ここは、空の世界。人々はここで生まれ、平和な暮らしを享受し、子を生み、そして死んでゆく…天空都市コロンビア。そこへ運命の星に導かれた1人の少年が辿り着いた。
「なぁ…本当にこのガキをそこまで連れて行けば金がもらえるんだよな…?」
「あの女のナリを思い出せ、相棒。全身アクセサリーだらけの成金だぜ?この仕事が成功した暁にゃ俺たちにはガッポリ金を落としてくれるだろうよ…ま、払う気があれば、だけどな。なによりもう俺たちはこのガキを誘拐してんだ。今更引き返せるか」
「それもそうだな、すまん」
アメリカ、メーン州沿岸。ここで2人の男が嵐の中ボートを漕ぎながら話していた。傍らには縛られて意識を失っている東洋人らしき少年の姿もある。彼らは不況の煽りを受けた失業者だ。そこに現れた女に“運び屋”として雇われたのだ。そんな彼らの周りを照らすのはボートに備え付けられたカンテラのみ。揺れるボートの上でカンテラから溢れる光が彼らを怪しく照らし出す。
「しかし…この
「あの女が言ってたのは灯台だろ?この辺じゃ灯台なんて一基しか建ってねえ。どこぞの島に行けってんじゃねぇんだ。灯台ならこの大時化でも見つけられるはずだ」
不安がる男に対してもう1人の男は勇気づけるように言う。そもそも彼らは”荷物“が少年である事は聞かされていなかった。意識の無い少年を女の手の者から受け取った時はヒヤリとした。それでもこの仕事を断るわけにはいかないと彼らは危険を承知でこの海に乗り出したのだった。
「う…」
ボートを漕ぎ出して30分程経った頃、少年が目を覚ました。まだ意識ははっきりしないようで、目も半開きだ。
「お…目が覚めたか、坊主」
「あんたたちは…」
「お前をどっかに連れてくように雇われたんだよ。もうすぐ着くから大人しくしてろ。つっても、ここじゃどうしようもないだろうけどな」
男の言う通り、荒れ狂う海のに浮かぶボートの上で暴れるなど自殺行為に等しい。後ろ手に縛られた状態ならば尚更だ。少年もその辺りは理解しているようで、悔しそうな顔をするだけで動くことはしなかった。
「おい、あれは…」
灯台の光だ。男のどちらかがそう言おうとした時。巨大な波がボートを襲った。ボートは転覆し、それに巻き込まれた3人は海へ投げ出される。服が水を吸い、思うように動けない。声を出す間もないまま、3人は海へと沈んでいった…。