フェイト/デザートランナー   作:いざかひと

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 前回までのあらすじ
 食料生産管理AI、ソラリネ・ヘルゼルマガツから押し付けられたクッキングバトルに、みごと勝利したモモとアスカ。
 報酬として燃料や食料を貰い、ソラリネのサーヴァントから予言まで受け取った。

「脳裏にぱっと見えた二重螺旋、別れゆく道、巡り会う2人、最後には命のどんとこい底力。
 あとすごい爆発、ぐわっと開いた後にがーっと聞こえた、しかして舞台は天元を超えてギャラクシー……」
 意味はまだ分からないが、ソラリネとタマモキャットに穏やかな空気の中お別れして、モモ達は出発する。
 
 目指すのは、アスカの生まれ故郷であり、階級の高い人間が暮らす『上級都市ピオーネ』。聖杯戦争の謎が分かるかもしれない場所。

 胸に一抹の不安を抱きながらも、旅は止まることなく進んでいくのであった。


第12章 モラトリムは、遠くにありて、思うもの
第46話 真実の星が降る夜は、君と秘密の話をしよう


「モモ、我がマスター、起きてくれ」

 自室で眠っていた私を、バーサーカー04が起こす。

 

「流星群が来ているんだ、すごく綺麗だぞ、一緒に見よう」

 性根に似合わず無邪気な声で語りかけてくる彼の提案に、私は乗ることとした。

 キルケーが持たせてくれた、保護の力が込められたエメラルドの飾りをパジャマにつけて、のそのそと車外に出る。

 

「……」

 夜特有の、乾いた冷たい空気を、胸いっぱいに吸い込んだ。荒野に生き物や文明の痕跡はない。

 

「流れ星、どれ?」

「あそこだよ、あの青い星と赤の星の間に……ほら、流れた」

 瞬く星空の中で、落ちてくる流星を探す。

 バーサーカーは片目しかないというのに、私より先に次々と落ちていく星を見つけては、腕を伸ばして指で軌跡をなぞる。

 

「……あっ、見えた!」

 私は声を上げる。渦巻く星屑の雲の横を、白い線が斜めに走り、すぐに消えてしまった。

 

「昔の人は、願い事したんだっけ」

「らしいなぁ」

「なにその反応、バーサーカーも昔の人でしょ?」

「俺の時代には無かった風習だからさ」

「……そうなんだ」

「そうだよ」

 優しい声で返ってくる言葉。取り留めのない、それゆえに心地よい会話だった。

 

「……うーんと」

 少し冷えた両手をすり合わせてから、指を祈る人のように組んでみた。

 

「みんなの健康とか、旅がうまくいきますようにとか、願ってみようかな」

 絶え間なく降り注ぐ流星を瞳に捉えながら、心の中で祈りの言葉を3回唱える。

 

「……バーサーカーはやらないの?」

 無事終えてから、そんな事を聞いてみた。

 

「俺、願い事は自分で叶えたいタイプだからさ」

 荒野にすっくと立って、整えられていない黒い髪を夜風に揺らしている彼は、焦がれるような眼差しで星を見つめていた。

 

「……俺、いつもこうして星を見ていたんだ」

「そうなんだ」

「うん」

 バーサーカーはそっと言葉を続ける。

 

「気持ちがざわつく夜は、星の瞬きを見ると落ち着いて眠れたから。

 それに、そうしていると大切な人がすごく近くに感じて……ああ、好きだったな」

「好き……」

 彼の、『運命の人』。その人の名前を私は知らず。

 

「……愛、していたんだ。

 人間とは違う形でも……例え、その報いが永遠に無くとも私は平気だった」

 そこまでの強い愛の感情も、私は知らない。

 

「だからずっと、死んだ後もこの感情を大切にしていた」

「死んだ後って?」

「……今もってこと」

 バーサーカーは切れ長の瞳を細め、小さく私に微笑む。

 流星の軌跡が、深い青の空に幾本も刻まれていた。

 

「……じゃあ誰も、バーサーカーから一番愛されている人にはなれないんだね」

 彼を見上げながら私はつぶやいた。

 

「ああ。誰であろうと、『あの方』以外は、俺の一番にはなれない」

 彼の口調に迷いはない。

 

「お嫁さんも、子どもも……私も、あなたの一番大切な人間にはなれないんだ」

「……ショック、かい?」

「そうだね、ちょっと傷ついた……かも」

 星は遠い、けれど瞬くその輝きは不思議と近くに感じた。

 

「でも、『一番愛している』って嘘つかれるよりは、いいよ。

 筋が通っているって、ことだもんね。

 それに、私を大切に思っていないってわけじゃないことは、知っているから」

 一緒に暮らして10年以上。

 バーサーカーが私を大切にしてくれて、心から思ってくれているくらい、ちゃんと分かっている。

 だから私は、晴れやかな気持ちで言葉を続けることが出来るのだ。

 

「一番じゃなくてもいいや。

 だって、バーサーカーの心の中には、私への『愛』ってやつがきちんとあるんだもんね」

 彼は私を愛してくれている。ただ、ものすごく不器用で、滅多にそれを見せてくれないというだけで。

 

「……俺、人でなしだな」

「そうだね」

「けれど……本当にしょうがないことに、君が理解を示してくれたのが、俺はとても嬉しいんだ」

 バーサーカーが懐から封筒を取り出した。

 

「いつだか刑部姫に、折り紙や便せんを貰っただろう? 

 だからその……手紙を、書いていたんだ……君宛てに」

 説明をする彼の頬は、星明かりの下でも分かるほど赤く染まっていた。

 

「口で話そうとすると……うまくいかないし、私、照れてすぐにふざけてしまうから」

 いつもと違って、口振りは素朴で、恥じらっているのか体は落ちつきなさそうにそわそわしている。

 

「何が書いてあるの?」

「俺の全部。一から十まで君へ伝わるよう、書いた」

 封が施されている真っ白な封筒を受け取り、なんとなく裏表を見た。

 

「差出人の名前、書かれていないよ?」

 とくに考えもなく彼に言う。

 

「うわ! 本当だ、俺としたことが……こんなうっかり、昔はしなかったってのに……」

 バーサーカーに封筒を渡すと、彼は普段は見せない慌てた態度で受け取った。

 

「ごめんよモモ。ちゃんと名前を書いてからもう一度渡すよ、約束する」

「……それって、ひょっとして真名?」

「うん、ひょっとしなくても真名。君に言わなくちゃとずっと思っていたから」

 彼は封筒を夜空にかざす。

 あんなに口が悪いし、冷徹な態度を敵に見せる時もあるというのに、その横顔は夢に焦がれる青年のもの。

 その表情は……なんだかすごく、「この人を信じてみたい」という気にさせるのだ。

 

「今度はちゃんとしてね、バーサーカー」

「ああ。次こそはうまくやるよ」

 星の位置が少し変わってきた、流星群を見始めてから一時間くらい経ったのだろうか。

 

「星空の下で手紙を渡せばいい感じの雰囲気になって、いい感じに話が進むと思っていたが、うまくいかなかったな……」

「打算がたっぷり……」

「打算半分、本気半分、願望一匙だ」

 彼は懐に手紙をしっかりとしまい込んで、私に犬歯を見せながら笑いかける。

 

「長話になってしまったな。

 モモ、明日はいよいよ『上級都市ピオーネ』に到着だ、英気を養うためにぐっすり寝てくれ」

「はーい」

 彼の言うことを素直に聞いて、デザートランナーの中に戻り、自室の寝台へ横になった。

 

(……そういえば、バーサーカーは初めて会ったときにどうして、私に「殺して欲しい」と言ったのだろう)

 幼い子どもに、彼はなぜそんなことを懇願したのか。

 この話題は、何となく両者の間でタブーとなり、私も大きくなるにつれあの時の衝撃を忘れてしまった。

 

(……なんで、だろう。嫌だな、私、何かとても大きなことを見落としている気がする)

 不安で鼓動が早くなる心臓をなだめながら、私は目を閉じた。

 夢は、見なかった。

 

 

 

 

 翌日、朝。

 

「インスタントワンタン麺美味しいね。アスカはどう?」

「はい、この白い麺がつるっともちっとしていて、スープも香り高く美味です」

 座標の場所に到着する前。

 

「上級都市に住んでいた頃のこと、よく覚えていませんから、わたくし、不安ですわ……」

 何が起こるか分からないので、全員で贅沢な食事を摂ることにした。

 AIソラリネが開発したインスタント麺は、ヌードルとは違った食感と味わいで、心が落ち着かない時でも喉を通る。

 

「……」

「醤油味で美味しいですね、アーチャー殿」

 アーチャーも顎のギアを変形させて、口元を露わにし、中身をゆっくりと食べ進めている。バーサーカーもどことなく上機嫌で、つるつるとワンタンを口に運んでいた。

 

「怖いこととか、起きませんように……」

 食用フィルムで出来た緑のネギを見ながら祈り、茶色の透き通った温かいスープを飲み干した。

 

 

 

 

 食事の後片付けも終わり、私達は車を走らせた。

 

「ここが『上級都市ピオーネ』……になるのかな、地上には何も……」

 廃墟都市から手に入れた座標の地点。

 

「いや、あるぞ」

 バーサーカーが私の発言に言葉をかぶせた。

 

「えっ? 何も見えないよ?」

「はい、わたくしも何かあるようには見えませんが」

 私とアスカは顔を見合わせてから、フロントガラス越しに外を見る。

 砂っぽい荒野、雲一つない青空。

 

「アーチャー殿には見えていますよね?」

「はい」

 サーヴァント2体はお互いの認識を確かめ合っている。

 

「えっと、参考までに聞きたいのだけど、どんな物が2人には見えているの?」

 私は彼らに問いかけてみた。アーチャーがヘッドギアをつけた顔をこちらに向けて答える。

 

「成層圏まで届いていそうな巨大な『樹』、いや、塔と、周りを取り囲む円上の建物が見えます」

「えっ?」

 『樹』という単語に聞き覚えがあったが、それ以上に脳を驚かせる事実があった。

 成層圏、それは、高さにして地上から12km~50kmの空。

 

「そんなに大きな物があるのに、私達の目には見えていないの? 

 それに……影だって地面に落ちていないとおかしい!」

 私は疑問を勢いよく口から出す。

 

「人間には見えず、サーヴァントには見える……なぜだ?」

 運転席に座っているバーサーカーは、しきりに首を捻っている。

 混乱している状態の車内に、鋭い電子音が響き、その後に声が聞こえてきた。

 

『……デバイス情報により、優先保護対象、上流階級アスカ・ピオーネと確認。

 その他生命体1名、サーヴァント2体も反応を確認しました』

 女性の人工音声が言葉を紡ぐ。

 

「……わたくしのデバイスに反応したのですね」

 アスカが自らの手首を黒い瞳でじっと見た。

 地下都市出身者ならば、必ず人体に埋め込まれている小さな機械、それが『生体内蔵型デバイス』。

 主に生態情報や生存権の残数を管理するのに使われている。これにも、中流、上流階級で違いがあるのだと、前にアスカが教えてくれた。

 

「感知されたってこと……だよね」

 私は思いつめた表情をしている友達に声をかける。

 女性のものを模した人工音声は続く。

 

『こちら上級都市ピオーネ、私達はあなた方を保護する用意があります』

 その上から目線とも取れる口振りに、バーサーカーもアーチャーも何か言いたそうだったが、そのまま黙って言葉を聞いていた。

 

「えっと、保護、を、要請します」

 アスカがつっかえながらも返答をする。

 

『分かりました、保護を開始します、しばらくお待ちください』

 私達は、向こうの動きがあるまでの時間を使って話し込む。

 運転席から半身だけ振り向いた姿勢のバーサーカーが、まず口火を切った。

 

「見え方の違う巨大建造物に対する疑問について、今は置いておこう。

 俺達の目的は」

「……地球規模で行われている聖杯戦争を止める。

 そのための情報を、この上級都市で手に入れる、だったよね」

 私の言葉に、バーサーカーが深くうなずく。

 

「わたくしの親類である叔父様がいらっしゃるはずです。

 その方にお会いできれば、様々なことが分かるかと」

「我がマスター、何があろうとあなたの身を守ります」

 アスカとアーチャーも言葉を交わす。

 

『……保護を開始します、その場でお待ちください』

 目的の確認がちょうど終わったころ、数百m前方の荒れ地の一部が割れて、大きな四角い穴がぽっかりと口を開けた。

 

『車両を外部入り口まで進めてください、車両を外部入り口まで進めてください』

 繰り返される音声案内に従い、バーサーカーはハンドルとアクセルを操作した。

 

 

 

 

「ここが、上級都市……」

 天井の高い格納庫にたどり着いた。飾り気はなく、特段変わった物も見受けられない。

 

『降車してください』

 人工音声の言うとおりに車外へ出る。

 バーサーカーは降りる前にデザートランナーの内部を一回りし、動力室の施錠などを確認していた。

 

『ルートに従い、進んでください』

 目の前に赤い光の線が現れ、それをたどって足を進める。

 

『洗浄を行います。衣服や装飾品を専用トレイに預け、洗浄室に入ってください。

 所有サーヴァントがある場合は、サーヴァントも同様の手順で洗浄してください』

 曇ったアクリルガラスで仕切られた個室があり、合成樹脂性の台の上には銀色のトレイが置かれていた。

 そこでみんなとは一旦別れ、それぞれシャワーを浴びることに。

 

(念のためエメラルドのブローチは持っておこう……キルケーが『おまじない』をかけてくれた貴重なものだし。

 でもこっちは……)

 獣耳のキャスター171から貰った制服とは、ここでお別れになりそうだ。

 同じデザインのものを着回しつつ、洗濯して、大切に扱っていたが、ほつれや布の伸びなどが目立ち始めていた。

 ローファーも同じく。合皮がへたって底がすり減ってきている。

 

(今まで私を守ってくれて、ありがとう)

 感謝を思いながら痛んだ服をたたみ、靴と共にトレイへ乗せて、エメラルドの飾りだけを持ってシャワー室に入った。

 

『生存権を提出してください』

「そっちが浴びろって言ってきたのに……従うけどさ」

 手首を壁に当て、デバイスから必要な分を支払う。この感覚も何だか久しぶりだ。

 シャンプー、リンス、ボディソープで隅々まで洗って、入り口とは別の出口から退室する。

 トレイの上に用意されていたタオルで全身を拭き、壁から出る温風で体を乾かし、新しく配給された服に袖を通す。

 

(デザインおんなじ!)

 クリーム色の布地に緑の縁取り、ラインが入った制服。

 

(……デザイナーAIとか、いないのかな)

 疑問を抱きつつ、鏡で全体を確認。

 いつも通りのピンクの瞳と、ショートボブからちょっと伸びた髪。

 足にも腕にも筋肉がつき、体がぎゅっと引き締まってきている。映画の中の緩急あるグラマラスな美女とは遠いシルエットだ。

 胸元の緑のリボンに宝石の飾りを着け、靴をきちんと履いてから外へ出た。

 

「トバルカイン、遅いですわよ」

 明るい広場にアスカとアーチャーが立っていた。

 アスカも同じデザインの制服を着て、ややウェーブしている黒の長髪の上には紫の石の飾りが光っていた。

 

「叔父様、わたくしのこと覚えてくださっているかしら。

 ずっと離れていたし、忘れられているかも……」

 彼女も私と同じくエメラルドのブローチを胸元につけている。

 

「マスターが一番最後とは意外な感じだな」

 バーサーカーもいる。彼は首を動かし、光が降り注いでくる天井や、樹脂性のつるりとした壁をじっくりと眺めていた。

 

『しばらくお待ちください、しばらくお待ちください』

 再びの音声を何となく聞きながら、私も周辺を見渡す。

 プラスチック製の丸い半透明のベンチ。花壇にはガラスファイバーで出来た人工観葉植物が植え込まれていた。

 側面の透明な壁の向こう側には、シダ植物を思わせる人工樹木が茂っている。

 ぷしゅりと空気が抜ける小さな音がして、壁にあった扉がスライドして開いた。

 

「……アスカ、大きくなったわねぇ」

「あれ? 叔父様……じゃない?」

 広場に入ってきた人物は、茶色の髪をお団子にまとめた40代くらい女性で、袖のある黄土色のドレスを着ていた。

 

「貴女のお母様のお別れ会以来だから……10年ぶりね」

 薄くほうれい線の浮かんだ頬を持ち上げて微笑む彼女。

 

「エト・ピオーネよ、覚えていない?」

「……ああ! 叔父様の奥さんの」

 アスカは思い出せたのか声をあげる。

 

「夫は亡くなって、だから私が代わりに来たの。不安にさせてしまったかしら」

 目の前に現れた彼女、エトは申し訳無さそうに目を伏せる。

 

「いいえ! そんなことありませんわ、嬉しいです!」

 知っている人物だからか、アスカは警戒を解いた。エトは彼女に近づいていく。

 

「ふふふ、そうやって笑うとお母様そっくりよ」

「そうなのですか? エトおばさま」

 2人の微笑ましいやり取り。それをアーチャーはなぜか遠巻きに眺めていた。

 

「そちらに立っているのは?」

「初めまして、エトさん。モモタ・トバルカインと言います、モモとお呼びください」

「わたくしの……お友達、なのです」

 私の自己紹介に、アスカはもじもじとしながら説明を付け足してくれた。

 

「……ではモモタさんとお呼びするわね、これからしばらくの間よろしくね」

 エトさんは私を一瞥だけすると、淡々とした言葉をかけてきた。

 

「はい、よろしくお願いします」

 彼女の態度に、少し気にかかるものがあったが、お世話になる人なので、私は腰を折って素直に頭を下げた。

 

「サーヴァント、アーチャー0961」

「……エト、お久しぶりです」

「そうね、元気そうでなによりだわ」

 彼女はアーチャーにもそっけない態度を取る。

 

「もう1体はモモタさんのサーヴァントかしら。後で確認しておくわね」

 バーサーカーは女性の物言いに一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに表情を人当たりの良い笑みを浮かべたものへ戻した。

 

「じゃあ私の家に向かいましょうか。ここまで来るのに大変だったでしょうから。

 サーヴァントは霊体化してもしなくても、どちらでも良いわよ」

 彼女の後ろをついて、私達はとうとう上級都市へ足を踏み入れることになった。

 

 

 第46話 真実の星が降る夜は、君と秘密の話をしよう

 終わり




 単語説明


 手紙
 紙に字を書いて文章とし、誰かに送るもの。自分宛てに書く人もいるとかいないとか。
 
 男は自らが照れも誤魔化しも出来ないよう、手紙をしたためた。
 そしてこれは、ある種の呪い逃れでもあった。呪いと運命により名を口に出せぬのなら、いっそ世界にばれぬよう密やかに書き、封をしてしまえばいいのである。
 
 
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