異世界転生でも異世界召喚でもなく異世界に落ちたら体が縮んでました。 作:森の合計
「あ~、かな~。あついよ~」
私の隣で愛下(あいか)がそんなことを言う。
そんなことは分かっている。
なぜならここは、砂漠のど真ん中なのだから。
それは、僕が高校に行く通学路での出来事だった。
僕の家と学校はとても近かったのだが、家と学校の間にはとても急な上り坂がある。
その坂を友達の小林と一緒に上っていると、とたんに足元に黒く丸い大きな穴が空いた。
「うわっ!」
坂を上るために前のめりになっていたせいで、驚いたのもつかの間、僕はその穴の中に落ちてしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
その穴は底が見えないほど深かった。
「??ーーー!」
後ろから小林が自分の名前を呼ぶ声がする。
僕は振り返ることもできず、奈落へと落ちていった。
その空間を落ちている間、全身に電撃が流れるような激痛が走った。
その激痛のせいで、時間が流れるのがとても遅く感じた。
どれほど落ちたのかわからないほど落ちていった。
すると、とたんに全身の激痛が消えた。
そして、どこかに投げ出されたような感じがして、激痛のせいでギュッと瞑っていた目を開けて見ると、そこは空の上だった。
雲が下に見えるほど高いところだった。
自分の身体はそのままの勢いでどんどん落ちていく。
自分の身体が雲の下に来た時に僕は、『これは確実に死んだな。』と思って目を瞑った。
「ここで少し休憩するか。」私がそう言って立ち止まると、愛下も立ち止まる。
「そこのお嬢さん逹。」
愛下とは違う、男の声が後ろから聞こえた。
私達が振り向くと、そこには一人の男がいた。
その男は金髪で、18歳くらいだろうか。
しかし、なぜこんなところにいるのだろうか。
「貴方は誰?」すぐに愛下が問いかける。
しかし、その男はその問いには答えずにこう言った。
「すみません。そこはちょっと危険なので少し離れてもらえますか?」
私達は言われた通りにその場を少し離れた。
すると、その男は何かを受け止めるような構えをして上を見上げた。
それにつられて私達も上を見ると、男の立っている場所にめがけてものすごい勢いで何かが落ちて来た。
思わず目を瞑った。
ボコォォンと何かが落ちたような大きな音がした。
恐る恐る目を開けて、何かが落ちたと思われる、男の立っていたところを見てみた。
そこには、何かを抱えて立っている男の姿があった。
その男が抱えているのは、小さな子供のようだった。
いろいろなことが起きすぎて、私逹は頭の整理が終わるまで、ただ単に棒立ちしている他になかった。