謡精暴龍を倒す為にはいくつかのプロセスを積み上げる必要があったとB.Bは語っていた。
まず謡精暴龍本体は、自身を強固な
呼び出した存在を維持するのにリソースが必要なのかは不明だが、それらを倒すと謡精暴龍のチカラが減少し、電子障壁が弱体化する。
これを何度か繰り返していけば電子障壁は消滅し、謡精暴龍に攻撃する事が可能となる。
しかし、障壁が解けると謡精暴龍は後先を考えない物量重視の呼び出しを行うようになる。
しかもこの呼び出しは質も伴っている為、ここからはこちらがチカラ尽きる前に謡精暴龍を倒し切る時間との戦いを要求される。
これらの工程が分からなかった向こうの世界での謡精暴龍との決戦の時は、優に七千万体もの暴龍達とありったけの戦力になる幽霊をかき集めて用意したにも関わらず、最後に残ったのはアミカときりんだけであった。
では、今回の場合はどうだろうか?
相手は
きりんの見立てではついさっき話したように、アミカを謡精暴龍から引き剝がした時と同じ位だと言っていた為、結果的には前回と同じ位の脅威度だと語っていた。
何気に私達と戦っていた時もちゃっかり謡精暴龍の弱体化をアミカは行っており、イマージュパルスでの建築物創造もその一環だったりする辺り、弱体化に関しては実に念入りに行っていた事がこれまでの出来事を振り返って見ると良く分かる。
とは言え、この弱体化方法ではある程度削る所までは出来るのだが、一定量をオーバーすると謡精暴龍からのチカラの供給が止まってしまう為、これだけで如何にかする事は出来ない。
まあつまる所、トドメは私達がきっちり刺さなければならないという事だ。
……さあ、始めよう。
この動乱の
「目標は謡精暴龍バタフライエフェクト! 総員、奮起せよ!」
「「「「「「了解!!!!!」」」」」」
紫電の掛け声とそれに応える私達の声と共に、戦いは始まった。
STRIK
謡精暴龍の咆哮と同時に自身に電子障壁を展開し、更に人知を越えたチカラが収束する。
それはやがて不規則な幾何学模様の立体型の魔法陣と形容すべきモノとなり、そこから私達よりもずっと大きな巨人と呼べる存在が出現。
私から見て右半身が白く、左半身が黒いその巨人はどこか紫電を彷彿とさせる。
それを裏付けるかのように私達の知る紫電と同じように、禍々しいオーラを放つ
但し、こちらの二匹の
「……なるほど、さしずめフェムトが居ない状態で
『ボクは、
「いきなりこんな物を見せられる羽目になるなんてね。少し前まで見ていた悪夢そのままじゃないか」
「紫電……」
「やるよフェムト。……彼が歩んだ道のりは、きっと今のボクからは想像も出来ない程に過酷で絶望的で、どうしようもなかったんだろう。だからもう、休んでもらわないとね」
封鍵のチカラを開放した紫電が先陣を切る形で
開幕、頭上から無造作に光が降り注ぐ。
これは特攻衛星“星辰”から放たれるレーザーと酷似しており、その威力も着弾した際のクレーターを見る限りこちらが使うソレと同じだ。
このレーザーによる被害は直撃した班が無かった為自動治癒の範囲でどうとでもなったが、直撃すればリザレクションが必要になってしまう。
現時点のエリーゼは謡精暴龍に対する不死化を解除する為のラストアタック要員の一人である為、安易にチカラを使う事は避けている状態。
なのでこの戦闘で死亡した場合、復活できるのは戦闘が終了した上でエリーゼのチカラが回復するまで出来ない。
その代わり、一時的にB.Bの
しかし、それを踏まえてもまだ始まったばかりのこの序盤で脱落者を出してしまう様ではこの先の戦いを勝ち抜く事はとても出来ないだろうと私は思う。
その相手が例え別世界の紫電であったとしても。
陽の化身から放たれる神風でこちらの動きを制限し、そのチカラで出来た風玉が誘導しながらこちらにゆっくりと迫って来る。
陰の化身から放たれる地を這う衝撃波も同時に迫る。
これらの攻撃はここまで来た私達ならばいなすのは難しくない。
しかし、こちらの攻撃はあの白黒の巨人に対してダメージを与えているようには見えない。
一応弱点らしき箇所は見つけ出しているのだが、そこは謡精暴龍の電子障壁と同等な強度を持った障壁が展開されており、攻撃が通らない。
しかもあの位置はメラクの
なので、私達はこのままではジワジワと消耗する事になってしまうのだが……
「何だ? 頭の中に映像が……これは! 皆! あの白と黒の僕に攻撃を集中させるんだ! そうすれば弱点である胸元を守る障壁が消失する筈!」
GVの言葉を信じてこの手順を用いた結果、弱点を守っていた障壁は消失し、巨人に対してダメージを与える事に成功する。
どうしてGVがこの手順を把握したのかは分からないが、効果がある以上今はその疑問を追求するのは後でも問題は無い。
まあ何にしろ、ダメージを与える手段さえ確立できてしまえば、後はもうこっちの物だ。
しかし、相手は紫電である以上このままで終わる筈も無かった。
『まだだ! まだ、終わっていない! 鳴動の虚空、彼方より招来れ……!』
天統べる神の帝
銀河の彼方より招来れ天星
これが神罰 滅びよ愚者よ
『ボクの意思は、星をも動かす! さあ天津星よ! かの者達を押しつぶせ!!』
頭上を見上げれば大質量の隕石がこちらに飛来してきている光景が飛び込んで来た。
私の分析からしてもあれは間違い無く質量を持ったモノで、まやかしでは無い。
故に、仮に飛来する前に白黒の巨人を倒せたとしても、あの隕石を迎撃しなければこちらが壊滅的被害を受ける事になる。
「……! こうなったら」
「待ちなよGV。キミはまだチカラを温存してもらわないと」
「しかし……!」
「あれはボクとフェムトが対処する。……いや、対処させて欲しい。あの存在はボクにとって、乗り越えなければならない相手だからだ」
「紫電……」
「それに、向こうの世界のボクに可能性はあった事を教えてやりたいのさ。せめてもの手向けにね」
「……分かった。信じるよ」
(紫電様、私は準備万端です)
「紫電! こっちは何時でもいけるよ!」
『同じく!』
「シス、フェムト、リトル。彼に見せてあげよう。この世界の可能性の一端をね!」
我等の天雷は皇の導
共に往こう、我が
青と紫の理は此処に在り
クロスヴォルテッカー
私は現存するEPを開放し、紫電に譲渡する。
そして、紫電はEPを
EPを実体化させ、その権能を振るう。
白黒の巨人が放つ天津星を、無数にX型に編み込まれた鎖が受け止め、両端からGVの
『ば、バカな……そのチカラは……!』
「ボクは確かに
『…………』
白黒の巨人が私に視界を向ける。
まるで本当に欲しかったものを見つけたかのように。
『そうか……ボクに足りなかったのは、心から頼れる親友だったという事か』
「そうだね。キミとボクの違いは
『は……はは……正直、キミが羨ましいよ。気が付いたらボクの周りには、誰も居なかったのだから』
「キミの分までボクは生きる。そして、この国を必ず守り通して見せる。……だからもう、休むんだ。キミは十分頑張ったのだから」
『そう……させて……もらう……よ』
辛うじて立っていた白黒の巨人はそのまま仰向けに倒れ、砂となって消滅した。
それと同時に謡精暴龍の電子結界が弱まり、再び不規則な幾何学模様の立体型の魔法陣が展開される。
感傷に浸る暇も無い忙しなさだが、相手はこちらの都合など知った事では無いのだろう。
STRIK
そうして出て来た第二の刺客は、背中にカードの絵柄のハートをベースにしたような翼を持った少女だった。
その姿を見た女性の姿をしたパンテーラが動きを止め、少女の事を彼女らしくない憂いを持った表情で見つめていた。
『
「……やはり、こうなってしまうのね」
「さしずめ、今度は理想を体現出来た筈のパンテーラと言った所か。この姿を見るのはオレも初めてだが……いっそ憐れみを覚えるな」
『……人間を作った神様って、案外こんな気持ちだったのかもね』
「やれやれ……やっぱりこうなったか。いや本当に、忠告が出来て良かったよ」
「…………」
『GV?』
「何でも無いよ、シアン。また頭の中に映像が……もしかしてキミなのか? 蒼き雷霆」
アキュラや紫電達の会話から察するに、この少女はパンテーラの真の姿であり末路だと思われる。
元々何でもありと言っても良い
夢幻鏡は現実に影響を与える程に精巧な幻覚を操る第七波動であった。
それが強化されたと考えるに、それこそ神様の様に何でも作れる能力なのだろう。
きっと、人間そのものも例外では無い。
能力だけを見れば幸せな楽園を創るポテンシャルは十分にあっただろう。
そして、彼女は恐らく「いい人」でもあるのだろう。
……だからこそ、楽園は地獄と化した。
私の言うその手の「いい人」と言うのは情に厚く共感的で、人々からも信頼されうる普遍的に多くの人達がイメージしている人物像なのだが、その手の人達はイライラする事やモヤモヤする事に対する耐性、所謂認知的耐久性が低い傾向にあるのだと言う。
故に、気の合わない人達の事を積極的に排除しようとするし、ふとした切っ掛けで致命的な分断を招き、争いが勃発しやすくなる。
どの様な過程かは分からないが、どどのつまり彼女は
「やれそうかい? パンテーラ」
「……平気よ。ワタシの愛はこの位でへこたれたりしないわ。むしろ感謝したい位よ。だって、今のワタシの愛が間違ってない事が証明されたのだから」
「フフ……頼もしい限りだよ」
「でも一つ、ワガママを言わせてもらおうかしら?」
「何だい?」
「エスコートを、お願い出来るかしら?」
「……喜んで」
今度も引き続き紫電、そして新たにパンテーラが先陣を切る形で戦いは始まった。
開幕早々少女は自身のチカラを用い、信じられない数の兵士を出現させる。
当然G7と呼ばれる人達も含まれており、それ以外ではどう言う経緯かは不明だが皇神でロールアウトまでもう少しと言った所まで開発が進んでいる
しかも、部隊展開を終えた少女は歌を用いた攻撃まで用いて来た。
電子の謡精を取り込んだと言っていたので、その手の攻撃があるのも当然という事なのだろう。
謡精の歌を奏でよう
有象無象の異界の戦士達に
安らかな死という安らぎを
歌による攻撃はこちらの陣営のチカラを確実に削り落とす程に強力で、この状態で少女達を相手取るとなると敗北は必至だろう。
しかし、歌を扱ったチカラを使えるのは何も相手側だけでは無い。
何しろ、こちらには多くの歌姫達が居るのだから。
「歌には歌で対抗します! シアンちゃん、モルフォ! 押し返そう!」
『うん!』
『任せなさい!』
「ロロ、お前も手伝ってやれ」
『了解! 希望の歌姫、オンステージだ!』
「頼んだぜ、アミカ!」
『勿論よ! おじさまの頼みなら、わたしは何だって聞くんだから!』
偽りの楽園に苦しむ悲しき少女よ
絶望への結末を慰める消失の歌を捧げよう
せめて、心安らかに
四人の歌姫が歌うは私達の世界では希望の歌姫であるロロがネット配信で最初に披露した【
決戦前夜のモルフォライブでもデュエットと言う形で歌われており、当然シアンもアミカも知っている歌だ。
しかも今回は四人での歌である為デュエットならぬカルテット。
単純に数の暴力もあるが、それ以上に封鍵で増幅されたチカラを持ったシアンとモルフォ、共鳴現象を起こして強化されているロロ、そして幽霊として最上位に位置するオカルトパワーを上乗せ出来る
故に、少女の歌を押し返すだけでなく、この場の龍放射を一時的に完全に浄化する事にも成功した為、紫電に譲渡したEPを即座に取り戻すことも序に出来た為、私としても非常に助かった。
更に少女が呼び出した大部隊を大幅に弱体化させた為、直接かち合った際は正に鎧袖一触。
碌にチカラを発揮出来ぬまま少女を残して全滅させる事は出来たが、場合によってはこちらがこうなる事は十分にありえた。
『まだです! まだ、わたしは……!』
少女は相応のダメージを負っており、今にも先の紫電と同様に消失しようとしている。
しかし未だ諦めている様子も無く、抵抗の意思を見せている。
そんな少女に対し、パンテーラがそのまま歩み寄る。
徐々にこの少女と同じ姿になりながら。
「もう、よいのです。貴女は十分に頑張りました。貴女の信じた愛を貫きました」
『……わたしは、何を間違えたのでしょう?』
「きっと、無能力者を殲滅すれば平和になるという事を信じてしまった事でしょう……わたしは紫電にこう言われました。『無能力者を滅ぼせば世界は平和になるだなんて言うナイーブな考えは捨てるんだ』と」
『…………』
「きっと、信じすぎてしまったのが原因だったのでしょう。人の良心を」
『なら、貴女はもう
「信じすぎない事と、愛を与えない事は同一ではありません。愛とは時に、痛く苦しい物でもあるのだから。……わたしはこれからも多くの愛を与える事を辞める事はありません。ただ少し、別のカタチで与える機会が多くなると言うだけです。皆と意見をすり合わせ、少しづつ良くしていくと言う形で」
『……貴女は、強いのですね。わたしの愛を凌駕する程に』
「この強さはわたしだけの物ではありません。みんなが、紫電がくれた強さなのです」
『なるほど、わたしに、足りなかった……のは…………貴方……だったの、ですね………………紫電』
最期の言葉と同時に少女はパンテーラに向かって倒れる。
それを受け止めたパンテーラだったが、倒れた少女はそのまま白黒の巨人と同様に砂となって消失。
最初の時は厄介になりそうだと思ったが、結果的には消耗は最小限に抑えることが出来た。
同時に謡精暴龍の電子結界が更に弱まり、再び不規則な幾何学模様の立体型の魔法陣が展開される。
その規模は前回の二人と比べて非常に大規模な物となっており、恐らくだが、次の相手はこれまで通りにはいかないと私は思った。
『予想以上に謡精暴龍の電子結界のチカラを削ぐのが早い……次を撃破すれば結界は消失すると思う』
「つまりこの後からが本番という事か」
『だからと言って、次も油断しちゃダメだよ。何だかんださっきは何とかなったけど、ぼく達が居なかったら大変になってたんだからね!』
ロロのその言葉がフラグとなったのかは分からないが、次に出て来たのはそんなロロを成長させたかのような女の人と、巨大な塔であった。
その眼を見る限り、長き時の果てに疲れ果てたと言う印象を私に与えた。
何と言えばよいのか……そう、私達に分かりやすく例えるならば、皇神で働き終わって疲れ果てたOLさんに近い感じだ。
最も、相手はそんなか弱い相手では全く無かったのだが……
『何でもいい。誰か、誰か私を、ぼくを終わらせて……もう嫌なんだ! ワーカー達を滅ぼしても、「使命」を超越出来ても、「塔」がぼくを終わらせてくれないんだ! 誰か……誰かぁァァァァァァァァァァァァaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『そんな……』
「……並行世界とは無数に存在する世界。あのマザーはオレ達と関わったマザーとは違う存在なのだろう」
「どうしてそれが分かるの? アキュラくん」
「オレ達の攻略した塔であるグレイヴピラーにはマザーに対してそこまで強制力のある機能は備わっていなかった。これは龍放射対策の知識を得る為に調べた時にも確認済みだ。しかし、今オレ達の目の前に居るマザーが管理する塔は強い強制力があった。そこが分岐点となったのだろう」
「そっか……」
「……終わらせるぞ、コハク、ロロ」
「うん」
『そうだね。ちゃんと眠らせてあげないと』
「つまり、彼女達を撒きながらあの塔を攻略する必要があると」
「そういう事だ」
話を纏めると、アキュラ達の言うマザーと呼ばれる存在を足止めする班と、攻略する班とで別れる必要がある。
あの塔は見た限り、入り口に強固なエネルギーフィールドが展開されている。
アレを突破するのは骨が折れそうだと思ったが、あの入り口は人間を検知する事で開く仕組みとなっている為、私達ならば問題は無いと思われる。
仮に何かしらの理由で第七波動持ちは弾かれるだとか、逆に開かないと言った事があってもこの場にはニコラや頭領さんも居るので大丈夫だ。
しかし、問題はその内部にも戦力が居るという事。
つまり……現在進行形で塔から出て来ているワーカーと呼ばれる機械達が全て敵に回るという事でもある。
と言うか、あの規模は先のパンテーラが呼び出した戦力を軽く超えている。
恐らく純粋な戦力は向こうの方が完全に上回っていると言っても良い。
さて、どうしたものかと思っていたら、私の視界に居るB.Bが
「ふんふん……協力してくれるの?
『ちょっとB.B、誰と話し込んでるのよ』
「
「……何だと?」
『あの二人、こんな所まで付いてきちゃったの!? てっきりあの後天国みたいな所に逝っちゃったのかと思ってたんだけど』
「
そうしてB.Bが呼び出したのはバイザーを付け、大盾を持った白い鎧姿の男と、敵対しているマザーと呼ばれる存在と酷似している女性の姿。
彼等はかつて、この塔がある世界では創造主と呼ばれた人物とその従者兼管理AIとして存在していた。
「……こうしてまた直接顔を合わせる事になるとはな」
『別世界であるとは言え、アイツを放っておくことは出来ないからな。それに……あのようなカタチでアイツや塔を使役する等、許される事では無い』
『世界は違えど、見た限りこの塔はぼく達の創った物と大差はないでしょう。ぼくとマスターが共に居るならば、攻略は容易。ですよね? マスター』
『当然だ。お前が共に居るならば、不覚は取らない』
「ありがとうございます。正直どうしようかと思っていましたので」
『オレ達がチカラを貸すのは謡精暴龍を倒すまでだ。
「それで十分です。今はどんな手も借りたいですし」
B.Bのお陰で思わぬ人達が期間限定で協力してくれた事で、攻略の道筋は立てられた。
役割分担はB.Bが居る歌姫班が塔へ突入し、残りの班はマザーたちの足止めだ。
便宜上あの二人は私の中では【マスター】【アナザーロロ】と呼ばせてもらうが、彼等が言うには仮にこの場で敵対しているもう一人のマザーを倒しても塔が戦闘モードへと入っている為、Pix粒子なるモノを中心とした技術を用いる事で即座に戦線に復帰させる機能が備わっているらしい。
つまり、先にも言ったが何とかするべきは塔なのだ。
『マスター……会いたい。会いたいよぉ……』
『……やはり、お前ももうオレの事を認識出来ないか』
『早く解放してあげましょう。マスター』
『そうだな。行くぞ、
『……っ! はい!』
今回の戦いは先の戦いの時の様に簡単には行かず、後方支援火力班が集中的に狙われ、壊滅してしまう。
しかも今回はB.Bが居る歌姫班は現在塔の攻略中である為、少なくとも塔攻略が終わるまでは死霊による使役も出来ない状態だ。
相手は無限に再生して来る不死身の集団。
徐々に、徐々にこちらは消耗を強いられる。
特に厄介だったのがマザー以外に突出した能力を持っていた炎を操る【デイサイト】、風を操る【ヴェスパ】、光学兵器と変形機能を持った【オートクロム】、大型アーマー【ヘヴィバサルト】を駆る【ブリガド】、氷と時間を操る【ヘイル】、ニンジャを模した【スラグ】の六体の特別なワーカー達だ。
彼らの戦いは実に巧みで、こちらとしても見習うべき点がとても多い存在であった。
しかし、このままでは次の最終フェーズにおいてかなりの支障をきたしてしまう。
そう思っていたその時、ワーカー達の動きは止まった。
そう、塔の機能が停止したのだ。
それと同時にTASを通じて連絡が届き、私はメラクにお願いして彼らの居る座標を目安にワームホールを開いてもらう。
そこから出て来た歌姫班は塔内部でも戦闘があったのかそれなりに消耗していたが、全員無事であった。
『塔が……止まった?』
『……トドメはオレ達に譲って欲しい』
『ぼく達の手で、送り出してあげたいんだ』
親愛なる相棒の心臓部
流れ出る命の雷
異界の
スパークステラー
マスターの持つ盾から計り知れない程の雷が迸り、謡精暴龍に呼び出されたマザーはその直撃を受ける。
放電を浴び続け、徐々に砂へと朽ちて行くマザー。
その時、彼女の目の焦点がマスターの方へと向かい、その瞳が遂に彼を捉えた。
『マスター……あぁ、マスター……ぼくを、止めて……くれたの、ですね』
『お前は本当に良く頑張った。だから、お前のマスターの待つ
『ありがとう……異世界の、マスターとぼく。そして、異世界の人々よ……』
そう言い残し、マザーと背後に聳え立つ塔は砂となって消えた。
それと同時に、遂に謡精暴龍の電磁結界がきりんの見立て通りに消失。
その間に壊滅した後方支援火力班をB.Bが死霊のチカラで復帰させ、体勢を整えて突撃する準備を整える。
さあ、ここからが本番だ。
そう思いながら、私は気合を入れ直す為に両手で頬を叩き、喝を入れるのであった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
〇謡精暴龍戦について
物凄く簡単に言うとガンヴォルトシリーズ及びイクスシリーズに出て来る通常のラスボスと戦うミッションで、通称【ラスボスラッシュ】。
今回の話では双方のシリーズを合わせて五作品中無印からは紫電、爪からはパンテーラ、X2からはマザーがそれぞれIFを引っ提げて登場。
それぞれの世界を簡単な解説をするとこの様な感じになります
紫電の場合はGVを返り討ちにして歌姫プロジェクトを強行した場合の世界。
パンテーラの場合はGVまたはアキュラを撃破した後の世界。
マザーの場合はアキュラ達では無く別の世界の人間が塔を登った時と、マザーに対する塔の拘束力がより強い世界。
と言った感じになります。
〇GVが見る頭の映像について
これは蒼き雷霆の意思が持つ記憶をEPに乗せてGVへ伝えていると言った感じ。
何故蒼き雷霆の意思がこの事を知っているのか? それは……
〇クロスヴォルテッカーについて
ガンヴォルト鎖環の最新アップデートの設定を逆輸入し、フェムトと紫電の合体SPスキルと言う形で実装しました。
その身に青き雷霆を宿せぬのならば、EPだけを借り受ければいいと言う発想から出来たスキルで、TASで接続し、かつフェムトが覚醒していることが条件で発動可能となる。
これはTASで接続している事が前提だが、フェムトが覚醒すると雷撃能力者並の雷耐性も副次的に獲得できる事がアミカ戦で判明した為。
ぶっつけ本番ではあったが、フェムトと紫電はお互い長い付き合いをしていた為、阿吽の呼吸でこのSPスキルを成功させている。
エリーゼが邪な目で見つめている……
パンテーラは嫉妬している……
〇楽園消失について
楽園幻想に対するアンチSPスキル。
歌の内容が成層圏だったのは何気にこの歌はモルフォだけでは無く、新旧二人のロロが歌っている事、即ちガンヴォルトシリーズとイクスシリーズを繋ぐ歌でもあった為。
そして、歌に含まれている言葉であるモルフォ版の「大丈夫、怖がらないで」と言う部分も使いたかったからでもあります。
〇マスターとアナザーロロについて
実はこれ、急遽決まった設定で元々は幽霊と言う形で見守るスタンスを取っていたのだが、幽霊を実体化出来ると設定したB.Bが仲間に加わった事で実現。
謡精暴龍戦限定ではあるけどチカラを貸してくれる事になった。
いやほんと、こういう事を突発的に思い付くから話を書くのは面白い