サイドストーリー |
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BREAK OUT
「……紫電」
「構えないのかい、GV?」
「どうしてボク達が戦わなければならない!」
「簡単な事さ。ボクはアシモフの居所が知りたい。この国にとって飛び切りの危険因子だからね。だけど当然、キミは拒絶する。……当たり前だよね? キミが命の恩人だと言っていたアシモフを売るような真似をするはずが無いのをボクは知っている」
「…………」
「お互い平行線である以上、答えを出すなら戦う外無い。そうだろう?」
「GV……」
オレは今、スミロドンを身に纏いつつガンヴォルトと紫電の戦いに付き添う形でここ、スメラギ第拾参ビル建設予定地に居る。
この場所が選ばれたのは以前と変わらず更地の状態でありながら、広大な土地を確保している為周辺被害を気にしなくても良い場所だからだ。
先の会話の通り、ガンヴォルトと紫電の交渉は決裂し、互いがぶつかり合う寸前の状態だ。
このまま行けば、もう二人が争うのは避けられないだろう。
それこそ、
それを見守る形で、シアンも不安そうに二人を見守っており、ロロはスミロドンにも装備されているドッキング機構でオレと合体して、何かあった時の為に何時でも動けるようにしている。
「……分かったよ、紫電」
沈痛な面持ちでガンヴォルトは自身に秘めた
それに合わせ紫電も
「……その子は?」
「紹介するよ。この子はボクの
「……よろしく」
紫電の第七波動は物静かで寡黙な
どこか本体のパンテーラの見た目に似ているのは戦友として特別な想いを抱いているが故なのかは定かでは無い。
その子を用いて、紫電は改めて変身現象を行う。
「光栄に思うといいよ。この姿で戦うのはキミが初めてなんだから」
変身後のその姿は以前の物と大きく変化していた。
確か前は左右がそれぞれ黒と白に別れたアーマーの様なモノを身に付けた姿だった。
だが、今の姿は黒と白の混じり合った灰色のアーマーを身に纏っている。
黒と白。
悪と正義。
その両方を飲み込み、受け入れ、紫電の出した答えがあの姿なのだろう。
そうして互いが戦闘態勢に移行し、動き出そうとしたその刹那。
――二人の意識が互いに向いている事を知っているかのように
それと同時にヤツはその手に持っていた対戦車用レールライフル【E.A.T.R.】を構え、
そう、ヤツは
『うわぁ!
「まさかここまで上手く嵌るとはな」
「本当だよ。まさかここまで食いついてくるなんてラッキーだよ。本当に」
『って、ちょっと待って!? これって紫電の策なんでしょ? 何で本人がそんな反応なのさ!?』
「フフ、これはメラクからの受け売りなんだけど……策と言うのはね、結果がどう転んでも美味しくなるように仕込むのが肝要なのだそうだよ。そして今回は、飛び切りの大物が転がり込んで来た。大当たりさ」
因みにだが、シアンは既に事前に用意されていたメラクの
今回の紫電の策。
それは簡単に言えば
蒼き雷霆と
もしこの状況が見えているならば、電子頭脳にエラーを起こしたデマーゼルなら食いつく可能性が十分にあった。
「これは……
「アレがボク達がアシモフを危険視している理由の一つさ」
「後で詳細、話してもらえるんだろうね? アキュラの事も含めて」
「勿論」
騙すなら、先ずは味方からと言う言葉がある。
この策、ガンヴォルトとシアンには何も知らされて居ない。
その理由は全員が演技をしているとバレる可能性があったからだ。
「気を付けろ、ガンヴォルト。ヤツはお前と同じ蒼き雷霆を使う」
「ボクと同じ……!」
「そして、ヤツらは見て分かる様に本体では無い」
『だから、思いっきりぶっ飛ばして大丈夫!』
ロロがモード・ディーヴァを発動させ、姿を現すと同時に小ビットを展開。
オレもそれに合わせ、
……昔は手負いの状態で、かつ慢心もしていたが故に敗北した時の記憶が蘇る。
奇しくも、オレの装備はあの時とほぼ同じ。
これはオレにとってある意味、リベンジ戦と呼べる物なのかもしれない。
「相手は四人に対してこちらは三人。さて、どうしようか?」
「戦闘経験のあるオレが先行して陣形を乱し、即座に一体を沈める。後はそれぞれ一対一に持ち込めば十分勝算はあるだろう」
「だけど、ボクの知ってるアシモフならばそんな簡単にはいかないと思うけど」
「ヤツらはスペックその物は変わりないが、所詮意思の無い木偶の様なモノだ。本物は、こんな物では無い。……行くぞ、ロロ」
『OKアキュラくん! モード・ヴァルキュリア!』
「先ずはヤツらの陣形を乱す」
舞い踊るのは我等双刃
審判せしは千万無量
因果断ち切る白銀の十字架
クロスシュトローム
オレとロロによるコンビネーションによって四人のアシモフ達にダメージを与えつつ陣形を乱す。
それと同時にガンヴォルトと紫電がそれぞれ一対一へと持ち込む。
残り二体のアシモフは雷撃麟を纏った状態でオレに突撃を仕掛けてくる。
オレは盾に
それと合わせ、ロロのビットから同じ特殊な電解液を収束放水する形で放射するハイドロザッパーによる援護射撃が二体のアシモフ達を襲う。
その衝突の結果は……
『ぐぅっ……!』
「やはり、蒼き雷霆には
『フェムト君には通用しなかったからちょっと心配だったけどね』
雷撃麟を打ち消し、正面から打ち勝った上でロロからの追撃によってあっけなく一体目を撃破。
やはり、意思が無いからか手応えがまるでない。
ガンヴォルトと紫電の様子を見ても、彼らは初見故少し手間取っているみたいだが、
逆に言えばそれだけだ。
『チャージ!』
「遅い」
残ったもう一体目がオーバーヒートから
それに対してオレは盾を地面に突き立て突き立てた先から
空中で無防備になった残る一体を、
それとほぼ同時に、ガンヴォルトと紫電の方も決着が付こうとしていた。
煌くは雷纏いし聖剣
蒼雷の暴虐よ 敵を貫け
スパークカリバー
天が意思、皇の神気
仇なす輩を狩り立てん
サイコフュージョン
紫電の渾身の一撃が、ガンヴォルトの聖剣の一撃がそれぞれのアシモフ達に直撃。
そのままヤツらはホログラム状に姿を消し、この場での戦いは終わった。
「ふぅ……アキュラの言う通り、歯ごたえ無かったね」
「ええ。アシモフの本当の強さは冷静沈着、かつ卓越した技量にありますからね。本人の強みがまるで生かされて無い。あれでは文字通りピカピカ派手なだけだ。……さて、そろそろ色々と話してもらおうか。あのアシモフモドキ達も含めて色々とね」
ガンヴォルトのその言葉と同時に、俺達の目の前にワームホールが出現する。
シアンを即座に安全な場所に避難させていたメラクが開いた物だろう。
「詳しい話はこの先の落ち着いた場所でしよう。最近ボク達が何に対処しているのかについても含めてね」
「……分かったよ。紫電。でも先に、これだけは言わせて欲しい」
「なんだい?」
この時のガンヴォルトの言い放った言葉はオレにとっては天地がひっくり返る程の衝撃を与えた。
その事実は、オレの知るアシモフならば絶対にあり得ない物だったからだ。
「ボクの知るアシモフは、
強制ミッション |
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今日は私に鉄扇を扱う基礎を教えてくれた頭領さんと合流する日。
TASで接続できる対象を
今回は戦いが目的では無く、TASを能力が発現していない人間と接続した時の運用データを収拾する事が目的だ。
何しろやっている事は意識を繋ぐと言うデリケートな行為。
理論上上手く行くと分かっていても、実際に使われたデータがどうしても欲しいのだ。
今回はまずTASで接続した上で頭領さん達の巡回パトロールに私も参加すると言う形で最初のテストを行う。
TASを接続した際に意識に負荷が掛かって無いか、移動時での状態はどうなっているか等の基本的なデータを集める予定となっている。
「お待たせしたな。フェムト殿」
「いえ。私も今来た所です」
「とーりょーさん! おはよう!」
「うむ。今日もリトル殿は元気がよろしくて何より」
今私達の居る場所は頭領さん達忍者部隊の人達が普段巡回している経路における出発地点の一つ。
具体的に言うと、大型デパートと封鎖された化学工場の、ちょうど真ん中あたりに位置する場所だ。
ここから人目を忍んでホログラム能力者達の様子を見る為にパトロールを行い、日夜人々の安全を守る事が今の忍者部隊の務めと言われている。
そんな経路をTASで接続した状態で進むのが今回の最初のミッションだ。
頭領さんが合流したので、早速私は
「頭領さん。何か異常があったり、違和感があったら報告をお願いします」
「うむ」
今回の事を頭領さんにお願いしたのにはもちろん訳がある。
能力を発現していない人間において単純に最高峰の実力者である事、客観的に自身の状態を把握出来る事、何よりも私の師であり信頼できる人だと言うのが大きい。
――早速、頭領さんとTASで接続を試みる。
マイナーズリンクが無事機能すれば、先ずは成功への第一歩と言えるだろう。
「……ほう。これがTASであるか。フェムト殿、こちらへの接続を確認した。そちらは如何か?」
「ええ、こちらでも確認しました。先ずは接続完了ですね頭領さん。何処か具合が悪くなったり、違和感があったりしますか?」
「しばし待たれよ。…………うむ。問題は無い」
「ありがとうございます。では、今から既に発動しているマイナーズリンクを除いた全アビリティを一つづつアクティブにしていきます。何か変だと思ったら声を掛けて下さい」
「心得た」
HPアップ、ガードアップ、ロックオンプラスを起動。
頭領さんの身体データの変化の異常は無しで、本人の主観的にも変化は無し。
シャリーアライブ、ハイプラウド、フリーランを起動。
同じく頭領さんの身体データの変化の異常は無しで、本人の主観的にも変化は無し。
スキルシェア、TASテレパス、ハイスイブレード、ケンシュシールドを起動。
ここからはスキルシェアとTASテレパスが機能するかを確認する。
先ずはテレパスでの会話を私の方から始めよう。
(あー、あー、テスト。テスト。ただいまテレパスのテスト中。頭領さん、聞こえますか? 聞こえたら考える形で返事をして下さい)
(うむ。問題無い。寧ろこちらの方が我にとって馴染みのある連絡手段であるな)
(そうなの? とーりょーさん)
(詳しくは語れぬがな……)
(案外、考える事は同じなのかもしれませんね。……では、次にスキルシェアが適応するか確認します。――リトル)
(ん! シールドヴォルト、スピードヴォルトを起動するよ!)
守りの力と運動性能を引き上げる二つのノーマルスキルを使用する。
数値化したEPは1200/1200から1100/1100へと変化した事でスキルの発動を確認。
これでスキルシェアの条件を満たした筈だ。
(どうですか?)
(ふむ……少し、動いてみても?)
(お願いします)
私のお願いと同時に縦横無尽に残像を置き去りにしながら縦横無尽に動き回る頭領さん。
その速度は以前模擬戦をした時よりもデータ上では早くなっているのが確認出来る。
……しかし何と言うか、相変わらず頭領さんは人間を辞めている身体能力を発揮していた。
アキュラみたいにアーマーのサポート無しでこれなのだから、人間はまだまだ可能性に満ち溢れていると私は感じている。
(人間、頑張ればここまで到達出来る事を改めて実感出来ますね)
(とーりょーさん、凄いよね!)
(ええ。……私ももっと、頑張らないといけませんね)
(いえ、フェムト殿は頑張り過ぎであります。もっと休む事を覚えなくてはなりませんぞ?)
(そうですかね?)
(そうですとも。……それでなのですが、フェムト殿のスキルの共有、しっかり出来ている事を確認出来申した。コレは中々、良い物モノですな。全盛期の頃を思い出しまする)
頭領さんの全盛期はどんな感じなんだろうか?
って言うか、頭領さんって幾つなんだろうか?
見た目が覆面を付けた典型的な忍者姿である為、その辺りが全く分からない。
……いや、忍者的には見破られない方が正しいのだから余計な詮索はやめよう。
続いて今度はフィールアクセラレーションを使う事を頭領さんに伝え、発動させる。
ゆっくりとした時間の中へと私達は突入する。
(ほう、これが普段フェムト殿が見ている光景であるか)
(ええ。仕事中は愛用しています)
(ふむ……フェムト殿。コレの連続使用は控えた方がよろしいかと)
(え?)
(体に対する負荷もそうでありますが、
(魂に、ですか?)
(うむ。魂、と仰られても我等の本業とは縁の無いフェムト殿には馴染みの無い事かもしれませぬが)
(……そんなに、マズイのですか?)
(少なくとも
そう言えば昨日エリーゼから私の魂らしきモノが酷く損傷していたと聞いたような……
いやでもそれはエリーゼのスキルであるライフリカバリーで治ったと聞いている。
……私は知らない間に死にかけていたらしい。
酷く損傷していたと聞いてはいたけど、まさか原因がフィールアクセラレーションだったなんて思わなかった。
(あくまで連続使用しなければ問題無いのです。この負荷具合ですと、最低五分ほどは冷却期間を設けるべきですな。……魂の損傷には自覚症状がありませぬ。それに気が付く時と言うのは、即ち息絶える時。本当に、気を付けて下され)
(分かりました。……因みにですが、今の私の魂の状態って頭領さんは分かりますか?)
(我自身のモノならば分かりまするが、他者のモノともなれば陰陽師に相当する術師の領域となりまする。或いは
(そう言った人材はやっぱり貴重なんですね)
ここで一度話を切り上げ、再びアビリティの起動へと戻る。
SPアップ、SPセーブ、SPザンシン、ニアーレジストを起動。
頭領さんの身体データの変化の異常は無しで、本人の主観的にも変化は無し。
TASディスタンス、スキルアップ、スキルリジェネ、オートリカバー、リーブレジストを起動。
ここでオートリカバーの発動の挙動を確かめる為に、頭領さんに少し切り傷を付けるようお願いした。
頭領さんは了承し、親指に少し血が出るまで切れ目を入れる。
暫くすると、その傷は瞬く間に塞がった。
(軽い切り傷程度ならば直に治りますな)
(オートリカバーの機能を確認。……これで現状持つ全アビリティを起動しました。何か違和感とかはありますか?)
(……現状、我自身に問題はありませぬ)
(分かりました。ではこの状態を維持して巡回パトロールを始めましょう)
STRIK
頭領さんとのTASでの接続に問題が無い事を確認し、私達は巡回パトロールを始める。
とは言え今日のノルマ分は終わっているとの事なので、私達は幾分か気を楽に挑むことが出来た。
走る。
奔る。
疾る。
以前は加減してもらった頭領さん相手でもついて行く事もままならなかった私だった。
今もまだ頭領さんは加減してくれているが、それでも追走出来る様になったのは見事に成長できた証だと言えるだろう。
屋根を伝い、電柱を足場に跳躍し、ビルの間を抜けつつ天辺まで登る。
気配を消しながらおおよそ道とは言えぬ進路を突き進む。
この間にこれまでホログラム能力者達と戦った戦場を巡り、いよいよパトロールも終わりに差し掛かろうとしていた。
(む……フェムト殿)
(頭領さん、何かあったんですか?)
(何やら良からぬ気配がこの辺りに満ちておりまする)
(この辺りは確か……アキュラが良く出入りしている療養施設があった筈です)
(如何なさいますか?)
(……一度、様子を見ましょう)
私達は不穏な気配を探す為にさらに強く気配と音を殺し、この場に降り立つ。
少し先にアキュラが通い詰めている療養施設が見える。
その更に先の、療養施設で死角になっている辺りから頭領さんの言う不穏な気配を、私も感じ取ることが出来た。
私達が少しづつ足を進めると、何やら剣戟の音らしき物が聞こえてくる。
やはり、何かこの辺りであったらしい。
私は頭領さんの方へ向き、頭を縦に動かす。
この先に進むと言う意味だ。
気配と音を殺し、療養所の死角となっていた場所へたどり着いた私達が見た物は、二人の流派が異なる剣士同士の戦いであった。
片方は蛇腹剣を持った纏めた金色の髪を靡かせる絵に描いたような女性剣士。
そして、もう一人は仕込み杖を持った私の恰好に近い
不穏な気配は少女の方から伝わっている。
ここでふと、先ほどから静かにしている頭領さんを見る。
その姿は普段と変わらないように見えるが、私には分かった。
頭領さんは、驚愕している。
その事を私が確認すると同時に、テレパス経由で頭領さんが話を切り出した。
(バカな……)
(頭領さん?)
(……あの出で立ち、仕込み杖。間違いなく
(え?)
(なのに、
私は改めて少女を見る。
あのホログラム能力者達ですら意思と呼ばれる物がハッキリとしているのにも関わらず、能面のように意思が無いかの如く表情に変化が無い。
対する女性剣士の方は、私達からは見えないが背後の誰かを庇いながら戦っているらしく、少女に対して劣勢だ。
それを少女も分かっているのか攻撃を緩める気配は無い。
何処かで見た覚えのある挙動からの強襲。
爆発の反動を利用した居合の一閃。
投げつけたお札と思われる物が円月輪に変化し、変幻自在の挙動で襲い掛かる。
その場に杖を突きたてた瞬間、女性剣士の足元から巨大な剣と思しきものが不意打ちで生えてきた。
投げつけたお札と思われる物を三枚同時にランダムに投げつけ、そのお札が少女の姿となって突撃を仕掛ける。
何処かで見た螺旋と共に放つ対空攻撃。
そんな多種多様な攻撃を少女は女性剣士に仕掛けるが、その全てを捌かれている。
私達はそんな二人の戦い気配を消しながら視認しつつ移動した。
女性剣士が誰を守っているのかを確認する為だ。
そして、守られている存在が私達の視界に入る。
そこには大型デパートで私を見て「今度はお姉ちゃんが縮んじゃったよ~!?」と言っていた女の子、コハクの姿があった。
それを思い出し、私は改めて女性剣士を見る。
確かに、言われてみればそんな風に見えなくもない。
そんなコハクは少女から不意打ちを受けてしまったのか、腕から血を流して動けない状態にある様だ。
だが、この戦いの最中に突然乱入するのも女性剣士の事を考えると間が悪い。
如何した物かと考えているとコハクはこちらに気が付いたのか、私達と目が合った。
私達を見て、コハクは女性剣士に応援が来た事を咄嗟の機転で知らせる。
「お姉ちゃん! 応援が来たよ!」
この言葉を合図に、私達は飛び出した。
まず頭領さんは少女の方へと向かい女性剣士と咄嗟に交代し、戦線を維持。
私はコハクの方へと向かいながらエリーゼのライフリカバリーを参考にした新しいノーマルスキルを発動させる準備をする。
「大丈夫ですか!? コハクさん!!」
「ちょっとやられちゃったけど、なんとか……」
「ジッとしていてください……」
エリーゼのライフリカバリーのデータを収拾し、それを私達なりにアレンジしたノーマルスキル【リカバリーヴォルト】を発動。
生体電流を活性化させる際に発生していた余剰の生体電流を余す事無く効率運用する事で、キュアーヴォルトよりも効果を高めたノーマルスキル。
怪我の度合いも直る速度も段違いに上昇しており、緊急時の取り回しが更に良くなっている。
「……どうですか?」
「うん! 元気全開! コハクちゃん大復活! もう大丈夫だよ!」
「それは良かったです」
「フェムト殿! そちらの娘は大事無いか!?」
「私がもう動ける状態に直したので大丈夫です!」
「ならば、その娘の護衛を頼み申す! そうすれば我等も憂い無く戦えます故に!」
「分かりました!」
「お姉ちゃん! わたしはもう大丈夫! だから、思いっきりやっちゃって!!」
「コハク……! ならば、ここからは遠慮は無しだ!」
女性剣士から
驚いた事に彼女は能力者だった。
それもGVと同じ、雷撃の第七波動。
「往くぞ! そこの忍、合わせられるか!?」
「無論! 先ずは我が往く!」
斬入ること閃光の如く
迸ること血風の如し
裏八雲が奥義
二十九式・無双鬼砕き
歴代最強の忍と謳われた頭領さんの放つ光を置き去りにする神速の抜刀。
周囲の空間諸共対象者を切り伏せ血風の嵐を引き起こす、人間の到達点に至ったが故の
それを迎撃するかの如く、少女は頭領さんとほぼ同時に仕込み杖を抜刀する。
斬入ること雷霆の如く
迸ること百華の如し
裏八雲が奥義
九十二式・乱れ夜叉砕き
頭領さんの神速の抜刀の大半を相殺する少女の抜刀。
しかし技量の差なのか、または能面の様に意思が無いのが理由なのか、一部を通し、仕込み杖が弾き飛ばされた。
その隙を、女性剣士が見逃す筈も無く……
煌くは雷纏いし魔剣
暗黒の暴虐よ 命を貫け
コレダーデュランダル
展開した蛇腹剣を振り下ろし、戦場の広い範囲を雷が落ちる。
少女はそれを回避しようとするも先の相殺で隙を晒してしまっており、直撃を受けた。
それだけでは終わらず、胴を薙ぐ様な雷の一閃が少女を薙ぎ払い、トドメに広範囲を覆う雷刃が広範囲の空間を少女諸共切り裂く。
それで限界になったのか、少女は吹き飛ばされながらホログラム状に姿を消した。
これまで戦って来た翼戦士達と同じように。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇シスについて
紫電の宝剣【
身に纏うと以前の白黒のアーマーだった物が、その二つが混ざり合ったアーマーに変化している。
アキュラは寡黙な少女と表現している為おかしいと思うかもしれないが、それを解決する言葉が存在する。
その言葉の名前は「男の娘」
つまり、本体パンテーラそっくりの男の娘なのがシスなのである。
どうしてこうなってしまったのかは定かではないが、噂によると「とある二名の存在」が紫電の性癖を壊したとかなんとか言われている。
紫電くんの性癖、何もしてないのに壊れちゃった。
一体誰がこんな酷い事を……
〇紫電の「策」について
実は二十四話の時点でその策は始まっており、具体的には「GVとシアンが同時に居る状態で紫電がGVと衝突した時、敵はどう出るか」をこの時点で考えていた。
今回は上手く敵側がアクションしてくれたのでGVと戦わなくて済んだが、話の流れ次第では本当に戦う事になっていた。
メタ的に言うと今回のクリティカル判定はトルゥーエンド条件を満たしてますよ~と言うプレイヤーに対するメッセージであり、満たしていない場合は本当にGVと紫電が衝突し、話が変に拗れてGVとの協力体制が解消されてしまう、みたいな感じになる。
因みに勝敗の行方に関しては……ご想像にお任せします。
〇今回のミッションの戦闘について
アキュラくんがクロスシュトロームでアシモフ達を散らばらせ、ハイドロザッパー等で一体目を撃破した直後にプレイヤーの操作に委ねられる。
背景で紫電とGVがそれぞれ戦っている、みたいな感じ。
〇頭領さんについて
フェムト達の時代における裏八雲最強の実力を持つ忍であり、ただの人間。
シンフォギアに出てくるOTONAにニンジャスレイヤーを混ぜたようなイメージ。
人前では必ず覆面を付けている為、性別は……君は男だと想像してもいいし、女だと想像しても良い。
そんな素振りは絶対に表には出さないが、極めて重度のショタコンな一面も存在し、十二話の初登場時でその片鱗が垣間見える部分があったりする。
ノータッチの精神の持ち主でもある為、無害なので実際安心。
今回のミッション限定のゲストなので、これ以降のミッションには直接登場しない予定。
〇魂の負荷について
このタイミングでフェムトの魂、ヤバいんじゃね? と言う情報が開示される。
理由はメタ的な話になるが、この時点でまだトークルームを全くして無くても少し余裕を持ってインテルス戦までに魂の修復が間に合うタイミングだから。
〇今回のミッションについて
道中の敵が存在せず、只管頭領さんを見失わない様に走り抜けるミッション。
基本アクションは勿論、ワイヤーアクションなんかも要求される。
因みにこのミッションにはフェムト視点では珍しくボス戦が存在しない。
〇リカバリーヴォルトについて
キュアーヴォルトの上位互換。
リヴァイヴヴォルトに相当する回復量を持ちながら、SPとEPは据え置き。
キュアーヴォルトと差し変わる。
〇「少女」について
現時点では明言出来ませんが、仕込み杖を持っている時点で何となくその正体の予想は出来ると思います。
攻撃手段は各翼戦士の一部の技を参考にしているが、雷霆煉鎖は習得していない。