艦これ0 RTA 0から1へ エンド 強化人間チャート 作:道長(最近灯に目覚めた)
読まなくてもRTAパートには支障ありません。
※警告※
とある艦娘のファンの方には辛い描写があります。
また視聴者様の解釈や想像と大分ずれているキャラになっているかもしれません。
苦手な方はプラウザバック推奨です。
ヒビキネキ
「軽巡洋艦五十鈴。駆逐艦響。本日をもって第9調査部隊配属を命ず」
暁型駆逐艦2番艦 響の艦娘である私は、性能試験終了後、新設の第9調査部隊に配属された。響という艦娘のオリジネイターだった自分は、かなり長い期間の検証実験を経て、前線部隊へ配属となった。同時期に大本営で建造された同期は、既に実戦で活躍している。あるいはもう沈んだ者もいるかもしれない。
「ねえ響。私達の提督、強化人間らしいけど、どんな人だと思う?」
そう聞いてきたのは同じ調査部隊の隊員となる長良型2番艦の五十鈴さんだった。このヒトもオリジネイターであり、私よりも前に建造されたのだが、今回初めて前線部隊へと配属になったらしい。
「さあ? どんな人間であれ、上司の命令なら従うだけさ。私達はそういうものだろ?」
微妙に論点をずらした、だが紛れもない本音を答えた。最後に余程の無茶な命令でなければ、と付け足しはしたが。
ただ、それは彼女が望んだものではなかったようだ。
「五十鈴はイヤよ。私の提督になるって言うんだったら、それ相応の気概は見せてもらわないと」
実力と言わないのは優しさなのか、それともささやかな抵抗なのか。
話を聞くに強化人間というのは、私達に代わって深海棲艦を絶滅させるため、様々な処置をされた人間だそうだ。単純な戦闘力なら艦娘より上……、ということを説明された。チラリと、隣を歩く彼女を見上げる。面白くなさそうに、右手で特徴的なツインテールを弄くっていた。気の強そうな眼は不服げに、弄んでいる毛先を見ている。
五十鈴という艦娘は、実力と共にプライドが高い。だから今まで、前線に出し難かったと、辞令を受け取る前に聞いていた。従う司令官はもちろん、組む相手にも相応の実力を求めるとも。
「あなたもそうでしょう? 暁型駆逐艦 響。終戦まで生き残ったあなたが、今さら素性の分からない新米提督に従うのは納得いかないはずよ」
「さて……ね。たまたま生き残っただけさ。正直、船だった頃の記憶が定かじゃないから」
ここで同意すると歯止めが聞かなくなりそうなので、曖昧に返事をする。
私が相方に選ばれたのはその艦歴からだそうだが、その判断は今のところ鬱陶しい程当たっている。加えて何かあったら報告しろとのことで、五十鈴と提督の監視役とも言える。
だが、終戦まで生き残ったという話も、私には関係ない。船だった頃の記憶が曖昧なのも本当だ。
そもそも生き残ったからなんなのだ。だからなんになるというのだ。単に沈み時を逃しただけじゃないか。暁も。雷も。電も。みんな。みんな。
胸の奥から歪な、得体の知れない何かが、鈍い痛みと共にせり上がって来た。それに蓋をするように、まだ見ぬ提督をやり玉にあげる。
「ただ、良くも悪くも他の提督とは違うと思うよ。私達より強い提督なんて、他の鎮守府にはいないだろう?」
「ふん! 強いからってなによ。五十鈴が求めてるのは五十鈴達を使って、深海棲艦に勝てる提督よ。1人で出来ることなんてたかが知れてる。それはあなたが一番よくわかっているでしょ?」
その言葉に初めて五十鈴と目が会った。
「やっとこっちを見たわね。駆逐艦 響」
目の前の彼女は「してやったり」といった顔だ。それを見て、やっと事態を理解した。
「これから同じ部隊で同じ提督を支えるのよ。互いの自己紹介位はしたいじゃない」
「……そうだね。自己紹介がまだだった」
差し出されている右手を握り返す。
「私は長良型軽巡洋艦2番艦 五十鈴です。水雷戦は任せなさい」
「暁型駆逐艦2番艦 響だよ。不死鳥の通り名もあるよ」
これからよろしく。
あの時初めて、手というもののありがたみを感じた。何はともあれ、自分は艦娘という存在に生まれ変わったのだと、納得出来た。
それから提督……、今の隊長の元に着任した。結論から言えば、私と五十鈴の心配は杞憂に終わった。
初めて提督を見たとき、自分の中の何かが揺れ動いたのを覚えている。柔らかくも力強い目が私を捉えた時、それに自分が吸い込まれていくような錯覚をした。それは五十鈴も同じだったらしく、しばらく2人揃って呆けていた。
それを不思議がった提督の「どうした?」という心配げな声で我に帰返り、慌てて宣誓したのだ。
「コホン……。長良型軽巡洋艦2番艦 五十鈴。 本日付けで配属となりました」
「同じく暁型駆逐艦 響。本日付けで着任となります」
そんな締まらない敬礼にも、提督は微笑を浮かべて受け入れてくれた。そして自らの身の上を話すと、執務机から立ち上がり
「そんなわけだ。確かに上司にはなるわけだが、君達とは立場は同じ。敬語については気にしないし、それを含めて提督ではなく、隊長と呼んで欲しい」
自分達の前に立ち、五十鈴と握手した。再び呆けた五十鈴だったが、すぐに立ち直ると、「よろしく。隊長。水雷戦なら任せて」頼りになる自信ありげな笑顔で握手を終える。
次は私だ。
「了解したよ。隊長」
そうして手が触れたとき、府に落ちたと言うのだろうか。
ああ。私はこの人の艦娘なんだ。
自分の中でスイッチが入った感覚があった。
「大丈夫か?」
私の顔を覗き込むこの人は、五十鈴と同じく呆けてしまった私を心配しているようだ。……男前よりのハンサムと言うのだろうか。だが、近くで見ると何となく純朴な少年のようにも見える。
「……大丈夫だよ。これからよろしく。隊長」
「それなら良いのだが」私の言葉に頷いてくれた隊長が執務机に戻る間に、横目で五十鈴と目を合わせた。どうやら同じことを感じたらしい。
「自己紹介が終わった所で早速任務だ。これから建造を行う」
「いきなり建造? 五十鈴達がいるのに?」
「儀式みたいなものだと上から言われてな。仲間が増えるのは良いことだろう?」
今日の仕事は建造した艦娘を報告することだよ。
そう説明されて3人で工廠へ向かった。
「はじめまして吹雪です。よろしくお願い致します」
こうして最初の4人が揃った。隊長と副艦の五十鈴、遊撃の私、救護係もとい雑用係の吹雪。そこに明石さんと大淀さんが加わって6人。それから失敗や、衝突、困難な任務等、決して順風満帆とは言えなかったが、それでも笑顔を忘れず、楽しくやって来た。少なくとも、いつまでもこの6人でやっていたいと願ってしまう程に。
それが終わったのはゴーヤが配属になって2回目の実戦。
吹雪が沈んだ日だった。
深海棲艦の大規模侵攻によりある前線の鎮守府が陥落。迎撃態勢が整うまで、第9調査部隊で時間を稼げという指令が下った。
無茶苦茶な任務だ。
口には出さないが誰もがそう思った。それでも上の命令には従わなければならない。
そうして深海棲艦と交戦。あれは艦隊というより、津波だった。湧いてくる様に出てくる敵と、無くなっていく弾薬。疲労と燃料不足で動かなくなっていく体。誰もが死を覚悟した。それでも
「死んでる暇なんてないぞ。これも調査だ」
デカイのは私が片付ける
そう言って、ひたすら刀で空母、戦艦、重巡と、次々斬っていく隊長の背中は頼もしかった。あの時五十鈴が、「いいなぁ……」と呟いたのを今でも覚えている。
こうして少ない弾丸を寄せ集め、深海棲艦の死体を盾にして、時には砲身で直接殴ることになっても、何とかお互いに支え合って持ちこたえた。このままいけば援軍が間に合う。希望が見え始めたその時だった。
「ッ! ゴーヤ!」
囮役に敵潜水艦の位置報告と、新人ながら精一杯活躍していた彼女が、プレッシャーと疲労で集中力を途切れさせるのは当然だった。誰もが手一杯でゴーヤのフォローに回れなかった。そんな中、ゴーヤはよくやっていた。よくやっていただけだった。
浅いところに浮かんでいたゴーヤに最初に気が付いたのは隊長。的になった彼女を庇うためラインを下げた。
放たれる砲撃、それを寸でのところ叩き落とす。
「たいちょ……!」
「急いで潜れ!」
だが、今までの均衡は隊長が切り込み役と撹乱役に回っていたから成立していたことだ。その隊長が守勢に回ったらどうなるかは、火を見るより明らかだった。
足を止めたそこに集中砲火が浴びせられた。
「ちっ!」
舌打ちしながらも右手に刀、左手に逆手の鞘を構えた変則的な二刀流で直撃弾を払い続ける。ギリギリとはいえ防いでいる所に、海中から2本の白線が向かっていた。
潜水艦から……!
何とか庇おうと思っても体の動きは緩慢だった。私の体が鉄で出来ていたのなら、絶対に間に合っていたのに。
爆発音と水柱。
「ふぶ……っ! 閃光弾! 続いてスモーク! 一時退却する!」
艤装が半壊した吹雪を抱き抱える隊長がいた。
今回はこんなもんですが次あたりから大分……。
誰得なんでしょう。これ。
やっぱり急いで書くものじゃないですね。もしかしたら書き直すかもしれません