サイドストーリー |
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(どうだい? 地下施設の様子は?)
(はっ! 今の所、異常は見当たりません!)
(それならいい。だけど、何か発見したら即座に報告を。状況次第ではそちらの判断で撤退してくれても構わない)
ボクは今、かつてエリーゼを保護した場所である地下施設の入り口に居る。
ここは以前、GVがシアンを連れて行った後で発生した大爆発によって施設諸共消し飛んでしまった上に、以前の未熟だった頃のエリーゼの力によってゾンビまで発生していた曰く付きの場所だ。
あれから時が経った今でこそ入り口付近は大分片付いてはいるものの、それ以降の内部はほぼ手付かずの状態となっており、一種の禁足地と言う扱いすら受けていた。
そんな状態を今まで放置していたのは、単純に
そんな優先順位の低いこの場所を何故今更になって本格的な調査を始めたのか?
それは以前パンテーラが連れて来てくれたニケーの占星術によって割り出されたペスニアの潜伏先と思われる場所だからだ。
とは言えボクが所属しているのは皇神である以上、「占いで場所を特定しました」等と言う訳にもいかない為、こうして裏取りをしているという訳なのである。
それに、ボク達がペスニアの足取りを今まで掴めなかったと言うのも理由の一つ。
何しろ彼女はオカルト的な索敵すら逆探知してその場に赴く等と言うとんでもない事を仕出かすことが出来る存在。
しかも本人は神出鬼没である事から、追跡は愚か発見する事も非常に困難であった。
(これは……培養装置か。全く、何を実験していたのやら)
(こっちには……
(荒れた床が鋭利なトゲになっている。総員、足を取られない様に)
そして、ボク自身ここに来てからあの時と同じように嫌な予感が止まらない以上、ここには何かがあるのは間違いない。
道中で転がるゾンビにすらなれなかった死体も、ボクの嫌な予感に拍車を掛けた。
なので、現在ここを調査している潜入班には独自の判断で戻っても良いと言う趣旨を伝えてある。
更に潜入班よりも先に外部操作の音声も拾える動画撮影機能付きのドローンを先行させている為、コイツに何かあっても即座に撤退するよう徹底しているだけでは無く、彼らと待機班のボク達もフェムトのTASで接続している。
これは一般隊員達に対しての運用テストもかねており、安全性も保障されている為、問題は無い。
これまでの会話もTASの機能によるテレパスで行っており、特殊な電波を使っている関係上、その機密性は相当な物だ。
危険であると分かっている場所に送る以上、これぐらいの事はして当然と言えるだろう。
(こちら潜入班。中層までたどり着きましたが異常は……! 異常発見! これは……ドローンの映像をそちらに送ります!)
(これは……
そこは大規模な研究設備がずらりと並ぶ大広間。
そのあちこちに血痕が付着しているが、その割に死体が見当たらない。
恐らくここに存在した死体だった物は敵だった頃のエリーゼ達が引き連れて行ったのか、それともその後で片付けられたのか。
まあどちらにしろ、不気味である事には変わりは無い。
そして、その大広間のさらに奥に大穴とソレを塞ぐかのように大規模に展開されている電子障壁が映し出される。
この奥に何が広がっているのかは定かではないが、ペスニアがここを拠点としているのは確定と言っても良いだろう。
なので、ボクは即座に皇神兵達の撤退を命じる。
(ありがとう。確認は取れたから直ぐに撤退を。長居をしていい事は無いからね)
(了解しました。では、現時点を以て撤退する! 総員直ちに反転せよ!)
(了k……ヒィ!)
(おい、どうした?)
『あ……あぁ……や、やめろ……来るな……来るなぁ!!!』
離れている筈のドローンを経由して、隊員の叫び声が木霊する。
送られてきている映像からペスニアの姿が現れたと同時に。
(あれが紫電様が仰っていた……やむを得ん!)
『ぅ……』
部隊長が叫び声を上げている隊員を打撃で気絶させて倒した後、即座に抱きかかえてボクの居る中継地点へと撤退を開始する。
ドローンから送られている映像に映ったペスニアはドローン本体に気が付き、視線をドローンに向けて手を翳す。
するとたちまちドローンは制御不能となり、ペスニアに付き従う僕と化した。
しかし、僕と化したドローンであってもこちらに映像と音声を送り続ける機能が無くなった訳では無い。
よって、彼女の
『全く、このわたしを見て悲鳴を上げるだなんて。失礼しちゃうわ。こんなに可愛らしい姿をしているのに』
確かに大本はモルフォの姿なので可愛らしいと言うのは事実だろう。
しかし、これまでの所業を考えると残念ながら当然であると言わざるを得ない。
オカルト的索敵手段に反応して世界各国に出没する、
しかし、今回ボクが率いている皇神兵達は少数精鋭の特殊部隊、所謂エリートに相当する隊員で構成されている。
当然ボクも部隊構成も隊員のプロフィールも把握しており、今回のミッションに耐えうると判断して投入しているのだ。
……あの怯え切った隊員は普段は常に先陣を切り、正に恐れを知らぬと言う言葉を体現した人物だった筈。
なのにも関わらず、あそこまで怯えるなんて明らかにおかしい。
『ああ言ったタイプの人って確か……
顎に手を当て、いかにも考えていますと言うジェスチャーをしながらこのように愚痴を溢すペスニア。
この言葉を聞き、あの隊員のプロフィールにそう言った記述があったのを思い出した。
……まさか、本当に?
いやしかし、仮にそうだとしたら霊感などと言うその手のシロモノを持っていないボクを含めた様々な人達ですらペスニアの姿を捉える事が出来ると言うのは明らかにおかしい。
一体どういう事なのかと思案している間、ペスニアの様子に変化が現れる。
撤退する隊員達に対して手を翳しており、何かしらの干渉をしようとしていたのが見て取れた。
恐らくだが、以前ボクとパンテーラを動けなくした、一種の金縛りを仕掛けているのだろう。
しかし――
『まあでも、折角来てもらったんだから歓迎しないと……アレ? 動きが止まらない? ちょ、ちょっと待ってよ! どうして止まらないのよ~!?』
――どういう訳か効果が無いらしい。
ペスニアは不発に終わったのが予想外だったのか、目を白黒させながら慌てている様子が映し出された。
以前のボク達と今のボク達で違いがあるのだとしたら、それはフェムトのTASを皆が接続している点だ。
恐らくだが、コレのお陰で彼らは動けているのだろう。
しかしそれがペスニアの興味を引いてしまったのか、彼女は隊員達の追跡を始めてしまった。
そうなると、ボクが殿を務める必要が出て来るだろう。
(紫電様!)
(うん。予定通り、皆戻ってくれたね。……後はボクに任せて欲しい)
(了解しました。……ご武運を)
ボクは側に居たシスを用いて
今回はあくまで隊員達が撤退し、何かあったら増援に来る予定のフェムト達が来るまで時間を稼げばいい。
以前は何も出来なかったが今回は動ける以上、不覚を取るつもりは無い。
そう考えていると、ボクの視線に彼女の姿が映し出される。
何と言うか酷く興味を刺激されているらしく、慌てていた筈だったのが一転して嬉しそうにこちらに向かって来ており、向こうがボクを視界に収めた途端、更に笑みを深めた。
『あらあら、紫電じゃない。ん~……やっぱり通じないみたいね。
「さあね。仮に知っていても教えるつもりは無いよ」
『う~ん……見た所わたしの所在の確認だけが目的だったみたいだし、見逃してもいいかなぁ』
「へぇ。見逃してくれるんだ」
『
その言葉と共に、
まるで、
『本番は明後日よ。それまでにしっかりと準備を整えてらっしゃいな』
「そっちはもう準備が整ってるのに、直ぐには決行しないんだね。キミの様なタイプは真っ先に実行しそうな物なのに」
『だって、明日はモルフォのライブの日じゃない。コラボもやるって聞いたわ。……コラボ対象があの玉っころだって言うのとこっちの都合で初日だけしか見れないのがちょっと不満だけど』
「……キミの様な人でもああ言ったイベントには興味あるみたいだね」
『こんな事やる余裕、わたしの居た場所では無かったんだから当然でしょ? それに、一度直接見て見たかったのよねぇ。わたしの姿をしたあの子がどんな風に歌うのかを』
「…………」
『そう警戒しなくても大丈夫よ。初日のライブの邪魔はしないわ。それに……明日は
「……キミは、この国を滅ぼすつもりなのかい?」
『個人的には残ってて欲しいって気持ちはあるわよ? 楽しい事や興味のある事でいっぱいな所だから。……でも、そうね。結果的にそうなっちゃうわね。全く、嫌になるわ』
「だったら今すぐにでも辞めてくれるとボクとしては助かるんだけど?」
『そうもいかないのよねぇ……わたしにはわたしの事情があるのよ。残念ながらね。ま、滅ぼされたく無ければ、精々頑張んなさいな。フフフフフ……アハハハハハハハハハハハ…………♪』
木霊する声と共に、ペスニアは姿を消した。
彼女の気配は消え、視線も感じなくなった。
恐らくだが、ペスニアの神出鬼没な所はコレが由縁なのだろう。
……全く、この手の相手の領分は裏八雲の方だと言うのに。
今日私達は本日開催されるモルフォのライブ会場である専用のドームの中に居る。
既に一般客も入り込んでおり、ドーム内はほぼ満員と言った様相を呈しており、その熱狂ぶりが伺えた。
しかもネットで話題となっている希望の歌姫とのコラボをすると言うのだから、既にドーム内は凄まじい熱気に包まれていると言っても過言では無い。
このライブの目的はいつもの能力抑制では無く、ロロとのコラボと私達の明日に向けての応援の意味がある。
それに加え、私達の活動が市民の間で噂になっているらしく、その不安を取り除く事も目的にある様だ。
因みにだが、能力抑制はこの翌日に行われる予定で、昨日判明したペスニアの拠点に突入するのと同時に開始する事で私達も含めた突入班の士気を上げる狙いもある。
「俺らが特等席に陣取れるなんて……皇神兵やっててこんなに嬉しい事は無いぜ」
「ああ、全くだ。ここ最近はずっと忙しかったからな」
「明日はいよいよ決戦だって聞いてるから、このライブでリフレッシュ出来るのは本当にありがたいよ」
「しかし、俺らにも明日の出番があるなんて思わなかったよな」
「まあ出番なんて言われちゃいるが、主に火力支援がメインだからな。俺達は後方で指示通り撃つだけでいいんだ。楽なもんだぜ」
「ここ最近の俺らの装備、本当に充実したよなぁ。
「一回ロックオンされた対象に試射したけど、あの弾道の曲がり方は凄かったよなぁ」
一般客とは別の特等席に居る隊員達が話しているのは明日の私に関わる話だ。
彼らの扱っている武装は現時点において第七波動を用いた最新式の物。
そんな彼らの明日の主な任務は、私の支援要請で行う火力支援だ。
主に
これらの武装は本来ペスニアが潜伏していると思われる場所である地下施設では不向き所か、下手をすれば自爆もあり得る代物だ。
しかし、既に紫電から受けた大まかな説明によると、突入時は星辰によるレーザー攻撃を集中させる事によって大穴を開け、部隊運用をする為の広さを確保すると聞いている。
それならば確かにこれらの火力支援も生かす事が出来るだろう。
しかし、そこまでやってしまうと派手になり過ぎてしまうのではと思ったのだが、紫電が言うにはペスニアは本当にこの国を滅ぼそうとしているらしく、手段を選んではいられないのだと言う。
だからこそ、まだ未完成であるはずの火力支援部隊まで投入する必要に迫られているのだろう。
そんな風に考えていると、デイトナ達が特等席に入る為の入り口から姿を現す。
既にここまで満員となっている関係上、この場に居る私とリトル、エリーゼにアニムスと合流する事は出来ないだろう。
(もう直ぐで始まるね。モルフォとロロのライブ)
(……ねぇフェムトくん。TASをこんな風に使っちゃっていいのかなぁ)
(大丈夫ですよエリーゼ。こう言った場所での運用もデータに残しておけばいい訳が立ちますので)
(フェムトくんも強かですわね)
(この位のいい加減さにも柔軟に対応できてこそのTASですよ。アニムス)
(フフ♪ そうですわね)
(あ、暗くなって来た……サイリウム、何色にしようかな)
(私は水色にしますね)
(じゃあ私もフェムトと同じで)
(わたしは白色にしようかな。アニムスはどうするの?)
(わたくしもエリーゼと同じ白色にしますわ)
そう言ったやり取りを行っている内にライブ会場であるドームは真っ暗となった。
それと同時に少しづつ開いていたドームの天井が完全に開放され、夜空が私達の視界に姿を現す。
モルフォとロロのコラボライブが、いよいよ始まる。
前奏が流れ出す。
世間においては新曲であり、私とリトル、デイトナとイオタ、エクスにライは図らずとも聞いてしまったその曲。
その名は藍の運命。
曲が進むにつれて明かりが急速にともり出し、場を沸かせる。
曲に合わせサイリウムが動く光景は、私達に強い一体感を与えた。
そして――
――モルフォライブが遂に始まった。
二人の歌声による新曲は、開幕のデュエットと合わせ私達に大きな衝撃を与え、ドームの盛り上がりは早くも最高潮に向けて加速し出す。
振り付けと同時に二人にもたらされる数々の光溢れるエフェクト。
時には藍色の光の柱が立ち並び、時には光の粒子が幻想的に宙を舞う。
そして、サビに突入した事による盛り上がりがドーム全体の一体感をこれでもかと私達に体感させてくれる。
私自身何度か体験した中でも、今回のライブは過去一番の盛り上がりと言っても良いだろう。
そんな風に思っていた時、リトルが私の袖を引っ張った。
(どうかしましたか? リトル)
(フェムト、あそこ)
リトルが周りの動きに合わせながらも顔だけを別方向へと向けていたのでその先を見て見る。
そこは丁度モルフォ達のステージの対面に位置する、一見すると何もない夜空に彼女達は居た。
私達がこれまで倒してきた翼戦士であるクリム、リベリオ、バクトにイソラ、ダイナインにインテルス。
そして、それ以外にも私の知らない
五人の人影の構成は男性と思われる影が4、女性と思われる影が1。
そこでふと、ペスニアの「ちょっと戦力を補充しないといけないから」と言う言葉を思い出す。
きっとあそこに居る五人はペスニアが言っていた補充された戦力なのだろう。
まあここまでは別に良いのだが……
あろう事かそこにほぼ居る全員、ライブの歌に合わせてサイリウムを振っていた。
何と言うか、これから滅ぼすとまで宣言しているこの国で催されているライブを楽しんでいるペスニア達を見ていると、何だか気が抜けてしまう。
いやいや、これもあの時の様に彼女なりの心の付け入る隙を作り出す戦術なのかもしれない、しれないのだが……
リトルと手を繋いで能力を行使して強化した視覚で改めて見て見ても、全力で楽しんでいるようにしか見えない。
全く、とんでもない自由奔放っぷりだ。
私の知らない五人組やバクト辺りは顔を少し引き攣らせている為、多分ペスニアにやらされているのだろう。
逆にダイナインやリベリオ辺りの人達は楽しんでいるように見える。
そして、その中で特に異彩を放つのがイソラだ。
皆がサイリウムを振っている中、彼女だけはメモ帳に記載しながらライブを食い入るように見ていたからだ。
本人のアイドルに対する真摯な想いを私は彼女と対峙していた為知ってはいたけど、まさかここまでだったなんて……
まあでもあの様子なら、私が紫電から聞いていた約束は守るつもりの様だ。
ならば今日だけは、敵味方関係無く楽しもう。
世界を股に掛けた奇跡の歌姫達のコラボを。
そう思いながら視線をライブ会場へと戻し、私もこの場に居る全員と一体となって楽しんだ。
そして、この日のライブは過去最大の盛り上がりを見せ、それによってネットの方も盛り上がり、一部のSNSサーバーをあり得ない程の負荷によって容易く沈黙させる等の珍事を起こし……夜は開けた。
「ん……ふぁぁぁぁ。おはよう、フェムト」
「おはようリトル。今日は長い一日になりそうだから、準備を入念にしないとね」
「ん。頑張ろう」
運命の一日が始まった。
とは言え、朝私達がやる事はいつもと変わらない。
シャワーを浴び、身だしなみを整え、朝食を取る。
何時もやっている当たり前の事だが、これらの作業すら緊張で満足に出来ない様では、この先の戦いは間違い無く無様な結果となるだろう。
鉄扇とワイヤーガンのメンテナンスを終わらせ、TASに異常が無いかを確認し、自身の体調のセルフチェックを行い、異常が無い事を確認する。
……これで、私自身が出来る全ての準備は終わった。
後は紫電の命令を待つばかりだ。
そんな時、私の部屋のドアにあるインターホンが鳴り響く。
外を映し出す画像を覗き、私は思わず固まってしまう。
何故ならば、会いたかった人がそこに映し出されていたからだ。
私はリトルと共に思わず駆けだした。
玄関までの短い道のりが、今日はやけに遅く感じる。
興奮のあまり、脳が限界を超えて活性化しているのが原因なのだろうか?
そんな風に思いながらも何とかドアの前へと辿り着き、一呼吸を置く。
居る。
ドアの前に、私の知るあの人の気配を感じる。
ずっとずっと会いたかった。
私の成長した姿を見せたかった。
私は意を決してドアを開く。
そこに居たのは一人の男性。
見た目は細身で、黒色短髪。
こんな場所なのにも関わらず、トレードマークである白衣を身に纏っていた。
あの時私が繋いでいた左手は義手になっており、その時の爆風によってちぎれたと言う事実を私に伝えて来る。
そんな、私の会いたかった人物。
「ニコラ!!」
「おっと! おうおう。ちったぁ背が伸びたじゃねぇか」
「会いたかった! ずっと会いたかったよ!」
「……そうかい。だったら会いに来たかいがあったってもんだな」
「ニコラ!」
「っとと、今度はお前かリトル」
「私の事、分かるの?」
「そりゃあ分かるさ。
私達を抱き止め、頭を撫ででくれるニコラ。
あぁ……この感覚、あの研究施設に居た頃と変わらないや。
温かくって大きな手だ。
「……うっし。フェムト、リトル、ちょいと俺に着いて来てくれ」
「……? もう直ぐ紫電に呼ばれるからあまり時間は取れませんよ?」
「その紫電から許可は貰ってる。だから心配すんな」
そうして私達が連れてこられたのは、
そこにたどり着き、ニコラはその中心へと私達を置いて歩み、こちらに振り向く。
そして、何処からともなく両手に私が使っているのと似たような鉄扇を持ち、構えた。
その姿から放たれる気配はあの頭領さんにも負けないくらい凄まじいもので、私の知るニコラとはまるで別人だ。
「ニコラ?」
「よく見とけよフェムト、リトル。これからするのは、所謂
「奥義……伝承……?」
「突然の事で良く分からんだろうが、まあ一度見ときな。お前がこれから戦うであろう存在と対峙するのに、きっと役に立つ筈だ」
「…………」
「大切なのは内に眠る力を把握する事。そして、絶対に諦めないと言う意志の強さだ。さあ、しっかりと目に焼き付けな。――俺の呼吸、力の流れ、独自の型……」
そうニコラが呟くと同時に、周囲から地鳴りと共に小規模の地震が発生する。
いや違う。
ニコラから発生する私の知らない力が全身を包み、私が覚醒した時の様なオーラを展開しながら辺りを揺らしている。
「その一挙手一投足を、お前の頭に、魂に、しっかり刻み込みな!」
振動とオーラがさらに強まり、ニコラの全身から【温かな雷】と表現出来る物が迸る。
それと同時に両腕の鉄扇を展開する。
そこから先の光景を、私は決して忘れる事は無いだろう。
我が舞うは雷の舞
大地を潤す煌めく稲妻
春雷よ 冬を切り裂き春を告げろ
全身に温かな雷を纏うニコラの舞はとても綺麗で美しく、普段のガサツさなんて想像も出来ない程だ。
それでいてこの舞は独自の型が存在しているらしく、一定の法則で雷の軌跡を描く。
私とリトルはそれを食い入るように見つめていた。
その幻想的で、温かな雷の舞を。
そうしている内に、何時までも見ていたい程の美しい舞は終わりを告げる。
「ふぅ……あの時は済まなかったな。この両手にある
「それは結果論って奴です。今更そんな事、気にもしません。だって、それがあったからこそ今の私が、リトルが、ここに居るんですから」
「そうかい。……強くなったな。俺が思っている以上に」
「そう言われると、なんだかこそばゆいですよ。ニコラ」
「だがな、これからお前と対峙する相手は、お前の思っている以上にずっとヤバい相手だ」
「……? ニコラ、ペスニアの事を知ってるの?」
「知ってるも何も、お前らよりも前に会った紫電に
「え?
「オカルト的な意味での【憑りつく】だ。お前の言うペスニアはな、所謂【幽霊】の類だ。魅入られたらたちまちに取り込まれちまうほどに強烈なヤツだ」
「ゆ、ユーレイ……ですか?」
「おう。それこそ日本古来の【崇め奉る】と言う奥ゆかしい封印措置を取らねぇとヤベェ程のヤツさ。……そう言うヤツから身を守るのにあの舞は役に立つ。本当ならもっと成長してから教えたかったんだが、アレを見た以上は付け焼刃だろうが何だろうが教えて置かねぇとヤバイって思ったのさ」
もし本当にユーレイの類だと言うのなら、それこそ
……そう言えばこの基地に居る皇神兵の中には頭領さんの部下が変装して潜り込んでいる事もあったけど、もしかしたらコレが理由だったのかもしれない。
「アイツは所謂【
「ゆ、ユーレイガチャ……身も蓋もない言い方ですね」
「実際そうなんだから仕方がねぇ。んでだ。ペスニアは俺が見た中で最上位に位置する……ゲームで言う所の
「笑い事じゃ無いですよソレは!」
「いやこんなの笑うしかねぇだろ。最終国防結界も紙の様に素通りするヤツだぜ? 裏やk……【印帝】の連中も通り抜ける様子を目視した時は頭抱えてたらしいからな。ま、紫電の作戦がこれまで以上に苛烈な理由が良く分かっただろ? もう手段何て選べねぇのさ」
「…………」
「そういう訳で、まあ兎に角気を付けろよ。俺も本当はこの戦いに向かいたいが、先ずはやらなきゃいかん事があるからな」
「やらなきゃいけない事……ですか?」
「おう、ちょいとばっかし力を借りようって思ってるヤツが居てな。まあ、普段は
それは果たして、大丈夫な人なのだろうか?
まあニコラが言うのなら大丈夫なのだろう、きっと。
曰く、力を借りれれば百人力なのだとか。
「んじゃ、俺はもう行くぜ。ちょいと急がねぇと不味いからな。今度会うときは、そうだな……お前の彼女でも紹介してくれ。挨拶しときてぇ」
「分かりました。……必ずお互い生き残りましょう」
「じゃあね、ニコラ!」
「おう! お前らも気を付けろよ!」
ニコラは本当に急いでいる為か、物凄い駆け足でその場を後にした。
私達も当然時間を押しているので、駆け足で紫電が居る会議室へと向かう。
強制ミッション |
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「すみません! 遅くなりました!」
「事情はニコラから聞いてるよ。時間も予定よりも早い位だから大丈夫さ。……さて、これで全員揃ったかな。では、改めて作戦を説明するよ」
今回の作戦内容を簡単に言うと、先ず地下施設で支援火力を扱えるようにする事と私達が戦いやすい場を作る事を目的に、紫電個人が運用する特攻衛星「星辰」を用いて地表部分を消し飛ばす所から始まる。
あのような暗く狭い場所での部隊運用は、一纏めになった所を一網打尽にされるリスクが高いからだ。
過去にダイナインの居た施設での出来事を考えれば十分にあり得る為、相手の戦力を削ると言う意味でも重要な工程と言えるだろう。
その後、前衛部隊、後衛部隊、遊撃部隊に分けて対応すると言った形となる。
前衛部隊は少数精鋭で、紫電を始め私達も含めた力がある能力者達と、外部協力者であるアキュラも含めて構成される。
そして後衛部隊は前線基地内に存在する皇神兵による火力支援要員に加え、治療を担当するエリーゼと、後方の指揮と負傷した前衛の救援要員を担当するメラクで構成される。
更にパンテーラ達率いるエデンの部隊も存在しているが、彼らは部外者であると言う関係上連携を期待できない為、遊撃部隊として好きに動く感じになっている。
それらの確認を終え、私達はいざ決戦の地へと向かう。
その場所は私にとっては正式に初ミッションを行う前に経験した記録に残らないミッションをこなし、エリーゼと初対面を果たした場所でもある。
その場所は当時、表向きには皇神の管理する倉庫と言う扱いだった。
しかし、その地下に存在する施設では不老不死の実験と称してエリーゼに対して非道な実験を繰り返していたのだ。
その結果、この施設で研究をしていた人達は報いを受け、ゾンビと成り果てて最終的には私と紫電が引導を渡すと言う結末を辿る事となった。
そんな曰く付きの地下施設だが、入り口付近は綺麗になっているものの、紫電が言うには内部は当時のままなのだと言う。
非常電源も既に消えてしまっており、内部はゾンビにすらなり損ねた腐乱死体や足を取られる程に鋭い切っ先を持つ床などで大変だったらしい。
そんな所をこの大部隊で突入する訳にも行かない為、今回の作戦という訳なのである。
そういう訳なので、早速変身現象を済ませていた紫電が作戦開始の合図として星辰を操作しようとしていたその時、私達の前に黒い幾何学模様の魔法陣と思しき物と共に、ペスニアが姿を現した。
『あらあら、思ったよりも大所帯ねぇ。フフ、どうかしら? 昨日のライブを参考に派手に登場してみたのだけれど…………皆固まっちゃってるわねぇ。もしかして緊張してるのかしら?』
ここに居る全員、ペスニアについてのある程度の情報は先の最終確認の際に共有している。
それでもなお黒い衣装を身に纏っているとは言え、国民的バーチャルアイドルであるモルフォの姿をした相手と敵対する事にどうしても浮足立ってしまう点は否めない。
普段見る事の無いありえざる狂気の笑みを浮かべるモルフォのインパクトは私達ならばともかく、皇神兵達からすれば相当な物なのだろう。
そんな事も露知らず、ペスニアは自身の大きな胸元を両腕で手を組むような形で支えるポーズを取りながら、こちらに対して語り掛けた。
『まあいいわ。折角来てくれたんだし、そもそもわたしが何をやろうとしているのかを話してあげる。もうネタバレを気にする必要も無いし。何が起こったのかもわからず国が亡びる様を見るのは嫌でしょうし』
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
『まどろっこしいのは嫌そうだから、先ずは結論から言うわね。この施設の地下にわたしと一緒に転移した存在である【謡精暴龍バタフライエフェクト】をこの世から消滅させたいのよ』
「謡精……暴龍だと!?」
『それに、【バタフライエフェクト】だって!?』
ペスニアの言葉に反応したのはアキュラとロロだ。
彼らはペスニアから理由も分からずに恨まれていたのだが、彼らの反応から考えるに、先のワードには極めて重要な意味合いがあると思われた。
『そうよ。わたしの世界のアンタ達テツクズ共がよりにもよって肝心な所でしくじったからわたしはその後処理をしてるって訳。……なんて言われても、この場に居る大半の人達は分からないわよねぇ。折角だからわたしの覚えている限りの話になっちゃうけど、どう言う事かちゃんと説明してあげる。長くなるから覚悟してよね』
(フェムト)
(分かってるよ紫電。記録はちゃんと残す)
(頼むよ)
『そもそもわたしはこの世界の存在じゃないわ。こことは違う別の世界線から来たの。そこに居るテツクズ共とは途中までは同じ世界線からね。その世界は恒久平和維持装置バタフライエフェクトによって維持されていたわ。でもね、それによって成り立つ平和って言うのは所謂ディストピア的な物だったのよ。だから当然、ソイツらみたいに反抗する存在も多く居たわ』
アキュラの居た世界の生い立ちに関しては詳しく聞いた事は無かった。
しかしペスニアの説明を聞く限り、とてもでは無いが良い物であるとは言えなかった様だ。
その説明の過程でバタフライエフェクトと呼ばれる存在も、アキュラの妹であるミチルの脳を生体パーツとして組み込んだ醜悪なマシンである事がペスニアから語られる。
その姿はご丁寧に画像までデカデカとペスニアが用意してくれた為、私達も把握する事が出来たのだが、正直二度と見たくない画像であった。
中には胃の中の物を全て吐き出す皇神兵も居た辺り、その悪魔の行いは筆舌に尽くしがたい。
『それで紆余曲折あってコイツラが元凶である筈のバタフライエフェクトを捕捉して対峙出来た所までは良かったわ。でもね……あろう事か、
『そんな……』
『それ以降はこのディストピアの体制を維持してたデマーゼルってヤツがマイナーズ……この世界では無能力者だったわね。彼らを只管屠殺していったわ。老若男女、大人子供も関係無くね。中には
「コハク……」
『因みにだけど、そこのポンコツ共の末路は死体から持っている技術と記憶を全部吸い上げられて溶鉱炉送りだったそうよ。ま、当然の末路よね。……前置きはまだ続くわよ。大丈夫かしら?』
「ちょ……まだ前置きなのかよ!」
『そうよデイトナ。そもそもまだわたしが登場して無いじゃない』
言われてみれば確かに。
今までの話の内容にペスニアは登場していない。
しかし彼女の話を聞く限り、この時点で私が予想していた以上に悲惨な世界で聞いている私も嫌な気分になってくる。
『それじゃあ話を続けるわね。無能力者が完全に駆逐されて、修復された上に人格と言う
「未来技研……私達の世界では最先端の第七波動研究を行っていた場所ですね。今は再建作業がようやく完了した直後だとは聞いていますが」
『流石はフェムト、話が早いわね。じゃあ、これは知ってるかしら? そこには封印された、皇神でも本当に一握りの存在しか知らない秘密があるのを』
「……?」
『その様子じゃあ分からないみたいねぇ……ほらテツクズ、出番よ。説明してあげなさいな』
「……眠りにつく生まれながらの【暴龍の王】。世界に混沌をもたらす【
『その名は【メビウス】。……フフ♪ これで貴方達は知ってはいけない事を知っちゃったわねぇ♪ でもまあ、どうせ今日この国は滅ぶのだから関係無いわよね』
(……紫電)
(ボクもこの話は聞かされていない。恐らくだけど、副社長になって長く勤めていない関係上、ボクには資格が無かったんだろうね)
何と言うか、とんでもない情報が次から次へと送り込まれてくるお陰で正直戦う前から大分消耗してしまった気分だ。
しかも、アキュラの口からまた分からない単語が飛び出してきたのだ。
暴龍の王、無限の星読み、第八波動……そもそもの話になるが、暴龍の王と言う言葉にある暴龍の意味すら分かっていない。
それを分かっているのか、ペスニアは説明の捕捉を行った。
『暴龍って言うのはね。簡単に言えば力を高め過ぎた能力者の末路よ。最初は理性を無くして暴れる程度で済むんだけど、最終的に文字通りバケモノの姿になっちゃうの。これだけならまだいいんだけど、一度暴龍になっちゃうと周りの人達まで暴龍にしちゃう龍放射って言う波動をまき散らしちゃうのよね』
(やはり、モルフォに頼り過ぎると良く無いと言うボクの予想は正しかったか)
(頼り過ぎたらペスニアの言う暴龍に成り果ててしまう可能性があるって事ですからね。依存しない方向に舵を切って本当に良かったです)
『捕捉は終わったから話を戻すわね。デマーゼルったら、
「……何を、言っている?」
『流石のテツクズでも言葉を失うわよねぇ……でも事実なの。わたしの予想になっちゃうけど、デマーゼルって今居る世界だけじゃ飽き足らず、外の世界にも手を出そうとしたんじゃないかしら?』
「…………」
流石のアキュラも言葉を失っている。
ペスニアの齎した情報は、数多の戦いを勝ち抜いたアキュラであっても相当にショックが大きい様だ。
『まあそんな無茶をしちゃった訳だから、バタフライエフェクトが暴龍と化すのは必然だったわ。んで、デマーゼルは止めようとしたらしいんだけど、
「……ヤツの電子頭脳のエラーはそこまで深刻だったという訳か」
『長く統治し過ぎたせいか、経年劣化が酷かったんでしょ。多分。……さて、前置きはここまで。改めて自己紹介をさせて貰うわ』
ペスニアは私達の前で高らかに名乗りを上げる。
この国に滅びを与える災厄としての名を。
『わたしは理性無き謡精暴龍バタフライエフェクトの持つ第八波動の領域にある能力【
その力は能力者が約七割居るとされているこの世界において、正しく
よって、彼女は正しく
本小説の全ての話を合わせて五十話目の投稿が出来ました。
ここまで感想、或いはお気に入りや評価、UAにPVと言った形で応援してくれた皆様に多大なる感謝をいたします。
では改めまして……ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここから先も宜しければ引き続き、応援よろしくお願いいたします。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇ペスニアの金縛りを無力化した件について
元々ペスニアの金縛りは能力による精神干渉を用いて体を動かす為の電気信号を遮断して動きを封じていると言った感じ。
なので、遮断された電気信号に対して何らかの対策が取れる能力者、即ち雷撃能力、或いはその派生能力を持った人達ならば無意識に対策を取る事が可能。
なので第三十五話で書いてあった「資格」とは主に雷撃能力を指す。
そして、そんな雷撃能力者であるフェムトとTASで接続すれば自動で無力化が可能である為、TASの完成がトゥルーエンドに必須という訳なのである。
〇火力支援について
能力を技術的に組み込んだ特殊装備による集団砲撃。
フェムトの指示によってロックオン対象に地球防衛軍シリーズのエアレイダーみたいに要請をかける事で合図を送り、砲撃を必中させる。
その性質上、誤射がほぼ存在しない事に加え、ある程度の訓練を積んだ人達でも十分な戦力として数える事が可能となる。
ゲーム上では何回でも使えるクールタイムのある使い勝手の良いノーマルスキルとして扱われる。
〇奥義伝承イベントについて
待望のフェムトの攻撃に使えるSPスキルを習得する前振りのイベント。
現時点ではまだ使用する事は出来ないが、とある条件を満たすと扱えるようになる。
ライブアライブのクンフー編を意識しています。最近リメイクが出ているので興味のある人は是非購入して楽しもう! ボイスアリはいいぞぉジョージィ……
〇崩霊について
一応本小説のオリ設定で、崩壊した魂が時間を掛けて何らかの形で再構成したオカルト的存在。
何気にフェムトの魂が崩壊するバッドエンドの時、コレの存在が示唆される。
簡単に言うと幽霊ガチャ。
後、生きている人間から一時的に離脱している霊である【生霊】タイプと、死んでいる人間から生まれている【死霊】タイプと言う二種類のタイプが存在している。
崩壊した魂で再構成されている関係上、他者の魂をそのまま自身に取り込む事が出来る性質を持つ。
〇謡精暴龍バタフライエフェクトについて
デマーゼルがあろう事か解体したメビウスをバタフライエフェクトに組み込んだ事に加え、あまつさえデマーゼル本人も取り込まれた事で誕生したぼくのかんがえたさいあくのぼうりゅう。
理性が存在せず、自身の持つ能力である黒死蝶の謡精女王を本能で無差別にまき散らす最悪の存在で、ペスニアが居ない状態で本気で暴れさせると世界全体が瞬く間に暴龍の楽園と化す。
メビウスの持っていた無限の星読みの能力も劣化した形で健在である為、「能力者の持つ能力は原則として一つ」と言う縛りすら破っている。
現時点では凄まじい
〇ペスニアの正体について1
バタフライエフェクトと化した神園ミチルが目の前でアキュラ達が死亡した事が引き金で、これまでの過程で崩壊寸前だった魂に止めを刺されて崩壊してしまう。
その崩壊した魂が謡精暴龍となるまでの長い期間で再構成された崩霊として生まれたのがペスニアと言う存在。
幽霊ガチャで例えるとランクはURかLRの最上位の位に相当する。
アキュラとロロを恨んでいるのは肝心な所でしくじったのもそうだが、あの時感じたミチルの絶望の影響を強く受けているのが主な理由。
そのオカルト的能力は最終国防結界「神代」を無意識に素通りできる程に強力。
それだけでは無く、彼女は謡精暴龍バタフライエフェクトの持つ能力、黒死蝶の謡精女王でもある為、ガチで暴れさせるとこの国は愚か、文字通り一つの世界を容易く滅ぼすことが出来る存在でもある。
因みにだが、彼女の相方の持つ能力によって実体化している。
声のイメージはこの素晴らしい世界に祝福を! に登場する女神アクア。
つまり残念要素があるって事だよ!
〇黒死蝶の謡精女王について
龍放射を歌の力で意のままに操る力。
メビウスを組み込んだ影響で第八波動の領域にある規格外の能力。
それに加え電子の謡精の性質も残っている為、暴龍その物を直接操る力も有する。
デマーゼルを取り込んだ影響で蒼き雷霆の出力も上乗せする事も可能。
他の能力者を暴龍に変えてしまう龍放射の性質から、伝染病の代名詞である
逆に言うと、龍放射を一カ所に集中させて隔離する事も出来ると言う意味でもある。
〇ペスニアのコンセプトについて
ペスニアは一言で言えば初期の爪シアンちゃんをより尖った形で強調したコンセプトで設計しています。
なのでその自由奔放っぷりや幽霊であると言う事柄を強く意識した作りになっています。
つまり、彼女の相方が彼なのにも相応の理由があったりするって訳です。
〇オルガについて
本小説では第三十八話に登場した彼女は蒼き雷霆ガンヴォルト爪のドラマCDである【蒼き雷霆ガンヴォルト爪
他者の第七波動を受信し、顕現させる事ができる能力を持つ。
作中では海を隔てた他国の能力者が持つ第七波動を顕現させている描写がある。
受信可能範囲は限りなく広く、この力を無意識に発動させる形でペスニアを呼び寄せた。
ペスニアは彼女の事を知っているようだが……
サイドストーリー |
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「うぁ……アスロック……ニムロド……テンジアン……ガウリ……テメェ、よくも、よくも!!!」
『フフ……最初の威勢は何処に行っちゃったのかしら?』
コイツが現れたのは突然だった。
何時もの様にテンジアン達と言い争いになっていた時、コイツが現れた。
最初はオレ達は有利に戦えていたと思っていた。
だけど、気が付いたらオレ以外みんなやられちまってた。
【ポーン】の皆も例外無く、一人残らず。
「く、くそ! 動け! 動けよ!! 何でオレの身体、動かねぇんだ!!」
『……ねぇ。おチビちゃん。
「な、何言ってやがる! 誰がテメェなんかの……!」
『何物にも負けない力。あのパンテーラにだって負けない力よ。……貴女が望むなら、あげてもいいわよ。但し……貴女の全てを貰うけど』
お、オレの全てだって!?
冗談じゃねぇ!
誰がこんなヤツなんかに!!
そう思っている筈なのに、心の中のオレは媚びへつらってやがる。
オレのこの気持ち、一体何なんだよ!
『さあどうするの、ジブリール? わたしに従えばとってもスゴイのよ? 沢山の破壊の限りを尽くせるのよ? 何も考えずに、ただただ只管に』
「お、オレ……
『アナタの言う
アタシは、その破滅的な誘惑に抗えなかった。
アスロック達と同じように。
圧倒的な存在に身も心も叩きのめされ、敗北を刻まれたアタシは、心の底から湧き上がる熱い気持ちを感じずにはいられなかった。
それが何なのかも分からないまま、アタシはこのバケモノ女の手を取った。
もう何も考えたく無かった。
全てを壊せるなら、それでいいと考えちまったから。