ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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第三十一話 インターミッション(六回目)

 

 

 

 

 

 ミチルの療養施設にて、私達はあの後も引き続き会話を楽しんでいる。

 

 ミッションはまだ途中だったのだが、TAS使用時の頭領さんのデータは謎の少女との戦いの時に想定以上に集まった為、変則的な形になるがここでミッションを完了させ、頭領さんには先に帰還してもらった。

 

 今回のミッションは私は頭領さんに依頼した形で受理された物なので、私自身に今回のミッションの決定権がある。

 

 なので、この様な事が可能なのだ。

 

 他にも、ミッション終了予定時刻になった直後から頭領さんが帰還したいと申し出ていた事もあった。

 

 あの少女の存在を一刻も早く報告したかったからだ。

 

 ならばあの少女を撃退した直後に申し出てくれれば良かったのだが、本来の予定時刻まで時間があった為、その帳尻合わせもあって途中まで付き合ってくれた。

 

 頭領さんはその辺り本当に律儀だと私は思う。

 

 そして、本来なら私自身も帰還する予定だったのだが、ノワさんがあの後昼食を用意してくれる為、私も参加する事になった。

 

 なったのだが……

 

 

(フェムト……お腹空いた)

 

「(あ……ちょっと待っててリトル。ノワさんに話してみるよ。ここの人達はアキュラとの関りが深いみたいだし、リトルを見せても大丈夫でしょう)すいませんノワさん、ちょっといいですか?」

 

「何かありましたか?」

 

「物凄く厚かましい事は承知なのですが、もう一人分余分に食事を用意してもらってもいいでしょうか?」

 

「フェムトくん、見た目とは裏腹にいっぱい食べれるんだ。ちょっと意外」

 

「あぁ、そういう訳では無いんです。……実際に見て貰った方が早いですね」

 

 

 変身現象(アームドフェノメン)を解除。

 

 私の近くに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()長髪を揺らめかせ、一人の少女(リトル)が現れる。

 

 服装は何時も通りの飾り気のない白いワンピース姿で、身長に変化は無いが最近目に見えてスタイルが良くなり始めているのが少し気になっている所だ。

 

 

「こんにちは」

 

「えぇ~~~!」

 

「な……!」

 

「わぁ……」

 

「はわ! 女の子が出てきました! けど……人間さんの反応じゃなくて私に近い感じですねぇ」

 

「え? そうなの、ヌル?」

 

「はい。物凄く良く出来てますけど、ワーカーに極めて近い子ですねぇ」

 

「……こんなに見た目が人間らしいのにか」

 

「これはちょっとびっくりしちゃったよ。フェムトくん」

 

「すいません。ですが、これに関しては一度見せた方が早いと思ったので……彼女はリトル。私の能力である青き交流(リトルパルサー)を封じるヒューマノイド型の意思を持つ宝剣です」

 

「宝剣……【翼戦士(よくせんし)の羽根ペン】に近いモノか」

 

「ヒスイさん、その話、後で聞かせてください。今回の襲撃に関係のあるかもしれないんです」

 

「いいだろう、フェムト」

 

……成程、あのアホ天使がこの前自慢していたのはこの事でしたか。こちらは大丈夫なのですが、先の話では彼女はヒューマノイドだと聞いています。人と同じ食べ物を与えても大丈夫なのでしょうか?」

 

 

 ノワが疑問に持つのは当然の事だ。

 

 私はもう慣れてしまっているが、普通ヒューマノイドは人間の食べ物を摂取したりなどしないし、する必要も無い。

 

 但し、リトルやそのデータを元に生まれたアニムスなんかは偶然(リトルが好き勝手した結果)の産物ではあるものの、有機物(食べ物)が必要になる程に精密に作られている。

 

 その為、この様にお腹を空かせたりなんかもしてしまうのだ。

 

 

「大丈夫です。既にご飯を食べる様になってから結構な時間が経ってて実証データもありますので」

 

 

 私のこの言葉と同時に、リトルのお腹から空腹を訴える音が鳴り響く。

 

 

「うぅ……お腹空いた……」

 

「ノワ、リトルちゃんの分もお願い出来るかな?」

 

「分かりました。リトル様の分も用意しましょう。……ここまで精密なヒューマノイドを皇神は作成可能なのですか……それに、宝剣だと言う話も気になります。後であのアホ天使を問い詰めなければいけませんね

 

 

 今ノワさんが何か小言を言っていたが、今の私は変身現象を解除している為、その声を拾い切れなかった。

 

 嫌な気配は感じないので私には関係の無い話だとは思うけども。

 

 その後、ノワさんが昼食を用意する為にその場を後にし、その間の話題はリトルの事で盛り上がった。

 

 

「つまり、言い方は悪いかもしれませんが、リトルさんは()()()()()という事で宜しいのでしょうか?」 

 

「ん。大体そんな認識で考えてくれればいい」

 

「あのあの、そんな話、わたし達が聞いても大丈夫なのかな? なんかこう、機密っぽい感じのお話な気がするんだけど……」

 

「ここに居る皆さんは私達が現時点で協力関係にあるアキュラとの関係が深いでしょう? なので、その辺りを信じて話しています。それに……」

 

「それに?」

 

「この屋敷と周辺には()()()()()盗聴器の類が無いのを確認してますので」

 

「はわ!? と、盗聴器ですか!?」

 

「私の居る職場では良く見つかるんですよ。もう調べて除去するなんて当たり前の習慣になってしまいましたね……」

 

「はぇ~~~……」

 

「所謂産業スパイの類という事か」

 

「ん。これが例外的に会社内なら私を使って何時でも変身現象してもいいって言われてる理由の一つ。皇神は敵が多いって事、物凄く実感出来る」

 

 

 そんな風に話を進めていると、ノワさんが食事の用意が出来たと知らせに戻ってきた。

 

 私達はその場所へと向かい、そこに用意されていた昼食に舌鼓を打つ。

 

 並べられた料理の内容はミチルの健康面と美味しさを両立させた物で、見る人が見れば見事な物だと思わせる。

 

 

「むぐむぐ……ん~~……口の中でお肉が解けてくる感じが凄くいい」

 

「それでいて、優しい味付けがされているからいくらでも食べれちゃいますね」

 

「恐縮です」

 

「えへへ。アキュラくんに付き合う形でこの場所まで来て良かったって思えた事の一つなんだ♪」

 

「そうだな。私達の場合はこう言った食事は生まれもあってか、あまり食べる機会は無かった。何度味わっても本当に、温かい。そう感じるよ」

 

「はわ~……私、なんだか皆さんが羨ましくなってしまいました」

 

「ヌルちゃん。だったらご飯食べられるようにアキュラくんに改造して貰ったらどうかな? アキュラくんなら頼めばやってくれそうだし」

 

「流石にそれは……どうでしょうか?」

 

「今は忙しいみたいだから、落ち着いたら尋ねてみたらいいんじゃないかな?」

 

 

 この後、食事を終えて満足したリトルと再び変身現象を行った。

 

 普段着だった私の姿が、再び戦巫女の恰好へと姿を変える。

 

 

「もう行っちゃうんだ……」

 

「ええ。エリーゼが待っていますので」

 

「フェムト様、今日ご用意した食事で余った物を纏めさせてもらいました」

 

「ありがとうございますノワさん。彼女もきっと喜んでくれます」

 

 

 その後私は足早にその場を立ち去り、エリーゼの待つ我が家へと帰還する為に駆け出した。

 

 それと同時にスピードヴォルトを発動させ、只管その身を加速させる。

 

 その際、今回のミッションで頭領さんの体の動かし方をデータ化していたのでそれを参考に自身に最適化を施す。

 

 

(……! 思ったよりも体の負担が軽い)

 

(とーりょーさん、速さと体の負担の両方を考えた上であんな動きしてたんだ……)

 

(この体の動かし方を学べた時点で私の中では十分お釣りが出る位得をしました。お陰で私自身、もっと早く動けるようになれそうです)

 

(ん。早くエリーゼとアニムスの所へ帰ろう)

 

 

 今回はまだお日様が登っている状態なので、前回みたいな失態を犯さずに済みそうだ。

 

 そうして出かけた時よりもずっと速い速度で私は我が家へと加速していく。

 

 頭領さん直伝とも言える気配殺しを行いながら。 

 

 そうして我が家が見え始め、ラストスパートも兼ねてさらに勢いを付けようと高く飛び上がった私の視界には()()姿()()()()()姿()があった。

 

 何を隠そう、我が家にはパーティーが開ける位の所謂超大型のプールを完備している。

 

 今日は気温も高かったし、涼む目的でプールを利用したのだろう。

 

 それもあってか、猫用の小さなプールにみーちゃんが目を瞑りながら伏せた姿勢で心地よさそうにしている。

 

 こうして私はエリーゼとアニムスの水着姿を見れた事に内心感謝をしつつ、こちらに対して手を振っている二人にただいまの挨拶をしたのであった。

 

 

 

 


トークルーム

 

 

 

 

 我が家に帰った私は早速外に居るエリーゼ達と同じように水着に着替えてプールへと乗り出した。

 

 そして、改めてエリーゼ達の姿を見る。

 

 エリーゼはトップに紫色のフリル、ボトムはオーソドックスな白いビキニタイプの水着に、同じく白い麦わら帽子を被った可愛らしい姿。

 

 対するアニムスは、ホルダーネックタイプの胸元をより強く強調する黒色のビキニで、エリーゼよりも大人っぽい雰囲気を持った姿だ。

 

 

「フェムトく~~ん!」

 

「リトルちゃん! こっちこっち!」

 

 

 二人が私達を出迎え、エリーゼが私の手を、アニムスがリトルの手を取りプールへと飛び込んだ。

 

 プールの冷たさが心地よい。

 

 飛び込んだ勢いで水の中に居た私は目を開ける。

 

 水中の中でエリーゼと目が合う。

 

 声は届かないので、私は微笑みながら改めて手を取り外へと顔を出す。

 

 すると、エリーゼ達以外に来訪者が居る事に気が付く。

 

 

「あ、フェムト。戻って来たんだ。泳ぎながら待ってたんだよ」

 

『あらフェムト。プール、利用させてもらってるわよ』

 

 

 シアンとモルフォの二人が水着姿で私達を迎え入れてくれた。

 

 シアンは上下にカラフルなフリルの付いたビキニタイプの可愛らしさを強調した水着を着ており、モルフォは自身の魅力を引き立てる青いタイサイドビキニを身に付けていた。

 

 ……って、アレ?

 

 

 

「戻ってくるのが何時になるか分からなかった私達を待っててくれてありがとう。……そう言えば、GVは何処に?」

 

「…………」

 

「シアン?」

 

『……そこの、ビーチパラソルの所で眠っているわ』

 

 

 そこで私の目に飛び込んで来たのは、大型デパートで知り合った水着姿のオウカに膝枕してもらって眠りについている、同じく水着姿のGVだった。

 

 オウカはボトムの方にスカート状のフリルを付けたピンク色の水着を身に付けており、あの時の落ち着きのある姿とは一転、意外と大胆な姿をしている。

 

 そして横になっているGVは私と同じように青色の短パンの水着を着ていた。

 

 因みにだがリトルはモノキニと呼ばれる前から見るとワンピース型、後ろから見るとビキニに見える水着を身に付けており、色は私とおそろいの青色だ。

 

 ……話を戻すが、オウカはGVから視線を外さず、優しく頭を撫でている。

 

 そして肝心のGVなのだが、体その物に傷は無いけど心なしか随分とボロボロになった様な雰囲気を私は感じていた。

 

 

「……これは一体どう言う状況なんです?」

 

「えっとね、わたし達が知る限りでの話になっちゃうんだけど……」

 

 

 何でもGVは何処かで普段の戦闘服がズタボロになってしまう程の激しい戦闘を行ったらしく、心身共に多大な疲労を背負いこんでしまっていた。

 

 そこでエリーゼに連絡を取ってプールを使わせて欲しいと連絡し、GVにリフレッシュしてもらおうとここにお邪魔しようとしていたのだが……

 

 

「そこまでの道中で水着を購入して帰宅途中だったオウカさんと遭遇して、シアンさん達と合流したんです」

 

「そこまでは良かったのですが、その後で問題が発生しちゃって……」

 

 

 そこからの問題を要約すると、一通り遊んだ上で心地よい疲れが出てプールで横になって微睡んでいたGVに対して膝枕をする権利を巡って静かな争いが勃発。

 

 最終的に言い争いになりそうだったので、ここは公平に決める為にエリーゼがあみだくじを即席で用意して決める事となり、それにオウカが勝利した。

 

 よって、シアンとモルフォは残念そうにオウカとGVを睨みつける様に見つめていた、という訳なのだ。

 

 

『もう! GVったら、オウカにデレデレしちゃって!』

 

……GVのバカ

 

GVはプールに来て私達と一通り遊んだ後力尽きて眠ってしまったから不可抗力なのでは……

 

『「何か言った?」』

 

「ひぇ……な、何でもないですはい……

 

エリーゼ、しっかり

 

 

 心身ともに立ち直っている筈のエリーゼが気圧されている。

 

 そして、アニムスの応援も小さい為、彼女も二人の雰囲気に圧されてしまっていた。

 

 まあそんな訳でGVを取られてしまった為か、シアンとモルフォの機嫌はよろしくない。

 

 しかし、GVを見て改めて思うのだが……気のせいだろうか?

 

 GVはデレデレしてる所か物凄く魘されているように見える。

 

 それが理由なのもあって、オウカは物凄く心配そうに優しくGVの頭を撫でていた。

 

 ……そもそも、どうしてあそこまでGVはボロボロになってしまったのだろうか?

 

 彼は私が知る限り紫電と並ぶ最強の能力者の一角。

 

 あそこまでGVを追いつめる事が出来る相手はかなり限定されるだろう。

 

 ……私の脳裏に浮かぶのは、普段は冷静沈着で頼れる仲間とも言えるアキュラの姿。

 

 もしかしたら私とリトルがミチル達と食事をしていた間、GVを呼びつけていたのだとしたら――

 

 

(十分あり得そうな話ですね。アキュラがあの話を聞いていた事は確認済みですし)

 

(ん)

 

(それよりも、この惨状をどうしましょうか)

 

 

 そう思った矢先、テーブルの上にあった端末からタイマーらしき音が鳴り響いた。

 

 

『オウカ! 時間よ! アタシ達と交代して頂戴!』

 

「あら、もうそんな時間なのですか? ……名残惜しいですがシアンさん、モルフォさん、GVをよろしくお願いします」

 

「やっと時間になったぁ! ……えへへ。GV、GV♪」

 

 

 どうやら膝枕をする時間は決まっているらしく、この時のオウカとシアンは物凄く息を合わせてパパっと膝枕を交代した。

 

 何て言うか、仲が良いのか悪いのか……

 

 そんな私達の視線に気が付いたオウカは私の方へと足を運び、挨拶をしてくれた。

 

 

「こんにちは、フェムトさん。あの時の大型デパートでは本当にお世話になりました。ありがとうございます」

 

「いえいえ。私はあの部屋では何もしてませんでしたよ。あの時はGVに任せちゃいましたし」

 

「ですが、あの後色々とわたしの生活に支障が無いように手配してくれたとGVから聞き及んでいます。なので、お礼を言うのは当然だと思いますよ」

 

 

 こうしてオウカと話しかけて見て思ったのだが、彼女は物腰柔らかな大和撫子と言った感じの人だ。

 

 何て言うか、無条件にこの人にならGVを任せてしまえる、そんな雰囲気すら私は感じてしまう。

 

 そんな優しい包容力のある人なんだと私は思ったそんな時、エリーゼが私の腕を引っ張りながら声をかけて来た。

 

 

「ねぇフェムトくん……わたし達も、やってみたいな」

 

 

 それはエリーゼからの膝枕のお誘いだ。

 

 既に後方でアニムスとリトルが新しくビーチパラソルとプールマットを用意しつつ、床を冷やす為に伸ばしてきたホースから水を撒いていた。

 

 

「ふふ♪ どうやらわたしはお邪魔虫みたいなので退散させて頂きますね♪」

 

 

 そう言いながらオウカはシアンに膝枕してもらっているGVの元へと向かっていった。

 

 そして、オウカが去った後の私はと言うと……

 

 

「どう? フェムトくん」

 

「これはいいですね……何て言うか、凄く落ち着きます……」

 

「ふふ……♪ よしよし……」

 

 

 エリーゼに膝枕をして貰っていた。

 

 普段私と訓練しているのもあって、適度な柔らかさを持った太ももが私の後頭部を優しく受け止めてくれている。

 

 その上で、エリーゼの柔らかな手が私の頭をよしよしと撫でてくれており……あ、これはダメです。

 

 絶対に癖になってしまう。

 

 そんな風に思った矢先、今度は私の足の方にそれぞれ別の柔らかな感触を感じた。

 

 

「こんなのはどうかしら、フェムトくん。疲れた時は足を高くするといいってエリーゼの記憶から読み取ったのを参考にしてみたの」

 

「ん。フェムトどう? 気持ちいい?」

 

 

 今度はアニムスとリトルが私のそれぞれの足にそれぞれの太ももに膝枕をする様に乗せたのだ。

 

 それと、疲れている時は足元にクッション等を敷いて高くすると疲れが取れやすくなると言うのは本当の事だったりする。

 

 ですが、あぁ、いけません。

 

 アニムスが、リトルが、私の足裏を指でマッサージしてくれている。

 

 それは生体マッサージとはまた違う正に天にも昇る心地よさであり、何時までもこうしていたいと思わせた。

 

 ……これでは私、本当にダメ人間に成り果ててしまう。

 

 これよりももっと凄いコト、してる筈なのに……

 

 そんな風に思いながらGVの方に目をむけてみたら――

 

 

「『あーーー! オウカってば、ズルイ!』」

 

「ふふ♪ どうですかGV? 気持ちいいですか?」

 

足の裏が心地いい……あれ? ……シアン? それに……お、オウカ!? 二人共、何をやって……!?」

 

『ダメだよGV。ジッとしてなきゃ』

 

「モルフォまで……分かったよ」

 

 

 オウカはGVの足を自分の膝に乗せ、アニムスたちと同じようにマッサージをしていた。

 

 その刺激で微睡んでいたGVが気が付いたらしく慌てて起き上がろうとするが、それをモルフォが待ったをかける。

 

 そんなGVは心身の疲れがまだ抜けきっていないのもあり、観念するかのようにその身を二人に預けた。

 

 それを見た私は、心の中でGVの事を応援しながらエリーゼ達の施しに身を任せる。

 

 心地よい微睡の中、私はそのまま意識を落とすのであった。

 

 

 

 


 

 

エリーゼとの心の繋がりを感じた

 

 


 

 

 

 


エリーゼと訓練

 

 

 

 

 トレーニングルームにて、私と対峙しているのは変身現象で新たな姿を獲得したエリーゼ。

 

 正面から見た彼女は以前よりもずっとボディーラインを強調した新たな装いもあり、変身現象中であるにも関わらず強い魅力を放っていた。

 

 それでいて下品さを感じさせず、むしろカッコよさすら感じる程の意匠と本人の堂々とした出で立ちが、更に魅力を押し上げる。

 

 今は近接戦闘の訓練前と言うのもあり背中の翼を仕舞って、両手には苦無……では無い。

 

 左手に持つのは苦無で間違いないが、利き腕である右手には苦無よりもリーチが長く、取り回しも効きやすい小太刀を装備している。

 

 これは装いが新たになった影響によって一部の苦無が小太刀に変化したのだろう。

 

 対する私も既に変身現象でリトルと一つになった状態で、いつもの両手に鉄扇を装備していた。

 

 私とエリーゼ、互いの感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。

 

 今回はエリーゼの装いが変化してからの初めての訓練。

 

 なので、今回はいつもよりも集中して対峙する必要があった。

 

 ……互いが構え始めてから五分ほどの時間が経過した後、まるで惹きつけられるように同時に飛び出し、訓練と言う名の真剣勝負が始まる。

 

 

「フッ!」

 

「ハァ!」

 

 

 互いの得物が衝突した甲高い金属音が響き渡る。

 

 その衝撃は得物の変化も含まれるが、明らかに以前のエリーゼよりも力強い物。

 

 即座に私の中でエリーゼのデータの更新を行い、対応。

 

 その後の二度目の打ち合い。

 

 今度は速度がデータを上回った為、再び即座に修正。

 

 三度目。

 

 四度目。

 

 互いに打ち込む回数が上がるにつれてエリーゼのデータは更新され続けて行く。

 

 この事から、エリーゼ自身も己の力を測りかねている様だ。

 

 ならばこそ、それを受け止めるのが私の役目。

 

 

「エリーゼ! もっと遠慮せずに打ち込んでください! 私は大丈夫ですから!」

 

「……! うん!」

 

 

 そこからエリーゼの動きに残像が加わるようになった。

 

 この動きの速さは訓練時の頭領さんに匹敵する程の物だ。

 

 以前の私ではまず対応出来なかっただろう。

 

 

「はっ! やぁ! たぁ!」

 

「まだまだ!」

 

 

 それに、先ほどからエリーゼの全身から()()()()()()()()()が迸っている。

 

 これを解析した結果、驚きの事実が判明した。

 

 この雷撃は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「えへへ♪ わたしの溢れてた生命力(ライフエナジー)をフェムトくんの真似が出来る様に生体電流に変化させてみたんだ」

 

 

 これが出来る様になったのは恐らく、本当につい最近なのだろう。

 

 実際、生体電流その物の扱いはまだ慣れていないらしく、初期の私と同じくらいの練度に留まっているからだ。

 

 だけど、元々私と互角に打ち合えていたエリーゼが使った場合は話は別になる。

 

 元々生命力を体に循環させ、漠然とした強化をするだけに留まっていたのだが、それに加えて生体電流による強化も上乗せされたのだ。

 

 普通に考えたら私自身力負けする。

 

 その筈だったのだが……

 

 

(どうして私は今のエリーゼと()()()()()()()()()()()()()()()()? 普通に考えたら、私の方が明らかに力負けする筈だと言うのに)

 

「ぁ……」

 

 

 その時、エリーゼが何かに気が付いたのか、その手を止めてしまった。

 

 その事に対して私はどうしたんだろうと思いながら武器を下ろして尋ねる。

 

 

「どうしたの、エリーゼ?」

 

「……フェムトくんから、()()()()()()()()()()()()()()の。()()()()()()()()()()()()()()()()みたいに」

 

「……え?」

 

 

 私は慌てて自身のセルフチェックを行う。

 

 だが、肉体的な変化を発見する事が……いや。

 

 何かを、感じる。

 

 私の心臓辺りからほのかに温かく、身に覚えのある波動を。

 

 これは間違い無く生命輪廻(アニムス)の波動。

 

 その波動が、私の心臓を中心に体全体に行き渡っているのだ。

 

 

「これは……エリーゼの?」

 

「うん。間違い無いよ」

 

 

 そう言えば、先ほどからリトルが沈黙している事に私は気が付いた。

 

 最初は訓練に水を刺さない様に黙っているのかと思っていたのだが……

 

 

「わたしの方も、アニムスの返事が無いの」

 

「そうなると、考えられるのは……」

 

 

 考えられるのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 リトルは私がエリーゼ達と肌を重ねた際に摂取したアニムスの因子を取り込んで最適化を始め、アニムスも同様に私達と肌を重ねた際に摂取したリトルの因子を取り込んで最適化を始めたのだろう。

 

 ならば、私達がする事はただ一つ。

 

 

「エリーゼ、構えて」

 

「うん」

 

 

 私の言葉に合わせ、エリーゼは再び構えを取る。

 

 私も同じく構えを取り、再び訓練を再開。

 

 衝突する度に、互いの持つ因子がより強く結びついて力となる感覚が、私達に得も言われぬ高揚感を与える。

 

 打ち込めば打ち込むほどにそれは増して行き、お互い得物をぶつけ合っているにも拘らず、まるで何時もの様に互いに一つになっているかの様な錯覚すら覚えた。

 

 そうして互いが衝突している内に、私の内側から頼れる相棒(リトル)の声が響き渡る。

 

 

(フェムト、終わったよ)

 

(リトル)

 

(心配かけてゴメンね。私の中にあったアニムスの因子を取り込んで最適化するのに忙しかったんだ。多分、向こうも同じだと思うよ)

 

 

 エリーゼの方もアニムスと会話をしているのか、心配そうな表情から喜びの表情に変化させていた。

 

 そうして私達は訓練を切り上げる為に変身現象を解いたのだが……

 

 リトルの髪の色が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()へと変化を遂げたのだ。

 

 対するアニムスはリトルみたいに髪の色こそ変化は無いが、瞳の色がリトルと同じ藍色に変化しており、互いが互いの影響を受けている事を如実に表していた。

 

 

「どう、フェムト。似合う?」

 

「ええ。良く似合いますよ」

 

「……ゴメンね。私もこう言った事は初めてだったから、何も連絡出来なかった」

 

「アニムスもそうなの?」

 

「ええ。わたくしもリトルちゃんと同じでしたわ。……本当に、ごめんなさいね。エリーゼ」

 

「ううん。アニムスが平気ならそれでいいの」

 

 

 そういう訳でリトルとアニムスは互いの取り込んでいた因子を最適化した事で、私達は新たな力を得た事を互いに喜び合うのであった。

 

 その新たな力はきっと、私達の事を大いに助けてくれるだろうと、互いに確信しながら。

 

 

 

 


 

 

エリーゼが青き交流の因子を、フェムトが生命輪廻の因子を取り込んだ為、バッドエンド【滅びゆく世界(バニシングワールド)ver.生命暴龍】を回避しました。

 

 


 

 

 

 


情報解析

 

 

 

 

 プールから上がり、GV達がリフレッシュして帰宅したその翌日。

 

 朝食を皆と済ませた私は早速前回のミッションで習得したデータを元に情報解析を始める。

 

 今回の少女との戦いでは私は後方で皆の動きをよく観察することが出来た。

 

 今回は頭領さんによるTAS運用がメインであった為、本来ならばアビリティは一個出来れば上等の筈だった。

 

 だが、療養施設を襲撃していた少女との戦いによる戦闘データによって、それは覆る。

 

 

(移動速度を上げる【ダッシュ】、跳躍力を増やす【ハイジャンプ】、各種行動の隙を減らす【レデュースアクション】、主観加速(フィールアクセラレーション)時の負担を軽減する【フィールプロテクション】、攻撃を連続で当てる事で通常よりも多くダメージを与える【チェイン】、SPスキルを連続で当てる事で通常よりも多くダメージを与える【SPチェイン】……こんな所ですね)

 

 

 今回は頭領さんの指摘のお陰で主観加速に多大な負担がかかる事が分かった。

 

 今の私だけの事を考えれば連続使用しても後でエリーゼに負荷の掛かった魂を修復して貰えば大丈夫なのだが、TASで接続している人達も負担がかかるとなれば話は別だ。

 

 なので、今後フィールプロテクションは目に見えない形にはなるが、きっと役に立つ事だろう。

 

 そして、今回は移動も含めた体捌きに関わるアビリティが多く習得することが出来た。

 

 これらはスピードヴォルトとも重複するので、ミッション前の打ち合わせの際、動きになれる必要が出てくるだろう。

 

 体捌きに関わるアビリティである為、この辺りの話し合いはしっかりしておきたい。

 

 中には必要無いと答える人も出てくるかもしれないだろうし。

 

 チェインとSPチェインはゲームで例えるならコンボと言えば分かりやすいだろうか?

 

 連続で攻撃を当て続けると徐々に攻撃力の倍率を引き上げてくれるアビリティだ。

 

 TASは最終的に大人数で接続した上での運用を考えているので、思わぬ効果が期待できると私は考えている。

 

 ここまでは問題無いと言えるのだが、問題はノワさんの戦闘データだ。

 

 

(やはりダメですね。オカルト関連はそもそも基礎的なデータも足りていません。これでは解析所じゃない。……いい加減オカルト関連にも手を付けた方がいいかもしれませんね。この国を守る最終国防結界「神代」にも霊的防御と言う形でそう言った技術が使われているらしいですし)

 

 

 そう思いながら、私はエリーゼに出してもらった氷の入った麦茶を飲みながら一息つくのであった。

 

 

 

 


 

 

GET ABILITY ダッシュ ハイジャンプ レデュースアクション フィールプロテクション チェイン SPチェイン

 

 


 

 

 

 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




〇リトルの髪の色の変化について
えころの持つ天使の因子が生命輪廻の因子と極めて高相性だった為、その影響がリトルの髪の色に反映されている。
それに合わせ、青き交流における退魔の力も初期の頃よりもずっと強くなった。

〇フェムトの家のプールについて
お金持ちの豪邸でよくありそうなパーティーが開ける位広いプール。
何気にフェムトが普段どれだけ稼いでいるかが端的に分かる施設。
外からは基本見えなくなっており、大っぴらに水着姿になることが出来る。
今まで描写は無かったが、身内には無条件で解放されている為デイトナを始めとした多くの人達が利用している。
最近引っ越してきたみーちゃん用の小さなプールもある。

〇今回のオウカについて
ここでのオウカが何も反応しなければフェムトくんが過労死する事はありません。
但し、血相を変えて反応した場合は……なんて事だ、もう助からないゾ♡
……という事はありません。
ここまでトークルームを進めていればエリーゼと特訓が解禁されてる筈なので直ぐにやりましょうと言う合図である。

〇ボロボロなGVについて
本編第三十話の時に()()()物凄い表情をしたアキュラに新兵器のテストと称してボコボコにされた……のだが、そこは流石の蒼き雷霆。
あの状態のアキュラを相手に辛うじて相打ちに持ち込んでいる。
勝負の決め手は新しい戦闘スタイルを確立できた事、つまり近接戦闘が出来る様なった事。
このアキュラとの戦闘によってGVは新しい戦い方を学んだ為、結果的には得をしている。

〇フェムト達をイチャつかせてる理由について
先ず第一に、GV達を始めとした友達以上、恋人未満な人達を焚きつける事が主な目的。
今回の場合はフェムト達がいちゃついている所を見たオウカがリトル達の真似をして座ってGVの足を膝にのせて足裏マッサージをする場面辺りがそうだったりする。
要するに、GVに過剰なアプローチをする理由になって欲しいと言った感じ。
……だってそうしないと互いが牽制している関係上、何時までもくっ付かない気配ががg

〇リトルとアニムスが互いの因子を取り込んでいる事について
ガンヴォルト鎖環の描写を見るに、相性のいい能力の因子を取り込むとある程度反映される事が分かったので追加された設定。
今回の場合リトルはEPを生命力に、アニムスは生命力をEPに変換し、変換先の力も使って身体能力を更に高めることが出来る様になった。
現段階ではここまでだが、更に互いに因子を取り込み続けると出来る事が増える。

〇バッドエンドについて2
物凄く簡単に言うと、フェムトが死ぬと世界が滅びます。
逆に言うとフェムトが死ななくなる、或いは即時復活させる手段があると今回の様に回避出来ます。
因みにですが、時間が物凄く経ってフェムトが()()()()()()()()老衰して死んだ場合も滅びます。
それが回避できたという事は……まあ、そう言う事です。
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