が無かった事等もあり、フェムト殿を戦場に出す等、よほどの事でないかぎりあってはならない事だったからだ。

 それこそ、フェムト殿が居ないと少し前の能力者部門では瞬く間に機能を停止してしまう程であり、その重要性はフェムト殿本人が思っているよりも極めて高い。

 そう言った理由で、電子の謡精(サイバーディーヴァ)に関わる事以外でフェムト殿を意図的に戦に出さない様、様々な工作が行われたのだ。

 そんなフェムト殿だが歌姫プロジェクトが一段落ついた後、自身が居なくても大丈夫なように部下を持ち育てており、本人の見た目や気質もあり、彼は先に記したように独自に能力者専用の情報部門を立ち上げるに至った。

 その上歌姫プロジェクト等の重要な案件も大幅に減少し、皇神は仮初ではあるが平時の落ち着きを取り戻したのだ。

 それでもなおフェムト殿が居なくなると各部署が大変な事になると言うのは変わりは無いが、機能停止する事は無くなったと考えれば格段に大きい進歩と言えるだろう。

 そう言った理由もあり紫電様はフェムト殿に休暇をする様に言ったのだと我等は考えている。

 ……さて、話は逸れたがフェムト殿の鉄扇の習熟の案件はやはりと言うか当然と言うべきか、一通りの型を見せただけであっという間に完了してしまった。

 フェムト殿は先にも話した通り、大半の人間とは異なる体感時間を獲得している。

 なのでフェムト殿視点では、加速した体感時間における膨大な時間を情報分析リソースとして扱う事が出来るのだから、この結果も当然の事だ。


「ふっ! はっ! せい! ……ふぅ、大体型を覚える事は出来たと思います」

「お見事ですフェムト殿。我が扱う鉄扇の御業の基本は護りにありまする。使いこなせればあらゆる戦場において生き残る確率は飛躍的に増すでしょう」

「ええ、お陰で助かりました。ありがとうございます。これで相応にコレ(鉄扇)を扱えそうです」

「……我がお教え出来るのはここまででございます。後はフェムト殿自身が研鑽を積み続けると良いでしょう。そうすればどの様に応用すればいいのかも見えてくるはず。……では次は実戦形式にて、我が直接お相手させて頂きます」

「分かりました。……ではお手柔らかにお願いします」


 腰を落とし、鉄扇を持つ右手を前に構えるフェムト殿。

 やはりそのお姿は本当に美しい。

 この近未来に至っても尚続いている歌舞伎における女方にも、全く引けを取らないほどに。


「では、参りますぞ」


 そんな風に思いながら、我はフェムト殿への指導を続けるのだった。



*1
但し裏八雲特有の技術や実戦経験の有無と言った事は勘定に入ってはいない。入っていると頭領が圧倒する。あくまで試合形式、或いは訓練におけるお話。

*2
第六、七話で登場した試作品がコスト問題の諸々を解決して正式採用されたロックマンXシリーズにおけるライドアーマー枠のメカ。ハードポイントが各所に散りばめられ、換装によるカスタマイズも可能。当たり前だけど、原作には無い。




第十二話 休暇の為の前準備(プラクティクス) 次の段階(ネクストフェーズ)への道筋

 

 

 

 

 休暇の準備に取り掛かる日々の中、宝剣開発部において私の持つ宝剣のアップデートが行われていた。

 

 これは私が休暇に行く際リトルも当然私がいつものように変身現象(アームドフェノメン)するものだと思っていたらしいのだが、流石に紫電から待ったが掛かった。

 

 要約すると流石に非常時でも無いのに皇神社外での常時宝剣開放許可は下りない、との事。

 

 リトルは外見こそヒューマノイドではあるのだが特に自衛手段を持たせている訳では無い為、このままではお留守番をする事となってしまうのだ。

 

 そうなると私から離れたがらないリトルとしては大問題。

 

 そう言った訳でなんとかリトルを連れて行けるよう色々と各部署を巡り、様々な調整を行った。

 

 その結果……

 

 

「どうかなフェムト。私の新しい身体」

 

 

 リトルの器とも言えるヒューマノイド型の宝剣。

 

 以前の物でも既に物凄く精巧な物であったのだが、今回は更に上回っていた。

 

 以前の姿は所々機械のパーツが見え隠れしていたりしていたのだが、今のリトルの姿はもう普通の女の子の外見と全く見分けがつかない姿となっている。

 

 青みがかった銀色で、サラサラな長い髪。

 

 藍色の、吸い込まれるような瞳。

 

 私と同じくらいの背丈。

 

 真っ白なワンピースに、私とおそろいの電力を貯蔵できるアクセサリー。

 

 そんな姿をしたリトルが、はにかむような笑顔を私に向けた。

 

 

「……綺麗だよ、リトル。正直驚いたよ。ここまで見違えるなんて」

 

「ありがと、フェムト。私の身体を作った人(私自身)、物凄く気合入れてた。だからそれが理由なんだと思うよ。……それに、外に出る時は以前の姿だとはみ出した機械の部分が目立っちゃうんだって」

 

(今の姿も十分目立ってると思うんだけど……既に私の外見の時点で目立ってるから、今更かな。それに、最悪宝剣である事がバレなければいいのだし)

 

 

 そんな見た目が完全に華奢な少女となったリトルではあるのだが、その中身は皇神の様々な技術が所狭しと詰め込まれている……らしい。

 

 本来は因子の封印を解除して能力者に戻す際に発生する副作用である変身現象(アームドフェノメン)を、これまで蓄積された稼働データを元により効率よく運用出来る様になっていたり封印強度及び容量が増大していたり、リトル本人も器の状態のまま戦えるようになっているとの事だ。

 

 その際、私の訓練時の戦闘データを参考にモーションパターンを組んでいるらしい。

 

 なのでその手にはヒヒイロカネ片では流石に無いが、それに勝るとも劣らない特殊合金で出来た鉄扇を忍ばせている。

 

 とまあ、こんな感じで着々と私の休暇の準備は滞り無く進んだ。

 

 ……一部の部署では泣きつかれたりした時もあったけども。

 

 まあ、こんな風に私が休暇等の様々な理由で居なくなってもいい様に【情報処理部門】を立ち上げていたのだから、そんなに泣かないで欲しい。

 

 そして本日の予定が片付き、私達は部屋へと戻った。

 

 そこで一息ついていると、リトルから珍しく相談を受ける事となった。

 

 

「リソースが余っているだって?」

 

「うん、例えて言うなら、【ベルレコ】*1にある種族が持つスキルを必要な分だけカンストさせたけど、割り振れるスキルポイントは沢山余ってるって感じかな」

 

 

 その相談内容は青き交流(リトル自身)についての話だ。

 

 リトルが言うには()()()()()()()青き交流による情報処理能力は私の能力を扱う際の練度以外での上昇はとっくに止まって(カンストして)いるらしい。

 

 

「つまり、今リトルは伸び悩んでいるのかな?」

 

「んと……私達(第七波動)の成長の方向性は基本、宿()()()()()()()()()()()()()()なの。フェムトは基本情報処理能力とか、効率とかを重視してたよね? 一日中ずっと私の事を使いながら。だからこそ成長限界に到達するのは早かった」

 

 

 私がリトルに望んでいたのは本人の言っている通りだ。

 

 青き交流は蒼き雷霆(アームドブルー)から派生した能力であり、出力はからっきしなので、私がそれ以外の分野である情報処理能力や効率などを求めるのは必然だった。 

 

 それと皇神における業務に必要であったのも大きい。

 

 だけどそれ以上に蒼き雷霆に勝る『何か』が欲しかったと言う潜在的な想いもあったのだろう。

 

 ただの蒼き雷霆の劣化では無いと、別の可能性があると、ニコラと同じように高らかに叫びたかった願いが確かにあったのだ。

 

 だからこそリトルはそんな私の想いに応え、皇神に入社してから急激な成長を遂げる事となる。

 

 だけど私が想う以上に頑張り過ぎた結果、私の望む成長はもう止まってしまい、方向性の定まらないリソースばかりがリトルの中で蓄積される事となってしまった。

 

 

「だからフェムト、良かったら私にこの成長リソースの方向性を示して欲しいの。今のフェムトなら昔の、まだ私達(第七波動)を認識していなかった頃とは違う。こうやって意思疎通が出来る様になったお陰で、私達も成長する際の方向性をより詳細に把握と設定が出来る様になったから」

 

「それは分かったけど、どう伝えればいい? 伝えるなら何かに例えるとかでも大丈夫かな?」

 

「うん、私の場合はそれこそさっき話したベルレコのシステムで例えてもいいし、ネットで閲覧できる情報を元に伝えてくれるのもいい。ネット小説とかであるお話によく出る【魔法】みたいな事も、リソースの範囲内だったら【特殊技能(ノーマルスキル)】って形で何とか出来るから。例えば今使える物と言ったら、他の人や自分に簡易的な治療を施せる【キュアーヴォルト】、体感時間を更に加速させる【フィールアクセラレーション】、並列思考数を増やす【シンキングアップ】とかが私、青き交流の代表スキルだね」

 

 

 特殊技能(ノーマルスキル)

 

 それは第七波動能力者による力の発現の形の一つ。

 

 それは時に魔法めいた挙動をする事も良くある。

 

 その中には必殺技、或いは到達点とも形容すべき【特別な特殊技能(スペシャルスキル)】と呼ばれる物も存在する。

 

 私が知る範囲での代表例と言えばGVの【ライトニングスフィア】、デイトナの【サンシャインノヴァ】、イオタの【終焉ノ光刃(ゼロブレイド)】等がそれに当たる。 

 

 

「ただ注意して欲しい事もあるの。リソースの方向性を決定してもベルレコみたいに直ぐには結果はでないよ。リソースを馴染ませる時間も必要。後、私達が多種多様に存在する様に得手不得手もある。フェムトならもう当たり前の事だと思うけど、私は出力……具体的に言うと電気(EPエネルギー)を発生させるのは苦手。だけどそれを効率よく運用したハッキングだとか情報処理なんかは得意だよ。後、フェムトが普段付けてるアクセサリーを見てたお陰で、外部の電気を掌握したりため込んだりして運用するとかも出来るよ。だから、それを踏まえて考えて欲しいかな。あ、後これも物凄く重要な事なんだけど……」

 

「重要な事?」

 

「うん。これは後の話になるのだけれど、今の余ったリソースが馴染んだ後、私は【()()()()】に移行すると思う」

 

次の段階(ネクストフェーズ)?」

 

「うん。壁を越えた、或いは限界突破、上限解放、限界超越とでも表現すればいいのかな? 次の段階に突入する前の成長の方向性を元に爆発的に力が増す現象って私は定義してる」

 

「でも、どうしてそんな事がリトルには分かるんだ?」

 

「んと、何て言えばいいのかな……時期が迫ると私達の本能が直感的に教えてくれる感じかな。だから今、リソースが余ってる事も分かった感じだったの」

 

「なるほどね。という事は、私の考えた方向性次第では取り返しのつかない事になるかもしれない一面もあるって事でもあるんだね」

 

「うん、実際……()()()()()()()()()()()感じがするの。これは持ち主であるGVが()()()()()()()()()()()()と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が重なっているんだと思う。今はまだ()()()の蒼き雷霆の制御は出来てる。でも……」

 

「次の段階に移行すると、それが出来なくなる可能性があると?」

 

 

 私のこの質問に対してこくりと、リトルは頭を下げて答えた。

 

 ……GVにはまだ第七波動達が意思を持っている事は話していない。

 

 何故ならばGVはまだ形式的には傭兵であり、部外者だからだ。

 

 皇神に入社さえしてくれればこの事を話すことが出来るけど……GVが入社する事は今の所無いだろう。

 

 何故ならばGVは自由に並々ならぬ拘りがあるからだ。

 

 それこそ何かしらの切欠でもない限り、彼が自発的に皇神に入社する事は無いだろう。

 

 それにリトルが言うにはGVがそうなってしまうのはまだまだ先の話……それこそ、この国を揺るがす程の大きな戦いに一人で何度も挑むなんて無茶をやらかさない限り当分の間は大丈夫なのだと言う。

 

 後シアンまたはニコラ経由で話が伝わっている(情報漏洩している)可能性だってある。

 

 ……まあとりあえず、この事も紫電に報告して皆と相談しないといけないだろう。

 

 それに今は私自身の将来の問題であるリトルの方向性を決める必要がある。

 

 そもそも次の段階に到達しそうなのは私の方なのだ。

 

 安易な考えで方向性を決めれば、私自身が取り返しのつかない事になりかねない。

 

 

「……リトル、変身現象を」

 

「ノーマルスキルを使うんだね。分かった」

 

 

 リトルの手を取り、私は変身現象を発動。

 

 リトル(宝剣)から藍色の光と電流が放たれ、私と絡み合い、包み込んだ。

 

 その後光は収まり、振り向いた先に有った鏡で私自身の姿を確認。

 

 その姿は、藍色を主とした巫女服を更に豪華にしたような感じとなっており、敢えて言うならば、【戦巫女】と形容してもいい外見となっている。

 

 そして以前あった白衣の要素は肩にかかる程度の少し大き目な、光沢持ったケープに変化。

 

 全体図で見れば以前の姿の時よりもまとまりが出来てより一体感を持った姿となった。

 

 

『フェムト、前よりカッコよくなった』

 

「ありがと、リトル。……じゃあ行くよ?」

 

 

 私はフィールアクセラレーションとシンキングアップを発動、私自身の持つ能力を加味し、どの様な方向性に成長すればよいかの模索を開始。

 

 思考を加速し、分割し、再び加速し、分割しを繰り返し、増えた人格は随時シミュレーションを開始。

 

 それと同時に今私の部屋にあるネット回線から直接アクセス。

 

 自身を生体コンピュータに見立て、部屋に置いてある端末をサブ演算装置として接続。

 

 改めて電気の基礎から応用、出来る事、()()その他諸々を検索。

 

 検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄……

 

 

《アレは元々人間発電機を創る事が目的だ。》

 

 

 検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄……

 

 

《どこの国も革新的な発電方法が無いから行き詰ってコイツが死活問題になってやがる。》

 

 

 検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄……

 

 

《何処の国も人口調整の名目で少子化の強制、或いは人口調整の名目で多くの人々が死に絶える事が近い内に……そうだな、約百年後辺りで本格化するだろうな。》

 

 

 検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄、検索、検討、結論、放棄……

 

 

《だからよ、フェムト。もしお前が良かったらでいいんだが……プロジェクト・ガンヴォルトを、本当の意味で完遂させて欲しい。》

 

 

 検索、検討、結論……

 

 

「……決まったよ、リトル。方向性が」

 

 

 体感時間で1年ほど時間を掛け、私は結論を出した。

 

 その結論は……

 

 

 

 

*1
皇神グループの関連会社が運営するMMORPG。この作品は原作ではモルフォと直結した能力者感知システムであり、メラクの為に作られたゲームであり、この小説内においてもそれらの設定は基本変わらない。だが、フェムトの介入によってモルフォの感知システムとゲーム部分は非常時、或いは必要が無くなった時に備えて切り離して普通のMMORPGとして運営出来る様になっていたり、採算が取れるような運営が出来たお陰で、原作の様に使いまわしの続編である【セプテンベル・ヒストリア】、通称【ベルスト】が存在しない。今でも正式に稼働しており近く、ゲームデータ移行も可能な富裕層を狙った価格帯でのVR版の発売も間近に迫っている。フェムトもメラクに誘われて仕事中に自身の余った並列思考のリソースを回して楽しんでいた。が、こっそりとメラクは自身とのゲームに付き合ってくれていたフェムトに対して自分の相手も仕事の内という事にしてフェムトの給料を上乗せしていたりする。後、ゲーム内においてメラクのレベルに付いてこれるフェムトが居るお陰でゲームバランスもかなりユーザー向けになっているのも、採算が取れるようになった要員の一つとなっている。正式名称【セプテンベル・レコード】




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
次回からは休暇編に突入します。
内容は前作で言うトークルーム編的な感じになる予定で、短いお話を三話くらい、時系列をある程度無視する感じに展開する予定になります。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。





〇フェムトの現段階の戦闘力について
一応プレイアブルキャラクターとして最低限の性能を持つようになりました。
具体的には移動、ジャンプ、ダッシュ、キッククライミング、ヒッフッハ(三段切り)電磁結界(カゲロウ)、スキル、固有アクション『鉄扇による防御結界』、ワイヤーアクション辺りが出来ます。


初期ステータス

HP100。原作GVやX2のアキュラ君は200。

EP1000。原作GVは500。但しこれはフェムトがため込むことが出来る量なだけであり実際に自然回復出来るのは50まで。950の部分は別枠であり、消費されるのは自然回復分から行われる。後は外部から調達したり事前準備にてため込む必要あり。カッコイイポーズ(チャージ)無し。容量が倍なのは電力保持アクセサリーを大量に装備しているのとリトルが頑張ってるのが理由。通貨『MG』を消費して電力を買い取る形で事前準備が可能。ゲームにおける表示は自然回復分が青色で、蓄積部分は緑色で表示される。

SP6。原作GVは3。この部分は回復速度も含め、明確に青き雷霆を上回っている……が、スキルを発動させるのにSPに加え、各スキルに対応したEPを消費する。

EP回復速度は原作GVの十分の一。

電磁結界の消費EPは25。GVはペンダントによって変化。ニコラから受け取ったペンダントに能力を用いて接続し、自身の持つ演算能力を上乗せする事でEP消費を軽減している。ここも明確にGVを上回っている。だけど前述の通り、カッコイイポーズも無いし回復速度もお察しなので事前準備無しだとEPが辛い。


初期スキル
フィールアクセラレーション
体感時間を加速させる。挙動としてはイクス2のタイムフリーザーに近い……が、あくまで体感時間を加速させるだけなので、実際に動く自分も遅い。一度発動させるとかなり長持ちする。SP1と同時にEP5消費する。

キュアーヴォルト
他者にも利用可能なヒーリングヴォルト。SP1と同時にEP15消費する。

シンキングアップ
並列思考数を増やす。
スキルを一度に複数同時発動させることが出来る。発動させるスキルを増やすごとにSP1と同時にEP5消費する。

なお、一部の例外や抜け穴を除き、変身現象しないとスキルの使用は出来ない。
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