前話でも書いた通り、短いお話を三話くらい投下するような形となっております。
それでは、改めてよろしくお願いします。
第一話 初めての休暇 私達は広く浅く繋がっている リトルと食べ物
初めての休暇
「うーん……」
「どうしたの? フェムト」
私は今、悩んでいる。
「こうして休暇を取れたのはいいんだけど…正直、休暇中って何をすればいいんだろうね、リトル」
そう、私は休暇中に何をすればいいのか悩んでいるのだ。
「フェムトは何も考えて無かったの?」
「休暇をする為の調整や準備で忙しかったから、何も考えて無かったよ……。今日じゃない休暇の予定では誰かが付いて来てくれるように予定を組む事は出来たんだけどね」
本当はGVやデイトナ達も誘いたかったのだけど、予定が合う日の休暇は今日では無く別の日。
その事を忘れてしまっていた為、こうして悩む事となってしまった。
普段の仕事中だったならこんな風に忘れるなんて事は無かったんだけど……私も初めての休暇という事も有って、浮かれていたのかもしれない。
「うーん……こうして悩んでも仕方が無いから、とりあえず外に出て街を歩いてみない? 私達、街を直接歩き回った事無かったし……、下見は大事だと思うの」
「確かに……」
まあ、下見は街のマップデータを取り込んでシミュレートすればこの場でも可能だけど……それでは風情が無い、と言う奴になってしまうのだろう。
「じゃあリトルの案を採用して今日の休暇は皆との予定の場所の下見をする、という事にしよう」
「ん。そうしよう、フェムト」
そんな行き当たりばったりな形で、私達は街へと繰り出す事となったのだった。
まあでも、偶にはこんな風に仕事中ならばしないであろうポカをしてもいいのだろう。
それが許されるのが休暇なのだから。
私達は広く浅く繋がっている
私は今とある街の中央通りをリトルと共に歩いている。
この場所は人通りが多く、かつ多くの店が立ち並んでおり、私達は完全におのぼりさんその物となっていた。
「初めて本格的に外に出て街を歩いてみたけど、人が多くて活気が凄いね」
「うん。それに、街のあっちこっちにモルフォの立体映像が飛んでてキレイだよ、フェムト」
このモルフォはあくまで立体映像その物であり、本人という訳では無い。
ある者はモルフォに目が釘付けになっていたり、またある者はそんなモルフォを写真に収めようと携帯端末をかざしていたりとその人気ぶりは今も健在だ。
正直、この通りの様子を見ただけでも休暇を取った価値があった。
何故ならばこの場所は私も間接的に情報処理、または雑務処理と言った形でかかわった場所でもあり、この国の社会に私も繋がっているという事を改めて実感することが出来たからだ。
その時ふと、研究所に居た時のニコラが話していた時の事を想いだした。
人々は仕事を始めとした様々な事象を通じて広く、浅く繋がっているのだと。
それは例え閉じこもっていたり、果ては大自然の真っただ中だったとしても例外では無いのだと。
人は最低でも食べ物、飲み物を摂取しなければ生きられない以上、これらを何かしらの形で手に入れなければならない。
そうなると必然的に何らかの形で人々はかかわらざるを得ないのだ。
人は一人では生きられない。
中には一人で居るのがいいと言う人々も居るがそれはある意味正しく、間違っている。
なぜならばそう言った物は大抵ネットで「一人で居るのがいい」と言う主張を通じて無自覚に繋がっているからだ。
そう、私達は確かに繋がっている。
広く、浅く、無自覚に。
リトルと食べ物
「どうリトル? 初めて食べ物を食べた感想は」
「うん。とっても不思議で幸せな感覚。新しい体になって食べ物を取る事が出来る様になったけど、病みつきになりそう」
リトルは今街角のアイス屋で購入したアイスクリームを口にしている。
新しい体となったリトルは人間の食べ物も摂取できるようになっていた為、物は試しに街角にあったアイスクリーム屋でアイスを購入し、食べて貰ってみたのだ。
「う~~……」
リトルが私の事を恨めしそうに見ている。
どうしたのだろうか?
「フェムトはズルイ! こんな幸せな事をずっと私の前でしてただなんて!」
「え? ……ひょっとして私と一体化してた時も味って共有出来ない?」
「もし出来てたらフェムトにもっとおねだりしてた!」
「そっか……。ごめんねリトル」
「やだ!」
あぁ、完全に拗ねてしまった。
ここまではっきり「やだ!」って言われたの、初めてだ。
……予想以上に精神的なダメージが大きいが、不謹慎ながらそんなリトルが可愛く感じるのも、なんと言えばよいのか分からないが不思議な感覚だと思う。
なにしろアイスをほおばりながら口をむくーと膨らませているのだからそう感じるのも無理はない。
「……リトルはどうしたら許してくれる?」
「む~~~~~。…………色んな食べ物、沢山食べさせてくれたら許してあげる」
「分かったよリトル。じゃあ次は反対側にある喫茶店に行ってみよう。きっと色々メニューもあるはずだよ」
「……! うん!!」
こうして私達は喫茶店へと足を運んだのであった。
……この事が切欠で、リトルは新たに食べ歩きが趣味の一つに加わる事となる。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇リトルの以前の身体について
リトルが今の身体になる前の器はあくまで試作品だったという事も有り、視覚以外の五感は未実装或いは最低限の機能でしたが、新しい体には正式に実装されています。お陰で様々な事がカルチャーショック的な感じとなっており、実は初めて新しい姿で登場した時も、服を着た感触等で一悶着あったりします。