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バクトを撃破し、無事にデータの収集を終えた数日後。
次に向かう場所である超級電波塔“ツクヨミ”の近くで今回同行するメラクと合流する為、予定よりも少し早く訪れていた。
(ここがツクヨミかぁ……)
(イオタが何時も守ってる【大電波塔アマテラス】の兄弟塔ですね。最近完成したばっかりだったんだけど、よりにもよってそのタイミングでホログラム能力者が現れたんですよ)
(えっと、確か
(ええ。なんでも翼戦士と兼業でアイドル活動をしていたとか言ってましたね)
情報提供者であるアキュラとロロからの情報によると、彼女は生前翼戦士として働く事を条件にスメラギから様々な形でサポートを受けていたと言う。
その時のイソラ本人曰く、【翼戦士系★アイドル】を自称しており、アキュラ達の世界に居る
惜しむ声が多い理由に関してだが、これは向こうの世界ではイソラは「翼戦士として死亡した」と発表されておらず、「無期休止」と発表されているからだ。
これはデマーゼルによる情報操作が主な理由なのだが、本当の事を知らせるとアキュラ達に危害が加わる可能性を考えて新しい統治者はあえてそのままにしているとの事。
そんな彼女の持つ能力の名前は
人型のエネルギービットや本人そっくりなデコイを自在に動かし、それと合わせて
その代わり防御面は脆い為、今回の人選はメラクを選択したのだ。
そんな風に考えながら時間を待っている時、メラクから連絡が届く。
「どうしたんですか? メラク」
《そっち行くのメンドイ》
「えぇ……」
《って言うかさ、ボクがそっち行く必要ってあるの?》
「それは……そう言えばそうですね。TASの方をちょっと弄れば遠距離接続も出来る筈ですので」
《だよねぇ……聞いといてよかったよ。危うく外に出るなんて面倒をする所だったよ》
メラクの第七波動である
なので、TASで接続してしまえばメラク本人は動かずに、かつ一方的に攻撃に集中することが出来る。
それはさながらシューティングゲームの様に。
なので、TASに遠距離接続用のプログラムを急遽作成する。
まだ出発前で敵地に突入している訳では無い為、余裕を持ってプログラミングが可能だ。
……よし、これで遠距離接続が可能になった筈。
「メラク、終わりましたから接続しますよ」
《りょーかい。……ふぅん。これがTASか。これはボクとかなり相性がいいシステムだねぇ》
「ええ。亜空孔との相性はかなりいいと思いますよ。……では、出発します」
STRIK
今回の施設はリトルマンティスの使用はデータバンク施設と同じように場所が場所だけに出来ない。
なので私単独での潜入となる。
(フェムト、大丈夫なの?)
(今回は前回の反省を生かして小型バッテリーを持ち出しましたし、アクセサリーの更新も終わっています。それに、今回の場所はEPの補充ができる筈ですのでペース配分を間違わなければ大丈夫です)
(……気を付けてね、フェムト。私も頑張るから。それと昨日覚えた【シールドヴォルト】と【スピードヴォルト】、ちゃんと発動させてね。一度使えば
(分かったよ。リトル)
二つの新たなノーマルスキルを発動させ、地上に存在する搬入経路から静かに潜入する。
この単独潜入は最初のミッションである大型デパート以来。
なので私自身の小柄な体と能力を駆使し、ツクヨミの攻略を始めた。
現在、ツクヨミは例のテロリスト集団がこれまでよりも大規模に戦力展開した上で占拠している状態だ。
なので、初期の頃の私ではかなり苦戦を強いられると思われるが今は違う。
私自身も様々な戦いを経て成長し、更に今回はTASとの相性が抜群のメラクがバックに就いている。
するとどうなるか?
まず私がEPレーダーを広域に展開してマッピングを行い、テロリストやロボ達の位置情報を割り出す。
次に連絡網及び定時連絡のタイミングを把握し、それを元にパターンを作成する。
そして最後にメラクと情報共有を行い、タイミングを見計らいながら各部隊を相手にEPレーダーで一斉にロックオン。
ここからは完全にメラクの独壇場だった。
(お、きたきた……はいドーン)
(……分かってはいましたけど、ある意味ヒドイ光景ですね)
(いいじゃんいいじゃん。お互い楽出来てさ)
ロックオンと同時にメラクの亜空孔が展開し、ミサイルやレーザーによる一斉攻撃でテロリスト達が纏めて駆逐される。
この一連の流れで、一度に一個小隊を撃破出来てしまう。
なのでもう、ここから先は作業と何ら変わらない形でテロリスト達が駆逐される流れとなった。
いやはや、前に何度か亜空孔をTASで運用するシミュレートはした事はあったのだが、ここまで圧倒的だと……ちょっと待って。
(メラク、ちょっといい?)
(ん? 手短に頼むよ)
(一度に展開出来てる亜空孔、増えてるよね?)
(多分宝剣を
(更新終わってたんですか。珍しいですね。メラクがそこまで迅速に更新を済ませるなんて)
(ああそれはね、フェムトの
(私もリトルにスキル管理をお願いする時がある事を話してたのを覚えていたんですか)
(まあね。実際上手く行ったから感謝してるよフェムト)
実際やろうと思えばだが……大幅に効果が落ちてしまうがリトルは単独で能力を行使することが出来る。
但し、宝剣として身に纏っている時は予め指示しておけば適切なタイミングでスキルを発動してくれる為、メラクはこの方法で亜空孔を使っているのだろう。
そんな風に考えていた時、TASテレパス経由で聞きなれない
(メラク様、敵性反応の消失を確認。撃破完了でございます)
(これなら任せてよさそうだね。ボクはネトゲやってるから、後はよろしく
(了解で御座います、メラク様。この亜空孔にお任せを)
その声は亜空孔からの物だった。
どうやらメラクは男性型ヒューマノイド型の宝剣にしたらしい。
メラクは女性と言うか、そもそもあまりベタベタされるのはネトゲの邪魔になる為好きでは無い。
なので、そう言った事もしないだろう執事タイプの男性型にしたのだと推測できる。
(では、早く終わらせましょうフェムト様)
(……ええ。改めてよろしくお願いします。亜空孔)
何と言うか、向こうでぐうたらしながらネトゲをしつつ亜空孔にお世話されているメラクが目に浮かぶ様だ。
……気を取り直して、私は先へと進む。
EPレーダーで広域ロックオンを済ませ、亜空孔で一斉攻撃の繰り返しで索敵と殲滅を繰り返している内に、ツクヨミの管理者達が捕らわれている部屋の前を制圧。
内部をEPレーダーで調べ上げ、テロリスト達の反応が無い事を確認して部屋の中へ。
そこには一人血が流れている片腕を無事な方の手で抑えてぐったりして座り込んでいる人がまず目に飛び込んだ。
なので、先ずはキュアーヴォルトによる手当を優先する。
「これで大丈夫なはずです」
「ありがとうございます。……よろしかったのですか? 私達の為に力を使ってしまっても」
「大丈夫ですよ。今回みたいな事も想定していますので」
手当が終わった後は軽く挨拶と情報交換を済ませる。
なんでもホログラム能力者が出現した直後の時点では、本人が居座っている部屋から出てこない上にこちらから手を出さなければ無害であった為、通報を入れた後は刺激しない様にそのまま放置していたらしい。
そしてここからが重要なのだが、今回のホログラム能力者ことイソラはこれまでの相手とまた違っており、なんと自分のアイドル活動を動画にして欲しい等とお願いをされた事もあったのだと言う。
何故か分からないけど生き返り、その場から動けないのならばその時間をアイドル活動を再開する為のリハビリに使うのだと言うイソラ。
この事から彼女は自分の仕事に関して真摯である事が伺えるのだが、それと同時にある事実も浮かび上がって来る。
それは薄々分かっていた事なのだが、ホログラム能力者側は一枚岩では無いという事。
特にホログラム能力者を支援している動きを見せるテロリスト達なんかがその典型例といっても良い。
こいつらは正直何の為にホログラム能力者達を支援しているのかまるで分っていないのだ。
一応生き残った連中は拘束して連れ帰っているのだが、翌日には歯の奥から検出された毒物で自殺をしている為、情報習得の目途が立っていない。
なのでまだ生きている内に私が頭の中を生体ハッキングする事で調べ上げた事もあった。
だが、その事すら見越しているのかこのテロリスト達は皆例外なくミッション内容の大まかな内容しか知らされておらず、依頼主は代理人を経由している為足取りが掴めない。
正直私としてはデマーゼルよりもこちらの方が思惑がまるで分らず不気味であると言う印象がぬぐえないのだ。
「それで、今もイソラはアイドル活動再開の為のリハビリを続けていると?」
「ええ。あんないい子がどうしてあんな風になってしまったのかは私達には分かりません。ですが、あの子は少なくとも自分の意思でこんな状況を引き起こしたかった訳では無いという事はハッキリと分かります。なので、出来ればでよろしいのですが……」
「それは相手の出方次第になりますね。私は過去に三人ほど似たような境遇の人達と遭遇しましたけど例外なく襲い掛かってきました。なので申し訳ありませんが今回の子を特別扱いは出来ません」
クリム、リベリオ、バクトの三人とは戦うしか出来なかった。
「魂を縛られている」とリベリオは言っていた為、その辺りの意見を頭領さんに聞いて見た所、オカルトの領域では良くある話なのだと言う。
その方法の種類は流派によって様々だが、大雑把に纏めると契約、或いは一方的な隷属を強要している状態が一番可能性として考えられるらしい。
「そうですか……」
「ですが、その子がこちらに歩み寄ってくれるのなら話は別です。その時はまた対応を変えます。……今出来る譲歩はここまでです」
「ありがとうございます。それで十分でございます」
そういう訳で、テロリストを駆逐した後でイソラと接触した際、可能なら話し合いに持ち込むサブミッションが加わった。
正直あまり期待は出来ないし、戦闘データを習得しそこなうのは惜しい面も否定できないが、流石に戦う意思のない相手に無理やり喧嘩を売るような真似はしたくない。
(それってさぁ、犯罪者に同情しちゃうストックホルム症候群ってヤツなんじゃないの?)
(私もその辺り疑ってますが、あそこまで頼まれたら無碍にも出来ません。イソラの居る部屋はあそこからも見れたので約束を破ればすぐにバレますよ。だから信用を損ねるのも避けたいのでやれるだけはやりますが)
(全くあいつら、フェムトに無用なリスク抱えさせちゃって何様のつもりさ)
(メラク?)
(フェムト。忘れがちだけどミッションってさ、基本命懸けなのよ。んで、フェムトはボk……この皇神グループでは必須の存在って言われてるでしょ? 最近忘れがちだけどさ。全く、紫電もそうだけど無茶し過ぎ。もうちょっとボクみたいに力を抜けばいいのに)
本音が一部漏れてはいるものの、メラクの言い分も間違ってはいない。
なんだかんだで心配してくれているメラクに感謝をしつつ先へと進み、テロリスト達を撃破し、メカ達をハッキングして嗾ける事を繰り返す。
「ごはぁっ!」
「ばっバケモノめぇ!」
最後のテロリスト小隊を撃破し、遂に最上階までの道のりを制圧し、実質ツクヨミを開放する事は出来た。
後はこの先の最上階に存在するイソラだけだ。
(フェムト、準備できてる? ネトゲでもそうだけど、勝負は前準備で大体決まるからね)
(EPの補充も済ませてるから大丈夫。何時でもいけるよ)
(よし、ここからはボクも真面目にやらせてもらおうかな)
(頼りにさせてもらうよ、メラク)
準備が整ったのを確認し、私はイソラの居る部屋へと乗り込む。
右手に鉄扇、左手にワイヤーガンがあるのを改めて確認しながら、ゆっくりと。
そんな私の視界に飛び込んで来たのは、何かの振り付けだと思われる動きをしつつ歌を歌っているイソラの姿。
翼戦士としての彼女の姿もまた、いかにもアイドルである事をアピールした可愛らしさとほのかな色気が混ざった絶妙なバランスで構築された姿だった。
『GO! フルスロットル! GO! フルスロットル! ベタ踏み全開フルスロットルで!! 希望は いつも キミと共にある ずっと! GO! フルスロットル! GO! フルスロットル! 限界突破フルスロットルで!! さあ 行こう……』
どうやら歌を歌うのに集中しているらしく、こちらに気が付いてい無い様だ。
……歌そのものはアイドル基準に準じており、まだまだ発展途上と言った感じは拭えないが、ひたむきさは伝わって来る。
なので私は彼女が歌い終わるまでその場で待つ事にした。
『そばにいるよ いつまでも 駆けつけるよ どこにいてもねぇ 届けるよ Delivery the song! ……ふぅ。ご清聴ありがとう★ イソラの歌、どうだった?
「出来ればこちらでスカウトしたい位には良かったですよ」
『ほんと? イソラ、とっても嬉しい★ ……正直言うとね、イソラはアイドル活動出来ればそれで良かったの。元々翼戦士になったのだって活動を支援してもらう為だった。だけどイソラはイクスくんとロロちゃんに負けちゃって……他の人達はどう思っているのか分からないけど、イソラは出来るならファンの皆の所へ帰りたいの。だから……』
イソラのこの様子を見る限り、今回は戦いにならなさそうだと一安心。
これなら身柄の安全を保障しつつ交渉に臨めば戦う必要は無いかもしれない、そう思っていた時だった。
嫌な気配が、辺りを包んだ。
あのホログラム戦車、通称【ジャイアントロロ】から放たれていたソレよりももっとドス黒いナニカが、イソラを捉える姿を私は見た。
『えっ……なにこれ……っ!』
ベルセルクトリガー
『あ、あ、あ、あぁ、あぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
先ほどまで私に笑顔すら届けていたイソラが、まるでこの世の終わりを告げるかのように絶叫し、
その視線は虚空を見つめ、完全に正気を失っている。
それでいて明確な殺意を目の前の私に向けている為、戦いは避けられそうにない。
(……はぁ。こりゃあダメだね。少しはサボれるかもしれないって期待してたのに)
(…………)
(戦闘する意思を見せなければ暴走させて操ってでも無理矢理戦わせるとか、ブラック所じゃないよね、全く。……デマーゼルって奴をほっといたらボクらもこうなる可能性ありそうだし、こりゃ
(……メラク)
(……フェムト、切り替えないと死んじゃうよ。アレは絶対にヤバイ。亜空孔、お前も頑張れよ? ああなるの、ボクはゴメンだからね)
(勿論です、メラク様。あの邪悪な気配、
(メラク……亜空孔……分かった。今は戦いに集中しよう)
(フェムト……)
不安そうなリトルの声が私の頭の中に響き渡る。
先ほどまで友好的ですらあった相手が突然豹変してしまったのだ。
リトルも動揺を隠せていない。
内心怖気づいている私も含め、何らかの方法で精神的に立て直す必要があった。
……そう言えばふと思い出した事がある。
GVはミッションの際、強敵と遭遇した場合己を鼓舞する為に決められた口上を叫ぶ時があると。
ならば、私もそれに倣おうと思う。
己と
高らかに私は叫んだ。
「調律せよ!
STRIK
私のこの言葉を合図に戦いは始まった。
リトルが私の鼓舞を受け取ったのか、私の中を駆け巡る第七波動が強く活性化している。
その上今回は前回の戦闘後に新たに習得した守りの力を高めるシールドヴォルト、ダッシュ速度や攻撃速度等が更に早くなるスピードヴォルトを使用している為、私自身の耐久力と機動性はこれまで以上に強化された。
更にアビリティもこれまで以上に充実しており、正直今の私ならば今までの翼戦士相手なら引けを取る事は無い。
しかし、今回の場合は強制的に戦う意思の無い相手が無理矢理操られて戦わされている事に加え、能力がアキュラから見せられた戦闘データの物よりもずっと強化されていた為、私は完全に攻めあぐねている。
その理由なのだが、今回の様な相手の場合は基本カウンターロックオンが機能するのだが、イソラの攻撃手段が分身による物がメインである事が厄介さをさらに引き上げている。
具体的に言うと、カウンターロックオンの対象がイソラでは無く分身になってしまうのだ。
(分身にカウンターロックオンが持ってかれちゃってる!)
(……っ! こうして戦ってみると厄介ですね!)
ただし、全くどうしようもないという訳では無い。
暴走しているのが理由なのか定かではないが、攻撃パターンに一定の法則が存在している。
これは操っている側がイソラ本人の意思を完全に掌握出来ていないからだと私は考えた。
現に、一瞬だけではあるが攻撃する瞬間明確に隙が出来る時があるからだ。
(分身による真上からの強襲パターン……! 次は私を狙って分身を直接ぶつけるパターン……基本はこの二つ。何とか慣れて来ましたね)
私なりのパターン構築が完了した為、今度はこちらから打って出る事にした。
攻撃のタイミングは分身を直接ぶつけるパターンの時の分身を一度回収しているその瞬間を狙う。
「はぁ!」
『……っぅ! あぁぁぁぁぁ!!!!!』
開いた鉄扇による横一文字の一閃を叩き込み、ロックオン。
それと同時に回収した分身を高速で私に射出するイソラ。
一塊になった分身を
(今です!)
(亜空孔)
(ええ。今が好機……そこです!)
私の目の前に巨大な亜空孔によるワームホールが出現し、そこから巨大な拳がイソラ目掛けて叩きつけられる。
この拳はメラクが変身現象をした際に使う戦闘用のイス型武装から放たれた物を亜空孔によるワームホールの出口側を大型にする事で巨大なサイズになっており、その一撃は強力無比。
イソラはまともに受け、跳ね飛ばされる。
『あぁっ! うぅぅぅぅぅぅ……!』
しかし、イソラは暴走の力を爆発させながら再び立て直し、今度はスカート部分を変形させた高機動形態で私達を翻弄。
これまでとパターンが変更された為、私はいくつかの被弾を許してしまう。
本来ならば
「っぅ……! まだまだ!」
(フェムト! ……電磁結界が、どうして!?)
(理由は後回しで! とりあえず私は平気です! リトルは身体のダメージのモニタリングの継続! 危険域に突入したらキュアーヴォルトを!)
(ん!)
分身を引き連れた突進。
上空から光柱を左右に発生させ、最後に中央に大きい光柱を発生させる攻撃。
イソラ本人が分身した上での光柱による攻撃。
そろそろパターンを構築する事が出来そうだ。
私はメラクに攻撃準備の合図を送り、機を待つ。
仕掛けるのはイソラ本人が分身した時のタイミング。
そう、今この瞬間だ!
「そこ!」
『……! あぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!』
私がワイヤーガンを直撃させると同時にイソラは光柱を私に集中して叩き込む。
それを見越してワイヤーガンからリトルの鉄扇に即座に持ち替えつつガードポイントを駆使してさばき切った。
この光柱を私に集中させている際、イソラは大きな隙を作る。
仕掛けるなら今だ。
(メラク!)
(やれやれ……やっと仕留められそうだ)
森羅万象に穴穿つ
縦横無尽変幻自在
世界を貫く破滅の光柱
レイジーレーザーver.2
(いい加減消えなよ!)
メラクのSPスキル【レイジーレーザーver.2】。
今回放たれたソレは私の知るレーザーを転移させ続けて相手を追い込む物とは違う。
亜空孔でミサイルを放つ時、メラクはワームホールの穴を複数に増やす事でミサイルその物を分裂させることが出来る。
今回のレイジーレーザーはミサイルの部分をレーザーに変えた物。
つまり巨大なレーザーで四方八方から同時に攻撃しているのだ。
よって、これにて決着が付き、ミッションは完了――
我が往くは天下の花道
汝に贈るは死出の旅路
群衆の鬨よ舞台を満たせ
ラストナンバー;ファナティクス
『皆に……届けぇ!』
――するはずも無く、レーザーの直撃による爆発の中からイソラによるSPスキルが発動。
本体と分身による虹色のレーザーが戦場を覆いつくし、トドメとばかりに光柱を叩きつける。
この攻撃は完全に私を狙っておらず、闇雲に放たれた物だった。
結果、ダメージの危険域に一度突入してしまったが、何とか耐えきる事に成功する。
しかし……
『アン……コールぅ!!!!!』
我が往くは天下の花道
汝に贈るは死出の旅路
群衆の鬨よ舞台を満たせ
ラストナンバー;ファナティクス
ここに来て、もう一度SPスキルが放たれた。
流石にこの攻撃を受けてしまったら回復を挟んでも助からない可能性が高い。
よって、私はフィールアクセラレーションを発動させつつ賭けに出るしか無かった。
(現在のEP残量を数値化すると600弱……! ここで切らないとどっちみち終わりならば、足掻かせてもらいます!)
煌めくは雷纏いし城塞
守護の聖域よ 二重に重なり城塞と化せ
パルスサンクチュアリ
私はあえてイソラの元へと突貫しながらSPスキルを発動し、雷の聖域による城塞を用いて抵抗を試みる。
前回のバクトの一撃を防ぎきれなかったこのSPスキルだが、どういう訳かイソラのSPスキルに対しては極めて高い防御性能を叩きだし、余裕を持って耐えきる事に成功した。
その事に私は一瞬あっけに取られてしまいかけるが、理由は後回しと永続ロックオンされながら吹き飛ばされているであろうイソラを探し、見つけ出す。
だが、またしても様子がおかしい。
(あの蒼黒い雷が消えている?)
(うん。嫌な感じ、消えたみたい)
(……どうやら、やっと終わったみたいだね)
(そのようです)
少しづつ体の外側からホログラム状に変化させ、消滅していくイソラ。
その姿は先ほどの戦いのお陰でかなりボロボロの際どい姿をしていたが、本人の表情はどこか晴れやかな物だった。
そして、イソラの目と私の目が合い、彼女は微笑みかけて……その姿を消した。
CLEAR
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇フェムトの装備について
今回のミッションからフェムトの装備が更新。
アクセサリーの変更で最大EPが1000から1200となり、EPが空になったら自動で、或いは任意にEPを100回復させる小型バッテリーが追加。
メタ的に言うとボスを三体撃破すると装備が更新される。
〇シールドヴォルトについて
基本性能はGVの物と同じだが、効果時間が実質ミッション終了まで持つ為使い得なノーマルスキル。
SPを消費しない代わりに最大EPを50消費する。
〇スピードヴォルトについて
攻撃速度やダッシュ速度等を強化する。
こちらもシールドヴォルトと同じようにミッション終了まで持つ使い得なノーマルスキル。
SPを消費しない代わりに最大EPを50消費する。
〇第七波動によるスキル管理について
第七波動にスキルの使用や面倒な能力の管理を変身現象中限定ではあるが任せる事が可能。
これもメタ的に言うとボスを三体撃破すると可能になる。
〇メラクの宝剣について
メラクを脳内シミュレートした結果、女性型ヒューマノイドは解釈違いと言う結論が出てしまった為男性型のヒューマノイドになりました。
実際女性型にしていたら目茶苦茶ベタベタされていた為、メラク的にはこの選択は正しい。
〇第七波動の性別について
無性、男性、女性の三種類がランダムで決まるのが基本なのだが、身体を与える場合はその体の性別に準じる形となる。
が、リトルの様に例外も多い。
〇ベルセルクトリガーについて
メタ的に言うと解析率やボス撃破数等の特定の条件を満たすとボス戦で自動発動する。
戦闘力は白き鋼鉄のXにおけるスペシャルミッション基準。
そして全ての攻撃が電磁結界を貫通し、
〇決められた口上について
所謂GVで言う所の「迸れ!
こう言った口上もガンヴォルトシリーズでは欠かせない。
フェムトの口上は「調律せよ!
これでガンヴォルトシリーズにおいてのお約束は大体出せたとは思いますが……何か足りないですよね?
それも最も重要だと思われる物が。
〇レイジーレーザーver.2について
本来はレーザーと亜空孔を用いて相手を追いつめるSPスキルだった物をスパロボシリーズに登場するグランゾンのワームスマッシャーみたいに四方八方から同時にレーザーを叩きつける方法に変化させた物。