ガンヴォルト 現地オリ主原作開始前スタート   作:琉土

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第四十五話 戦巫女の亡霊

 

 

 

 

 ペスニアもといアミカとの戦いを終えた私達。

 

 頭領さんから受け取った封鍵のチカラを解除し、胸を撫でおろすように一息つく。

 

 今回の戦いは過去に類を見ない程の大規模戦闘で、尚且つ死傷者すら出てしまったが、終わってみれば予想を超えた完全勝利。

 

 デイトナ達も戻って来たし、エデン側もG7と呼ばれる人達も同じく復活し、オマケにダイナイン達も復活させた事で捕縛する事が出来た。

 

 他にはポーンと呼ばれるエデン構成員やペスニアとして活動していた際に洗脳及び眷属化していたテロリスト達も復活しており、後者はダイナイン達と同様に捕縛されている。

 

 こうして人的被害を結果的に無かった事に出来たのは生命輪廻(アンリミテッドアニムス)のチカラを持つエリーゼのお陰だ。

 

 本来ならば秘匿しなければならなかったのだったが、間違い無くこのチカラが無ければ私達は彼女達に勝つ事は出来なかっただろう。

 

 そういう訳で、後は謡精暴龍を倒して終わり……と言いたい所なのだが、問題が発生していた。

 

 それはアミカの処遇についてだ。

 

 人的被害は無かった事に出来たのは確かだが、建造物等の被害までは無かった事には出来ない。

 

 他には皇神の業務や国の運営に多大な影響を与えたり、エデンの本拠地でもあるベラデン要塞の被害を始めとした海外等で諸々な問題を発生させていたりと様々だ。

 

 特に重要なのが、彼女の存在が謡精暴龍に対する要でもあるという点。

 

 仮にアミカを消滅させる事が出来れば謡精暴龍を大幅に弱体化出来ると本人が口にしている以上信憑性は高い為、この点は無視できない。

 

 ならば消滅させれば話は早いのだが、インテルス達や一部の感化された人達が反対している。

 

 折角感動の再開を果たした二人を再び引き裂くのはどうなのだろうかと。

 

 しかし、謡精暴龍を倒すと言うミッションを確実にする為には彼女の消滅は必要不可欠。

 

 反対するならば相応の、生かす事のメリットや情報を開示する必要がある。

 

 その為の話し合いの場である飛天内部の会議室にて、話し合いは行われた。

 

 

「龍放射を制御出来るチカラは皇神から見ても喉から手が出る程欲しいんとちゃう?」

 

「確かに魅力的ではある。だけどそれを理由にこの国の存亡を天秤にかけるのは難しい。ボク自身は魅力的だとは思うけどね」

 

『インテルス……もういいの。わたしはもう十分幸せになれた。おじさまに頭を撫でて貰えた。それでもう十分なの』

 

「アミカ!」

 

『それにね、ここでやっぱり嫌ですなんて言えない。謡精暴龍を倒す誓いはおじさまが復活しても消える事なんて無い。だからわたしは……』

 

「オレっちとしても、アミカを消滅させるのは反対だな」

 

『おじさま!? だめよ! これだけは、いくらおじさまでも……!』

 

「それが使えんのは()()()()()()限定の話だぜアミカ」

 

「……詳しく聞かせてもらおうか」

 

 

 アミカを消滅させると謡精暴龍が弱体化すると言うのは本当の話だとB.Bは前置きした上で説明に入った。

 

 アミカは黒死蝶の謡精女王(ペスト・ティターニア)の能力の要と言える存在なのは確かなのだが、それ故に彼女の存在が消えると謡精暴龍は制御を失った龍放射を無差別にばら撒く存在と化してしまう。

 

 その影響は弱体化してなお世界規模にも及ぶ為、今のこの世界では逆にリスクになってしまうのだ。

 

 B.B達の居た世界はもう人類はほぼ完全に絶滅しているが故にこの方法に近い手(アミカを謡精暴龍から引き剝がす事)を取る事が出来たらしいのだが、私達の世界ではそうもいかない。

 

 つまり私達は生かすにしても消滅させるにしても何かしらリスクを背負う事になる。

 

 龍放射をまき散らしてしまうリスクを許容するか、謡精暴龍を確実に倒せるメリットを捨てるか。

 

 この話を聞いた後、最終決定を下す紫電は顎に手を当てながら目を瞑り思案していた。

 

 流石の紫電も世界規模の災厄を許容して確実性を取るか、リスクを負って弱体化していない謡精暴龍と対峙するかの決断を簡単には出せないらしい。

 

 そんな風に私が考えていたら紫電は目を開け顔を上げ、私達を見回していた。

 

 そして、GVと目が合う。

 

 彼は縦に首を軽く振り、紫電はそれを見て意味深に笑みを深める。

 

 

「龍放射の拡散を今の情勢で許せば、仮にボク達が返り討ちにあった後の世界と大差は無いだろう。ここはリスクを背負う選択を取る。だけど、当然彼女にもリスクを負ってもらう。具体的には保険と言う形でね。彼女を消滅させるのは本当にどうしようも無くなった時だ。それまでは可能な限り手を打つ」

 

「紫電……」

 

「ボクも何だかんだ、ハッピーエンドは嫌いじゃない。だから足掻けるだけ足掻きたいんだよ。それに……()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『うんうん。アミカにはちゃんと生きて責任を取って貰わないとね! 幽霊だって言うのはさて置いてね。……アタシのライブが中断しちゃった件、忘れて無いんだから』

 

『貴方達……お人よしが過ぎるわ……』

 

「まあそれ以前に幽霊であるキミは責任を取れる立場じゃ無いから、生き返ったB.Bが責任を取る形になるんだけどね?」

 

「……だろうなぁ。この中で責任取れそうなの、オレっち位だし」

 

「具体的な責任の取り方は主に借金をする形になるかな」

 

「え゛っ。しゃ、借金!? 本当に(ジーマー)!?」

 

「フェムト、軽く見積もりを教えて欲しい」

 

「えっと……建造物破壊、能力者部隊の運用費その他諸々を踏まえると……この位ですかね」

 

「ぜ、0が13個位ついてるの、オレっちの見間違いかな?」

 

「見間違いじゃ無いさ。……まあ、利子を要求しないだけ良心的だと思って欲しいね」

 

 

 手持ちの情報端末で軽く弾き出した計算の結果、ひと昔前の国家予算に相当する金額が表示される。

 

 その数字を見たB.Bは生き返ったばっかりだと言うのにまるで死人みたいな真っ青な顔になってしまっており、正直見ている私としては少し気の毒だ。

 

 そんな彼に対し、アミカは追い打ちをかける様に声を掛ける。

 

 

『大丈夫よ! わたしがおじさまの代わりに身体を張って沢山稼ぐわ!』

 

「デュクシ! オレっちの心に致命的な大ダメージががg……」

 

『あぁ! おじさまぁ~~~!!!』

 

「…………」

 

「GV、どうかしましたか?」

 

「何だか、他人事だと思えなくてね……」

 

 

 心労が限界に達したのか、そのまま泡を吹いて倒れてしまうB.B。

 

 その様子を見て遠い目をしているGV。

 

 まあ、うん、女性側の方が多く稼いでいる(実質ヒモという)立場は男の尊厳的な意味である意味大変だろうと思う。

 

 とまあそんな一幕もあったが、大変なのはこれからだ。

 

 何しろ弱体化せずに謡精暴龍と戦わなければならないのだから。

 

 それに、直ぐに立ち直ったB.Bが言うにはどうやらあまり時間が無いらしい。

 

 そもそも謡精暴龍がこれまで大人しかったのには理由がある。

 

 

『おかしいと思わなかったかしら? 謡精暴龍が今の今までこんなに大人しくしている事に』

 

「確かにそうだな。本能のままに暴れるってんならとっくに被害なんて出てる筈だしよ」

 

「アミカが抑えていたとしても、さっきまで疲弊していましたからね」

 

『でしょう? わたしは何もこの世界に来た直後から一人だったって訳じゃ無いのよ。謡精暴龍を抑える協力者も当然居るって訳。その人の名前は【きりん】。あの麒麟デバイスで犠牲になった能力者でもあるわ。……だけど、そろそろ抑えられるのも限界に近い。正確には後一ヵ月位は抑えられるって本人は言ってたけど……』

 

「この世界に来て最初の内はチカラを取り戻す事も無かったんだが、最近謡精暴龍のヤツ、チカラを日に日に戻り出しちまってるからな。抑えが効いてる内に仕掛けないと超大変だぜ?」

 

『そもそもの話、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()筈だったの。わたし達の世界に存在するほぼ全ての人間と引き換えに。だからチカラを取り戻す、取り戻さない以前の問題だった。だからこの世界に転移した直後は嬉しかったわね。絶滅してしまった人間を再び見ることが出来る様になったんだから』

 

 

 話があちこちに飛び散ってしまっているのでここで一度整理しつつ、更に詳しい話を二人から尋ねた上で要約するとこの様な感じとなる。

 

 ――謡精暴龍を倒し、アミカとその仲間の一人であるきりんは人間の居ない世界で幽霊としてそれなりに長い年月を過ごしていた。

 

 幸いB.Bが持っていた死霊(ガイスト)の能力の引継ぎのお陰で幽霊状態でも自由に動くことが出来た為孤独で寂しいという事は無かったが、それでも幽霊としてのB.Bに対する強い未練がオカルト的なチカラの源泉になる位深く傷を負っていた。

 

 そんなある日の最中、何時もの様にきりんと一緒に謡精暴龍の亡骸の元へと向かう。

 

 亡骸はそれなりの年月を経た事で腐敗が相応に進んでおり、頭にはこれまで一緒に戦ってくれた仲間達の墓標代わりに役目を終えた麒麟デバイスが突き立てられていた。

 

 そうして出来た即席の墓標に対し、二人はいつもの様に祈る。

 

 そして、祈りを終えていざこの場所から離れようとした時、異変が発生。

 

 亡骸であるはずの謡精暴龍から未知のチカラが溢れ出し、それによってアミカ達は私達の世界へと転移してしまう。

 

 時系列的には私が皇神で活動を始めた辺りかららしく、思ったよりも前から二人はこの世界に転移していた。

 

 最初の内は戸惑いの方が大きかったが、アミカ視点では絶滅した筈の人類を再び見る事が出来て嬉しかったのだと言う。

 

 歳を取らなくなり、故に長く生きて来たB.Bの話の中でしか国や都市と言う概念を知らなかったからだ。

 

 転移した原因は今でも分かっていないが、B.Bの考えでは謡精暴龍に組み込まれたメビウスが何かの拍子で悪さをしてそうなってしまったのでは無いかと語っている。

 

 しかし、謡精暴龍が転移した場所が問題であった。

 

 その場所はエリーゼの生命輪廻を研究していた地下施設の更に地下の、地面で埋まっている筈の場所であった事だ。

 

 実験の過程で発生した不完全な生命輪廻の力が、研究員達も知らない近くに転移した謡精暴龍へと少しづつ流れ込みだした。

 

 その影響で謡精暴龍の一部のチカラが復活する。

 

 そう、龍放射を放出すると言う性質が。

 

 それに気が付いた二人は死霊のチカラによって実体化したきりんの第七波動である【鎖環(ギブス)】のチカラで封印を施そうとした時、それは起こった。

 

 そう、私達も知るエリーゼ達の暴走だ。

 

 あの暴走の原因は流れ出した龍放射がエリーゼを意図しない覚醒を促した事による物だった。

 

 更に最悪なのが、その覚醒によって謡精暴龍は【ドラゴンゾンビ】と呼ぶべき状態に復活してしまう。

 

 その際に麒麟デバイスで魂だけの状態で眠りについていたインテルス達も謡精暴龍に捕らわれてしまい、後に私達が知るホログラム能力者として各地に散らばる事となった。

 

 幸い中途半端な復活だったのもあり、鎖環のチカラで龍放射の拡散防止及び動きを止める事その物は成功を収める。

 

 だが、日に日にチカラを取り戻しつつある事を二人は感じとった為、アミカは行動を開始する事となった。

 

 再び謡精暴龍を倒す為の戦力集めをする為に。

 

 しかし突発的な復活だった事もあり、早急に戦力を集めると言うのは不可能に近かった。

 

 アミカ達の戦力の中核であった暴龍ZEDΩ.、暴龍ブレイド、そして終末世界であったが故にそんな彼らと同等の強さを持ったB.Bがもう居ないからだ。

 

 そこで考えたのがあえて龍放射の封印のみを解除し、アミカの能力で一カ所に収束させ、相応の量が溜まったら歌にのせて広域拡散させる事でこの国の能力者達を暴龍に変えると言う方法だった。

 

 アミカ達が見て回った限り、この国は以前居た世界の総人口よりも多く能力者達が居ただけでなく、最終国防結界が他国への龍放射の拡散を防ぐと言う性質から考え出された物で、彼女達の視点ではこれでもこの世界にかなり配慮された方法であると言える。

 

 ただこの方法を取るとなると龍放射の蓄積を待つだけと言う関係上、アミカの手が余る。

 

 そこで彼女はもう一つ、自身の野望である消滅する事も兼ねた別口での戦力確保を考えた。

 

 それが私達も知る先の動乱だ。

 

 この事は動乱中も定期的にきりんとも話しており、相応に揉めたが最終的に合意に至っていた。

 

 そして、後は私達の知る流れと合流する事となる。

 

 

『とまあ、大体こんな感じよ。……これで分かったでしょ? わたしがエリーゼを求めていた理由が』

 

「謡精暴龍の【不死(イモータル)化】を解除するのに必要だったんですね……」

 

『そういう事よ』

 

「つまり今度の戦いでもエリーゼの生命輪廻がカギを握る事になる訳か。……彼女にはまた大きな負担をかけてしまうね」

 

「昔のわたしなら兎も角、今のわたしなら平気です。フェムトくんや色々な人達に鍛えられましたし、この封鍵のチカラもありますから」

 

 

 その後話し合いは終わって一時解散となり、飛天内部での休憩も兼ねた僅かな自由時間を設ける事となった。

 

 いくら急いでいるとは言え、このまま強行軍をするには互いに疲弊してしまっている為だ。

 

 しかし、自由時間ではあるが突発的な龍放射の発生を警戒する必要がある為変身現象(アームドフェノメン)とチカラの解除はしていない。

 

 ……私はエリーゼと共に飛天に設けられた一つの部屋で、互いに背中合わせに寄りかかり、目を瞑っている。

 

 顕現しているリトルはエリーゼの腕の中で私達と同じように目を瞑っていた。

 

 いよいよ謡精暴龍と対峙するミッションが始まる直前であった為、緊張する心を解きほぐす目的もあり、私達は瞑想に近い真似事をしている。

 

 視覚情報を閉じ、心を鎮め、心から信頼できるパートナーと背中合わせに共に居る。

 

 胡坐をかき、姿勢を正し、これまでの戦いを冷静に振り返る。

 

 少なくとも、私一人では間違い無くどうしようもなかった。

 

 それでも何とかここまで来れたのは私自身の努力を惜しまず、無理だと分かれば仲間を頼り、共にチカラを合わせたから。

 

 そして何よりも、エリーゼが傍に居た。

 

 だからこそここまで来る事が出来たのだ。

 

 音を遮断する部屋で、トクントクンと鳴る互いの心音を背中越しに共有する。

 

 背中から伝わるエリーゼの熱が、私に安心を与えてくれる。

 

 ふと、私は上を向く様に振り向いた。

 

 そこには同じく下に振り向いたエリーゼの顔が間近に迫っており、そのまま唇が触れてもおかしくない距離まで迫っている。

 

 お互い考えている事が同じであった事が嬉しくて、思わず二人で笑みを浮かべてしまう。

 

 そして私達はそのまま雰囲気に任せて互いに唇を重ねようとして……何も無い筈の壁から、視線を感じた。

 

 エリーゼも感じたらしく、珍しく困った様な顔をしている。

 

 その視線の先を目だけで見て見れば、そこには私達の様子を覗いている(デバガメしている)三人の存在に気が付く。

 

 モルフォと黒モルフォ(ペスニア)の姿をしたアミカ、そしてモルフォと同様に電脳体へと姿を変える事が出来る様になったシアンの三人が、壁を透過する形で私達をガン見していた。

 

 

『わぁ……』

 

『…………』

 

『わたしも何時か、おじさまに……』

 

 

 ゆっくりと近づきながら、改めてエリーゼと視線を合わせる。

 

 ……どうやらエリーゼは見せつけるつもりの様だ。

 

 私は彼女の意図を読み、そのまま口付けを始める。

 

 三人の歌姫達はそんな私達の様子に静かに沸き立ち、固唾を飲んで見守っている。

 

 しかし、私もエリーゼも流石にこの先まで見せるつもり等無く、キスを終えたと同時に三人の居る方へと顔を向けた。

 

 

『あ、バレた……』

 

『何を呆けてるのシアン! 撤収、撤収よ!』

 

『あ、待ちなさいよ二人共~~!』

 

 

 見つかった三人は即座に壁の向こうへと姿を消してしまい、その様子に私達は笑い合う。

 

 何だかんだ、敵対していた筈のアミカが私達に馴染んでくれているのが嬉しかったからだ。

 

 ……再び、私達は先と同じように瞑想に近い真似事に戻る。

 

 このリラックスした雰囲気を楽しみ、最後の鋭気を養う為に。

 

 

 

 


強制ミッション

 

 

 

 

休憩を終え、私達は複数の班に分かれての行動を開始する。

 

 これは謡精暴龍までの道のりが狭いという事もあるが、それと同時にアミカ達の知る行動パターンを考えての物だ。

 

 謡精暴本体の持つチカラとして、他の終末世界から突出した存在を呼び寄せるチカラを持つとアミカ達は語る。

 

 これはメビウスの持つ無限の星読み(アストラルオーダー)のチカラが劣化した物で、規模こそメビウス本体と比べて縮小されているが、能力の用途が最悪な方向に特化してしまった為、その脅威は相当な物だ。

 

 その性質上初見殺し的な要素も含まれている為、一カ所に固まっていると下手をすれば纏めて全滅してしまう危険性も高い。

 

 それだけでは無く、謡精暴龍本体はその巨体に任せた大規模な咆哮に龍放射を乗せて無差別にまき散らすと言う行動パターンもあるのだと言う。

 

 そう言った情報を得た事と新たな協力者も増えた為、私達は今の部隊を更に複数の班を作ると言う形で再編制する事となったのである。

 

 私の班はエリーゼ、GV、紫電、パンテーラ、アキュラ、ロロで構成されている。

 

 謡精暴龍に対するキーマンと言うべきメンバーと私達の世界の各組織の代表が私の班には集結しており、正しく現時点の私達の持つ戦力の中枢と言えるだろう。

 

 他にはエリーゼ以外の七宝剣メンバーで固まった班にエデンのメンバーで固まった班と後方支援火力班、そしてアミカやモルフォ等の歌姫達とその護衛で固まった班の、計五つの班に分かれている。

 

 そうして私達は謡精暴龍の待つ地下施設の更に奥へと足を運ぶ事となった。

 

 道中は暗く、装備された照明やイオタの残光(ライトスピード)による明かり等を頼りに私達は進む。

 

 その道中は以前紫電が潜入班を向かわせていた事もあり、最低限片付けられていた。

 

 しかし、ゾンビにすらなれなかった物や鋭利なトゲになっている荒れた床等が無くなった訳では無い。

 

 それらに注意しつつ先へと進むと、大規模な研究設備が多く立ち並ぶ大広間へと辿り着く。

 

 所々血痕が残っており、その不気味さはホラー映画も真っ青になってしまう。

 

 ……私は目線をエリーゼに合わせる。

 

 彼女は少し不安そうな顔をしていただけで、変にトラウマを刺激されたと言った様子は無い。

 

 それ所か私の目線に気が付いて無理の無い笑顔までこちらに向けている。

 

 この様子なら、彼女は過去のトラウマを完全に乗り越えたと判断しても良いだろう。

 

 

『謡精暴龍はこの大広間の更に奥にある大穴の先に居るわ。封印を担当しているきりんと一緒にね』

 

「所でアミカ。きりんってどんな人?」

 

『人並み以上にストイックだけど、モフモフ好きなカワイイ所もある女の子よ。服装は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()感じね。本人が言うには由緒正しき戦巫女の恰好だなんて言ってたけど』

 

「私の色違い……ですか?」

 

『ええ。もしかしたら何かわたしの知らない因果関係があるのかもしれないわね』

 

 

 きりんと言う人の事を聞き出しつつ、私達は大穴へと向かう。

 

 そこからの道中はホラー特有の不気味さは無くなったが、謡精暴龍の放つプレッシャーと呼ぶべき圧力を体感するようになった。

 

 先へと足を進める程にその圧力は強まり、明らかにこの先に居る存在はヤバイと私の持つ全ての感覚が訴える。

 

 やがて私達は先の大広間よりもずっと広い空間へと足を踏み入れる。

 

 そこは謡精暴龍のチカラの影響なのか空間が歪んでおり、強度的な意味で明らかにあり得ない程に広い空間が広がっていた。

 

 その空間内を見上げて見れば星空の様な沢山の光が散らばり、原理不明なチカラで浮いている岩が所々に存在し、それでも何故か空気は存在すると言う意味不明な空間。

 

 そんな場所の中央に、かの謡精暴龍は鎮座していた。

 

 その姿は所々腐食しており、背中に生えている電脳体で構成されている翼が辛うじてこの暴龍が電子の謡精(サイバーディーヴァ)のなれの果てであると言う事が分かる程に損傷が激しい。

 

 その様相は正しくドラゴンゾンビと言える姿であり、バケモノその物であった。

 

 かの存在は、五つの方向から鎖の様な力場で構成されたチカラで動きを封じられている。

 

 それを成している存在は、謡精暴龍の足元に居た。

 

 それは以前ミチルの居た療養施設で頭領さんとヒスイさんの二人と対峙していた少女の姿。

 

 第七波動を封じ込める唯一無二のチカラを持ったが故にデマーゼルによって見るも無残な状態へとなってしまった彼女。

 

 その名はきりん。

 

 頭領さんとアミカ達の情報を合わせて考えるに、彼女は向こうの世界での裏八雲に所属していた戦巫女。

 

 その姿はアミカと同じように半透明に透けており、彼女もまた幽霊である事をその身をもって私達に告げていた。

 

 そんな彼女に、アミカとB.Bは言葉を告げる。

 

 謡精暴龍を倒す準備が出来た事を。

 

 

『お待たせきりん』

 

『思ったよりも早かったね、アミカ』

 

「久しぶりだな、きりん」

 

『久しぶりB.B。話は聞いてたけど、会えてうれしいよ』

 

「オレっちもだ」

 

『アミカから聞いたわよ? 復活して早々に借金背負ったんだってね』

 

「うぐっ……!」

 

『昔からそうだけど、ホントあんたってしょうがないヤツよねぇ』

 

「今回は不可抗力だっての!」

 

『「今回は」って言葉が出る時点で語るに落ちてるわね』

 

「ぐふっ……!」

 

『きりんってば、相変わらずおじさまに容赦無いわね。もう少し優しくしてもいいと思うんだけど』

 

『コイツの扱いはこんなんでいいのよ。アミカはちょっと甘すぎ』

 

 

 久しぶりに会えたからなのか、嬉しそうに会話を繰り広げる三人。

 

 アミカから容赦無い等と言われているきりんだが、B.Bに語り掛ける際の目は優しく笑っている感じだった為、これが普段のやり取りである事が容易に想像が出来る。

 

 そんなきりんが、私達を見てこう切り出した。

 

 

『じゃあ改めて……わたしの名前はきりん。向こうの世界の裏八雲に所属していた戦巫女の亡霊って所よ』

 

「……その身のこなし、相当の使い手と見て取れる。以前出合った幻影とは比べ物にならぬ」

 

『その姿……もしかしてアンタ、歴代裏八雲最強の……こんな所で会えるなんて思わなかったわ』

 

『この人、知ってる人なの?』

 

『裏八雲の歴史を語る上では避けて通れない程の人だよ。何しろ特殊能力を持たない只の人間でありながら歴代最強だなんて言われてたんだから。……改めて聞くけど、本当に謡精暴龍に挑むつもり?』

 

「勿論さ」

 

『…………分かった。今は鎖環の封印が効いてるから前回の時と同じ位の力関係で戦えると思う。だけど心して。手負いの獣は何をしでかすか分からないって事を』

 

 

 きりんはB.Bの死霊のチカラで実体化した後で私の班へと合流。

 

 これによって、本当の意味で各勢力の代表がこの班に揃う事となった。

 

 ……要請暴龍のチカラによって歪んだ空間内において戦いが今、始まる。

 

 この世界の命運を賭けた、最後の大戦(おおいくさ)が。

 

 私達の戦意を感じ取った謡精暴龍の龍放射混じりの咆哮が開戦の合図となり、私達は戦いに身を投じるのであった。

 

 

 

 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします





〇B.B(イクス世界線及びアミカ世界線)について
とある事情により死霊の第七波動のチカラが原作の時よりも高まった事で三十を過ぎた辺りで年齢が止まってしまったB.B。
そのチカラは魂に形を与えるだけに留まらず、魂だけの存在を自身の眷属にする事も出来る様になっている上に、眷属のチカラも自身のチカラとして振るう事も出来るようになっている。
向こうの世界では決戦時、人類はB.B本人以外絶滅していたのもあり暴龍ZEDΩ.等と並ぶ程に強かった。
主に別ゲーの【ENDER LILIES(エンダーリリーズ)】の少女とほぼ同じ戦い方を身に付けていたが故に。
鎖環世界では仲間であった【シロン】、【レクサス】、【カミオム】、そしてきりんは向こうの世界では既に死亡していた為幽霊と言う形でB.Bの眷属として共に戦っていたが、最期の血路を切り開く為に万が一を考えてきりんを残し、暴龍ZEDΩ.達と共に決死の特攻を行い、見事B.Bがラストアタックを決めた。
しかしその代償は大きく、使役していた眷属はきりんとアミカを除いて全滅し、B.B本人は激しく損傷した魂をアミカと同化させて自身の持つ能力を継承させる事で一度は息絶える。
しかし封鍵を始めとした様々な強化の上乗せをしたエリーゼの手によって存在を感知され、蘇生される事で復活を遂げる事となる。
元居た世界では【翡翠の死神ブラックバッジ】だなんてタイトルが付くくらい主人公をしている。
やっぱりB.Bにイケオジ設定は無理があったよ……

〇きりん(イクス世界線及びアミカ世界線)について
デマーゼルによって麒麟デバイスと化した裏八雲の戦巫女の亡霊。
裏八雲の修行のお陰か、霊の姿になっても自我を保てており、デマーゼルが謡精暴龍に取り揉まれた後にアミカとB.Bに出合い、行動を共にする事となる。
その道中は本編で語られる事は無いが、本編の会話の内容から察するに鎖環世界線のきりん達と同じ位仲がいい様だ。
鎖環世界線とは違い髪は長く、雷霆煉鎖を習得していない以外の違いはほとんどない。
アミカ世界線での最終決戦ではB.Bの眷属として最後まで戦い抜いた。

〇エリーゼの暴走について
第七話におけるエリーゼの暴走が原作よりも早まったのは転移してきた謡精暴龍の龍放射の影響による物。
これのお陰で早い段階で原作のボス(二回目)として登場する時のチカラを身に付けている。
何気に龍放射の影響を受けてエリーゼは危なかったのだが、宝玉因子(スフィアファクター)であるフェムトと接触できた為龍放射は浄化される事で難を逃れている。
そう言った意味でもあの時のエリーゼとフェムトの出会いは運命的であったと言える。

〇不死化について
生命輪廻が非道な実験のせいで中途半端に謡精暴龍に作用してしまったが為に起こった人為的な事故。
それ故にアミカからエリーゼは求められていた。
そもそもエリーゼを無理矢理研究何てしなければこの様な悲劇は起こらなかった為、これはエリーゼのやらかしというよりも、エリーゼを無理矢理研究していた人達のやらかしと言うべきだろう。
それもあり、謡精暴龍戦おいてGVと同じ位エリーゼも重要なキーパーソンとなりうる。

〇フェムトときりんの服装がほぼ同じな事について
二人の服装は色違い以外の変化は無いと言ってもいい位同じ。
これの理由は鎖環世界線でのラストバトルにおける真エンドルートが関係しており、どのように関係しているのかはこの後の話で語られる事となる。
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