103th Fighter squadron『Folgore』 作:COTOKITI JP
《1975年 12月 30日 『ラハマ』1:00PM》
ここ最近で、ラハマとその周辺の街は随分と慌ただしい雰囲気となっていた。
その原因はただ一つ、周辺空域に於ける所属不明機同士の大空戦だ。
機種も不明、所属も不明な戦闘機やら爆撃機やらが突然複数の穴からやって来て、途端にドンパチを始めた為、議会の方も対処に困っているそうだ。
そんな中、キリエ達コトブキ飛行隊は仕事があるかないかと言えば
「あぁ〜暇〜」
無かった。
本拠地にしていた羽衣丸は穴を塞ぐ際に吹っ飛ばしてしまったし、ドンパチ騒ぎも議会から手を出すなと釘を刺されているのでやる事が無い。
話に拠れば大空戦に巻き込まれて逃げ出してきた空賊までいるらしい。
しかしそれでも逃げた先はラハマよりは程遠い場所。
コトブキ飛行隊は完全にお休み状態となっていた。
エンマは家の庭にあるソメイヨシノの手入れで忙しいし、レオナは孤児院に方に用事があって今はそこにいる。
ケイトはアレンのお見舞いに行ってるし、チカもどこかへ行ってしまった。
今残されているのはキリエただ一人だけである。
「あぁ〜」
もう何度目か分からない呻き声を上げながら何皿目か分からないパンケーキを一口口に放り込む。
恐らくこの世で最も辛いのは退屈なのではないかと思い始め、最後の一口を食べ終わる。
それと同時にこの店の店員がやって来た。
「キリエサン、電話ガ来テマスヨ」
やけに片言な喋り方だが、もうとっくの昔に慣れているので軽く聞き流しつつ受話器を取る。
漸く仕事の一つでも来てくれたのかと淡い期待を込めながら電話先の相手、マダム・ルゥルゥの話へと耳を傾けた。
「はーい、キリエでーす」
《あらキリエ?隊長はいないの?》
「隊長どころか私以外皆用事でいないよ」
《……まあ仕方ないわね。 貴方に頼みたい事があるの》
「なに?」
《ラハマより南西の方角から所属不明の戦闘機が一機近付いてきているわ。 恐らく穴からやってきた例の戦闘機よ》
「一機?」
《えぇ、貴方にはその戦闘機の元へと向かって欲しいの》
「えぇ〜。 それくらい自警団にやらせればいいじゃん」
《生憎自警団の機体は今全機定期のメンテナンス中で出せないのよ。 迎撃する訳でもないから行ってきてくれないかしら?》
マダムの言葉に少し唸るキリエだったが、どうせ暇だからと承諾した。
《ありがとう、貴方の機体は既に出撃準備を整えてあるわ。 出来そうならウチの滑走路まで案内して欲しいわ》
「まぁできる所までやるよ」
《頼むわよ》
その言葉を最後に電話は切れた。
やっとやる事が出来たキリエは軽い足取りで飛行場へと向かった。
飛行場には電話で伝えられていたとおり自分の隼が既にエンジンの掛かった状態で止まっていた。
隼のコックピットに乗り込み、計器を確認し、シートベルトを付けてキャノピーを閉じた。
エンジン出力を上げ、滑走路を速度を上げながら直進する。
速度がどんどん上がっていき、揚力が強まって尾翼が浮き上がり。 次にとうとう空へと完全に浮き上がった。
飛行機が離陸した時の独特な感触を味わいながら、機首を南西へと向けて進む。
エンジンの振動を全身で感じながら適当に作った鼻歌でも歌いながら目的地へと向かう。
イケスカ動乱以降、仕事が滅多に無かったので、操縦桿を握るのが久し振りにも思えた。
とはいえ彼女もエースパイロットの端くれ。
腕は未だに落ちてはいない。
「ん〜」
目的地周辺に来た頃、目を細めながら周囲を見渡す。
「ってん?」
辺りを見渡すと空中で動く何かしらの物体を見つけた。
明らかに鳥ではなく、飛行機である事は明白だ。
「いたっ!」
急いで不明機の元へと機首を動かして不明機の上後方につく。
機体を僅かに傾けて不明機の全容を確かめる。
機種は相変わらず分からない、だが見覚えはあった。
飛燕にも見えるが主翼が角張っており、翼下にガンポッドを下げている。
胴体と主翼には左側から吹く風を模したエンブレムが描かれていた。
流石にあの状況でエンブレムまでは見れていなかったので改めて覚え直した。
キリエは早速無線機をオープン回線に繋ぎ、不明機に呼び掛ける。
「そこの不明機!」
《あぁ……お前はいつぞやの隼乗りか。 シダルカの戦闘機隊相手によく生き残れたものだな。 見事だったぞ》
「あ、ありがとう……ってそうじゃなくてアンタ何者でなんでこんな所にいんのよ! それといつぞやってまだそんなに経ってないわっ!」
《そうか? すまないな、記憶力には自信が無いもんでね》
特に意味の無いやり取りをした後、本題を持ち出したのは不明機の方だった。
《本題なんだが、少し頼みがある》
「頼み?」
《そちらの飛行場へ着陸させて欲しい。 それもなるべく早くだ。 エンジントラブルでコイツはもうじき墜ちる》
相手はエンジントラブルで飛行場への緊急着陸を求めている。
自分の独断で着陸させていいのだろうか。 と考えるが、不明機に無線越しに急かされたので仕方なく誘導する事にした。
「着陸する時はアンタが先に降りてよ」
《了解、誘導感謝する》
滑走路へと降りて行く不明機。
それを飛行場の上を周回しながら見つめるキリエ。
滑走路から不明機が退いた事を確認し、キリエも着陸体制に入る。
機首と滑走路を真っ直ぐに合わせ、スロットルを絞りながらゆっくりと高度を下げる。
着陸する時には完全にエンジンを切り、速度に任せて滑走する。
機体を通して伝わって来る衝撃をその身で感じながら格納庫付近で着陸する。
格納庫に運び込まれる隼を見送りつつ、不明機の方を見ると銃を持った男達に囲まれていた。
色々話を聞きたいし今死なれると困るのでキリエは不明機の元へと駆け寄った。
近々新勢力でも出そうかな?
我らがヴェストヴィントは主人公勢と敵対するか?
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戦争だ!!我等にはそれが必要だ!!
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世に平穏のあらんことを