ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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第二十六話 インターミッション(四回目)

 

 

 

 

 バクトの消滅を確認した私は思わず座り込んでしまう。

 

 戦闘の緊張感に加え新しいSPスキルの発動と、螺旋の残滓に直撃してダメージを受けていた事が重なった為だ。

 

 

「フェムト殿!」

 

「大丈夫だよカレラ。ちょっと気が抜けちゃったのとEPがほぼ無くなっちゃっただけだから」

 

「それならばよいのだが……」

 

 

 カレラと私との合体SPスキルと呼べる【爆縮開放 極超新星(ハイパーノヴァ)】は確かに威力は凄まじく、正しくロックオンした状態のバクトを撃破した。

 

 だが、その威力があまりにも大きすぎた為、バクトを撃破しても尚有り余るエネルギーの余波がサーバールーム内で巻き起こる。

 

 結果、数あるメインサーバーの内の一つが完全に破壊されてしまったのだ。

 

 

「相手が手練れ故そこまで気にする事が出来なかったでござる。本当に申し訳ない事をしたで候」

 

「大丈夫ですよカレラ。突入前にバックアップも取っていますし、データそのものは無事です。それにここのサーバールームがバクトに占領されてからこうなってしまってもいい様に前もって手配してましたので」

 

 

 ただ、不幸中の幸いとしてこのサーバールームは老朽化していたので元々新しいサーバーに変える予定があった事に加え、サーバールームその物が極めて頑丈に出来ていたのが理由で巻き起こったエネルギーによる被害が部屋内に収まった為、被害は最小限に抑える事に成功している。

 

 まあ、その始末書やその他諸々の手配は情報管理部門が担当する事になるのだが……

 

 そろそろ向こうのタスクも溜っている頃なので、一度様子を見た方がいいだろう。

 

 

「ともあれ、そろそろ戻りましょう。私も動ける位には回復しました」

 

「うむ。ここで長々話をしていても邪魔になるだけでござるからな。小生達は戻るとしよう」

 

 

 そう言いながらカレラは私の事を自然にお姫様だっこをする。

 

 私はこの事に恥ずかしさを覚えながら大丈夫と抗議したのだが、降ろしてくれる気配が無い。

 

 それ所か、逆に私が諭される事となった。

 

 

「フェムト殿は自分が思っているよりもずっと消耗しているで候。EPが無いという事は傷を癒す手段が無いという事。素直に大人しくしているでござる。何、電力を補充できる場所まで運ぶだけでござるよ」

 

 

 ここからEPが補充できる場所と言うと……まず、データバンク施設内の電源を使うのは万が一を考えるとやめた方がいいだろう。

 

 そうなると、外にある電柱までと最初は思ったのだが、私がこの様な状態で電柱に登らせる事はカレラはしない。

 

 一応私達の基地に迎えの連絡を入れる手があるのだが、それだと我が家に戻る時間が遅くなってしまう。

 

 このままカレラに抱っこされたままなのは恥ずかしい。

 

 だけど、エリーゼに早く会いたい。

 

 私の答えはこの二択を迫られた時点で決まっていた。

 

 

「…………よろしくお願いします。カレラ

 

「うむ。任せるで候」

 

 

 私は結局基地までカレラに抱っこされる形となった。

 

 その道中、データバンク施設を出て管理人の人達と会い、第二サーバールームの惨状を伝える。

 

 

「このような惨状を許した事をお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」

 

「そんなに畏まらないでください! フェムトさんは私達を助けて下さいました。それだけでは無く、データの保護までして頂いたのですから私達が責める理由は御座いません」

 

「それにあそこは元々老朽化が進んでいたのです。却って丁度いいですよ。それに……そこまで負傷して戻って来た恩人を責める程、私達は人でなしではありません」

 

 

 正直罵倒の一つや二つは覚悟していたのですが、ここの人達はそれをせずにいてくれた。

 

 私が社内の仕事をしていると、よくそう言った理不尽なクレーム等で対応に追われる事もあり、それが理由で心を壊しかけた人も多く居たので、この対応は本当にありがたいと思う。

 

 

「それに貴方は元々私達寄りの人間ではないでしょうか? そうでなければ事前にこの様なデータ保護なんてする発想はまずありえません」

 

「そうですね。元々は情報処理が専門です。今は色々と事情があって兼業をしている形になっていますが」

 

「……貴方はもしや、噂に聞く【皇神の電子姫】ではありませんか?」

 

「はい? そんな事は無いと言うか、そもそもその様な異名は聞いた事が無いですよ」

 

「……そうですか。いえ、最近皇神グループ内で噂になっているんですよ。あの若き副社長を陰で支えた大変見た目麗しい()()の存在が」

 

「なんでも、今までパーティー等で表に出てこなかったのが急に表に出てきたのが切欠で噂が広がったみたいなんですよ」

 

 

 パーティー……ひょっとしてあの時の!?

 

 以前、紫電に頼まれて女装して裕福層のパーティーに出席した事があった。

 

 それは元々紫電に対するハニートラップ対策であったのだが、これが思いのほか上手くいってしまったらしい。

 

 その事が切欠で私の存在がそう言った層に周知され、陰で役職等も調べ上げられ、その結果この様な異名が生まれてしまったのだろう。

 

 私は会社ではほぼリトルと変身現象(アームドフェノメン)している為、常に女装をしていると言っても過言ではない。

 

 その上私自身の普段着の時も主に蓄電用のアクセサリーを多く身に付けている関係上、見方次第では十分女性に見られても不思議では無いのだ。

 

 

「そ、そうですか。そんな噂があったのですね」

 

「最初見た時はてっきり貴女がそうなのだと思っていたのですが……いやはや、人違いだったみたいで。……申し訳ありません。怪我を負っている状態で長々と引き留めてしまって」

 

「いえ、この位能力者部隊の間では日常茶飯事ですよ。では、私達はこれで……と、その前にこのデータチップを受け取ってください。保護したデータを閲覧できますので、復旧に使ってください」

 

「ありがとうございます」

 

「では今度こそ、私達はこれで……カレラ、お願いします」

 

「うむ。任せよ、フェムト殿」

 

 

 その後、管理人の人達に別れを告げ、基地へと戻る事となった。

 

 カレラの腕の中で任務の終わりにホッとしているのと同時に、先ほどから黙ったままなリトルが心配になった為、声を掛ける。

 

 

(リトル)

 

(…………フェムト……私……頑張ったけど、ダメだった……フェムトに、怪我、させちゃった……

 

(戦いである以上、こうやって怪我をするのは当然の事です)

 

(でも! でもぉ……)

 

(EPを使い切って怪我をする今回の様な事はいつか必ず起こる事でした。反省しなければならないのは私の方です)

 

(フェムト……)

 

(道中のペース配分を考えればよかった。予備の携帯バッテリーを持ってくればよかった。アクセサリーを改良して蓄電量を増やせばよかった。私が気を付けるべき反省点はいくらでもあるのです。……リトルは私に対して最善を尽くしてくれました。そうでしょう?)

 

(……うん)

 

(そのお陰で私もカレラも無事ですし、目的も果たせました。なのでこれから私達がするのは今回の戦闘の反省と改善です。それと、少し前に忍者さんに言われた事を覚えてますか?)

 

(「自身の足りぬ所を自覚し、克服する。それを繰り返して人はやがて一人前となるのです」……そう言ってた)

 

(そう。私達は生き残り、今回改めて足りない所を自覚出来ました。そして、私達は克服すると言う意思がある。この時点で私達は十分元は取れているんです)

 

(……うん)

 

 

 やっぱり、リトルは新しく覚えたSPスキルで防ぎきれなかった事を気にしていた。

 

 第七波動(セブンス)達は「宿主の役に立ちたい、守りたい」と言う本能が存在する。

 

 なので、今回の様に第七波動側が全力を出しても尚宿主を守れなかった事に対して深く心の傷を負ってしまう。

 

 しかも今回のパターンは新しいSPスキルを覚えてもなお怪我を負わせてしまった事が、リトルにとって私では想像も出来ない程のとてつもないショックとなっているのだ。

 

 それだけでは無く、リトルは私自身の心の傷とも連動している。

 

 私がニコラに捨てられたのではと考えていた時期に出来たそれは、リトルに更なる精神的な脆さを作ってしまった。

 

 

(リトル、多分リトルの事だからこれだけ私が言っても気にしないだなんて事は出来ないと思います)

 

(……ん)

 

 

 リトルが欲しがっているのは慰めの言葉ではない。

 

 本当に欲しがっている物は、別にある。

 

 それは……

 

 

(なので……帰ったらリトルに()を与えようと思います)

 

(……!!)

 

 

 この罰と言う言葉を聞いた瞬間、リトルから喜びの感情が濁流の如く流れ出した。

 

 リトルが恐れているのは私やエリーゼに捨てられてしまう事。

 

 そもそも罰を受けると言うのは期待されていた事への裏返しでもあり、確実に次に期待すると言うある種の側面が存在する。

 

 自身の罪悪感を浄化し、その上で捨てられる事は無いと確信できる行為。

 

 リトルにとって罰とはそう言う事なのである。

 

 この事を体感したのは恐らくお風呂場でエリーゼに怒られた時だ。

 

 あの真剣に、尚且つ静かに怒られたと言う罰を知ったリトルは表面上落ち込んではいたが、内心喜んでいた。

 

 何故なら、普段誰かに真剣にリトルの事を想って怒られるなんて事が無かったからだ。

 

 そう言う意味では私もリトルを甘やかしてばっかりであると言う事実も突きつけられた為、反省しなければならないのだが。

 

 よって、今回はその反省を生かして私はリトルに罰を与える事に決めたのだが、私がエリーゼみたいに怒るのは今の時点では難しい。

 

 そもそも私は職場でミスをした部下に対しては怒るよりも先ずは寄り添い、その上で諭すような方法で対応している。

 

 これは端末経由で尚且つスキルによる疑似人格を用いて対応している為、このような事が可能なのだ。

 

 それに、ついカッとなってしまう事も変身現象しているとそう言った昂った感情を抑制する事が出来る為、そもそもそう言った機会が無い。

 

 なら蓄積されたストレスはどうしているのかと聞かれると……その、色々な方法で発散しているのだ。

 

 そう、色々と。

 

 

(フェムトの(おしおき)、待ってるからね)

 

(……うん)

 

 

 リトルにこう言われてしまった以上、手は抜けない。

 

 よって、帰ったらネットで色々と調べてみよう。

 

 そう思いながら、私はカレラに抱っこされつつ帰路に就くのだった。

 

 ……後にリトルは私が与える罰のお陰で精神が安定するようになるのだが、その過程が色々とアレなので、また別のお話となる。

 

 

 

 


トークルーム

 

 

 

 

「ロロがモルフォに挑戦状を叩きつけて、最終的にコラボも約束した……と」

 

「ええ。正にあっという間の出来事でしたよ。最初は喧嘩していたのに、あっという間に仲良くなってしまって」

 

「正直嬉しい誘いではあるのですが、今は時期が悪いですね。一応紫電にも連絡はしておきますが……あまり期待しないで下さいね」

 

「モルフォの歌も、ロロの歌も私は大好きだから早く実現して欲しいなって思ってるんだけどね……」

 

「そうなんだ、二人共……折角ロロと約束出来たのに……」

 

「まあまあシアン。ロロの方ももっと有名になったらって言ってたから時間的猶予はある筈だよ」

 

『ならその間、アタシ達は更に磨きをかけないといけないわね』

 

 

 今GV達から話を聞いている内容、それは以前GVが助けた女性オウカの屋敷でロロとシアンが遭遇し、色々あって最終的にコラボしようと言う約束をした事だった。

 

 普段なら諸手を上げて喜ぶ話なのだが、先の話の様に今はデマーゼルへの対処を優先している為、現時点でコラボ企画が実現するかは不透明。

 

 実現すれば本格的な打ち合わせもしたいし、なんなら()()()()()()を作成してもらうのもアリだ。

 

 そんな風に話し合っていると、エリーゼが私達の為にお茶と和菓子をテーブルへと運んでくれた。

 

 

「はい。どうぞ。羊羹と金鍔(きんつば)、あんみつもありますよ」

 

「わぁ……エリーゼ、ありがとう♪」

 

「やったぁ♪ 甘くて美味しい和菓子だぁ♪」

 

「ありがとうございます。いつもシアンが来ている時に出してもらって、助かります」

 

「いえいえ、喜んでもらえたなら何よりですから。……はい。フェムトくんの分」

 

「ありがとう、エリーゼ」

 

『むぅ……こういう時、アタシは除け者になっちゃうのよね』

 

「仕方ないよモルフォ。実体が無いんだもん。……はむ。……っ! うーん♪ 美味しい!」

 

『ちょっとシアンったら! いつもそうだけど、これ見よがしにアタシの前で羊羹食べるのズルいわよ!』

 

「あはは……」

 

 

 そんなやり取りを微笑ましく見ながら私はエリーゼの出したあんみつを一口。

 

 ……うーん、これは。

 

 

「エリーゼ、これってひょっとして手作りだったり?」

 

「あ、フェムトくん正解」

 

「えぇ!? これ、エリーゼの手作りなの!?」

 

「味と見た目がお店の物とあまり変化が無いから気が付かなかったよ……」

 

「フェムトくんが良くお土産にお菓子を買って来てくれてる事が切欠でわたしもやってみたいって思ったんです」

 

「器は私が買ってきた物の中で再利用出来そうなのを使っていますね」

 

「あんみつおいひぃ(おいしい)~♪」

 

 

 そう言いながらエリーゼは私の口に一口サイズにカットされた竹串で刺した羊羹を自然に差し出し、私はそのまま頬張り味を楽しむ。

 

 冷たく甘すぎず、それでいて滑らかな口触りが心地よい。

 

 そうやって味を堪能していたら、三人が凄い目で私とエリーゼを見ていた。

 

 まるで何か見てはいけない物を見たかのようなその視線。

 

 その視線にエリーゼは何かを勘付き、ハッとした表情で顔を赤くしながら顔を俯かせた。

 

 そんなエリーゼを見た瞬間、私もその理由に思い至る。

 

 

「あ……。えっと、これはですね……」

 

「あぅぅぅぅぅぅ……」

 

『あ、貴方達、何時の間にそんな関係になったの!?』

 

まさか先を越されちゃうなんて……そんな……

 

「流石にちょっと驚いたよ。……これって、()()()()()()()()()()()()

 

 

 三人から「私、興味あります!」と言わんがばかりの視線が突き刺さる。

 

 その視線から逃れる様に目線を横に向けると今度は金鍔を頬張っているリトルの姿があった。

 

 こんな状況でも笑顔で金鍔を頬張れるリトルの図太さがある意味羨ましい。

 

 ……いや、そもそも私達が結婚を前提とした付き合いをしている恋人同士である事は隠してはいないのだ。

 

 やましい事は何もないのだから、堂々と公言すればよい。

 

 それに、こういう時は私が矢面に立つのが筋と言う物。

 

 故に、私はGVからの問いに改めて視線を戻した上で自信を持って、胸を張って、誇る様に答えた。

 

 

「ええ。そう言う事です。私達は結婚を前提のお付き合いをしています」

 

『「きゃ~~♪ やっぱり貴方達そう言う関係だったのね!? 最近同棲生活始めたって聞いてたから怪しいって思ってた()!」』

 

 

 私の答えに対してシアンとモルフォは同一人物である事を示すようにシンクロして騒がしく声をハモらせた。

 

 しかも動きまでシンクロしていた為、その迫力に思わず引いてしまいそうになる。

 

 ただ、GVの方は落ち着いた反応を返してくれたので一安心と言った所なのだが。

 

 

「やっぱり……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それでそれで、どっちが告白したの!?」

 

フェムトくんはあそこまで堂々と言ってくれたんだから、わたしもしっかりしなきゃ……! えっとね、フェムトくんから告白されたよ」

 

『どこで!?』

 

「それは内緒。だってフェムトくんが見つけてくれた私達だけの場所だから……ね」

 

『あぁ……それいいわねぇ~♪ それでそれで、貴方達、そこまで堂々と言えるんだからキスくらいは済ませてるわよね!?』

 

「ちょっとモルフォ。そこまで突っ込んだ話は聞かなくていいんじゃ……」

 

『GV止めないで! 今大事な話をしているの!』

 

「そうだよ! 今の質問はとっても重要なんだから!」

 

 

 あまりの二人の迫力にGVもタジタジである。

 

 ……まあ、キスしてるかしてないか位は言っても大丈夫だよね?

 

 横目でエリーゼをチラリと見る。

 

 エリーゼも同じように私を見ていて、頭を少しだけ上下に動かす。

 

 

「勿論告白と同時に済ませましたよ」

 

『どんな風に!?』

 

「こう、フェムトくんが両手でわたしの頬をそっと包んで背伸びして……」

 

わぁ……いいなぁ……

 

 

 流石にファーストキスした時の状況の説明は恥ずかしかったのか、エリーゼは途中から顔が再び赤くなって声を小さくして俯いてしまった。

 

 それに対して、シアンとモルフォは水を得た魚の如くグイグイと押していく。

 

 それを同じように聞いていたGVはシアン達とは対照的に顔を逸らしながら耳を赤くしている。

 

 ……巷では無敵の蒼き雷霆(アームドブルー)と言われているGVも、恋愛話に対しての免疫はあまり強く無い様だ。

 

 

『そ、それでなんだけど……エリーゼ』

 

「な、なんでしょうモルフォさん」

 

『キ……キス以上の事は、してたりするの?』

 

「えぁう!? そ、それは……その……」

 

 

 流石のモルフォも恥ずかしかったのか、顔を赤くしてちょっと躊躇う口調でエリーゼに質問を投げかけた。

 

 対するエリーゼは流石に其処まで踏み込んで来るとは思わなかったのか、思わず奇声を上げてしどろもどろになってしまっている。

 

 そんな二人の様子をシアンとGVが黙って見守っている。

 

 ……流石にこれは、ちょっとマズイのではないだろうか?

 

 ハッキリ言えばエリーゼと()()()()()()()はしている。

 

 それ所か、リトルも巻き込んでしてしまっている。

 

 流石にこの事がバレるのはちょっと避けたい気持ちが私にもあるのだ。

 

 でも、エリーゼのこの態度が既に答えを言っているのと同じなのではと諦めの気持ちもある。

 

 それにここで私が口を挟むのも答えを言っている様な物ですし、ここはもう、正直に話すしか……

 

 そんな風に思いつつ、諦める様に私が口を開こうとした時、白熱した質問攻めの熱を一瞬で覚ます出来事が起こる。

 

 

「むぐむぐ……ふぅ。ごちそうさま~♪ エリーゼ、和菓子美味しかったよ~♪」

 

『「「「あ……」」」』

 

「リトルちゃん、一人で全部食べちゃったの!?」

 

 

 私達が恋愛話に夢中になっている内に、リトルが皿に分けられていた羊羹等の和菓子を全部平らげてしまった。

 

 残っているのは個人の各器に盛られているあんみつのみ。

 

 

「あぁ~~!? 私の羊羹が、金鍔がぁ……」

 

「だ、大丈夫ですよ! 多めに作りましたので、まだ冷蔵庫に……」

 

「食べた」

 

「え?」

 

「皆お話に夢中だったから、食べた」

 

「え?」

 

「私の事、除け者にするのが悪い。あんみつに手を出さなかっただけ、ありがたいと思って欲しい」

 

「そ、そんなぁ~……」

 

『これはアタシ達が悪いわね……ごめんなさいリトル』

 

「ボクからも謝るよ。ごめんね、リトル」

 

「ん。次からは私も相手にしてね」

 

 

 珍しくリトルが怒っている事を和菓子を食べつくす形でアピールされてしまった為、ここで恋愛話はお開きとなる。

 

 この後、私をイスにする形でリトルを抱っこする事で機嫌は元通りとなり、今度はリトルも会話の輪の中に入り、別の話で盛り上がった。

 

 その際、モルフォが先ほどの和菓子を食べている様子を見て『アタシもいつか生身の身体が欲しいわねぇ……』と言っており、実際に生身の身体が後に出来る事になるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 


 

 

エリーゼとの心の繋がりを感じた

 

 


 

 

 

 


情報解析

 

 

 

 

 エリ-ゼから出された麦茶を頂きながら、バクトとの戦闘データの情報解析を進めている。

 

 今回も私自身、かなり反省させられる戦闘及びミッション内容であった。

 

 

(今回の件はデータ保護の関係上電力を施設内から補充する訳にはいかなかった。その事を考えて最悪でもキュアーヴォルトが最低一度でも扱える程度の小型バッテリーを持ち歩くべきでした。それに、そろそろ私が今使っているアクセサリーも更新しないとダメでしょう。それが出来ればペース配分にももう少し余裕が出るはず)

 

 

 先ずはアビリティを構築する前に、それ以外で解決出来る事をまとめ上げる。

 

 その上で、改めてアビリティを組み上げる。

 

 反省をし、次に生かし、改良を施す。

 

 そして、己の糧とする事で明日を生きる力と自信を得る。

 

 恐らくこれからも私は失敗をし続けるだろう。

 

 だけど、その度に私は何度でも立ち上がって見せる。

 

 そんな風に決意を固めながら作り出したアビリティはこんな感じだ。

 

 

(SPスキルの効果を上げる【SPアップ】、SPスキルの消費を抑える【SPセーブ】、SPスキル発動中から終了直後までダメージを軽減する【SPザンシン】、近接攻撃のダメージを軽減する【ニアーレジスト】)

 

 

 主にSPに関わるアビリティを多く作成することが出来た。

 

 私も今やSPスキルを二つも取得している身だ。

 

 なのできっと役に立つだろう。

 

 そして、今回のデータ収集によって全体の六割ほどのデータ解析が完了。

 

 その為、TASの方にも参考に出来そうなデータも発掘出来た為、それを改めてプログラミングを開始する。

 

 そして出来上がったのは、私個人では待望の第七波動以外ともTASで接続できるようになるアビリティ【マイナーズリンク】だ。

 

 これでまた一つTASは紫電の要望を満たすことが出来る。

 

 なので近い内にテストをしたいが、それはもう既に予定に組んである次のホログラム能力者からデータ収集をするまでお預けだ。

 

 それまではこのアビリティを寝かせてしまう事になるだろうが、接続テストをお願いしたい頭領さんの都合を合わせる期間と考えればちょうどいい塩梅になるだろう。

 

 

 

 


 

 

GET ABILITY SPアップ SPセーブ SPザンシン ニアーレジスト マイナーズリンク

 

 


 

 

 

 


出社

 

 

 

 

 最初の出社から日が経っている為、私は様子を見る事も兼ねて情報管理部へと足を運ぶ事を決めた。

 

 出かける前のエリーゼのお弁当も受け取り、それだけでなく最近お菓子作りに凝っているのもあり今回は季節の果物盛り沢山の手作りゼリーも手土産にしている。

 

 いつも思う事だが、こうしてお弁当が貰えるのは本当にありがたい。

 

 私の為に時間を作ってくれているのだと思うと、心が温かくなってくる。

 

 

「フェムトくん、良かったら職場の人達から感想も聞かせて貰えると嬉しいな」

 

「分かったよエリーゼ。じゃあ、行ってくる」

 

「エリーゼ、行ってくるね!」

 

「いってらっしゃい、フェムトくん。リトルちゃん。ん……」

 

 

 エリーゼは私の額に口付けを落とし、私達を送り出す。

 

 この額の口付けは、もう当たり前にするようになっていた。

 

 少し離れた後振り返り、私達は手を振る。

 

 それに合わせ、エリーゼも笑顔で私達を見送った。

 

 いつも通りの道を歩く私達。

 

 会社への道のりは私達にこれから始まるであろう一日を暗示させる。

 

 時刻は丁度始まる十五分前程の時間。

 

 私達は無事何事も無く会社へと辿り着き、受付のお姉さんに挨拶を済ませる。

 

 

「おはようございます」

 

「おはようございま~す!」

 

「おはようございます。フェムトさん、リトルちゃん。今日も相変わらず情報管理部門はてんやわんやですよ。それにしても……無事な姿を見れて本当に良かったです」

 

「……? 何か変な噂でも流れましたか?」

 

「ええ、何でもフェムトさんが負傷したと言う噂が流れまして……」

 

「(あぁ、カレラに抱っこされた時の姿を誰かに見られたんですね)……大丈夫ですよ。ほら、見て下さい。これが負傷している様に見えますか?」

 

 

 私はくるりとその場で回り、怪我が無い事をアピールする。

 

 そんな私の姿を見て受付のお姉さんは「はうっ!」と胸を抑える様にうずくまってしまった為、今度は私が心配する事態になってしまった。

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

不意打ちは卑怯ですよフェムトさん。……ごちそうさまです……ええ、大丈夫です。ちょっとびっくりしてしまっただけですので」

 

「じゃあ、私達はもう行くね、お姉さん!」

 

「っとその前に……このゼリー、良かったらどうぞ」

 

「わぁ……手作りなのは分かりますけど、良く出来てますねぇ~」

 

「もし良かったら後で感想を下さい。()()エリーゼがお土産に作ってくれたゼリーなんです」

 

「……ぇ? ぁ? ぇ?」

 

「……お姉さん?」

 

「ああうん大丈夫よフェムトさん! 行ってらっしゃい! そ、そんな……フェムトさんに彼女らしき人の影が……! こうしてフェムトさんもオトナになって行くのね……

 

「……?」

 

 

 受付のお姉さんにゼリーを渡した後、私達は情報管理部門へと足を踏み入れた。

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「………………ふぅ」

 

 

 皆、黙々と作業を進めている。

 

 が、その様子をよく見ると一部のベテランを除いて皆目が虚ろになっていた為、私は急遽大きく声を掛ける。

 

 

「皆さん! お疲れ様です!」

 

「ぁ……あぁ……」

 

「これは幻覚かな? フェムト先輩の姿がミエルヨ……」

 

「……おう。何とか持たせたぜ、フェムト」

 

「フェムト、先ずは皆を回復させないと!」

 

「ええ。リトル、変身現象(アームドフェノメン)を」

 

「ん!」

 

 

 リトル(宝剣)を開放し、部下達一人一人にキュアーヴォルトを施す。

 

 施された部下の皆は正気を取り戻し、涙ながらに私の帰還を喜んだ。

 

 

「ブェ゙ム゙ドざん゙~~! ぶじで、ぼん゙どゔに゙ぶじでよ゙がっ゙だよ゙ぉ゙~!!」

 

「うぅ……フェムト先輩がもうダメなんじゃないかって噂が飛び交ったから、私達昨日からずっと家に帰らないで頑張ってたんです~!」

 

「……情報管理部ではお前が負傷した事で噂が持ちきりだったからな。だから皆、このザマだった訳さ」

 

「それは……心配を掛けました。ですが私はこの通り大丈夫です。皆さんは一先ず休憩に入って下さい。昨日からずっと居たと聞いた以上、これ以上の無茶は許しません。ああそれと、いつもの机の上にコーヒーの入った魔法瓶を、冷蔵庫に手作りゼリーを置いときますね。休憩が終わって一息入れたら食べてみてください。それじゃあ後は私が引き継ぎます」

 

 

 そうして部下の皆を休憩させ、私は皆の仕事を引き継いで作業を開始する。

 

 進捗状況は……前よりもずっと片付いていた。

 

 時間効率的にも前回のアドバイスが効いたのかより改善されており、順調に私が居なくなった際のリカバリーが少しづつ出来つつある。

 

 この事を私は嬉しく思ったけれど、同時に少し寂しさを感じた。

 

 このペースならば、やがて私無しでもやっていけるようになる日が近い、そう思いながら。

 

 

 

 


 

 

GET 20000MG 

 

情報処理部門Lv2→Lv4up!

 

 


 

 

 

 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。





〇サーバールームの惨状について
原作においてカレラ戦の後でデータが破壊された所のリスペクト、所謂お約束と言う物です。
但し、今回はフェムトが事前にデータの保護をしていた為被害は物理的な物に抑えられています。

〇皇神の電子姫について
紫電がフェムトを女装させた時に付けられた女装フェムトの二つ名。
裕福層のパーティーに出席した事で背後関係を調べ上げられ、その様な異名を付けられてしまった。

〇罰について
一言で言えばいつも優しくされているが故の反動。
怒られる事を望むのはより強い感情を潜在的にリトルが欲している事も背景に存在している。
なのでエリーゼに初めて怒られた時はこの感情にリトル本人は戸惑っていた。
だけど、そんな感情をフェムトに看破させられ、罰を与えると言われた瞬間この感情に気が付く、と言った感じです。
……ええ、番外編案件なのでお察しください。

〇デュエット曲について
一体どんな曲になるんだろうねぇ……
まあ原作監修済みなら分かると思います。
「貴様は独り寂しく、ハミングでも口ずさんでいるんだな!」って事には少なくともなりません。どうか安心して欲しい

〇マイナーズリンクについて
トゥルーエンド必須のアビリティ。
習得すると第七波動だけで無く、人間やAIを始めとした意思を持つ存在と接続が可能となる。
「能力者」とでは無く、「人間」と接続が可能になるのがポイント。

〇受付のお姉さんについて
密かにフェムトの事を狙っていた受付のお姉さん。
フェムトが結婚可能な年になったら告白する予定だったのだが彼女(エリーゼ)の存在を会話から感じ取り、あえなく撃沈する。
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