フェイト/デザートランナー   作:いざかひと

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 前回までのあらすじ
 白色の特殊大型車両、『グラン・カヴァッロ』もとい『デザートランナー』に乗って旅を始めたモモ一行。
 しかし旅の目的は定まっておらず、物資も不足していた。サーヴァントの現界を助ける『液体リソース』も枯渇を始める。
 方針を話し合う4人。一旦、他の地下都市へアスカの身分を利用して保護してもらおうと決まった瞬間、車両前に謎の巨大物体が現れる。
 怪物かと思われたそれは、荒廃した地上の砂を泳ぎ、資源を回収しているワームロボットだった。
 バーサーカー04は、デバイスでワームロボットと意志疎通をはかり、所属している地下都市へと運搬してもらえる事になった。
 ……ロボットの胴体に、デザートランナーを飲み込むような形で。

 ひどい揺れの後、地下都市に無事到着したモモ達。
 彼女らを出迎えたのは、市長を名乗る金髪碧眼、白スーツの男、ツヴァイ・エーテルウェルと、褐色の肌と、紫の髪流れる頭部に獣の耳を頂いた、キャスター171と名乗る女性だった。

 市長に用意された部屋で1人眠るモモは、不思議な夢を見る。
 日本式の城、怯える下女達、敵に対する怨嗟の言葉を漏らしながら錯乱する美しい女性。
 内側から焼けていくような赤い瞳をもったその女性は、己に言い聞かせるように宣言する。「豊臣は潰えぬ、倒れぬ!」と。

 そんな胸が締め付けられるような夢から覚めたモモは、アスカにその気持ちが悟られぬよう短い会話をし、共に朝食をとる。
 食事も着替えも終わり、一息つこうとしたその時、玄関のチャイムが鳴り、人が訪れた。
 来訪者は、昨日出会ったキャスター171。彼女は魅力たっぷりな笑顔を浮かべながらこう言うのだった。
「工場見学に行きましょーう!」


第6話 モモちゃん工場見学

 

 

「右手をごらんくださーい。こちらは、ワームロボットが回収した資源を溶かす溶鉱炉エリアで~す」

 どこまでも滑らかな質感の樹脂で出来た廊下に、アクリルガラスがはめ込まれた大きな窓が開けられていて、そこから別の空間が見えた。

 見下ろすと、大きな固まりが溶かされ、オレンジ色のどろどろになり、四角い穴に流し込まれている自動化された工程を眺めることが出来た。

 

「こういうの好き!」

「トバルカインはそうかもしれませんが、わたくしは……ちょっと怖いですわ。だってすごい高温なのでしょう?」

 私達を先導してくれている耳が特徴的なキャスターが、旗をぱたぱた鳴らして朗らかに言う。

 

「はい、あつあつで~す!」

「やっぱり怖いですわ……」

 アスカは制服の上から自らの細い体を抱きしめた。

 

「溶かすって事は、何かに加工するんですか?」

 わくわくする溶鉱エリアを目に映しながら、私はキャスターに質問する。

 

「秘密で~す」

「地上に人間が住んでいた頃みたいに、他の都市へ輸出しているんですか?」

「内緒で~す」

「好きな食べ物はー?」

「黙秘で~す」

 ハートマークが付きそうなほどの甘い声で、疑問は全てかわされた。

 

「はい。社会見学はここまで!」

「そんなー」

 映画、映像資料でしか知らない製鋼業が肉眼で見れたというのに、わくわくする時間はここまでらしい。

 

「アスカ様はこちらへ。モモタ様はご自由に」

「ご自由?」

 私はきょとんとしながら、キャスター171を見る。

 

「ええ。モモタ様のデバイスはこちらの都市にも対応していますから、どんなサービスも受けられますよ。

 帰宅なさっても観光なさってもOKです! ではでは~」

 キャスター171はアスカの体に褐色のしなやかな腕を回すと、連れ立って行ってしまった。

 

「……観光」

 アクリルガラスに映る自分のピンクの瞳は、ぼんやりと途方に暮れていた。

 

 

 

 

 故郷だった都市と、寸分違わぬ流線型のリニアに揺られる。

 何人か客が乗って、目的の場所で降りていく。

 学校、職場、家に。

 終点の小さな駅にたどり着いて、何となく降りた。

 円形に作られた白色のベンチに座る。

 

「おんなじ風景なのに、違う都市って、へんな感じ……」

 体を捻って後ろを見てみると、金髪の女性が立体的に映し出されていた。

 女性の姿はじじじと音を立てながら時折ぶれ、消えてしまう。

 

「えーっと、この人は確か……」

「こちらの映像のお方は、リリス様よ」

 枯れた穏やかな声が私にかけられた。

 

「はじめまして、お嬢さん」

 モーターの小さな駆動音。電動車椅子に乗った、銀の髪の70歳くらいの老婆がそこにいた。

 その女性の後ろに、藍色の作業着を着た、身長190cmほどのがっしりとした体格の男性が立っている。

 

「私はモニカ。後ろに居るのは私のサーヴァント」

「サーヴァント……!」

 驚きで立ち上がると共に、紹介された彼を見る。

 黒い長髪も眉もぴしりと整えられ、鼻は高く、精悍な顔立ちだが、表情は硬く、愛想など少しも感じられない。風景を捉える青い瞳は、内側から輝いているようにも見えた。肩のやや下まで伸ばされている髪の毛先も同様に。

 

「彼はアーチャー0255、あっ待ってちょうだい……」

 アーチャー0255と呼ばれた彼は、こちらへ目線も向けず、ベンチの内側にある立体映像の元へ行く。

 床に片膝をつけてしゃがむと、抱えていた工具箱から幾つか道具を出した。

 ドライバーでねじを回して、床の一部を取り外す。ぽかりと口を開けた穴、そこに躊躇無く胴体を突っ込んだ。

 

「ごめんなさいね、彼ったら昔からこんな感じで……」

 数分もしない内に、立体映像のぶれが無くなり、仮想映像の女性は再び美しさを取り戻した。

 

「直ったぞ、マスター」

 床板を戻し、工具をしまうサーヴァント。

 

「そうね。でも何か忘れていないかしら? 今日の目的はお散歩よ」

「そうだったな」

 穴から出てきたサーヴァントはマスターの方へ顔も向けず、取り出したタブレットに真剣な眼差しを注いでいる。

 

「しばらくはそっとしておくしかないわぁ……ふぅ」

 モニカと名乗った老婆は小さい息をついた。

 私は、電動車椅子に乗っている彼女の近くの、ベンチへ腰をもう一度下ろして、会話を続ける。

 

「結構、独特な方なのですね」

「ええそうなの。サーヴァントを見るのは初めて?」

「実は、私にもサーヴァントがいて……」

「まぁ! 奇遇ねぇ!」

 モニカは嬉しそうに両手を合わせた。

 

「私の名前はモモタ・トバルカインです」

「モニカとモモタって響きが似てるわね」

「契約しているサーヴァントは、バーサーカーで……」

「バーサーカーって初めて聞くわ。どんな特徴があるのかしら?」

「うーんと……口が悪い?」

「あらあら、それは大変ねぇ」

「えへへ……」

「うふふ……」

 棘のない会話だ。何だか心が落ち着く。

 

「モニカさんとお話ししていると、おばあちゃんを思い出します」

「どんな方だったの?」

 ピンク色の毛先を、私は人差し指と親指でまさぐる。

 

「荒っぽい話し方をする人だったけど、でも、モニカさんみたいに優しい所もあって、映画も一緒に見たりして……」

「大好きだった?」

「大好きでした! そういえば……」

 私はアーチャー255が直してくれた立体映像を見上げる。

 

「ちょっと、リリス様に雰囲気が似ていたかも」

「それはすごいわねぇ」

 モニカさんはしわのある両手を組んで、目を閉じ、頭を垂れ、祈りを捧げた。

 

「今から400年前、戦争を治め、絶滅の危機に瀕していた私達を、地下都市に匿って下さったお方。

 人類の庇護者であるAI、『都市運営システム』を生み出した女神……」

「リリス様……か」

 学校でも習った。

 リリス様は2300年代に活躍した英雄だ。

 数百年以上続いた戦争で、滅びかけていた人類を救済し、地下都市を作り、人を育て慰めるAIまで生み出した女神の如き存在。

 地下都市で生まれた私達は、彼女をごく自然に信仰している。

 

「リリス様へのお祈りが私の日課なの。さぁ、行きましょうアーチャー」

 モニカさんが電動車椅子を操作し、(きびす)を返すと、会話の間ずっとタブレットに目を落としていたアーチャー255が顔を上げた。

 

「ロボットワームがドックにいるとニュースで読んだ。興味がある、見に行きたい」

「それは明日にしましょう、ね?」

 彼はモニカの後ろについて、ごく自然な動作で車椅子を押す。

 

「あら珍しい。どうしたの?」

「いやなに、気にすることはない」

「サービスしても、外出は許しませんよ。

 ああ、そうだ!」

 まだ白いベンチに座って2人を眺めていた私に、モニカさんが声をかけてくれた。

 

「ねぇ、よければ私の家にこない? 人を呼ぶって初めてなの!」

「はい! ぜひ!」

 映画で見たような展開に、胸を踊らせながら返事をした。

 

 

 

 

「お客様にはお茶を出すのよね! 初めてする事ばかり! わくわくしちゃう……」

 彼女の家に足を踏み入れる。

 

「えっと、おじゃまします……でいいのかな?」

 内装は私が住んでいた部屋とそう変わりはない。少しの柔らかさがある樹脂で出来た壁と家具。

 

「生存権……支払って、お茶……あら、色々あるのね、システムにお任せにしましょう」

 電子音が連続して響く。

 アーチャー255はそんな彼女をしばらく見つめてから、黒い長髪を揺らしながら別室へ行ってしまった。

 扉のないその部屋をちらりと見ると、タブレットや計器がごちゃごちゃと並べられているのが見えた。

 

「アーチャーのことは気にしないで。さぁモモタ、お茶が入ったわ!」

 食卓にトレイが置かれる。

 2つのコップには湯気のたつ茶色い液体。ついてきた小さいお皿には、黄色の球体がちょこんとのせられていた。

 

「モニカさん、ありがとうございます」

「いただきましょう」

 彼女が生存権を支払ってまで、私に出してくれたものなのだ。心を静かにして、じっくりと味わう。

 舌の上を熱い液体が通っていく。ふわりと、華やかな香りが鼻腔をくすぐった。

 

「これ……紅茶ですね」

「へぇ、これが紅茶……」

 口に少量含むだけで、綺麗なお姫様が金の飾り施されたカップを傾けている映像が、脳裏にぱっと浮かぶ。

 

「この黄色くて丸いの何かしら?」

「かじってみますね……」

 鼻で嗅いでみるが、匂いはほぼ無い。刺激が強いかもしれないので、前歯で少しだけ削り、口に含んだ。

 

「ん……!」

「どう? モモタちゃん!」

 顔がしわくちゃになってしまう。

 

「……しゅっぱい!」

 目が覚めるような酸味、口の中に唾液がいっぱい湧き出てくる。

 

「そんなに酸っぱいの……? 甘くないって事は、お菓子じゃないのかしら……?」

 モニカさんが細い指に球体を挟んで、まじまじと見る。

 私は紅茶で口直しをしながら、どうしてこんな物がついてきたのか、意味はあるはずだと考える。

 

「そうだ!」

 黄色の丸をぽちゃんと紅茶に入れてみた。みるみる熱と水で溶け、小さくなり、消える。

 加えられた味でむせないよう、気をつけながら飲んでみる。

 

「美味しい……香りが複雑になって、酸味も和らいでいます。

 モニカさん、これ、レモンティーです!」

「レモンティー?」

 彼女の銀の髪の生えた頭が、疑問で傾けられた。

 

「はい。紅茶にレモンっていう柑橘類を加えたもので……」

「モモタちゃんは色んな事を知っているのねぇ。

 知らないこと知られる、体験できるって嬉しいわ。

 サーヴァントも持っているし、私とは違って令呪もあるし……ひょっとして上流階級なのかしら?」

 嫉妬すらない、心の底から感心したような声に、私は首を横に振る。ピンクの髪が自分の耳に当たった。

 

「いえ、私は中流階級です。サーヴァントも生存権も、祖母の……遺品です」

 トレイの上に飾り気のないカップを置いた。

 

「なら私と一緒ね。アーチャー255も父の遺品なの」

「えっ?」

 モニカさんは眉を下げた優しげな表情で語り始める。

 

「今年で私は76歳だから……もう50年も前になるかしら。ある日突然彼がやってきてね、本当にびっくりして」

 紅葉色の水面を見つめる瞳は穏やかだ。

 

「最初はそりが合わなくて、ケンカばかり。でもその内に、どんな性格か分かってきて」

「私とバーサーカーもそんな感じでした」

「今はお互いに好き勝手しているの。それに……ほら」

 向かい側にいた彼女が車椅子を静かに動かして、私をいざなう。

 ついていくと、別室で机に向き合い、何かを熱心に作業しているアーチャー255が見えた。

 耳に淡く光る髪がかけられ、瞬き1つしていない。

 

「彼の一所懸命で真剣な横顔を見るの、私好きなのよ」

 モニカさんはあどけない少女のように笑う。その表情には、深い慈愛が込められていた。

 

「さっ、レモンティーを飲みながらお喋りの続き……」

 くるりと電動車椅子を反転させたその時、異変が起きた。

 

「……モニカさん?」

 顔面が一気に青ざめ、胸を苦しそうに鷲掴む。

 

「モニカさん!」

 電動車椅子の上で、姿勢がぐったりと崩れる。

 

「……モニカ」

 アーチャー255の青い眼差しがこちらへ向き、落ち着いた足取りでやってくる。

 

(どうすればいい!? こんな時、私のバーサーカーがいれば……!)

 木製の仮面で顔を半分覆い隠した彼を思い浮かべる。彼の傷を癒やす力があれば……。

 

「いい……アーチャー……私を……助けないで……」

 荒い呼吸をしながらそんな言葉を吐き出すモニカさんを、アーチャー255はお姫様抱っこして、別室へ運ぶ。

 心配なので、慌てながらもついて行った。

 柔らかなベッドの上に彼女を下ろし、アーチャー255は腰につけていた箱からボトルを取り出す。

 それは、アスカのアーチャーが私達に見せたものと同じ物だった。

 サーヴァントが存在するために必要な、『液体リソース』と呼ばれる物質。

 

「モニカ、飲ませるぞ」

 彼は返事を待たず、淡く発光するとろりとしたボトルの中身を口に含ませる。

 次に汚れた口元を布で清め、毛布をかけた。

 

「私のせいで、モニカさんが……」

「トバルカイン、君のせいではない」

 しばらくすると彼女の呼吸は落ち着き、頬に赤みが戻った。

 

「配給されるリソースで、モニカは生かされているようなものだ」

 ベッドの横に椅子を持ってきたアーチャー255が、ぽつりと呟いた。

 

「だから、自分の意志がある内に死にたいと」

 そして彼は椅子に座る。私は立ったまま声を聞く。

 

「発作が起きる度、『助けないで』と彼女は言う。だが、私は助けてしまう」

 腰に備え付けられた箱を、アーチャー255はさすった。

 

「アーチャー255さん……」

 彼は内側から輝く青の瞳だけを動かして、私を見た。

 

「……こんなに個人と長く共にいたのは初めてだから、私は、私の感情が分からなくなってしまった」

 寝ているモニカさんの額に浮いた脂汗を、彼は畳んだハンカチで拭った。

 

「彼女の願いを叶えてやりたい気持ちと、彼女を死なせたくない気持ちが、いつもせめぎ合っている」

 指先で、モニカさんの乱れた髪の生え際を整えている。

 

「アーチャー255さんは、モニカさんの事が大切なのですね」

 彼女を慈しむような手つきで介抱する彼の姿を見て、思わずそう言ってしまった。

 

「大切……か」

 彼は独り言のような調子で呟く。

 

『都市運営システムが午後4時をお知らせします。都市運営システムが……』

 機械的な知らせと音声が、オレンジ色の光に包まれていた部屋に響いた。

 

「私からモニカに伝えておこう。君は帰りなさい」

「はい」

「……君は、君の大切を、大事にするといい」

 眠っている自分のマスターをひたすら眺め続けている彼の背中は、大きくて、寂しそうだった。

 

「私の……大切は」

 リニアの中で揺られながら思う。

 

「何だろう……」

 愛も、恋も、映画で見たことあるけれど、分からない。

 車体は滑るように走り、柔らかなオレンジ色に照らされた世界が遠ざかっていった。

 

 

 

 

「トバルカイン、落ち着いて聞いて。貴方のバーサーカーが処分された」

 帰ってきて早々、アスカが私にそんな冗談を言ってきた。

 

「詳細は分からないけれど、暴れたって……」

 アスカは顔を伏せた。私は緊張で瞳を大きく開いたまま、彼女のアーチャーへ無言で顔を向ける。

 

「マスターの言葉を引き継ぎます。

 私がアスカと共に、市長であるツヴァイ・エーテルウェルと会話した後、彼が部屋に呼ばれた」

「それから……?!」

「……ツヴァイの代わりにあの女性のキャスターが出てきて、「襲いかかって来たので処分した」と」

 腰が抜けた。ぺったりと、ほこり一つ無い冷たい床に座り込む。

 

「……嘘って言って」

 絶望する私の肩を、アスカは腰をかがめて、両手で抱いてくれた。

 

「バーサーカーの事、残念だと思う」

 目頭が熱くなって、涙が頬を伝った。

 

 

 第6話 モモちゃん工場見学

 終わり




 単語説明


 リリス様
 2300年代に活躍した英雄。長きにわたる戦争を治め、絶滅寸前の人類を救ったとされる。その結果、現代に至るまで多くの人間とAIに信仰されている。
 地下都市、都市運営を行うAI、後述する『液体リソース』も開発したと言われている。
 一般的には、金の髪に明るい緑の瞳、豊かな胸や体つきを持つ、女神の如き美しい姿でイメージされている。


 マスターと所有者
 サーヴァントと霊的に繋がり、令呪を有する者が『マスター』。
 そうでなければ単なる『所有者』である。
 モモ、アスカはマスター。モニカは所有者である。
 主な違いは
 ・マスターは令呪を持つ。
 ・マスターは、自分のサーヴァントの存在を朧気ながら察知出来る。
 の2つ。

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