黒の剣士に憧れし者 リニューアル   作:孤独なバカ

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プロローグ

強さとは何だ。

 

自分の問いかける

 

目の前にある冷たい体の家族が入った棺桶を見つめながら考える。

一週間の時間はあっというまに過ぎる中、俺、飯塚スバルはたった一人で家族を見ていた。

もうそろそろ春が来そうな後二週間で俺の高校生生活が始まろうとしていた時の悲劇だった。

 

死因は刺殺による大量出血。

どうやら連続通り魔事件の犯人が近くの子供を刺し殺したらしい。

子供の家族がお礼を言いに来た。

既に死んでいる両親の姿を見てとても立派だと褒めちぎっていた。

それで自分が死んだら意味がないのに

家族葬はスバル自身が断った

というのも元々スバルの家は昔から剣道屋敷が盛んで門下生が大量にいたのだ。

安くするよりも騒がしい方が少しは両親は楽になると思ったのだ。

事実。葬式には多くの人がこちらに来て黙祷を捧げている。

 

そしてもう一つは理由がありこれから俺を育てていく。いや資産争いを繰り広げているからである。

両親は道場を開いており、さらに古くから剣で優れた名家だったらしい。

遺言書に全て資産をスバルに渡す遺言書を弁護士に渡していたので醜い財産争いが今スバルを目の前で行われていた。

 

……何で葬式に来てくれた人たちが親戚よりも悲しんでいるんだよ。

 

そんなことを思いながらスバルは薄汚い大人の空気に包まれていた。

 

 

あれから三ヶ月が経ったある日の月曜日

高校に入っても未だに相続争いについては何も決まってなかった。

今は幼馴染の南雲ハジメの家に引き止められそこに居候として暮らしている。

そこでの暮らしは少し戸惑いがありながらも、暮らしていた。

 

しかし学校が生活はそう上手くはいかない。

 

週にバイトを二つ掛け持ちやっているのもあり成績が最初からいいとは言い切れない。そして一番は授業中も寝てしまうことが多く、さらに休日は未だゴタゴタしている親戚の話になっている。

それが多大なるストレスになっていた。

スバルは既にハジメたちの両親のことを信頼し通帳から何から何まで預けているために居候先として正式に身元請負人となったことを告げたのだ。

すると大激怒と悲鳴、非難の数々。それで始めてスバルは絶望したのだ。

 

……もう誰も自分のことを見てくれないんだと

 

 

スバルは既に限界だったのだ。

バイト、学校、資産問題。

それを同時にこなしていたので日頃から精神的な負担も肉体的な負担も大きくかかっていることには違いはなかった。

ボロボロであり既に身体ストレスが溜まっていた。

ハジメもそのことに気づいていたのでできる限りのフォローはしていた。

 

いつも通り学校へ向かい一直線で席に座ろうとしたところニコニコと笑いながら隣の席の一人の少女が話しかける。

 

「飯塚くんおはよう!!」

「……おはようさん。」

 

と白崎香織と呼ばれるこのクラスで二大女神と呼ばれ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

普通なら話しかけてもらえるだけ楽とか優しい性格とか思ってもおかしくはないんだが今のスバルにはそんな余裕はなかった。

 

席に着くと始業まで睡眠を取るべくうつ伏せになるとすぐに睡魔が襲ってくる。

 

こう見えても授業中は未だに寝たことがないが、休み時間やその合間の時間になると糸が切れたように寝てしまうというのがデフォだ。

なので相変わらずすぐに眠りに入ろうとした時

 

「おい。飯塚。せっかく香織が挨拶したんだから。」

 

と何か言いたげの天之河光輝が近づいてくる。天之河は人気が高く、学年問わずの人気者だがそんなもん知ったこっちゃない。

そしていつもの感覚の時間まで寝ている。

スバルの事情を知っている人は多く中学校時に同じクラスの永山グループや昔道場同士で交流のある八重樫雫がそれに当たる。

雫は白崎に何度も言いよっているらしいがそれでも詳しい事情を話せないでいるので困っていることは知っていたが自分のことでいっぱいいっぱいだった俺は謝ることくらいしかできなかった。

目が覚めると丁度朝のHRが始まるところだったのでいつも通りの授業が始まろうとしたところだった。


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