ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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サイドストーリー





 フェムトが部屋を出るのを見送った紫電は改めてオレに顔を合わせ、笑みを浮かべる。


「さて……ここからはボク個人が気になる事を聞かせて欲しいんだけど……」

「…………」

()()()()()()()()()()()()()()()()

「そうだ」


 オレがそう答えた瞬間、紫電の顔はそのままだったが目だけは明確に変化した。

 それは怒っているとも、何故だと言う疑問とも取れる視線だ。


「理由を聞いても?」

「この世界のオレがやられそうになっていたからな」

「自業自得じゃないか。この世界のアキュラがどうなろうと知った事では……あぁそうか。妹さんを一人には出来ない、か」

「そう言う事だ。それにオレはこの世界において異邦人だ。オレがヤツに成り代わる訳にはいかない。妹の兄と言う居場所を奪う訳にはいかないんだ」

「キミにも色々と事情があるのは分かった。だが、それとこれとは……」


 オレの目から見るに、紫電はパンテーラに対して妙にこだわっているように見える。

 パンテーラは紫電と同格の第七波動能力者(セプティマホルダー)だ。

 同じ高みに居る者同士で何かしら思う所があるのかもしれんが……紫電のこの様子、まさか()()()()()()()()()()

 いやいやまさかそんな事は無いだろう。

 パンテーラがエデンのスパイである事は把握している筈だ。

 それが見抜けぬほど紫電が耄碌しているとは思えん。

 ……ほうれんそう(報告 連絡 相談)は大事、か。

 オレが把握している事を紫電は把握している筈だと思い込んですれ違う可能性があるな。

 ならば、確認しておく必要はあるだろう。


「ヤツは生きているぞ」

「…………なんだって? だけど、宝剣の反応はもう無くなっているのをボクも確認済みなんだけど」


 紫電の表情に明確な変化が現れた。

 なるほど、紫電が怒っていたのはコレが原因か。


「そもそもヤツが幻を操る夢幻鏡(ミラー)のセプティマホルダーである事、そしてエデンのスパイである事はお前なら知っている筈だ」

「それ位ボクは把握しているさ。だけどそれが今の話とどう関係……! まさか」

「そのまさかだ。()()()()()()()()()()()()()()()。本人に言わせればあのパンテーラですら()()()()()()()()()()()()()()

『アキュラくん、あんましあのヘンタイさんの事思い出させないでよね……』

「仕方あるまい。話せる事は話しておく必要がある」

「……因みにだけど、アキュラはパンテーラの本体を知っているのかい?」


 紫電のヤツ、妙にパンテーラの事に関心があるみたいだな。

 まあ分からなくもない。

 ヤツは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからな。

 その時のヤツを始末するのは大分苦労した記憶がある。


「オレは向こうの世界でヤツを討滅した過程で本体を見ているからな」

「……そう言えば、その時のキミは能力者憎しの状態、だったね」

「今のオレから見れば恥ずべき記憶だがな……ロロ。嫌だと思うが画像を出してやってくれ」

『りょーかい。まあでもあのヘンタイさんモードじゃないパンテーラならぼくの精神的負担は小さいからいいんだけどね』


 そう言ってロロが映し出したのは紫電のイメージからかけ離れているであろう幼い少女の姿。

 童話【不思議の国のアリス】を連想させる姿をしながら年齢に合わないパンテーラ特有の雰囲気は一部の人々を惹きつける何かがある。


「…………」


 その画像を、紫電は食い入る様に見つめている。

 表情には出ていないが、目が喜びを隠せていない。


「……フェムトを女装させて付いて来させた時のパーティーで知り合った女の子がキミだったなんてね。なるほど、妙に話が合う訳だ。……ありがとうアキュラ。()()が生きてて安心したよ」

「この世界のお前とは敵対するのは避けたいからな。しかし、生きててよかった等と安心していいのか? ヤツはエデンを束ねる存在なんだぞ」

「……は?」

『……え?』

「……待て紫電、何故そんな反応をする? お前ならその位把握、或いは予測している筈だろう?」

「……アキュラはボクを何だと思っているんだい? そんなの分かる訳ないじゃないか」


 ジト目でオレの事を睨む紫電。

 その視線には敵対の意思はまるで無く、コハクが時折オレに対してする拗ねる様な視線と良く似ていた。

 ……まさか紫電が正体を把握していないとはな。

 なので、紫電が把握していなかった理由をオレは尋ねる。


「普通組織のリーダーが単身敵地でスパイ行動するなんて思わないだろう? ボクはてっきりパンテーラの事をエデンに所属している、或いは依頼された専属のスパイだとばっかり……」

『あぁ~~……言われてみれば確かにそう思ってもおかしくないかも』

「だが、皇神グループ内でもヤツのシンパが増えている事は知っていただろう? そこから割り出せなかったのか?」

「把握はしていたさ。だけどさ、それって組織のリーダーがやる必要ってあるかい?」

「……無いな」

『……無いね』

「まあ、アキュラは正体を知っていたから疑問に持てなかったんだろうね」

「そうだな。お前がフェムトにほうれんそう(報告 連絡 相談)の事を言わなければオレは黙っていたままだった……所で」

「何だいアキュラ」

「何故そこまでパンテーラに拘る」

「ボクがここまでの地位に至る事が出来た要因の一人だからさ」

『パンテーラが?』


 一言で済ませるならば、互いの利害が一致したのが理由だと言う。

 無能力者を殲滅する事を掲げているエデンに所属しているパンテーラ。

 皇神グループ内でトップを目指す紫電。

 一見すると何も交わっていないように見える。

 しかし、当時の皇神グループ内のトップ層が無能力者(マイナーズ)のみで構成されていて、それも能力者に対して差別的だったとしたらどうだろうか?


「……随分とリスクのある行動を取ったんだな。下手をすれば外患罪が適応されるだろうに」

「この程度のリスクも背負えないんじゃあボクみたいな子供がトップを目指すなんて到底無理さ。……だけど、ボクがこう言ったリスクを取ってでもトップを目指そうと思ったのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんだけどね」

『やれる時間?』

「そうさ。……当初の能力者部隊はそれはもうヒドイあり様でね。資料作成や情報整理なんかの、所謂後方支援を担当出来る人材が皆無だった。だからボクもそっちに付きっ切りで居ないといけなかったんだけど、ある時にとびっきりの優秀な人材が転がり込んでくれたのさ」

「……フェムトの事か」

「その通り。フェムトは当時から今に至るまで情報処理に関して右に出る物は居ない。今では彼の居る居ないで皇神グループの利益にも影響が出るレベルにまで到達している」

『あの子、そんなに凄かったの!? ……人は見かけによらないなぁ』

「見た目が見た目だから侮られがちだけど、仕事に関しては本当に優秀なんだ。フェムトが居なければボクは未だにプロジェクトリーダー辺りでくすぶっていただろうね。……話を戻そうか。そう言った時間をもぎ取れたからパンテーラと手を組んだのさ。そして結果は、この通り。今やトップ層はほぼ能力者に対して好意的な人達で固められている状態さ。そしてボクは副社長にまでなるに至った」

「…………」

「あの駆け上がっている瞬間は本当に楽しかった。互いが敵だと分かっていながら互いの利益を追求できたあの時間は、ボクにとって掛け替えのない物だった。それに……」

「それに?」

「……パンテーラが生きていて、その上で再びボクと接触してきた以上()()()()()()()()()()()()と想像できる余地が出来ただけ儲けものなのさ」

「……?」

『あ~~……ひょっとして紫電ってパンテーラに……』

「おっと、それ以上はいけないよ。ロロ」

「……??? お前達は何を言っている?」

『「…………」』


 二人になにやら変な目で見られてしまった。

 何か可笑しかったのだろうか?


『……まあ、アキュラくんだしね』

「ボクとしては助かったと思うべきなんだけど……ちょっと複雑な気分だよ」


 その後、()()()()()()()()()()を始め喋っていない事等を含めてお互い情報交換を交わした後、オレはミチルの元へと帰還する。

 そして、療養施設へと入ろうとしたその時だった。


「ぐあぁぁぁぁぁ!」

「こっこんな奴がいるなんて聞いてな……グハ!」


 療養施設の奥からあってはならない声が響き渡った。

 オレは迷わずミチルの元へと急ぐ。

 その道中、先ほどの声の連中だった物が()()()()()()()転がっていた。

 そして、駆け行くオレの視界に蛇腹剣を携える剣士を捉えた。


「戻ったか、イクス」

『ブレイド! ミチルちゃんは、皆は大丈夫なの!?』

「問題無い。ノワがさり気無く防音機能を持たせた勉強部屋に連れて行っていたからな」

「……噂をすればなんとやらか。すまないブレイド。お陰で助かった」

「あなたからデマーゼルが生きていたと聞かされた以上、私も出る必要があると思ったからな」


 ブレイドがここに居る理由、それは普段スメラギの統治で四苦八苦しているのを見かねたコハクとロロが気分転換にとミチルの事を紹介したのが切欠だ。

 そもそもの話だが、ブレイクホイールによる転移は時間移動も兼ねている。

 僅かな休憩時間の合間にこの世界に誘い、用事が済んだらその時間に戻る等という事が可能なのだ。

 ブレイドも最初は渋っていたが、こちらでなら時間を気にしないで居られる事と、コハク達と過ごす時間も出来る事が決め手となった。

 それによってオレとブレイドの交代制ではあるが、街へと繰り出す事が可能となったのだ。

 これが出来なければそもそもオレはごろつき(テロリスト)相手にスミロドンの試験運用による外出や、コハクと知り合ったオウカの屋敷へ尋ねに行く等してミチルの傍から離れるなんてあり得ない。

 そんな事が出来る様になったのはブレイドのお陰なのだ。


「奴らはこの世界におけるデマーゼルの先兵と見て間違い無いだろうな」

「恐らくはな。だが……」

『何か気になる事でもあるの、ブレイド?』

「練度があまりにもお粗末すぎる。まるで素人に付け焼刃を持たせたかのようだ」


 そのブレイドの言葉を裏付けるかのように、ここに至るまでの壁等に戦闘痕が無かったのが相手が素人である事を裏付けた。

 この事に、オレは違和感を感じる。


「妙だな……」

「ああ。デマーゼルにしては()()()()()。ヤツならば翼戦士の一人や二人を同時に送り込んでくるはずだ。あの子には、それだけの価値があると分かっている筈だからな」

「……あまり認めたくはないが、その通りだ」


 ヤツもまた万全では無いと思えば楽なのだろうが、油断は出来ない。

 ……いっその事ミチルもオレ達の世界へ逃がせれば良かったのだが、それをすると今度は増幅されたモルフォの歌が聞けなくなり再び体調を崩し、声を失ってしまうのだ。

 こうして襲われてしまった以上、未来へ逃がすのが正解なのだろう。

 だが、逃がした後のミチルはまた部屋で閉じこもる生活に逆戻りしてしまう。

 それはきっと、浅くは無い心の傷を作る事になる。

 そんな風にオレが考えていた時、ノワが俺達の前に姿を現す。


「アキュラ様」

「ノワ、ミチルは?」

「勉強疲れでお休みになられました。今はヌルが見てくれています。アキュラ様、今の内に()()()()()を済ませましょう。考えるのは、その後でよろしいかと」

「……そうだな。この様な汚物共をミチルの視界に入れる訳にはいかん」

『「…………」』

「どうした、二人共?」

「お前がそんな風に感情的になるのが珍しくてな」

『この世界に来てから何て言うか、昔のアキュラくんに戻ってる感じがしてちょっとほっこりしちゃったよ』

「……あまりそんな目で見るな。それよりも早く片付けるぞ。ミチルが何時目覚めるか分からんからな」


 オレは少し気恥ずかしさを覚えつつも、これからの事を考えながら汚物共の処理を始めるのだった。






第二十五話 獅子王旋迅 螺旋(スパイラル)マフィア


ミッションセレクト

 

 

 

 

 ホログラム能力者にはそれぞれ出現パターンが存在している。

 

 【大型デパート】、【老朽化した化学工場(後の自動増殖プラント)】、【皇神第拾参ビル建設予定地】、【超級電波塔“ツクヨミ”】、【データバンク施設】、【第二データバンク施設建設予定地】の六ケ所だ。

 

 この事をあの時アキュラに尋ねてみた所、それらの場所は彼の居た世界において翼戦士と交戦した場所なのだと言う。

 

 既に大型デパートに居る羊のホログラム能力者である【リベリオ】と老朽化した化学工場に居るクリムのデータは集まっている為行く場所からは除外。

 

 皇神第第拾参ビル建設予定地ではあのホログラム戦車が出現していたのが理由なのか、元々そこに居たホログラム能力者は姿を現していない。

 

 なので私が向かう候補は超級電波塔“ツクヨミ”、データバンク施設(第一データ施設)第二データバンク施設建設予定地(第二データ施設)の三カ所となる。

 

 

《ツクヨミに居る翼戦士の名前は【イソラ】。【分身(コンパニオン)】の第七波動(セブンス)を持つ、生前アイドル活動をしていた女性。次にデータバンク施設に居る翼戦士の名は【バクト】。【螺旋(スパイラル)】の第七波動を持つ生前マフィアのリーダーを務めていた男性。そして最後に、第二データバンク施設建設予定地に居る翼戦士の名前は【ダイナイン】。【偏向布巾(ベクタードクロス)】の第七波動を持つ、同じく翼戦士である【インテルス】の秘書を務めていたヒューマノイド。こうして改めて聞いてみると、随分と個性的なメンバーだねぇ。……それでフェムト、先ずはどこから向かう予定かな?》

 

「先ずはデータバンク施設の方へと向かおうかと思います。あそこは世界中のデータが集まる場所ですからね。それに昨日になって協力者と思われるテロリスト達が占拠したと言うのも気になりますので」

 

《優先順位としては妥当な判断だね。それで、誰を連れて行く予定かな?》

 

「カレラに同行をお願いしようと思っています。相手は戦い方を見る限り武闘派と言っても良い相手です。戦い方もかみ合うでしょうし」

 

《カレラをあそこに連れて行くのかい? まあ、TASがあれば周辺被害は大丈夫だとは思うけど。それよりも……分かっているね?》

 

「ええ。逃げ遅れた人達の救援は最優先に、ですよね?」

 

《それもあるけど、別の事さ。アキュラから聞いた()()()だよ。カレラを連れて行く以上、この問題は避けられない》

 

「……やはり、カレラの持つ磁界拳(マグネティックアーツ)が対策されているのは厄介ですね」

 

 

 翼戦士達に共通している事が存在している。

 

 それは磁界拳に対して……正確に言えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()に対策が施されているのだ。

 

 これはデマーゼルが昔、アキュラの銃に装備されている対能力者用特殊弾頭(グリードスナッチャー)と呼ばれる装備に対して多大な脅威を認識したのが理由だとアキュラ本人が推測していた。

 

 

《カレラもとんだとばっちりだね》

 

「本人は気にしないと言うか、むしろ喜びそうなのが目に浮かびますけどね」

 

《カレラは戦闘狂な所があるからね。対策された事も自身を高める為の試練だと認識してるみたいだし》

 

「そう言う前向きな所は私も見習いたいですよ。……それじゃあ、そろそろ」

 

《うん。朗報を待っているよ、フェムト》

 

 

 私は専用回線を利用した通信を終わらせ、データバンク施設へ向かう為の準備を始めた。

 

 今回向かうデータバンク施設は施設内である事に加え狭い為、リトルマンティスの要請は無し。

 

 各種アビリティを確認し、セットを完了。

 

 後は……

 

 

「フェムト、EPの補充を忘れちゃダメだよ!」

 

「大丈夫だよリトル。忘れて無いから」

 

 

 充電器のある部屋でEPの補充を済ませた後、リトル(宝剣)を用いて変身現象(アームドフェノメン)を発動させて全ての準備を完了させる。

 

 その後、エリーゼに行ってきますの挨拶をしようと彼女の部屋へとお邪魔した。

 

 

「フェムトくん。今日もお仕事頑張ってね」

 

「エリーゼもリモート授業、頑張ってね。確か今日はテストだったと思ったけど」

 

「うん。今日のテストはフェムトくんに教えてもらった範囲の内容だから大丈夫」

 

 

 エリーゼの前居た女子高は退学扱いされてしまっていた為、私がエリーゼの面倒を見る様になって間もなくオンライン授業に対応した別の学校でこうしてリモート授業を受ける様になっていた。

 

 最初の頃は画面越しでも恐る恐ると言った感じで授業を受けていたのだが、今ではすっかり慣れて堂々と授業を受けれるようになっている。

 

 

「あ、もう始まる5分前だからそろそろ……」

 

「うん。それじゃあ行ってきます。エリーゼ。今日もなるべく早く終わらせるから」

 

「帰って来るの、待ってるからね。……いってらっしゃい。フェムトくん。ん……」

 

 

 私の額に口付けをして、エリーゼは私を送り出してくれた。

 

 ……普段はもっとすごい事をしている筈なのに、どうして額に口付けされただけでこんなにも嬉しさが溢れてくるのか。

 

 そう思いながら私はデータバンク施設へと駆ける。

 

 その道中、同じく変身現象を済ませたカレラと合流し、並走しながら情報交換を行う。

 

 

「バクト殿……でござるか」

 

「ええ、体格も良く、マフィアのリーダーを務めていたのもあって生粋の武闘派な相手です」

 

「ふむ……今日は素晴らしい一日になりそうでござるな。きっとそのバクト殿とやらは、小生に苦境と言う名の試練を授けて下さる事でござろう」

 

「磁界拳、対策されている事は覚えていますよね?」

 

「勿論でござる。小生は間違い無く不利でござろう。だがここで挑まぬのでは武士(もののふ)としての名折れであり、恥さらしでござる。……それにでござるな」

 

「……?」

 

「フェムト殿と共闘出来るのは小生、実に楽しみにしていたで候。少し見ぬ間に大きく成長を遂げたみたいでござるからな」

 

 

 私と違い、恐れる所か逆に戦意を昂らせるカレラ。

 

 その在り方をどこか羨ましく思いながら、私達はデータバンク施設に到着する。

 

 

「……カレラ」

 

「我らの戦に水を刺そうとする連中が居るでござるな」

 

「ええ。ここからはTASを使用します。データ保護も兼ねてますので」

 

「うむ。たす(TAS)とやらの力、試させてもらうでござる」

 

 

 リトルがカレラの磁界拳と同調し、TASが起動。

 

 私が持つアビリティがTASを経由してカレラに新たな力を与える。

 

 

「それでは、ミッションを始めましょう!」

 

「道先案内、よろしく頼むでござる。その道は小生が切り開くが故に」

 

 

 

 


 

STRIK

 


 

 

 

 

 先ずは入り口を占拠しているテロリスト達に対してマッピングも兼ねたEPレーダーによるロックオンを行う。

 

 それと同時にカレラが複数の小さな【電磁加速拳】を形成し、射出。

 

 それらは全てロックオンされたテロリスト達へと必中し、倒れる。

 

 周囲に敵が居ない事はEPレーダーで確認済みな為、このまま入り口を制圧し、内部へと突入する。

 

 

「むぅ……所せましとカラクリが敷き詰められているでござるな」

 

「道中は周辺被害に気を付けないといけませんね」

 

「うむ。小生が苦手な分野でござるが、これもまた試練で候。……ぬ、フェムト殿」

 

「ええ。逃げ遅れた人達が居るみたいですね」

 

 

 私は倒れていた人に対してキュアーヴォルトを施し、救助(レスキュー)を行う。

 

 どうやらこの施設で働いていた管理人の一人らしい。

 

 

「……すいません。助かりました」

 

「いえ、これも任務ですので。それで、逃げ遅れた人達は?」

 

「まだ奥に四人ほど居ます。それぞれ各部屋に立てこもっていますが、正直時間の問題でしょう。ですので、もし宜しければ……」

 

「ええ。可能な限り救援に向かわせて貰います」

 

 

 管理人から情報を得た上で私は近くのデータバンク施設へアクセスする為の情報端末をハッキング。

 

 データバンク施設のマッピングを行うと同時に私……正確にはリトルにデータバンク施設内での戦闘で失う可能性のあるデータをバックアップを行う。

 

 

(ん。これでもう大丈夫)

 

(ありがとう、リトル)

 

(……ふむ、これが「てれぱす」とやらでござるか。なんとも不思議な感覚でござる)

 

(カレラ、ここからは敵地ですのでテロリスト達を壊滅させるまで会話は基本これでお願いします)

 

(心得たでござる。フェムト殿)

 

 

 マッピングとバックアップを終わらせ、施設内部を制圧する為に本格的に動き出す。

 

 ここに居るテロリスト達は大型デパートの時と同様、大した事の無い相手だ。

 

 銃撃を鉄扇で弾き飛ばしながら鋭い突きを喉元へと加え、昏倒させた。

 

 その巨体から放たれる拳で装備諸共能力無しで体全体を粉砕する。

 

 私とカレラのコンビネーションは即席なれど、TASによる繋がりのお陰で息を合わせる事が出来ている。

 

 そして、この場に居るテロリストを殲滅した事で部屋に立てこもっていた管理人の同僚の一人の救出に成功。

 

 腕を怪我していた為キュアーヴォルトで癒し、救援する。

 

 

か……カワイイ……オホン。助けて頂いてありがとうございます」

 

「これも任務ですので。怪我の方は大丈夫ですか?」

 

「勿論です。少し弾丸を掠めた程度ですので」

 

「では、このルートを使って脱出して下さい。クリアリングは済ませていますので」

 

 

 この調子で二人目、三人目と救出に成功し、最後の四人目の居る場所ではメカ達が部屋の入口を出待ちしていた。

 

 なので、私はワイヤーガンを盾を持ったメカへと撃ち込んでハッキングを行い、周りに対して嗾けた。

 

 それと同時に私達は飛び出し、二重の不意打ちを以てメカ達を破壊し、四人目の居る部屋へと突入する。

 

 そこには多くの血を流し、今にも死にかけている管理人の同僚を発見。

 

 すぐさまキュアーヴォルトによる治癒を行うが、一度では癒え切らない為、複数回使う事で何とか一命を取り留めた。

 

 

(危なかったですね。私達の行動がもう少し遅かったら彼は助からなかったでしょう)

 

(間に合ってよかった~)

 

 

 こうして私達はデータバンク施設においてテロリスト達の戦力を壊滅させる事に成功した為、一度この人を連れて外へと脱出(エスケープ)する。

 

 既に外で待機していた別動隊の人達に任せた後、再び私達はデータバンク施設の奥に存在する第二サーバールームへと足を運ぶ。

 

 ホログラム能力者であるバクトの反応がある、その部屋へと。

 

 

『ようやく誰か来よったか! ……ほう、お前さんらが【欲深き磁界拳(マグネットグリード)】カレラ、それに異端者(イレギュラー)フェムトかい。随分といいツラしよるのぉ』

 

 

 そこには、私達を明確に認識しているバクトの姿があった。

 

 青い獅子王とも形容すべき姿をしており、見る物を圧倒させる迫力を併せ持っている。

 

 それを見た私とカレラは自然と身構え、相手の放つ闘気と呼べる物を肌で感じ取る。

 

 バクトもそんな私達を見て笑顔と言う名の威嚇を行いながら殺気を放ち、独自の構えを見せる。

 

 

『御託はいらん、っちゅう訳じゃな。ほな……ワシが持つセプティマ、螺旋(スパイラル)で、全身千々に裂かれんさいやぁーッ!!』

 

 

 

 


 

STRIK

 


 

 

 

 

 バクトはその拳に螺旋による力場を収束させながら突撃し、カレラに対してその拳を突きだす。

 

 それに対してカレラは同じく磁界拳で予め周囲の金属を収束させていた拳によるストレートで迎撃。

 

 お互いはじける様に吹き飛び、獰猛な笑みを浮かべる。

 

 バクトは闘争心に火が付いた事で、カレラは想像以上の苦難がやってきた事への喜びに対して。

 

 そんな二人の激しい衝突に負けじと私も今回は出番が無さそうなワイヤーガンからリトルが扱う鉄扇に変更し、エリーゼの訓練の際にやっていた二刀流を用いてバクトへと切り込む。

 

 今までの私ではこんな行動をする事は無かったのだが、アキュラとの戦いにおいて私自身階位が上がった(レベルアップした)事に加え、精神的な度胸も身についた為こんな行動に打って出れるようになったのだ。

 

 

『ほう! ()()()も思い切りがええのぉ!』

 

「思い切りだけではありませんよ! ハァッ!」

 

 

 切る、突く、払う、切り上げる。

 

 受け止める、受け流す、紙一重で躱す、反撃する。

 

 カレラとスイッチする様に切り込んだ私はバクトに対して何とか立ち合えている。

 

 そこへカレラが磁力による体当たりを慣行。

 

 私の鉄扇による攻撃で既にロックオンしていたバクトに直撃させ、吹き飛ばす。

 

 

『突進ならワシも負けん! 行くぜェ! オラッ! 【穿岩襲】!』

 

「ヌゥッ!」

 

「カレラ!」

 

 

 青い螺旋を纏った体当たりをカレラはモロに受け、そのまま吹き飛ばされる。

 

 

『何所見とんじゃ! アアアッ! 死に晒せェ! 【獅子嵐陣】!』

 

「チィッ!」

 

 

 私は即座にフィールアクセラレーションを使用し、足元とその反対側からの青い大竜巻を辛うじて回避しつつ余波を防御結界(パルスシールド)で防ぐ。

 

 私はゆっくりとした時間の中でカレラの元へと駆け寄り、キュアーヴォルトを用いて手当を済ませる。

 

 

(かたじけない、フェムト殿)

 

(お礼はまた後で……どうやら相手はこちらに止めを撃つつもりの様です!)

 

(ならば、小生も迎え撃つまで……フェムト殿、合わせて下され!)

 

(分かりました!)

 

 

 ゆっくりとした時間の中で、バクトは止めの一撃(SPスキル)を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

転遷が生む螺旋の流線

 

降誕双つ混沌の回転

 

仁義の許より向かうは極道

 

 

双稜螺岩穿(ソウリョウラガンセン)

 

 

 

 

 

 

 

 それに対して私はシンキングアップを発動させた上でSPスキルを()()()()()()()()()対処する。

 

 今カレラはSPスキルの準備中。

 

 身動きが取れないのでここでどうしてもバクトのSPスキルを止める必要があるのだ。

 

 無茶苦茶な事をやっていると思うかもしれないが、その位の無茶をする覚悟が無いとバクトのこのSPスキルは防ぎきれない。

 

 そんな私の迎え撃つと言う覚悟に対し、リトルが反応する。

 

 

(フェムトの想いと願い、受け取ったよ! だから、私がそれを叶えて上げる!)

 

 

 あの時と同じ様に、言霊が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

煌めくは雷纏いし城塞

 

守護の聖域よ 二重に重なり城塞と化せ

 

 

パルスサンクチュアリ

 

 

 

 

 

 

 

 バクトの放つ二つの巨大なドリル状の青い螺旋と、私が放つ聖なる雷の二重結界によって出来た城塞が衝突。

 

 互いのSPスキルは幻想的な青い粒子をまき散らしながら対消滅を起こしていく。

 

 だが、先に私の結界の方が消滅し、残った螺旋の余波が私を直撃する。

 

 後に解析して知った事なのだが本来ならば電磁結界(カゲロウ)で防げたはずの一撃だった。

 

 しかしこれまでのEP消費に加え、このSPスキルの消費も重なり発動できない程EPが枯渇してしまっていた。

 

 

(かはっ!)

 

(フェムト!)

 

(フェムト殿!)

 

(大丈夫です! それよりもカレラ、今の内に一撃を!)

 

(心得たでござる! ぬぅぅぅん……受けよ!)

 

 

 

 

 

 

糾合せし磁力 引力が爆ぜる

 

全てを望み 全てを欲し

 

奪い、掲げよ、その豪腕

 

 

超重磁爆星

 

 

 

 

 

 

 カレラから放たれた小さな黒い球がバクトへと直撃し、それはやがて大きくなっていく。

 

 それと同時にフィールアクセラレーションが切れ、私達の体感時間が元の時間の流れに戻る。

 

 

「無駄じゃあ! おんしの攻撃は対策済みじゃけぇ!」

 

 

 動きを止めながらも、ダメージがあまり入っていない様子のバクト。

 

 だけど、対策済みな事も私達の中では予測の範囲内。

 

 これでカレラが終わるはずが無いのだ!

 

 

「そんな事は百も承知! この重力は、ただの呼び水で候! さあ受けよ! 小生達の新たなる力を!」

 

 

 

 

 

 

極限に収束されし我が磁力

 

集めて集めてまだ集め

 

いざ解き放て、極光の光

 

 

爆縮開放 極超新星(ハイパーノヴァ)

 

 

 

 

 

 

 超重磁爆星によって発生したブラックホールを更に極限まで圧縮。

 

 そして、圧縮した力をパルスサンクチュアリによるロックオン対象者であるバクトに対して解き放つ、S()P()()()()()()()()()()S()P()()()()

 

 カレラだけでも、私だけでも出来ないであろう暗闇から生まれた極光がバクトを飲み、断末魔を上げる事も許さずに消滅させた。

 

 こうして私達はバクトを相手に何とか勝利を収める事に成功するのであった。

 

 

 


 

CLEAR

 


 

 

 

 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




〇紫電がパンテーラに拘っている事について
フェムトが稼いだ時間を利用して利害が一致したパンテーラと組む事で最終的に副社長へと上り詰めることが出来た為、彼女に対してかなり特別な感情を持っていたりします。
その感情が何なのかは現段階では読者の想像に任せますが、アキュラから話を聞いた前と後とで変化を起こしているとだけは言っておきます。

〇紫電がパンテーラの正体を見抜けなかった事について
紫電はパンテーラの事を「エデンのスパイ」である事は分かっていましたが、「エデンのリーダー」である事は流石に見抜けませんでした。
普通に考えるとリーダーが直接スパイ活動っておかしい……おかしくない?

〇紫電がパーティーでパンテーラ本体と会っていた事について
休暇編第八話でフェムトが女装した時の富裕層を持て成すパーティーで出会っています。
ちなみにどう富裕層としての体裁を整えたのかと言うと、日本国内の皇神グループ関連企業の一つを乗っ取る形で実現しています。
何気に休暇編第六話で出てくるフェムト視点での「私よりも年下の女の子」がパンテーラ本体だったりします。

〇ブレイドが参戦した件について
彼女の贖罪もかねたスメラギの運営を見ていたロロとコハクに自分達が出かけている世界で友達になったミチルと作中では書きませんでしたがオウカを紹介して癒されてもらおうとしたのが切欠でこの世界へ。
アキュラと交代でミチルの護衛を請け負っており、そのお陰でアキュラは外出する事が出来る様になっている。
なお、ミチルとオウカとは大分仲良くなれている。
後にデマーゼルが暗躍している事が分かった為、知った後の護衛の際は嘗ての装備を身に纏って気合を入れて護衛している。

〇死にかけの管理人の同僚について
ミッション攻略に手間取るとここの同僚は死亡する。
生存しているとミッションクリア後に新しいノーマルスキルを習得する。

〇鉄扇の持ち替えについて
ミッション中左手のワイヤーガンをリトルが持っている鉄扇に持ち帰る事が可能。
鉄扇の二刀流は攻撃回数とガードポイントが増える為、近接戦闘する際は持ち換えていると有利に戦える。
開放方法は【エリーゼと特訓】を開放して一度選択する必要がある。

〇パルスサンクチュアリについて
GVでいう所の【スパークカリバー】のポジションに位置するフェムト第二のSPスキル。
範囲内に居る味方と自分を守護する雷の聖域で作られた城塞によって守りつつ触れた相手を吹き飛ばす。
永続ロックオンも勿論完備している。
今回の対消滅と言う表現は、所謂ゲームにおけるSPスキル発生時間による無敵時間を表現した物で、今回の場合は双稜螺岩穿の発生時間が僅かに長かった為防ぎきれなかった、みたいな感じです。
SP3とEP500消費するフェムトにとっては大技である為、正に切り札的SPスキル。

〇爆縮開放 極超新星について
カレラの磁界拳が対策されていた為、バクトとの戦闘の間にカレラが閃き、発動させたSPスキル。
超重磁爆星を爆発四散させずに更に圧縮し、それの開放エネルギーをTASによる永続ロックオンで誘導する事で対象を消滅させる。
このSPスキルはフェムトの永続ロックオンと超重磁爆星が前提のとても贅沢な物で、それが理由でSPスキルの名前にカタカナが含まれている。
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