サイドストーリー |
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夢を見ている。
『この根暗! オドオドしててキモいんだよ!』
『あの子、能力者なんだって……』
『カワイイ子なのに……人は見かけによらない物ね』
かつてのわたしが形成されていた頃の、嫌な環境の夢を見ている。
『全く、どうしてこんな子に育っちゃったんだか』
『こんな事も分からないのか!』
やだ……やめてよ……
『この娘の持つ能力は正しく究極の能力、人類の夢、人類の希望!』
『このグズが! チッ、これでは使い物にならん!』
『こうなったら、我々に従順な仮想人格を……』
痛いよ……苦しいよ……
『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『か、身体が、身体か腐って……!!!』
『い、嫌だ! ゾンビになるのは嫌だぁ!!!』
誰か……
『アハハハハハ! いいザマだねぇ! ほら、アンタもそう思うだろう?』
『キシャシャシャシャッ!! 楽シイ! 楽シイ!!』
助けて……助けて!!
これまでにわたしを絶望の底に貶めた様々な事象が、わたしを辱めようとしていた。
だけど、助けてくれる人は何処にも居なくて……
そして大勢の人達に私が捕らえられようとしたその瞬間、私の手を誰かが強く引っ張り上げあっという間に私は安心できる場所へと強引に連れて行かれました。
『ボクはあまりキミにあまり構ってあげる事は出来ないけど、代わりに身分と安全を保証する事は出来る』
『アイツの知り合いだってんなら力になるぜ』
『めんどうだけど、キミがそうなっちゃったのはボクにも多少の原因、あるからね』
『私も、微力ながら力を貸そう』
『何かあれば小生の影に隠れればよい! フハハハハハ!』
『わたしはシアン。エリーゼさん、よろしくお願いします!』
『ほら、もっとしゃっきりなさいな。エリーゼもちゃんとしてれば美人なんだから、そんなんじゃアタシも滅入っちゃうわ』
『ボクも微力ながら力になるよ』
そこに居る人達は、とても暖かかった。
涙が出そうな位、暖かかった。
わたしの大切な人に強引に連れて行かれた場所は、わたしを少しづつ変化させていきました。
以前は強いストレスから眠れなかった事もあり酷く目に残っていた隈が消えた。
抜け毛も枝毛も収まり、髪に光沢が生まれた。
酷い肌荒れもすっかり収まってくれた。
いつも痛かったお腹が痛く無くなった。
頭の中のモヤが少しづつ晴れ、物覚えが良くなった。
言葉を知り、不安の正体を知り、これまでの不安を拡大解釈していた事に気が付いた。
絶望を信じなくてもいいと言う意味を、これでもかと知ることが出来た。
わたしは改めて穴の底に居る絶望を見る。
その絶望は明らかに小さくなっており、わたしは彼らが怖く無くなった。
わたしに、大切な人が出来た。
『私はエリーゼの力だけが欲しいんじゃ無いんです。貴女の全部が欲しいんです。頭の先から、つま先までの全部が』
『だから私と……私と、結婚を前提に付き合って下さい』
『どうしてエリーゼを選んだのか、ですか? それはとても簡単な事です。エリーゼが、私の事を異性として一番最初に好きになってくれたからです』
『だから私、仕事そっちのけでデートプランとか必死に考えてたんですよ』
『男は案外馬鹿で単純なんです。自分の事が好きな人の事を、簡単に好きになっちゃうんですよ』
『だから私は心の底からこう思っているんです。エリーゼが最初に私の事を異性として好きになってくれて良かったって』
『エリーゼと家族になれるの!? やったぁ!』
『エリーゼ、嫌な事があったらたくさんご飯食べてお風呂入って沢山寝れば元気になれるんだよ!』
『ただ、もし仮に眠れないなら、寂しいなら、嫌な事があったら……私とフェムトが一緒だから大丈夫。だからその時は、遠慮なく私達を頼って』
『その代わり、フェムトが大変な事になったら助けてあげて欲しい』
『大丈夫! エリーゼに抱きしめて貰えばフェムトは直ぐに元気になるよ!』
わたしよりも小さくて可愛らしいけど、そんな見た目とは裏腹にちょっと強引な所があったり、それでいてやさしい所もあったり、意外に体付きは逞しかったり、情熱的な所もあるわたしだけの大切な人達。
フェムトくんとその一部のリトルちゃん。
わたしは今でもそんな二人に引きずられるように手を掴まれている。
決してわたしの事を離さない様に。
それが例え、夢の中だとしても。
「んぁ……」
夢が終わり、目が覚める。
そこに居るのは穏やかな表情で眠るフェムトくんとリトルちゃんの姿。
外は朝の日差しが一日の始まりを告げてくれる。
……確か、今日のフェムトくんは休みだった筈。
わたしはフェムトくんを抱き枕のように優しく抱きしめる。
自身の胸元をフェムトくんの顔に優しく押し付け、その温もりを拝借する。
温かい……
本当に温かいです。
(叶うなら、このままずっとこうしていたいな……)
そんな事を願いながら、私は二度目の夢へと旅立った。
次はもっといい夢を見られるだろうと言う確信を持ちながら。
ミッションセレクト |
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ホログラム能力者対策に乗り出してから数日が経過した。
その間、彼らの出現パターンに法則性がある事が判明したのだが、一度出現したポイントに再度出現する事が判明。
その新しく出現したホログラム能力者は最初の時とは違い不用意に近づかなければ暴れる様子も無く、逆に近づくと問答無用で襲われる。
恐らくだが私達の事を待ち構えているのだろう。
それが何の為なのかは紫電が考察していたが、こういった彼らの挙動から考えるとこの考察は案外的中しているのだろうと私は思った。
そして、肝心のそのポイントについてなのだが……
《一つ目は前に一度テロのあった大型のデパート。フェムトの初ミッションを行った場所だね》
「あのデパート、また被害にあってしまったんですか?」
《残念ながらね。ただ今回はホログラム能力者対策の資金が潤沢に回せるからそこに出店していた店舗を持っている人達を始めとしてホログラム能力者に占拠されている場所で日々の営みをしていた人達には十分な補償金が払われ、場合によっては仮設住宅が提供される手筈になっている。少なくとも当分の間生活する分には困らないだろう。……さて話を戻すけど、そこはデイトナと一度交戦したホログラム能力者、コードネーム【クラフトマンズドリーム】が占拠している》
「確か赤い糸を使う羊姿のホログラム能力者ですよね?」
《その通り。現段階で判明している攻撃手段は糸状のエネルギーをトゲ付きハンマーに編み込んだ物を振り回す攻撃や大型の赤いギロチンによる急降下攻撃、そして赤い巨大なガトリング砲による攻撃が確認されている》
「戦闘データを解析した時も思いましたが、予想以上に攻撃手段が多彩ですね」
《ああ。少なくとも今の段階でもスペックそのものはボク達宝剣持ちとなんら差は無いだろうから、データを取る時も気を付けて欲しい。それとこれは他の場所でもそうなんだけど、ホログラム能力者が占拠した場所には旧皇神兵の使っていた装備をした連中やそいつらが率いているであろうロボットが防衛に回っているって情報も入って来てるんだ》
「そんな連中が居るんですか? いや、それ以前にホログラム能力者に近づいても襲われていないと言うのはおかしいですよ」
《全くだね。ただこの事からホログラム能力者達の背後には何かしらの存在が居ると言うのは分かった。良く分からない存在から一歩前進したとも言えるね》
今回の事件は完全に私達は後手に回っている。
早くデータを収集し、対策しなければならない。
《……ああ、忘れていないと思うけどEPはミッション前に補充するのを忘れない様にしてね》
「分かってるよ紫電。私の住む住居にも専用の充電器を設置してもらいましたから」
《それとあのデパートは大型だからリトルマンティスの使用は可能だ。もう前回の破損の修復は終わってるから有効に使ってくれ》
「それは助かるよ。今回はまだ壊しちゃってから日も浅かったから使うのは諦めてたんです」
《壊れ方が片腕だけキレイに吹っ飛んだだけだったのが幸いだったみたいでね。予備の腕の取り付けだけで終わったから間に合ったみたいだよ》
「整備班には感謝しないといけませんね。じゃあそろそろ現地行ってデイトナと合流します」
《頼んだよフェムト》
リトルを呼んで
前回作成したアビリティであるHPアップ、ガードアップ、ロックオンプラスをアクティブにするのを忘れずに行う。
その後、不安そうに私の事を心配してくれるエリーゼから抱きしめられつつ「必ず帰って来てね」と、か細い声を私の耳にそっと伝え名残惜しそうに私を送り出してくれた。
こうして私は初ミッションの時の大型デパートへと再び向かう事となった。
準備運動も兼ねてビルからビルへの
一見すれば何事も無かったかのような何時もの平穏な光景に見えるが、人々の表情はどこか不安そうにしている人達がちらほらと居た。
今までにない事件が起こっているのだから、不安になるのも当然だ。
(早く事件を解決しないといけませんね)
私は改めて決意を固めデイトナとの合流を急ぎ、合流予定時刻よりも早く大型デパートへと到着し、そこには私と同じく変身現象を行っているデイトナが居た為挨拶を済ませる。
「よぉフェムト。いつも通り予定よりも早く来たな」
「それを言ったらデイトナもです」
「まァな。……今回の事件、嫌な気配がするんでな。今までとは何かがおかしい。ハッキリ言えば気に入らねェ。完全にオレらが舐められてる感じだ」
「そう言うの、分かる物なんですか?」
「あぁ。皇神に入社する前ちょいと物騒な集団のリーダーやってた時期があってな。そう言った所に居た連中ってのはな、そう言う相手を下に見る視線なんかには敏感なのさ。何しろその界隈、舐められたらぶん殴るのが基本で何もしないヤツは終わりな所があるからなぁ」
「……そう言う一面も、この街にはあるんですね」
「そりゃああるに決まってんだろ。世の中はキレイ事だけじゃ回らねぇ。んでもって、回らなかった時のシワ寄せがこういった所で噴出してんのさ。……しかし、またこのデパートに来る事になっちまうなんてなぁ」
大型デパートの周辺は警備兵の人達が油断無く警備しており、辺りは物々しい雰囲気で包まれている。
今の所周辺への被害は無いが、それが何時まで続くかは不透明だ。
「それで今回はどうすんだ? オレがそのままあの羊ヤロウのまでの道中の雑魚を蹴散らして進むってのも、後々の事を考えると不味そうだしな」
「リトルマンティスの要請を出していますから道中はコレで何とかしたいと思ってます。デイトナの力はホログラム能力者の為に温存したいですし」
「んだな。そうなるとオレは後方支援って言うか、TASで同調しとくって感じになりそうだな」
「そうですね。リトルマンティスに乗っている間はEPレーダーも使い放題ですし、死角からの奇襲はTASで対処する形にしましょう」
「羊ヤロウと戦う時は状況に応じて、だな」
「ですね。そのままデイトナが余裕をもって倒せれば私は戦闘データを収拾する事に専念出来ますし」
「逆に追い詰められたらTASを使ってスイッチする、何て事も出来るしな。そん時は頼りにさせて貰うぜ、フェムト」
「ええ。それじゃあミッションを開始しましょう」
STRIK
私はリトルマンティスへと乗り込みデパート内へ突入を開始。
その後ろからは死角を補う形でデイトナが追従する。
今回の装備は建物内な事もあり、攻撃を敵に集中出来る誘導レーザーに加え両腕にトンネルを掘る時に使うボーリングマシンの先端の様なドリルが装備されている。
《なんっつうかよ、その腕の奴かなりゴッツイよな》
「トンネル掘りに使われるモノを参考にしたらしいですからね。では、先ずは索敵をしましょうか」
EPレーダーを広域展開。
基本的な構造は前回の時とは変わらないが、その代わりに所々突貫的にバリケードの様な物が山積しており、そこに私達を待ち受ける敵が居ると言った感じになっている。
そして道中の目立つ通路では旧式ではあるがチェーンソウや盾を持ったロボットに加え、あのマンティスにも使われているミサイルを専門に扱うミサイル戦車なんかもおり明らかに何かしらの組織がバックに居る事が透けて見える、と言った感じだ。
このマッピング情報はTASを起動していると同調している相手にも共有される為、デイトナはこの情報を見て顔をしかめた。
《こりゃ背後になんか居るのは確定だな。こんな規模、相応にデカイ組織じゃねぇと用意なんて出来ねぇ》
「フェザーよりも明らかに大規模ですよね。どうやら私達の知らない組織が暗躍しているのは確定みたいです。……それでは、行きますか」
《おう。派手に暴れてやんな。コイツらに一体誰に対して喧嘩を売ったのか、分からせてやらねぇとな!》
先ずはバリケードに隠れている旧装備の皇神兵の装備をしているロックオン済みの暫定テロリストを誘導レーザーで蹴散らす所から始まった。
《うわぁぁぁ!》
《な……侵入者だと! あんな重機を持ち出すか!》
「不法占拠しているテロリストに侵入者なんて言われる所以はありませんよ!」
前面に展開されているロボ相手に両腕のドリルを前に構え回転させ、その状態で突進を慣行。
背後のブースターが火を噴き、足に装備されているローラーダッシュも合わさりリトルマンティスは勢いよく加速する。
その勢いは複数のロボットを同時になぎ倒す程の物だった。
その後の硬直に合わせ即座にEPレーダーを短期照射。
突撃先で
《ひゅ~♪ 派手にヤルじゃねェか! へっ、そう来なくっちゃなぁ! んじゃあ、今度はオレの出番だぜ! 受け取りなぁ!! オラオラオラァッ!!》
TASによる誘導が加わったデイトナの十八番である着弾時に小規模の爆発を起こす火炎弾【アングリーボム】が炸裂。
リトルマンティスの背後、丁度テロリスト達からは死角になっていた場所から放たれたソレは炎の軌跡を描きながら全てテロリスト達に着弾し、その意識を奪った。
《なんでぇ、対した事ねェ奴等だぜ。こんなんじゃまだフェザーの連中のほうがマシだな。あいつらは少なくとも一発は耐えるぜ》
「フェザーの人達って、アレに一発は耐えられるんですね……」
そんな予想外な情報をデイトナから聞きつつ私達は先へと進み、部屋へと潜入。
それと同時に背後にあったシャッターが閉まり、天井の真上からサイレンが出現し、警報が鳴りだす。
《チッ! 【警報システム】かよ!》
その警報を聞きつけ現れるテロリストとロボット達。
彼らは侵入した私達に対してミサイルやビームを始めとした様々な攻撃を一斉に浴びせかけた。
それに対して私はリトルマンティスの両腕のドリルを回転させつつ盾代わりに構え、それらの攻撃を迎撃。
この両腕のドリルは極めて頑丈に出来ている為、回転させていれば強力な盾にもなってくれる。
その間にロックオンを済ませ、誘導レーザーとアングリーボムによる反撃で大半を沈黙させる。
《フェムト! 今の内に警備システムを黙らせてくれ! お前ならハッキングで一発だろ!》
「分かった!」
私はリトルマンティスから一時降車し、天井にあった警備システムにワイヤーガンを打ち込んでからのハッキングでその機能を停止させる。
その結果、サイレンは鳴り止み私達を閉じ込めていたシャッターは開かれた。
《しっかしコイツら、テロリストとしては大した事ねぇのにこんな警備システムを短期間に用意しちまうなんて変にあべこべな奴等だな》
「そうですね。練度は皇神兵で例えるなら新兵にも満たないレベルです。どこかおかしいのは間違いないでしょう」
(フェムト、反応が近いよ。そろそろあの羊さんの人と遭遇するかも)
「(ありがとう、リトル)……デイトナ、そろそろ例のホログラム能力者と遭遇すると思うから切り替えて行こう」
《そうか。ならオレもそろそろ気合を入れ直さねぇとな! 所でそのリトルマンティスはどうするよ? 前回の時はでけぇ的になっちまったんだろ?》
「……ホログラム能力者が相手ですと図体が大きいのは的になるリスクの方が高そうです。もうこのデパート内の敵はホログラム能力者だけみたいですし、ここからは私も降ります。それと一度TASのロックオン機能を解除しますので、デイトナは思いっきり暴れて下さい。この状態ならTASの恩恵を受けつつ自由に動ける筈です」
《おうよ! フェムトはデータ取りに専念、頼んだぜ!》
私はリトルマンティスから降車し、デイトナと共にリトルが言う反応がある大部屋へと向かう。
そこには、あの戦闘データの時と同じ姿で佇む羊姿のホログラム能力者【クラフトマンズドリーム】の姿があった。
『……さん、か…さ…、僕は、…まで捕ら……い……れば………い……』
「……何だか様子がおかしい。デイトナ、気を付けて!」
「あぁ。こいつは、嫌な感じだぜ」
『……来たかい。【
「コイツ、しゃべりやがった!」
(怒れる爆炎? 異端者? この人は何を言っているんだ?)
『キミ達には恨みは無いけど、死んでもらうよ。僕はもういい加減家族の顔が見たいんだ』
優し気な表情をしていた羊姿のホログラム能力者は一転して険しい表情に変化。
それと同時に私は後方へと下がり、デイトナが前に出る形で戦闘が始まった。
STRIK
『僕は
「不死身だと!? ホログラムってそう言う事かよ!」
『
その動きは前回の物とは明らかに違ったモノであった。
ハンマー状の攻撃、大型ギロチンによる急降下攻撃、ガトリング砲による攻撃もさることながら新たにワイヤー移動からの死神の鎌を彷彿とさせる武器による強襲も加わっている。
そして何より動きが明らかに洗練されており、その稼働率は理論値の100%に到達していた。
『やるね、怒れる爆炎。僕らの間で伝説になっただけの事はある。だけど
「誰と比べてんのか知らねぇが、舐めんじゃねェぞ! そのツラ、蹴り潰すっ! ディヤァーッ!」
『おっと……! ふふ。甘いよ』
「またそれかよ! ちょこまかと移動しやがって!」
デイトナの空中から振り下ろされる炎を纏ったカカト落とし【ボルケーノアックス】が
この行動も今回の戦闘において初めてのモノであり、それもあってかデイトナは苦戦を強いられる事となった。
(やはり、根本的な性能差が明らかに違う。データそのものは順調に取れてるけど、このままじゃ……)
『さて、そろそろキミとの戦いも終わりにしよう……』
運命が紡ぐ一筋の糸
我等はその手に結びて辿り
鮮血の彼方は手操りて待つ
レッドラインデッドレイヴ
彼は自身を糸状に変化させ、それを部屋中に張り巡らせ始めた。
これは私もターゲットにされているらしく、私にもその糸が迫って来る。
あれは当たると絶対に助からない。
そんな確信が、私にはあった。
私はとっさにフィールアクセラレーションを起動。
全てが遅い加速された世界へと突入し、私は自身の回避に専念するしか無かった。
赤い糸が迫る。
足元に、飛んだ先に、最終的には部屋の半分まで埋め尽くす勢いで赤い糸が命を刈り取ろうと迫った。
「ぐあッ!」
「デイトナ!」
『捕まえたよ。怒れる爆炎。さあ、これで終わりだ!』
全身を赤い糸に捕らわれたデイトナに、赤いドリル状の糸を纏ったホログラム能力者が迫る。
その一撃は直撃すればデイトナの命を容易に刈り取るだろう。
私はゆっくりとした世界で少しづつデイトナに迫っているホログラム能力者の突撃の軌道を鉄扇による
しかし、計算上私が吹っ飛ばされ、デイトナは貫かれて終わると言う結果も同時に出していた。
だけどそれは諦める理由にはならない。
先ずはやってみる。
そして、「やれば『
かつて施設に居た頃にニコラが教えてくれた言葉だ。
「やれば出来る」人と言うのは実際には限られた人達しか出来ない物だが、「やれば何か出来る」と言うのは殆どの人に当てはまる物だ。
だからニコラから教わったこの言葉は私の心の中で強く心に残り、何だかんだで私はここまで来れたのだ。
もうダメだと思って諦めるよりも、何かした方がいいのだ。
……私はデイトナにこれまで沢山助けられ、同時に助けもした。
それに考えてみればこれは何時も行っている事であり、初めての事では無かった。
だからこそ今回も必ず助ける。
いつか来る別の機会に、私が助けてもらう為に。
この瞬間、そんな私の強い想いにリトルが答える。
(フェムトの強い想いが伝わって来る……デイトナを守りたいんだね。なら、私がそれを叶えてあげる!)
頭の中に、言霊が浮かび上がる。
天体の如く揺蕩う雷
是に到る総てを祓い清めよ
パルスエクソシスム
この瞬間、私自身を中心に雷の聖域が展開された。
物理現象を超越する攻撃性能の無い守りに特化した雷の聖域は赤いドリル状の糸を羊のホログラム能力者諸共弾き飛ばした。
『何!? 異端者……ここに来て障害になるのか!』
「そんな風によそ見をしていいのですか?」
吹き飛ばしたと同時に
これでもう、糸状になって転移して逃げる事も出来ない筈……!
「やってくれたなぁ羊ヤロウ! ブチギレたぜ!」
太陽の如く燃え盛れ熱波
激情の灼熱、うねる猛火
煉獄の焔に残るは灰燼
サンシャインノヴァ
『……っ! しま……』
周囲は炎に包まれデイトナは背中のバックパックを開放しつつ突撃し、羊のホログラム能力者を跳ね飛ばすと同時に空中へと飛翔して炎の弾幕を無数に放出する。
そしてその無数の炎の弾幕一つ一つが全てTASによるロックオン誘導によって一点に集中し、極大の火柱を上げる。
『みんな……ゴメン……』
羊のホログラム能力者はその火柱の中で断末魔を残しながら自身が持つ内包するエネルギーを暴走させ、ノイズと共にホログラムが如く消滅したのだった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
アンケートは引き続き行われています。
6/25追記
アンケートは第二十話の投稿が終わった時点で受付を終了しました。
その結果、番外編を書きつつ
私の考える倒錯ネタは駆け出し編辺りから反映される感じになっています。
それと番外編は話が一区切りついた所まで、或いは気が向いたら書く予定ですので投稿が始まったらその時は活動報告辺りで誘導を行いますのでよろしくお願いします。
〇ホログラム能力者が待ち構えている場所について
この世界の大型デパート、実は未来世界に存在する廃デパートだったりします。
なので、ホログラム能力者の出現位置はX経験者ならばある程度予測することが出来ると思います。
〇ホログラム能力者について
何故かは不明だが本来の意識が存在している模様。
今回の戦闘では100%のスペックで襲ってくるのと初見攻撃が多い為、デイトナもかなり苦労しました。
ちなみにこの小説内の100%スペックは白き鋼鉄のXでいう所の難易度ノーマル時の性能の事を指します。
〇パルスエクソシスムについて
デイトナを守りたいと言うフェムトの想いに呼応してリトルがそれに応えた形で生まれたフェムト待望のSPスキル。
このスキルそのものには攻撃性能が無く、ゲームでいう所の無敵判定を一定範囲展開し、その範囲内に居る敵対者を弾いた後で永続ロックオンを付与する。
一人ではその場しのぎにしかならないが、TASで同調した仲間が居ると途端に頼もしくなる仲間と共に戦うフェムトらしいSPスキル。
但し当然のことながらSPと合わせてEPを相応に消費する。
具体的にはSP2とEP200程。
EPを予め補充しておくのが前提なSPスキルでもある為、補充出来ない状態で尚且つ貯蔵EPが空だと使用不能。
倒錯した(エッチな)話についての需要について
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無いよ!
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あるよ!
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R-18描写に番外編で挑戦して欲しい!