黒の剣士に憧れし者 リニューアル   作:孤独なバカ

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ちょっと重めの主人公の過去に触れます。


バイト先にて

「いらっしゃいませ〜。」

 

放課後、今とあるサブカルチャー専門の有名店で俺はレジ打ちをしていた。

 

「会計は一万三千四百円になります。」

「は、はい。」

 

と対応しているのは女性客である。どうやら店長曰く俺がバイトの日だと女性客が1,2倍増加するらしい。

というよりも女性客ばかりの対応は少し苦手なのだけど。

 

「雫ちゃんこっちだよ。」

「ちょっと香織!!いくら飯塚くんが南雲くんとゲームの話をしていたからって。いえ。確かに若干オタクの要素はあるのだけど。」

「……」

 

と同級生と思われる声が聞こえてきても無視だ。我慢だ。

俺は笑顔で接客を続けていく

 

「…あれ?スバルくんどうしたの?笑顔が固いけど。」

「いや〜何でもないですよ。大久保さん。」

 

と必死に笑顔を続けながら接客をしていく。

 

「こ、こら香織どこに入ろうとしているの!!」

「うっ。で、でも雫ちゃん。」

 

俺は顔を引きつらせる。さすがにその会話から普通は入らないであろう場所に二人が入ろうとしていることは分かった。

これどうやってレジ打ちすればいいんだよ。

 

恐らく俺はレジ打ちを無心で続けていく。その時にアニメや漫画の話をしながら楽しく話していると

 

「あれ?なんだかこの女の子、雫ちゃんと似ているような。

「はぁ!?ば、馬鹿なこと言わないで!私、こんな四つん這いでお尻を突き出したりなんて!そ、それに!そんなこと言うなら、こっちの女の子は香織に似ているじゃないっ!」

「えぇ!?わ、私、男の子の上でこんなに恥ずかしい格好しないよう。」

 

……限界だった

さすがにクラスメイトが大人向けなコーナーにいて、さらに周辺の人を巻き込んでいて、翌日からどう会えばいいのかわからなくなりそうだったので店内アナウンスをかけスバルは何を悟ったようにため息をはき告げた

 

「お客様の案内をいたします。八重樫雫様。白崎香織様。八重樫雫様、白崎香織様。至急レジ前までお越しください。引き続き松田店長。松田店長。そこのバカ二人を説教するんで2番レジ交換してください。」

「「えっ?」」

 

すると二人の驚いた声が聞こえてくる。店内アナウンスを聞いて店長が引きつっている。アナウンスやお客様のことをガン無視したアナウンスだけどさすがに他のレジの人やお得意様の人は気づいているのだろう

あぁ。いつものか。

実は普段は仕事はダメダメな店長を叱るためタメ口でアナウンスをすることがこの店の恒例行事になっている。今回はお客なのだがまぁ他の人は恐らく知り合いってことを知っているので同情するような目でスバルを見つめる。

 

「えっと。雫ちゃん?今の声って。」

「……飯塚くんここでバイトしてたのね。」

「えっと。もしかして……今の話って。」

「聞かれていたわよ。……あぁ。頭が痛いわ。」

 

すると微妙な雰囲気な二人が遠目を見ている。

 

「店長上がります。ついでに説教するんで少し早いですけど。」

「あの、お客様なんだけど。」

「いや。恐らく俺関係なんで……ちょっと俺の名前を言っていたし。」

「知り合い?」

「幼馴染と高校の同級生です。」

「……お疲れ様です。」

 

店長にさえ同情の目を向けられ俺はがっくりとため息を吐く。

そしてしばらく待つと二人が恐る恐る近づいてきた。

 

「……とりあえずここじゃ迷惑になるし、簡単に説教するぞ。てか雫。こいつの面倒はお前が担当なのになんで大人向けのコーナーであんな大声をだす。」

「えぇ。ごめんなさい。」

「えっ?雫?」

「幼馴染だよ。昔道場の師範の息子と娘同士結構仲はよかったから。ってそういう問題じゃないんだけど。」

「うぅ。ごめんなさい。」

 

俺は息を吐く。

 

「俺もう上がるからちょっと待ってろ。着替えてくるから。」

「えぇ。どこで待ってればいいかしら?」

「近くのサ◯ゼに集合。せっかくだし飯食っていこうぜ。言いたい事も聞きたいこともあるだろうしな。」

 

すると二人はキョトンとする。

 

「えっと。どういう事?」

「天之河いるところで話したらめんどくさいことになるだろうが。あいつ俺のこと嫌いだろうし。せっかくバイト先見られたんなら俺の事情話しておいた方がいいだろうが。」

 

お互いのためにもな。これで話掛けられないようになればベストだろうし。

そんなことを思いながら俺はバックに着替えを取りに戻ったのであった。

 

 

「……ってことで今回は保護者には連絡しないけど二度と年齢制限のあるゲームは指定年齢になるまで入らないこと。いいな。」

「「ごめんなさい。」」

 

10分ほど軽く説教した後たくっと一息いれ、軽くため息を吐く。

 

「てか、最初からずっと気になっていたんだけどお前ってなんで俺と話したがるんだよ。俺白崎と共通点なかったはずだけど。」

「……やっぱり覚えてないんだ。」

「覚えてない?」

「この子スバルにあったことがあるらしいのよ。中学校の時に二度。」

 

そうだったか?

俺は考えるとすると苦笑する二人がいる

 

「覚えているわけないわよ。香織が中学一年のころ助けてもらったわけで2回目は香織すら関係の。」

「あぁ。そういや一度高校生に絡まれていたやつ一度助けたっけ。もしかして白崎?」

「覚えているの?」

「いや。詳しくは覚えてない。でも、よその中学の女子に関わったのそれくらいしかなかったしな。」

 

一度礼を言われてそれっきりだったしな。言ってくれなかったら気づかなかったな。

 

「それと高校二年生の時もお婆さんを南雲くんと助けていたでしょ?」

「……あったな。そういや。」

 

あの出来事はよく覚えている。ハジメの作戦に乗ったとはいえ二人で大学生に土下座をしていたのはちょっとした黒歴史だ。

確かソースで大学生の特注品のズボンを汚したのを無理やりお金をむしりとろうとしたのを土下座したんだっけか

 

「……その時二人のことを凄く強くて優しい人だって思ったんだ。」

「は?」

「だって、二人共。小さな男の子とおばあさんのために頭を下げてたんだもの」

 

あぁ。なるほどな。

 

「強い人が暴力で解決するのは簡単だよね。光輝くんとかよくトラブルに飛び込んでいって相手の人を倒してるし……でも、弱くても立ち向かえる人や他人のために頭を下げられる人はそんなにいないと思う。……実際、あの時、私は怖くて……自分は雫ちゃん達みたいに強くないからって言い訳して、誰か助けてあげてって思うばかりで何もしなかった」

「それが普通だろ。……というよりそれが正解だろうな。俺は一応護衛手段持っていたからな。あんな真似ができたんだろうし。というよりも普通なら突っ込まないのが正解なんだよ。余計にこじれてめんどくさいことになったら責任取れるのかって話になるし。」

「……そうなの?」

 

雫が聞いてくる。

 

「あぁ。というよりも自分が迷惑を掛けているのかなんて自分では理解できないんだよ。天之河なんて典型例だろ。あいつは俺の事情知らないだろうし。」

「そうね。まぁ……正直香織のこと面倒くさいって思っていたでしょ?」

「……まぁな。事情を知らなかったらただの意味のわからないやつだと思ってた。」

「ひどい!!」

 

と言っているが知らなく目立たない男子がカーストトップの白崎に話掛けられるだけでどれだけ目線がきついしな。

 

「……まぁ。さすがに納得した。そういえばそんなことあったわ。」

「覚えてないのも仕方はないと思うけど。」

「両親殺された前は結構覚えていたはずだぞ。てかお前に何度同じ話を聞かされたか。」

「……えっ?」

 

白崎は驚いたように俺の方を見る。

 

「……ちょっと待って。どういう。」

「雫には黙っていてもらっていたんだけど、俺の両親が連続通り魔事件の最後の被害者なんだよ。今はハジメのところで居候している。」

「……雫ちゃんは知っていたの?」

「えぇ。元々スバルのお母さんと、私のお母さんが同級生だから。幼馴染ってことも光輝がいるから話さないでいたし。」

「あいつの性格上俺にはお互いに合わないからな。もし死んだ両親を理由にしっかりしろっていうのは目に見えているしな。」

 

正直馬が合わないのだ。俺は今生きることで必死だしな。

 

「そういえば大丈夫なの?」

「ん?両親のことについては一区切りついているからな。まぁ問題は身内の引き取ってもらう先がちょっとな。」

「そういえば引き取り先どうなりそうなの?もしかしたら転校もありえるって。」

「いや。ハジメの家に正式に養子になりそう。」

「……意外ね。そういや。今って南雲くんのところで面倒見てもらっているのだったかしら?」

「あぁ。ちょっと高校が控えていたからな。親戚の家全部遠かったし。一人暮らしはさすがにお金がな。」

 

どうしようかと悩んでいるとハジメの家族から打診を受けたわけだしな。甘えっきりにならないようにスマホ代と生活費の一部をバイトで稼いでいるわけだし。

 

「まぁ、ちょっとしたことで今もめているんだよ。しばらくはゴタゴタした雰囲気が続くだろうし。どっちかというならこっちの方がな。」

「……そっか。」

 

とコーヒーを飲む。苦々しい雰囲気が周辺をつつむと

その後重い空気の中スバルが出ると合図するまで誰も一言も話さなかった。


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