目覚めたら全身柱間細胞になってた 作:卑の意志を継ぐ者
何故か発現した写輪眼によって忌み子だったという設定に信憑性を持たせることに成功した彼は口八丁で記憶が鮮明に思い出せるまではマッケンジー宅で厄介になることになった。
若干の罪悪感はあるがそんなもののために命をかなぐり捨てるようなまねはしたくない。
文句なら神(暫定)に言って欲しい。あれが一にして全、全にして一の全ての元凶だ。
現在の自分の状況を見つめ直したかったので記憶の整理をしたいと偽り、グレンからまっさらなノートとボールペンを受け取った。
グレンが下の階へ消えた後、窓から夜空を眺めながらマインドマップを作成していく。
これは彼が前世でも度々使っていたアイデア発想法だ。主題となる言葉や考えを紙の中心に据え、そこからイメージされるものをブランチと呼称される枝のような線を自由に伸ばして次々と書いていく。
マンダラート*1やブレインストーミング*2のように明確なルールや人数を必要としないため比較的楽に様々なアイデアを生み出すことができる。
今回彼が真ん中に据えたのは『転生』の二文字。
そこからブランチを伸ばして書いたのは『柱間』と『冬木』だ。
『柱間』から更に枝を伸ばし『柱間細胞』と『木遁』、そして『写輪眼』を追加する。
3つの項目に備考欄を作成。原作での設定を加筆して首を捻る。
(そもそもアレが嘘をついている可能性は?)
ゼロではない。何せ死んだものをもう一度死地に送るような倫理観が欠如した卑劣なやつである。卑劣様とタメを張るレベルの鬼畜所業だ。
神を人の尺度で測るのは無意味なことではあるのだが少なくとも彼はそう感じた。
だが何の確認もせずに己は無力なりと嘆くのは時期尚早。というわけで彼は実験をしてみることにした。
忍術の発動にはチャクラを練るのと印を結ぶことが必須であるが、NARUTOが終盤へ向かうにつれて印の使用頻度は減少していった。
印を結ぶのが早すぎて描写が減少したのか、そも印を必要としなくなったのかは岸影様でないと分からない。
自分の魂が宿る身体を構成しているのが柱間細胞ならばチャクラはほぼ無尽蔵だろう。ならば後は明確なイメージを練ることでどうにか忍術を使えないだろうか。
彼は両手をガッチリと組んで脇を広げた。いわゆる木遁系の忍術によく使われる体勢である。
そして不用意にも口にしてしまったのだ。
柱間細胞のイメージばかりが先行し、千手柱間と呼ばれた人物が卓越した木遁使いであったことを失念していたが故に。
「木遁の術」
――――その日、マッケンジー宅の庭には文字通り天を衝く樹木が乱立した。
人の目のつかない深夜だったからまだよかった。
彼は自分が与えられた能力をはっきり認知すると同時に神秘の秘匿を侵してしまったのではと戦々恐々とした。これだけの規模の魔術が露呈したと知ったらあの時計塔……黙ってませんね。
彼は窓から庭へと飛び降りどうにかこうにか生やしたそれを深く埋めることに成功した。
一応地下のインフラ設備をぶち破らないように慎重に樹を操作したのでマッケンジー夫妻が湯船に入れなかったりすることはないだろう。
(多分バレた……よな)
強力な魔力を帯びた魔術師というものはそれだけ魔力に対して敏感だ。Fate/SNのキャスターでは無いとはいえ、冬木のセカンドオーナーである遠坂時臣が魔力の流れに気づいた可能性は高い。間桐の方も同じくだ。
このままでは自分の不用意のせいでマッケンジー宅に蟲の大群や火炎が押し寄せてきてしまうだろう。
彼はどこか意気込んだような表情で両手の人差し指と中指を交差させた。
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某月某日某時︰遠坂邸
冬木市深山町、館の外観はいかにもな魔女屋敷であるその家の主人――遠坂時臣はこめかみを押さえていた。
原因は自分の邸宅の周辺や本館の壁にまでストライプ柄のカーペットのごとく広がっている何かの『根』だ。結界の報せに飛び起きてみればこれである。
聖杯戦争の前哨戦が始まるにしてもまだ早すぎるだろう。
そもそもこのヘルヘイムの植物のような根に時臣は攻撃の意志を毛ほども感じなかった。
この規模の魔術、その気があれば瞬く間に遠坂は必滅の一途を辿ることになる。のはずが全くと言っていいほど此方を害す様子もなく、ただ生えてきただけですと言わんばかりだった。攻性の術式が仕込まれていることも確認できなかった。
これから遠坂を害する危険がゼロではないため邸宅の周りのものだけでも除去を始めようとしたが、念には念をと切除前に『根』の効果を調査した結果驚くべきことが判明した。
『根』は冬木の竜脈の活性化や土地そのものの神秘性の向上を担っていたのだ。
時臣は切除を取りやめて家の邪魔にならない程度に剪定をすることにした。
ただでさえ冬木で二番目に高い霊地のレベルが更に引き上げられたのは良いことであり、召喚できるサーヴァントも一線を画すものが望めるだろう。
冬木市最高の霊地である柳洞寺は当初あまりにマナが濃いため後継者の育成に支障が出るので遠坂家は本拠地設置を断念していた。
現在遠坂邸ではその柳洞寺に匹敵するマナが周囲を漂っている。本来なら子どもたちだけでも早急に別な場所へと移動させなければならないのだが、このマナは通常とは異なる性質を孕んでいたのだ。
少なくとも通常のマナのような後継者育成を阻害するようなは効果は無い。それどころか成長を促している気さえする。
冬木市のセカンドオーナーとしては神秘の隠匿をしつつ、ここまでの土地改造を施した者がいるならばそれ相応の謝礼をしたいと思っている。
こちらに何の断りも無しにしでかしたことに関しては水に流してもいいとさえ思っていた。
しかしその後遠坂以外の土地にも『根』が生えていたことが判明した。
今回の事象を分析した時臣はこれは人為的なものではなく、はるか昔この地に埋められた礼装か何かが偶々稼働したのだろうと結論づけた。
冬木市そのものの魔術的、神秘的格が上がったのだ。これからは他の魔術師たちもこぞって土地を借用にしに来るだろう。更に収入が増えると思うと小さくほくそ笑んだ時臣であった。
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現状絞り出せるチャクラをありったけつぎ込んだ木遁・木分身の術と木遁変化を成功させた彼は分身に冬木の霊地や土地に無作為に木遁の術の発動しろと指示した。つい先程まで忍術とは無縁だったにも関わらず大した奴である。
マッケンジー宅に魔術師の目が向くのを回避するには同じような的を増やせば良いのでは?と彼は考えた。万が一目が向いたとしても集中的に見られることはないだろうと踏んでのことだった。
木分身は森の中や市街地の下水道、遠坂邸や間桐邸の蟲蔵にまで木遁を発動した。
なるべく地中に向かって樹を生やすというよりかは根を生やすような感覚で発動したためマッケンジー宅の二の轍を踏むことはなかった。
遠坂邸に関しては霊地の格が高いためか想定以上の結果となってしまったが。
間桐家は臓硯が他の地域に保有する霊地周りをしていたため蟲蔵大騒動が起こるのはもう少し先延ばしとなった。
下手人である分身を彼らに捕捉されたとしても適当なところで解術してあるためこちらにまで火の手が及ぶことは無いだろう。写輪眼で逐一周囲を確認しながらの作業だったので本当に万が一だろうが。
木分身を解術した彼はベッドに身を委ねた。
そこで突発的にあることを思い出した。自分は未だ名無しのままだということだ。
前世の名をそのまま使うのもいいが、せっかくなので新しい自分の名前を考えてみることにした。
心機一転というやつである。心以外は全部置換されているのだが。
彼は傍らに置いていたノートとペンを手に取り、ガリガリと候補を朝日が昇るまで書き続けた。
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「……おや、クマが酷いぞ?」
「ちょっと色々思い出したことがありまして」
次の日の朝、グレンが朝食を食べているところに彼は目を擦りながら階段から降りてきた。マーサは朝からどこかへお出かけに行ったらしい。
「いつまでもお前さんとか君とかだと呼びにくいかなと思ってたんです。名前、思い出しました」
「おぉ!そうかそうか、そいつはよかった。じゃ、改めて聞いてもいいか?」
タメを作って、これが自分だ!とでもいうようにハッキリと彼は宣言した。
「はい。俺の名前は……千手、
冬木市︰空間の木分身のおかげで全体が一級霊地と神秘性を兼ね備えた場所になってしまった。彼はマッケンジー宅に魔術師の目が向かないように撹乱しただけなので多分悪くない(目逸らし)
木遁の術︰柱間細胞(偽)により発動できた忍術。ただ根っこを生やしたりするだけならば印は必要ない模様。
後述する空間の起源の影響によりこの樹を経由して放出されるマナやこの樹の周辺にあるマナは触れた生物の能力を活性化させたり成長を促したりする作用を持つ。これにはトッキーもニッコリ。
柱間細胞(偽)︰前々回紹介した空間の転生特典。(偽)とついているのは本来の柱間細胞とは別物のため。今回はその詳細設定について記述していく。
空間の起源は『成長』『活性』『生存』であり、それが彼の細胞を柱間細胞たらしめている。
細胞一つ一つが周囲のマナを燃料にエネルギーロスZEROどころか燃料以上の質と量のオドに変換して体内に貯蓄する。この性質上体内では常時魔力が回っている状態のため起源弾を撃たれると即座にタイガー道場行きである。
三重起源のせいでプラナリアじみた生命力を有し、致命傷でも魔力を回せば回復する。腕切断くらいならば二日もあれば饒舌な第四の壁を破る傭兵のごとく再生可能。
他者にこの細胞を移植した場合にも同様の効果を発揮するが、原作通りこの細胞への支配権が弱まると宿主の細胞と魔力を喰らい尽くして大樹へと変貌させてしまう。
少量であればその危険性を限りなく低くできる。
三重起源にでもしないと柱間細胞再現できないと踏んだ私を許せ読者ェ……。