ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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第九話 雷霆覚醒 (スキル)を磨くならば、先ずは己を理解すべし 節約する理由が無い

 

 

 

 

雷霆覚醒

 

 

 

 私とリトルは今、とある映像を見ていた。

 

 それはGVが覚醒する瞬間の映像だ。

 

 話は少し撒き戻るが、まだGVがシアンと逃亡生活をしていた最中の話。

 

 そして私はデスマーチの日々に明け暮れていた時でもある。

 

 そんな時期のある日、一度だけGVを追いつめ撃破寸前まで追いつめた事があったのだと言う。

 

 その時の布陣はデイトナ、メラク、イオタの三人に加え、紫電が指揮を担当。

 

 こちら側のミッション内容はフェザーの隠された施設の一つを強襲、陥落させる事。

 

 後にGVから聞いた事なのだが、対してフェザー側から緊急ミッションで派遣されたGV側のミッション内容は撤退戦の支援、つまり殿を務める事だった。

 

 フェザー側からすれば突然の強襲であり、尚且つ最高戦力に相当する宝剣開放能力者三人を相手取る絶望的状況。

 

 それをひっくり返してみせたのがGVだ。

 

 彼の獅子奮迅の戦いによってフェザー側の人員の被害は最小限に抑えられ、撤退を成功させたのだ。

 

 だが流石のGVとて無傷という訳にはいかなかった。

 

 流石にデイトナ達三人を相手取るのは無謀だったらしく、デイトナの必殺の一撃がGVを遂に捕らえ蒼き雷霆の伝説は終わりを迎える……かに、思えた。

 

 その瞬間、あの場に居た全員は【声】を、そして【歌】を聴いたのだと言う。

 

 

『こんなところで終わらせない!』

 

 

 

 

SONG OF DIVA(ソングオブディーヴァ)

 

 

 

 

『あなたは死なせない……アタシの歌が、貴方の(チカラ)になる!』

 

『だから……立ち上がって、GV!』

 

 

 その歌に呼応し、蒼き雷霆は真の覚醒を果たす。

 

 

 

 

 

響き渡るは謡精の歌声

 

轟かせるのは龍の嘶き

 

総身総躯、雷神と化せ

 

 

雷霆開放(アンリミテッドヴォルト)

 

 

 

 

 

 ここからは先ほどとは全く逆の展開となった。

 

 蒼き稲妻を、迸るオーラを身に纏い覚醒したGVは正しく最強の第七波動能力者と呼ぶに相応しかった。

 

 辺り一面に落雷が、鎖が広がり蹂躙していく。

 

 雷の聖剣がGVを中心に複数本顕現し、乱れ飛ぶ。

 

 蒼き巨大な雷球が打ち出され、その余波で複数の雷球が発生し裁きを下す。

 

 あらゆる常識と共に、戦場そのものを蒼い閃光が滅ぼしかかる。

 

 こうなってしまっては流石のデイトナ達もどうしようもなく、逆に瀕死の重傷を負いながら撤退に専念する事しか出来なかった、と後に私は聞かされた。

 

 映像は蒼い閃光が広がった後、焼かれるように途絶え終わりを告げた。

 

 

「…………」

 

「……すごかった」

 

「そうだね……話には聞いていたけれど、ここまで凄まじいなんて」

 

 

 映像越しだと言うのに、凄まじい圧力を感じた。

 

 これが蒼き雷霆。

 

 最強と謳われる第七波動の力。

 

 

 

 

(スキル)を磨くならば、先ずは己を理解すべし

 

 

 

 

 私はイオタからある相談を受けていた。

 

 その内容は彼のスペシャルスキル『終焉ノ光刃(ゼロブレイド)』の狙いをどうつけるかと言った物だ。

 

 

「私の方でも色々と手を尽くしてはいるのだが、正直八方塞がりでな。何か手は無いだろうか、フェムト」

 

「うーん、残光(ライトスピード)はイオタの第七波動である以上、私に出来る事は余り無いと思いますが……そうですね。そもそもの話になりますが終焉ノ光刃とはどのような原理が働いているのか分かりますか?」

 

「…………考えた事も無かったな。あれは感覚的にやって出来た物だったものでな。なる程確かに、そもそも私は原理すら理解していなかったようだ。これでは残光にも笑われてしまう」

 

「やる事は決まりましたね。先ずはデータ取りから行いましょう」

 

 

 そういう訳でイオタには何度も終焉ノ光刃を撃ってもらう事となった。

 

 その都度データを私と言う名の生体コンピュータに蓄積させ、原理を読み解いていく。

 

 そして解き明かされたその原理とは。

 

 

「詳しく説明すると時間が物凄く掛かるので簡潔に要約すると「観測している物だけが実在すると言う量子力学的発想を拡大解釈、世界を形作っているのは『光』であると認識。その光を操り、ゼロとする事で世界、即ち空間そのものを切り裂く」と言った感じですね。それで肝心な問題点と言うのが、膨大なエネルギーを扱うと言う点にあります。……ここまでは大丈夫ですか?」

 

「ああ、続きを頼む」

 

「では続けます。なので私が出せる案は二つほどあります。一つはエネルギーの消費を落とした上で一点集中する事で制御しやすくする案。そしてもう一つが、残光自身の力も合わせて制御を試みる案です。……私が出せるのはここまでですが、どうでしょうか?」

 

「そうだな。正直な話かなり参考になった。……しかし、私は自分の事も碌に把握出来ていなかったとはな。情けない話だ」

 

「そんな事はありませんよ。自分の事と言うのは第三者が存在して初めてわかる事の方が多かったりするんですよ」

 

「全くもって、その通りだな。……今回の件でその事が骨身にしみた。きっとこの事柄は、私を新たなステージへと進める礎となってくれるだろう。ありがとうフェムト」

 

 

 その後、範囲を抑えつつ取り回しの良さを重視した『終焉の穿孔(ゼロプロパレーション)』を習得。

 

 そして残光と力を合わせた事で遂に、終焉ノ光刃は本当の意味で完成する事となるのであった。

 

 

 

 

節約する理由が無い

 

 

 

 

 それはある日の昼下がり。

 

 モテモテになった男の子が、迫ってくる女の子を眼力で気絶させるというちょっとコメントに困るゲームをリトルが楽しそうにプレイしているのを微笑ましく見ていた時、一緒に居たシアンから声を掛けられた。

 

 

「そういえばフェムトの第七波動ってGVと同じ雷撃なんだよね」

 

「ええ、そうですけど……どうかしましたか?」

 

「…………」

 

 

 

 シアンの隣に居たGVがどこか難しそうな表情をしている。

 

 何かあったのだろうか?

 

 

「それで……電気代って節約できないのかな?」

 

「電気代ですか」

 

 

 そう言えばそんな試みを試した事があったのを思い出した。

 

 

「出来ますよ。一時期私自身日常で能力を扱う訓練目的でやってた事も有りましたよ。ですが、今ではやっていませんけど」

 

「へぇ……日常で訓練するって発想はボクにはなかったな」

 

「あ、やっぱり出来るんだね。……でも今はやって無いんだ」

 

『なんだか勿体無いわね。どうしてやめちゃったのかしら?』

 

 

 その理由として、一つはその訓練をしていた当時はリトルを宝剣に移していなかった事が一点。

 

 そしてもう一つが……

 

 

「仕事が忙しくて自分の家に戻る機会が激減していたからですね」

 

「……フェムトってさ、ワーカーホリックな人って良く言われない?」

 

「言われてますね。私の場合仕事そのものが第七波動の訓練として機能するって側面もありますし。紫電やメラクには良く色々と頼まれ事を受けていましたので。それに、もう一つ理由もあって……」

 

 

 その理由とは「そもそも電気代に困る程お金に困っていない」事だ。

 

 その事に対して三人はごもっともと言った表情を見せ、納得。

 

 

「確かにフェムトほど仕事をしていれば、当然だろうね」

 

『同じ訓練ならお仕事する方がお金も稼げて一石二鳥。そもそも節約する理由なんて無いんだから、やらなくなるのは当然よね』

 

「そういう訳です」

 

「やった! スコアアタック更新出来た!」

 

「あぁ……! わたしのスコアが抜かされてる!」

 

 

 頭の可笑しいゲームにおいてシアンの出したスコアを更新したリトルの声が、私達の話を終えるトリガーとなった。

 

 その後、シアンとリトルによるスコア更新合戦が始まってしまうのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。



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