なにもない一日 |
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かすかに昇りはじめている朝日の光が私達の部屋のカーテンの隙間から優しく差し込んで来る。
その光に私は目を覚まし、私の腕の中の愛しい温もりも同時に感じた。
温もりの正体は淡いピンク色のシルクのネグリジェを着たエリーゼだ。
私自身身長は高く無い為正確にはエリーゼの上半身に背中から抱き枕みたいに抱きしめている状態で、私の両腕はエリーゼの腋を経由して両肩を包むと言った状態である。
そんな状態である為、必然的に彼女の体温やスベスベしたシルクと女性特有の柔らかさを持った背中の感触だけで無く、光沢を纏ったサラサラな銀色の髪からチラリと見えるうなじが視界に入った。
場所が場所だけに手入れが大変だと言いながらも、毎日欠かさず手入れがされている彼女のうなじ。
そこから発する言葉に出来ない魅力が私の寝起きの脳髄を侵食し、判断力を根こそぎ奪い取る。
そんな魅力にやられた私はうなじに顔を埋め、より強くエリーゼの体温を感じ取った。
少し寝汗を掻いていた事もあり、何処か甘く感じる匂いが私の嗅覚を刺激する。
その甘い香りは男である私の脳が彼女の寝汗に含まれているフェロモンによる錯覚なのは分かってはいるのだが、逆らう理由も無い事もありそのまま息を鼻から吸い込んで、香りを堪能した。
「スゥーー……ハァーー……」
「ん……」
私は間違い無く第三者視点で見れば気持ち悪い行動をしている。
恋人が出来る前はこんな事して何が楽しいのか、意味があるのかと冷めた目で見ていたと言うのに。
やはり男とは、本気で好きな人が出来ると馬鹿で気持ち悪くなってしまうのだろうと私は思う。
そして、そんな風になった事を私は嫌だと思わない。
誰かを本気で好きになると言うのは、理論や理屈を容易く粉砕するほど強い力を秘めている。
私はそれを、身をもって現在進行形で体験していた。
何しろ、
「スゥーー……ハァーー……」
「んぅ……」
私の静かな吐息がエリーゼのうなじに吹きかかる。
その度に聞こえる悩ましげな声は、私の耳を幸せにしてくれている。
甘い匂いが少し強くなる。
私はそのままうなじに口付けをして、優しく吸い上げる。
まるで吸血鬼が美女に対して吸血行為を行うかのように。
「ん……」
「ゃぁ……」
口の中を経由して、甘い香りが私の口腔を満たす。
肌の体温が私の舌に伝わって来る。
甘い香りと寝汗によるかすかな塩気の味が舌の上で複雑に混じり合う。
舌を経由した電気信号が脳髄を侵食し、もっとよこせと私の身体を突き動かす。
先ほどよりも強く私の口で痕が付く程強くうなじを吸い上げる。
エリーゼの口から、明確に甘い嬌声が響き渡った。
「あぁっ! …………すぅ」
……ここまでされたら間違い無く目を覚ますはずだ。
なのにエリーゼは寝息を立てて動く気配が無い。
その代わり、私の鼻から先ほどよりも強い匂いが流れ込んで来る。
エリーゼの背中から伝わって来る心臓の音が少しづつ早くなっているのを私は感じた。
トクン、トクンと、安らぎを与えてくれる音が木霊となって私の身体に伝播する。
間違いない。
エリーゼは目を覚ましている。
目を覚ました上で
それを確かめる為に私はエリーゼの口元に指を近づけ、唇をそっとなぞる。
私からの
嫌ならば口を開かずそのまま眠っていればいい。
では、嫌じゃ無ければ?
その答えは私の指が温かく湿った感触で包まれる事で判明する。
「ん、んぅ……れろ……」
わざと音を強く上げ、唾液を舌で塗して私の指を吸い上げる。
でも指が一本だけでは物足りないのか、吸い上げる力や舌先の動きがどこかぎこちない。
私は既に入れている人差し指と合わせて中指もエリーゼの口へ挿入する。
待ってましたと言わんが如く二本の指を口腔の喉元寸前までくわえ込む。
フリーだった両腕が私のくわえ込んだ指のある手をそっと支え、本格的に口腔と舌で歓迎の奉仕が始まった。
そう、これがエリーゼ側からのOKの合図の一つだ。
この誘いとOKの合図は状況によって色々と違うのだが、今回の様に一緒にベッドで眠っている場合はこんな感じのやり取りを行う。
「ふぁん……あふ……んく、んく……っ!」
口の中にある舌を二本の指で優しく挟み込み、人差し指で表面を優しく擦る。
爪を立てず横にかきだすように指を動かし、全体を刺激した。
動かす度に体を震わせるエリーゼに、私はそっと耳元に優しく息を吹きかける様に囁きかける。
「今日も始まるよエリーゼ。甘く苦い、
「
「今日はお互い、いっぱいダメになりましょう。理性を捨てて、ケモノになってしまいましょう……」
ASMRめいた声を届けたと同時に身体が大きくビクンと痙攣し、私の手を抑えていた両腕から力が抜けたのを確認して手を引き抜く。
エリーゼの舌と私の指の間に刹那に出来る光の線が奉仕をしていた事を瞬間的に、それでいて淫らに主張する。
そんなエリーゼをベッドの正面にあるパネルミラーへと向けて抱き起こし、私は舐める様な視姦でその姿を楽しんだ。
何処か虚空を見つめているかの様な瞳から歓喜の涙が流れ、私の指を奉仕していた口は力なく半開きの状態でだらしなく一筋の光を垂れ流す。
先のやり取りでボタンが外れたネグリジェが着崩れ、胸元が辛うじて隠れている淫猥な姿が私を昂らせる。
さあこれから余韻に浸っているエリーゼをどう可愛がろうかと考えていた私の視界に、さっきまで同じベッドに眠っていた筈のリトルが起き上がって姿を現す。
寝ぼけた瞳で私達を視界に収め、その瞳はたちまち意味深な物へと姿を変える。
その瞳はエリーゼを捉えた後、真っ直ぐに愛嬌のある可愛らしい顔を近づけ、自分の唇をゆっくりと舌を回しながら粘液を塗しつつゆっくりと、まるで捕食者の様に四つん這いに迫る。
口を開け、力無く半開きになったエリーゼの唇にリトルの唇はついに到達し、舌を這わせる。
舌の粘膜をマーキングするかのように塗し、吸い上げる。
その刺激で再びエリーゼの身体がビクンと跳ねる。
このエリーゼの反応に満足し、唇を堪能していたリトルが満を持して口腔へと舌を侵入させる。
「んぅ……
互いの粘膜が絡み合う心地よい調べが奏でられる。
求める気持ちの強さが高まったのか、エリーゼの後頭部を両手で自身の方へと押し付け、激しさが増していく。
調べが奏でられる度に、身体が震え悦んでいる事が抱きしめている私に伝わって来る。
力が抜け、成すが儘に貪られるエリーゼ。
そんなエリーゼを嬲るように捕食するリトル。
二人が私の視界でもたらす淫靡な光景に元々崩壊していた理性が泡となって消え……
こうして
トークルーム |
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なにもない一日を過ごした翌日の朝、台所からまな板で材料を切る音が小気味良く響く。
テーブルに食器を置いた音が完成した料理を待ちわびる。
「フェムトくん。こっちはもう終わったよ」
「ありがとうエリーゼ。後はこっちで仕上げるよ」
「うん。それじゃあわたしはリトルちゃんと一緒に洗濯物を干しに行くから、それが終わったら朝ご飯にしましょう」
「ええ。よろしくお願いします」
こうして当たり前のようにエリーゼと生活するようになって暫く経つ。
最初はお互いぎこちなかった物だったのだが、今ではすっかり互いの息が自然と合う様になり始めていた。
流石にまだ私の年齢の関係もあって夫婦を名乗る訳にはいかないが、それなりに同居生活を続けた仲睦まじい恋人同士と名乗ってもいいとは私は思う。
(……よし、これで出来た。先ずは味見を……エリーゼはもうちょっと濃い方が好みだった筈だから……よし、これで大丈夫)
出来上がった料理を大皿に乗せ、小皿等が既に用意されているテーブルへと運び、中央に置く。
その後冷蔵庫にあるオレンジジュースの入ったクーラーポットを取り出し、既にテーブルに用意されていた三つのコップに注ぎ込む。
これで朝食の準備は終わり、後はエリーゼ達を待つばかりになったと同時に洗濯物を干し終わった二人が戻って来た。
「あ、フェムトくんの方も終わったんだね」
「ええ。こうやってお互いの行動がぴったり終わると、なんだか嬉しくなりますよね」
「うん。わたし達、息が合ってるって感じがいいんですよね」
そうお互い語り合いながら自然と距離が近くなる。
私はエリーゼの頬に手を添え、エリーゼもまた私の頬に手を添える。
お互い見つめ合い自然と
「二人共!
「「……っ!」」
――なかった。
リトルが顔を膨らませ、抗議する事で私達は朝ご飯を食べ始める。
リトルはご飯の事になると優先順位がそう言った事よりも高い。
なので、改めてリトルに促される形でテーブルにあるイスへと座り、食前の挨拶を済ませて朝食が始まった。
「はいエリーゼ、あーん!」
「あーん。……ふふ。ありがとうリトルちゃん。それじゃあお返しにどうぞ。あーん」
「はむ! ……えへへ♪ やっぱりフェムトのご飯、エリーゼに食べさせてもらうと元々美味しいのがより一層美味しく感じる!」
二人が仲睦まじそうにあーんをしている光景はとても微笑ましく、思わず笑みを浮かべてしまう。
それを心のアルバムにそっとしまい込みながら私はご飯に手を付けようとすると……
「今度はフェムトだよ! はい、あーん!」
「フェムトくん。あーん」
二人があーんを私に対してしてくれた為、私はそれに応えてあーんと口を開け、頂く。
料理そのものは私が作った物なのでその味はお馴染みの物の筈なのに、このあーんの儀式によって何倍も美味しく感じる。
ただこうして食べさせ合っているだけで美味しく感じてしまう辺り、我ながら単純であると思いつつもそれを受け入れている私が居る事に気が付く。
こんな光景も今や我が家では当たり前の物となった。
それはとても喜ばしく、幸せな事だと私は思う。
「「「ごちそうさまでした!」」」
だからこそ私は時々こう思う事がある。
何時かこの幸せは終わってしまうのでは無いかと。
二度と訪れる事の無い日々になってしまうのではないかと。
こうしている間に近くでホログラム能力者が姿を現し、我が家を攻撃したら――なんて事をふと考えてしまう。
これもまた、幸せを得た代償なのだろうか?
「……フェムトくん、また難しい事考えてる」
「……顔に出ちゃってましたか」
「うん。まあ、それだけじゃ無いんだけどね」
そう言いながらエリーゼの胸元に不安そうに顔を埋めるリトルを私に見せる。
私の不安がリトルへと伝播して、ああいった行動を取らせてしまったらしい。
「……この幸せが唐突に終わってしまうんじゃないかって、思っちゃってね」
「…………」
「今私、自分でも信じられない位幸せなんです。時々命懸けな事もありますが、毎日が充実していると言ってもいいです」
「それだったら……」
「だからこそ、不安になってしまう。唐突な終わりをふと考えてしまうんです。我ながら贅沢な話だと分かってはいるんですけどね」
私は現状の幸せゆえの不安をエリーゼに話す。
それを聞いたエリーゼは私の頬に手を優しく当てつつ撫でながら口を開く。
「大丈夫です。そんな辛さはわたしが忘れさせます」
手から伝わる体温が私の不安を温めながら溶かしていく。
私を見つめる慈愛に満ちた瞳が幸せの代償等と言う私の考えを石化させ、急速に風化させる。
それはさながら、ギリシャ神話に登場する怪物に変えられた美少女と謳われるメドゥーサの魔眼の如く。
「きっとこれからもそう言った事は何度もあると思います。ですが、その度に忘れさせます。フェムトくんがわたしの事をここまで引っ張ってくれた時の様に」
「エリーゼ。……ありがとう」
これからもきっと、私のこうした不安や恐れはエリーゼの持つ
そう思いながら、私は手から伝わる体温を愛おしく思うのであった。
エリーゼとの心の繋がりを感じた
情報解析 |
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私は前のミッションの愛嬌のある戦車との戦い及びアキュラとの戦いの戦闘データの解析を進めていた。
アキュラとの情報交換及びミッション報告は後日日を改める形となった為、今の内にこう言った作業を済ませる事も必要だ。
あの戦車は戦闘力は十分宝剣能力者で対処出来る相手ではあるが、数が凄まじく紫電のSPスキルを使わなければ被害を抑えて対処するのは難しかった。
なのでその分得られたデータは控えめな為、これだけではアビリティを得るのは無理だろう。
そしてアキュラとの戦闘データに関してなのだが、こっちでは突発的なプログラミングをした事もあり相応にアビリティが増やせそうだ。
(一部のスキルをTASを経由して共有する【スキルシェア】、TASを経由した思考会話を可能とする【TASテレパス】、追いつめられる程に攻撃力が上がる【ハイスイブレード】、同じく追いつめられるほど防御力が上がる【ケンシュシールド】。プログラミング以外のデータでは追いつめられっぱなしだっからそれに対応したアビリティが組めましたね)
これで次にあの状態のアキュラの相手をする時、少しはマシになる……筈。
GET ABILITY スキルシェア TASテレパス ハイスイブレード ケンシュシールド
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇なにもない一日について
メタ的な所で言う所謂【スキップ機能】。
アキュラとの戦闘で消耗した為大事を取ると言った形でこれのチュートリアルが始まる。
ミッションや出社、情報解析等を一切せずにその日を飛ばすのに使われる。
そもそもこの期間は制限時間が存在する為今回の話以降使われる事はまず無い……のだが、スキップすると特殊なCGが回収出来る感じになっており、その上この選択を選び続ける度に回収できるCGがどんどん過激に倒錯的になっていくプレイヤーの好奇心を狙った罠めいた側面が存在する。
その為なにもない一日を選び続けてフラグを立てられずにバッドエンドに突入するプレイヤーが少なからず存在する……と言う設定。
今回の話の内容は手に入るCGの内容を詳細に語った感じになっており、話は途中で終わるが、その後は正しく退廃的な一日を過ごす事になる。
〇リトルの三大欲求について
まず食欲が最優先されます。
その次に性欲、睡眠欲と続く感じになります。
なので目の前にご飯がある時にイチャつこうとすると抗議されます。
但し皆で性欲発散中にお腹が空いた場合は別の挙動を取りますが、詳しくは番外編で語る事になると思います。
〇フェムト達がやたらイチャコラしてる件について
身体が若く一つ屋根の下に一緒に暮らしている恋人がいる。
突発的に正しく絶望的な技術格差を理解しつつ命懸けの情報収集を行っている。
この二つが重なった事に加えてフェムトが元々は後方支援専門で一般人メンタルであった為生存本能が強く刺激された状態となってしまって
GVなんかは原作開始時点で覚悟完了している戦闘者だったし、シアンは恋人と言うより保護者的な要素が強かった違いも表している。
こう言った理由以外にはこの三人がこう言った事を良くする事を読者の皆様に印象付ける「仕込み」が理由でもあったりする。
何でそんな事をする必要があるのかはまだ語れませんが、暫く後でまた解説をする予定。
〇現小説が仮にゲームになった場合の仮定について
良く「メタ的に」とかみたいなゲームになった場合の事をここで話しているのですが、淫帝=サンが作った場合とファンによる年齢制限ありの同人ゲームの場合を想定しています。
淫帝=サンの場合は倒錯要素は全カットした上でストーリーも必要最低限でアクション関係に力を入れてくれる感じになり、同人ゲームの場合はアクション関係は大味でストーリーとかキャラゲー要素、倒錯要素が山盛りみたいな想定をしています。
ちなみにどうして年齢制限ありの同人ゲームの想定もしているのかと言えば、そもそも現小説は「二次創作」なので、ゲーム化するなら同じ二次創作な同人ゲームだろうと考えているからです。