サイドストーリー |
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ミチルの居る療養施設へとロロと共に向かう。
その道のりはかつて大昔に見た懐かしい景色だった。
温かな風、優しい日差し……本当に、かつてのあの頃のままだ。
歩いている間、オレの中ではもう色あせてしまっていた記憶に再び色彩が蘇る感覚をこの
『アキュラくん』
「どうした? ロロ」
『こうやってミチルちゃんの所まで
今のロロはオレが異世界の技術で作成した仮初の身体を操り隣を一緒に歩いている。
異世界の機械生命体ワーカーは【
この構造を利用し作成したのが今のロロの姿であり、本体も今のロロを構成する素体とドッキングしている状態だ。
「そうだな。……こんな風にまたミチルの元を尋ねる事が出来るとは本当に、夢にも思わなかった事だ」
『そうだね。……ぼく達、
「……それは」
『今だに
「…………」
『アキュラくん、ぼく、今凄く嫌な事考えてる。このまま彼がずっと目を覚まさなきゃいいのにって、思ってる。……この世界のミチルちゃんはさ、ぼく達の知ってたミチルちゃんよりも体調はいいし、おしゃべりも出来てる。コハクちゃん達とも仲良くなってるし、ミチルちゃんも笑顔がいっぱい増えた。……かつてぼく達が目指してた光景が、この世界にはあるんだ』
「それでもオレ達はいつか帰らなければならない。奴が目を覚ませばどうなるか。ロロも良く分かっているだろう?」
『そりゃあね。……間違い無くぼく達の事を追い払おうとするだろうね。この時のアキュラくんは正に狂犬! 復讐の鬼! みたいな状態だったし』
「……そうだな」
そんな風に話をしている内に療養施設にあるミチルの部屋の扉の前までたどり着いた。
……この扉を開ける瞬間、オレは何時も緊張している。
扉を開けた瞬間、この幸せな時が終わってしまうのではと漠然と考えてしまうからだ。
嘗て一度、失ってしまったが故に。
「…………」
『アキュラくん』
オレはロロに促され、意を決して扉を開ける。
そこには机の上で勉強をしているミチルが、勉強を見ているノワが、机の上に飲み物を出しているヌルが居た。
「あ! アキュラくん! ロロ! いらっしゃい。今、ノワにお勉強を見て貰ってるの」
「お帰りなさいませ、アキュラ様 ロロ」
「はわ! お帰りなさい、アキュラさん ロロさん」
『ただいま~ミチルちゃん! ノワ! ヌルちゃん!』
「……ただいま」
「ふふ♪ アキュラくん照れてる♪ それにその
「……お前から貰った物だからな」
「眼鏡姿のアキュラさん、知的な所がより際立ってて新鮮な感じですねぇ~」
ミチルがこうして喋れている理由、それは週に一度定期的に流れる
オレは最初この歌が
なぜこの歌を定期的に流しているのかを。
よって色々と独自の方法で調べてみたのだが、この歌は
つまりこの歌は第七波動を直接狙いすました歌であり、能力を封じると言う点において限りなく理想に近い方法であると言える。
そしてこの歌、ミチルに対しては本来の能力者だからなのか力を送り込むと言う形で副次的に作用しており、これによってミチルは体調が回復し、更にしゃべる事も出来る様になった、と言う訳だ。
「ん? もう勉強はいいのか?」
「うん。ちょうど一区切りついた所だったから。それに、アキュラくんとロロとお話したくて」
『ぼく達、丁度いいタイミングで来れたみたいだね♪ じゃあさ、何を話そっか』
「えっとね……アキュラくんの好みの女の子の話とか」
「……何? いや待て、何でそうなる?」
「今のアキュラくんは、何て言うか成熟したオトナな雰囲気を感じるから、そう言った人が居るんじゃないかなって思ったんだけど」
「オレにそんな相手は居ないぞ」
「本当? コハクは違うの?」
「何故そこでコハクの名前が……」
「それとも、ヌルだったり?」
「はわ!? わたしがアキュラさんとですか!? ……一応私を始めとした女性型のワーカーにはそう言った【人間さんにご奉仕する為の機能】があったりしますけど」
『えぇ!? そんなの初耳だよヌルちゃん!?』
「私達の世界では人間さんが居なくなって長い時間が経っていますので、そう言った事をする機能はあっても使われる事はありませんでしたので言う必要は無かったんですよ。……そう言えばロロさんはどうしてそんなに驚いているのですか?」
『そ……それは、別に……ヌルちゃんは嫌じゃ無いの?』
「私は嫌ではありませんね。私達ワーカーは人間さんのお世話をする事が目的ですから。ただ……その……そう言った特別なお世話をするなら、アキュラさんがいいかなって……」
「わぁ……ヌルってば、意外と積極的なんだね」
そう言えばロロの仮初の身体を作った時の参考にした女性型のワーカーを形作るPix内のデータには人工子宮を搭載している物が当たり前だったな。
これは恐らくマザーによる人類復興の試みの一つだとは推測できるが……
いや、それよりも。
「何故オレに迫って来る?」
『それは、まぁ……』
「気になるからじゃ……ダメ?」
「アキュラさん! アキュラさんが望むならこの不肖ヌル、精一杯何時でもお相手いたします!」
「…………そもそもオレは全身機械のサイボーグ。生殖機能等、とうの昔に切り捨てた。そう言った事を期待するのはやめておけ」
こう言えば問題はあるまい。
実際、オレはサイボーグになった際戦いに不要な機能はそぎ落としているのだから。
「ならば、
「ノワ、そんな事出来るの?」
「このままではそちらの世界において神園家の御家断絶の危機です。向こうの神園家はアキュラ様からの情報でもう跡形も無くなっていると聞いている以上、放っておく訳にはいかないでしょう」
……この場から今すぐ抜け出さなければならない。
何故ならば、ノワならば何らかの形でやってしまいそうな気がしたからだ。
だからオレは足早にミチルの部屋から脱出しようとしたのだが……。
「アキュラ様、判断が遅いです」
「……っ! ノワ、ヌル、それにロロまで」
「アキュラさん。素直に捕まって下さい!」
『ごめんねアキュラくん。でもね、ぼくも実はソウイウコトには興味あるんだ』
その気になれば振りほどく事は容易いのだが、そんな事を今すれば皆に怪我や傷を負わせかねないからそれは出来ない。
なので、オレは縋る様な思いでミチルに助けを求めるのだが……
「……ゴメンね、アキュラくん。流石にお家断絶はマズイと思うの」
「…………分かった。分かったから放してくれないか」
妙な方向に話が逸れてしまったが、そもそもこの身体を勝手に弄られる訳にはいかん。
特にノワには
「アキュラ様、当てはあるのですか?」
「今のオレの身体を生身に見せかけているのに使っているPixのデータを書き換えれば大丈夫な筈だ。それに、ある意味丁度いい機会だろう」
「丁度いい……ですか?」
「ああ、この世界に来てから
オレはこの世界で
そのタイミングでパンテーラを下し、傷つき倒れたヤツとノワを回収し、紆余曲折あってオレ達はミチルに受け入れられた。
その後、ミチルはオレ達の仲間と話をしてみたいと言う願いを聞き、皆を呼び話相手になってもらい……今に至るという訳だ。
そしてオレはその間、ミチルや
ヤツが目覚め、オレ達が居なくなった時に備え、ヤツの
オレ達が居なくなった後でも、ヤツがミチルを守ることが出来る様にする為に。
本来ならば
アレは例えヤツが相手でも気軽に渡すつもりは無い。
それにこの世界のロロに手を加えるのは避けたかったのもある。
「まだヤツが扱う事を想定したデータを……生身における運用データを取って無い。だから丁度いいのさ」
「はぇ~~~……アキュラさんは彼の事も考えているのですね」
『だけどさ、彼が良く分からない相手からの施しなんて受けるかなぁ? アキュラくんだってそんなの嫌でしょ?』
「それは当然だ。だが他に選択肢が無い以上ヤツは受け入れざるを得ん。それがミチルを守る事に繋がるのだから。……オレも同じ立場ならば、施しを受けた屈辱すら飲み込んで見せるがな」
「…………」
「ミチル様……」
「いいの。今更わたしだけ何も知らずに居るなんて事、絶対にイヤだから」
『ミチルちゃん……』
思えば、ミチルを守れなかったのは全てを打ち明ける勇気をオレが持てなかったのが理由だったのかもしれない。
ミチルを大切に思うがあまり結果的に突き離し、あのような悲劇を許す結果となってしまった。
だからこそ、今回は間違えない。
「そういう訳だから、オレは研究室に戻る。今はこれで勘弁してくれ」
「わかりました、アキュラ様。……お家断絶の件、努々忘れないようお願いします」
「分かっている。……ヌル、引き続きミチルの事を見てやってくれ」
「はい♪ ミチルさんのお世話は私にお任せください」
「頼んだぞ、ヌル」
「アキュラくん」
「ヤツが眠っている間、お前は必ずオレ
「……っ! うん!」
『それじゃあ、そろそろ戻って最後の仕上げだ! 行こう、アキュラくん!』
「ああ、行くぞロロ」
そうしてオレは生身の際のデータ取りを済ませる準備の為に研究室へと戻った。
そしてこの日から数日後、オレ達はこの後の運命を左右する重要な出会いを果たす事となる。
強制ミッション |
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「ホログラム能力者の反応が、よりにもよってあそこで発生するなんてね」
「【スメラギ第拾参ビル建設予定地】……あそこはまだ土地を確保しただけの真っ新な場所です。少なくとも人的被害の事は考えなくても良さそうなのは不幸中の幸いと言えますが」
「それは確かにね。……今回はボクが行かせてもらうよ」
「紫電が?」
「ああ。今回のミッション、何か予感がするのさ。いい予感と、悪い予感がね」
「それはまた、何ともコメントに困りますね」
今回のホログラム能力者の発生場所は建設されれば世界最大規模になると言われているスメラギ第拾参ビル建設予定地。
まだ資材搬入も済んでいない広大な土地からホログラム能力者と思わしき反応が検出された。
ただ今回の反応は今までの反応とは違い、明らかにケタ違いの
よって、今回のミッションは紫電が同行する事となった。
未知の敵である事に加え、場所が広大で開けた土地な為
「ボクも一度はフェムトの
「まだまだ未完成もいい所だけどね」
「ボクからすればアレで未完成なのが信じられないよ」
「このシステムは皆が使えて初めて完成するんです。今はまだ
私はこのシステムが最終的には
アビリティの共有に加え
これらは部隊運用をより効率化するのに加え、周辺被害を抑えながら火力を集中出来る。
……正直な事を言えば、この技術を導入した結果で多くの人が傷つく可能性がある事は否定できないし、否定するつもりは毛頭ない。
そもそも私はこの技術を
紫電から部隊運用におけるより効率的なシステム作成の依頼を受け、私はその事に対価を貰い承諾した、つまり
善意は狂気への入り口であり、見えない悪意の源泉だ。
それを自覚した上で制御せねば、たちまちそれに飲み込まれてしまう。
だからこそ依頼を受け、対価を受け取る事は極めて重要なのだ。
「なるほどね。だったら報酬は飛び切りの物を用意しないとね。……小切手でいいかい?」
「飛び切り高い金額を書き込ませてもらうけど、それでよければ」
紫電の何時ものセリフに対して、私も同じく何時もの答えを紫電に返す。
入社して以来、個人的な依頼を受けた際の、私達の間におけるお約束のやり取りだ。
「「……フフッ」」
「あぁ、やっぱりキミとのこう言ったやり取りは良いモノだね」
「所謂お約束ってヤツですからね」
「……フェムト、紫電、そろそろ出かけないといけないんじゃ」
「ふむ……もうこんな時間か。ありがとうリトル。知らせてくれて」
「それじゃあミッションを始めよう、紫電。……リトル、おいで」
「うん! ミッションスタートだよ! あ……」
「どうしたの、リトル?」
「リトルマンティス、今回はどうするの?」
「もう既に手配済みだから大丈夫さ」
そういう訳で、私達はスメラギ第拾参ビル建設予定地へと向かう事となった。
そこに向かう道中で何があってもいいように私達は
アビリティも新しく作成したシャリーアライブ、ハイプラウド、フリーランの動作も確認すると同時に現場近くにリトルマンティスの投下を確認。
今回の装備は小型化した高出力輻射式増幅光砲を背中に二門、両腕には【耐高熱ホウオウ鉱】で作られた特殊な徹甲弾を搭載した実弾ライフルとミサイルランチャーと言った遠距離仕様だ。
エンジンは既に温まっており、何時でも暴れることが出来るだろう。
私は早速何時もの様に乗り込み、EPレーダーを広域に展開。
すると、奇妙なもう一つの反応を検知する。
この反応……私達よりも先に誰か現場に来てる存在が居るようだ。
「紫電。今回は珍しく先客が居るみたい」
《へぇ。それはまた珍しい》
その存在はどうやらこの先に存在する何かと対峙しており、既に戦闘は始まっている。
そして、大質量を持ったホログラム能力者と同じ反応がどんどん衰えていき……
「……っ! 紫電!」
《ボクも感じるよ。この気配、気味が悪いね》
(嫌な気配。気を付けてフェムト)
その後直ぐに現場へと到着した私達を待っていたのは、
ホログラム能力者の反応は戦車の方から発しており、その戦車は相対する相手にこっぴどくやられたのか顔に相当する表面装甲が完全に破損しており、機械なのにグロテスクな姿を私達に晒していた。
紫電の言う気味の悪い気配は、この戦車から発している物だった。
対してその戦車をそこまで追いつめた相対者は全くの無傷である事に加え、
このままいけばまず間違い無く白い鎧を着た存在が勝利するだろう。
だが、それを嘲笑うかのようにもう一体の戦車が姿を現す。
その姿は何と言えばいいのか……恐らくはあの正面装甲が破損した戦車と同一の物だと言うのは間違い無い筈なのだが。
敢えて言うならば、今正に猛攻を加えている丸いメカにそっくりの外見をしていたのだ。
そのどこか場違いに感じる戦車が正に白鎧に攻撃を仕掛けようとしていたので……
《詳しい詮索は後回し。先ずはあの無傷の戦車の相手をしよう》
「了解!」
STRIK
先ずはEPレーダーを即時展開し、対象の戦車の弱点と思わしき正面装甲にあるセンサーをロックオン。
これで私達の攻撃は必中となり、白鎧に対して誤射するという事は無くなった。
よってここから始まるのは戦闘では無く、一方的な展開であった。
《先ずはボクから行かせてもらうよ。【
紫電の二つのサブ宝剣【
双方は縦横無尽に駆け巡りながらレーザー攻撃を叩き込む。
そうして怯んだ隙を私のリトルマンティスに搭載されている火器のありったけと紫電本人からのリング状のレーザーを弱点と思わしきセンサーへと必中させる。
当然相手も反撃する筈なのだが、その悉くを紫電の僕達が出掛りを潰している為反撃する事が出来ていない。
なので成す術も無くこの戦車は破壊され、ホログラム能力者と同じように姿を消す事となった。
《こいつは実に効率的だね。いいシステムだよフェムト》
「それは何よりです。……それよりも」
《…………》
白鎧の方も私達よりも先に戦車を撃破したらしく、私達の方へ臨戦態勢の状態を維持しつつ様子を伺っている。
この戦闘の間も白鎧の事を観察していたのだが、その手際は余りにも洗練され過ぎており、その技巧は頭領さんみたいに長年戦って来た歴戦の戦士を彷彿とさせる物だった。
盾に炎を纏わせた対空攻撃を始め、大型のビーム刃まで発生させる多彩な攻撃を巧みに扱っており、それらは宝剣能力者に打撃を与えるのに十分な威力が秘められていた。
故に、下手をすれば紫電やGVも敗北しうる。
そう思わせる程にこの白鎧は強い。
……いや、ちょっと待って。
白鎧?
それは確か紫電やニコラが言っていたアキュラと思わしき人物の特徴その物だった筈だ。
よって、紫電が白鎧に対してこう挨拶するのは当然の事であった。
《やあアキュラ。こんな所で会えるなんて奇遇だね》
《…………》
《おや、ダンマリかい? キミなら何か嫌味の一つでも飛んでくるかと思ったんだけどね》
《…………来るぞ》
《うん?》
暫定アキュラと思わしき人物が声を出したと同時に、これまでとは比べ物にならない数の戦車がこの地へと降下し、あっという間に私達を取り囲んだ。
「……っ! 今までのは様子見だって事ですか」
《やれやれ、この戦車達の主は無粋な輩みたいだね。折角彼と語り合おうと思っていたのに》
《……無粋な輩と言うその内容には同意しておこう》
《へぇ……いいのかい? キミの大嫌いな能力者相手に同意しちゃってさ》
《……さてな》
そう言いながら彼は流れる様に再び盾を構え、私達は臨戦態勢へ移行する。
《まあ、今回の始末はボクに譲って欲しいかな。折角
《……好きにしろ》
《じゃあ遠慮なく……フェムト、この場に居る戦車達、全部ロックオンしてくれ》
「分かったよ。確かにこの状況はアレを使うのにはうってつけだ」
そう私が言ったと同時に戦車達から一斉に様々な攻撃が飛んでくる。
緑色の大型の円月輪らしき物。
青色の可視化する程に強力な螺旋状の竜巻。
私のかつてのトラウマとも呼べる爆発する圧縮エネルギー。
バウンドするあの丸いメカと思わしきピンク姿のエネルギー弾。
捕縛機能があると思われる布の弾丸。
これらの全てを時には掻い潜り、時に分厚い正面装甲で受けながらEPレーダーを最大展開し、全ての戦車に対してロックオン。
こうして舞台は整った。
この国のはるか上空に位置するレーザー兵器が搭載された【特攻衛星“星辰”】を紫電が振るい、全てを蹂躙する舞台が。
天に御座す星々の輝きよ
我が国を守護する星々の瞬きよ
我等に相対する彼の厄災を浄化する煌めきを今ここに
スプライトフォール
衛星軌道上に存在する紫電の力によって増幅された星辰による一斉同時砲撃。
数多の光の柱が天から降り注ぎ、その一撃一撃がロックオンによって軌道が物理法則を無視したかのようにねじ曲がり、爆心地に居るはずの私達を一切傷つける事無く戦車達を蹂躙していく。
そうして後に残ったのは私達と白鎧、そしてほんの少しのクレーターのみだった。
CLEAR
それでも私達は追加の増援が来る事を警戒してしばらく身構えていたが、再び現れる気配は無かった。
《これで打ち止めみたいだね》
(あの嫌な感じは消えたみたい。もう大丈夫かな)
「それなら一安心だけど問題は……」
《…………》
白鎧は丸いメカと共にこちらを警戒している。
あの攻撃を見れば逃げるのが懸命の筈なのだが警戒しつつこちらの様子を伺っているのは自信の表れなのか、それとも……
そんな風に考えていたら白鎧はこちらに対して言葉を投げかけて来た。
《お前達はアレが何なのか分かっているのか?》
《いいや、ボク達もあの戦車を相手にするのは初めてさ》
《アレを操る存在は危険だ。直ぐに居場所を突き止め元凶を討滅しなければならない》
《まるであの戦車達の事を知っているかの様な口振りだね。じゃあさ、最近ボク達の
《それだけでは何も分からん》
「じゃあこれまでに私達が遭遇した相手の特徴を話します。なのでもし知っているのでしたら……」
《………………いいだろう》
「ありがとうございます。では、私達が遭遇した通称ホログラム能力者の特徴なのですが」
私達は白鎧にその特徴を説明する。
黒とオレンジ色の大型のハサミと装甲を兼ね備えた大型クローを両腕に持つ爆発を操ると思われる存在の事を。
赤い糸を用いて様々な攻撃や移動手段を持った羊姿の存在の事を。
《……なる程な》
「私達が遭遇したのは今の所これで全部です。何か知っている事はありませんか?」
《それを聞いて相手が誰なのか確信を持つ事は出来た》
「それは本当ですか!? ならば是非……」
《しかし……》
そう言いながら白鎧は盾を構え私達と対峙する。
緊急ミッション |
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《お前達がヤツと対抗できる力があるのか試させてもらおう。
「……っ!」
《ふぅん……あの戦車達を蹴散らしたのは試しにもならないのかい?》
《ならんな。それ位出来て当然だろう?》
《言ってくれるね……》
だけどあの白鎧はそれを言うだけの力は持っている。
あの戦車の群れも恐らく彼一人で始末することが出来ただろうから。
《フェムト、リトルマンティスから降りるのが賢明だ。彼が相手では的にしかならないからね》
《……そいつは見た限りサポート要員だろう。下がらせないのか?》
《おや、こちらの心配をしてくれるのかい? ……本当にキミがアキュラなのか疑わしくなってきたね。お陰で逆に興味がもっと出て来たよ》
《……フン》
《それに、あまりボクの親友を甘く見ない方がいい》
その紫電の言葉と共にリトルマンティスから降り、いつもの鉄扇とワイヤーガンを構え紫電と共に白鎧と相対する。
……こうして画面越しでは無く直接見た限り、やはり頭領さんみたいな雰囲気を彼は発している。
少なくとも私達が知るアキュラとは別人のように感じるのだ。
だが、その装備は私達持つ技術よりもけた外れに優れていることが戦闘中の解析データから見て明らかだ。
アレの解析をするならば、ワイヤーガン辺りを何回か撃ち込んでデータを収集してから持ち帰って調べる必要がある。
「お前は……いや、戦ってみれば分かる事だ」
「それじゃあ背中は任せたよ。フェムト」
「了解」
(凄い威圧感……気を付けてね、フェムト)
こうして私達は白鎧の相手をする事になるのであった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
アンケートはこの投稿が終わった時点で受付を終了しました。
その結果、番外編を書きつつ
私の考える倒錯ネタは駆け出し編辺りから反映される感じになっています。
それと、番外編は話が一区切りついた所まで、或いは気が向いたら書く予定ですので投稿が始まったらその時は活動報告辺りで誘導を行いますのでよろしくお願いします。
〇ミチルちゃんがお話できている件について
歌姫プロジェクトによって増幅された歌を経由して力が流れ込み、およそ一ヵ月位の時間を掛けて体調が回復し、声を取り戻すに至りました。
つまりアキュラくんがこの世界に来たタイミングとある意味ドンピシャであり、あの時ミチルちゃんが話をすることが出来たのはお披露目でもあったという訳です。
〇女性型ワーカーの設定について
この小説内の模造設定です。
まだワーカーと人間が共存していた頃の名残、或いは人類復興の一環です。
決してマザーが創造主とイケナイコトをしようと思った訳ではありません。
〇Pixについて
白き鋼鉄のX2のwikiにある用語集によると「ワーカーを構成するプログラム粒子。墓守含めどのワーカーも素体は共通であり、このPixの違いによって個体差が生まれる。墓守たちを撃破した際、周囲に飛散する」と書かれていたので拡大解釈して【万能粒子Pixさん】みたいな感じで私は考えています。
ガンダムでいう所のGN粒子やプラフスキー粒子みたいな感じ、と言えば分かるでしょうか?
〇この小説内における人類復興について
Pixを上記の説明でこの小説内で定義したのもありますが、そもそもマザーは人類を作り出す事その物は出来ると私は考えています。
ただ生み出す事は出来ても人類の持続可能性を維持出来ず、結果として人類復興は出来ない、みたいな感じです。
多分ある程度数を増やして反乱、みたいな流れが何度もあったんだろうなと想像したりもしています。
マザーの人類の基準が創造主なのでは疑惑を取り入れた前提もありますが。
後、鎖環の設定から考えるに龍放射や暴龍の設定が人類復興が出来なかった最大の要因である可能性もあります。
〇イクス世界線の神園家について
ヤツならばアキュラの血縁関係者を片っ端から亡き者にしてそうだなと生えた設定です。
お陰でアキュラくんは色んな意味で大変な事になりますが……それはまた別のお話です。
〇強制ミッションについて
メタ的な話になりますがホログラム能力者を一定数撃破する、或いはデータの収集が一定以上集まる事で発生するミッション。
相手は特殊なボスであったり、ボス戦後に連続でミッションが発生したりする事もあります。
なお、こう言った特殊なミッションは難易度は高めに設定されている代わりにフェムト側もTASで接続できる相手が今回の紫電の様に強力なパートナーだったりします。
〇リトルマンティスの装備について
これ等の装備はミッションクリア、出社、情報解析等を始めとした様々な条件を一定基準で達成すると増える、みたいな感じになっています。
準備している間に装備変更をする、と言った感じになっています。
そして、装備が増える毎にリトルマンティスの基本スペックも上昇する為、装備集めもまた重要になります。
〇スプライトフォールについて
全ての特攻衛星“星辰”のレーザーを一斉発射すると言った感じのこの小説内における模造設定による紫電のSPスキル。
レーザーの威力その物が原作とは別の形でパワーアップを果たしている上に紫電の力で増幅されている為、その威力は原作以上。
本来ならば広範囲を莫大な周辺被害と引き換えに殲滅するSPスキルなのだが、フェムトのロックオンのお陰でその問題も大分改善されている。
とは言え、流石に開けた場所以外での運用には問題が残るのだが……
元ネタは地球防衛軍シリーズにおけるエアレイダーの要請で、