黒の剣士に憧れし者 リニューアル   作:孤独なバカ

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ハロウィン

「おはよ〜。スバルくん。」

「ねぇご飯もう食べた?もしよかったら一緒に食べないかな?」

「スバルくん今日バイト?もし空いていたら一緒に帰らないかな?」

 

とあの日からもう三ヶ月がたったとある昼休み

 

「……白崎怖いんだけど。」

 

すでに身内問題や裁判に一区切りをついた俺はハジメにそう呟いた。

1日の大半を白崎が話しかけてくるようになっていた

 

「あははは。……スバル何かしたの?」

「なんで俺が何かした前提なんですかね?てか突き放したはずなのになぁ。」

「えっ?」

 

俺は苦笑してしまう。

 

「いや、バイトの都合上俺って交友関係に時間費やす暇ないし。」

「そういうわりには白崎さんと話している時多くない?」

「いやだって話しかけてくるのに話しかけないって。」

「そういうこと言って最初のころは無視してたじゃん。」

「うっ。」

 

それを言われると痛いところだけど

 

「いや。だってな。あんなに純粋に話しかけてくるとさすがに罪悪感が。」

「そういえば話したんだったよね?」

「あぁ。それに白崎ってあれじゃん。……あ〜なんていえばいいんだろう。」

「……もしかして白崎さんの気持ち気づいているの?」

 

俺は少し困ったように頷く。いや。あれで気づかないというのは無茶があるだろう。

明らかに幼馴染よりも話しかける機会が多いって。

 

「……まぁ白崎は自覚ないだろ。雫にも聞いたし。」

「……だろうね。」

「はぁ。たく。」

 

と言いながらも自分で作った弁当をハジメと食べる。愛ちゃんの凡ミスにによりハジメの家に居候していることがバレているので弁当を作っているくらいは余裕になっていた。

 

「でも、スバルも僕と白崎さんくらいでしょ?」

 

学校で話す人のことだろう。

 

「まぁな。なんだかんだで面白い奴ってわかるしな。」

「やっぱり白崎さんいじるの楽しそうだしね。」

「反応がウブだからな。結構面白いぞ。ハジメもいじってみれば。」

「本当にスバルは母親似なんだね。」

「よく言われるな。」

 

と苦笑してしまう。

実際俺は母さんから弄られる機会が多かったし、逆に揚げ足をとったりしていたからな。

 

「スバル。ちょっといいかしら?」

 

すると雫が珍しくこっちの席に香織がいないところで話しかけてくる。

 

「ん?どうした?」

「今日バイトかしら?もし良ければ帰り道香織に付き合って欲しいのだけど。」

「……なんで雫が?」

「さぁ?」

 

すると首を傾げる雫。

しかしそれがふりということはすぐに見抜けた。

 

「……?あぁ。そういうことか。」

「えっ?」

「お前顔ニヤついているぞ。少し頰が緩んでいるし。」

「嘘!?」

「マジで。」

 

すると雫は頰を触る。するとハジメが頷く。

雫は嬉しい事に限ったらかなり顔に出やすい。雫の猫に対するデレっぷりを見たら普段のクールビューティというイメージは簡単に消え去るくらいだろう

 

「うん。緩んでいたね。」

「あぁ。雫結構わかりやすいからな。まぁ香織関係ってことは確定で恐らく……ってか白崎あいつ自分の気持ち気づいたのか?」

「えぇ。最近愛ちゃんと話す機会多かったでしょ?」

「……先生に嫉妬するなよ。」

 

俺は少し呆れたようにしてしまう。ハジメも軽く顔が引きつっている。

ついでに愛ちゃんと話す機会が多いのは進路についてで、第一志望が高卒の公務員なだけあってどうすればいいのか早めに相談しているからだ

できれば気づかれないようにしてきたのだが……

するとハジメも少し大人しめに告げる。

 

「まぁお似合いの二人だと思うよ。」

「おい。ハジメ。どういうことだ?」

「えっ?断るの?」

「……いや。でも。」

「……それでいいの?」

 

幼馴染二人に少しタジタジになってしまう。

正直なところこの二人に対してはかなり弱いのが俺だし、あんまりこの二人には通用しない。

俺が白崎に対する気持ちも二人は気づいているはずだ。

 

「……いや。何というか……まだ決まったわけじゃ。」

「香織今日告白すると思うわよ。あの子一つ決めたらそれに一直線だから。」

「……だよな。」

 

気持ちに気づいていることは知っているので雫の直球な問いかけに少し悩んでしまう。

だがどうせ後伸ばしにしたところで、白崎から逃げられるとは思わないし、ここで気持ちに応えられないとしてもここで返答を返すことがいいだろう

 

「はぁ。まぁ今日は空いているから別にいいけど。」

「あれ?バイトないの?」

「今日ハロウィンだろ?今日社員たちがコスプレで徘徊する日なんだよ。」

「「あぁ。」」

 

コスプレが苦手なスバルは店長と壮絶な争いの上コスプレをしない権利を手に入れたのだったのだが。

 

「そういえば今日お前なんのコスプレするんだ?恐らくソウルシスターズがこのクラスに来たら。」

「……それ以上言ったらぶつわよ。」

「さーせん。それともう戻った方がいいんじゃないか?さっきから白崎の視線がいたい。」

 

めっちゃ睨んでいるし雫は後から事情聴取を受けることになるだろうなぁ。

そんなことを考えながらスバルは話を打ち切るとそうねと答えた

 

 

 

「スバルくんどうかな。」

 

と放課後のハロウィンパーティーの時間がやってきた。ついでにほとんど全員参加なのでいない人の方が珍しいので目立たないようにハジメも参加していたのもありハジメと話をしていると少し照れ臭そうにしている白崎が俺の方を上目遣いで見てきた。

白崎の見た瞬間俺は一瞬固まってしまった。隅っこにいたのにかなり目立ってしまう。

猫耳をつけた少女がミニスカの浴衣姿をしたのはなんとも目に毒だ

おそらくだけど谷口というちびっこのクラスのムードメイカー的存在の奴が主体になっているんだろう

 

「……似合っているんじゃねーの。猫又だろ。それ。」

「そ、そうかな?」

「……ただ寒くね?」

 

10月としてはちょっと寒そうな気がするんだけど。

 

「えっ?う、うん。ちょっと寒いけど。」

「たく。……差し入れ。」

 

と俺はあったかいお茶を取り出す。

 

「えっ?これって。」

「甘い物ばっかりじゃ喉乾くだろ?一応冷たい奴も買っていたから臨機応変で。」

 

と軽くお茶を取り出す。

 

「それでなんでスバルくんはスーツ?」

「いや、執事服だと思う。よくわからないけどこれに着替えてって言われた。」

「……へぇ〜。」

 

するとじっと見つめてくる白崎。

全身を見てそして少し頰を赤くさせる

 

「……そんなに変か?」

「えっ?ううん。似合っているよ!!」

「そうか?あんまりハロウィンぽくないし。」

 

と少し困ったように自分の格好を見てしまう。

普通おばけとか妖怪の格好するのになぜ執事と思っていると

 

「でも、かっこいいと思うよ。」

「……そうか?」

「うん。似合っているよ。」

 

と顔を赤く染める香織に少し照れくさくなってしまう。

 

「そういえば今日この後雫ちゃんの家で二次会やるんだけど。」

「天之河来るんだろ?それなら行かない。」

「……うぅ。」

 

すると予想はしていたのだろう。少し苦い顔をする。

俺の天之河嫌いは恐らく学校中に広まっている。実際文化祭などのことで堅実派のスバルと理想型の天之河で争い、しかも天之河の意見を打ち切って俺の意見が最終的な文化祭の案になったことは自他のクラスを他にして知れ渡っていた。

 

「……てか今日一緒に帰るんじゃなかったんかよ。」

「だってスバルくん下校中は付き合ってくれるけど。付き合い悪いよね?」

「……いやだって俺スポーツチャンバラの代表だし。練習しないと腕鈍るし。一応これでもスポーツ推薦だから。」

 

マイナーなスポーツだが実はスポーツチャンバラという種目で大人も交えた世界大会でベスト4を記録するなどの成績を誇っている。

中学時代からトップクラスの成績を誇っていたし、大学からの剣道に戻り二刀流をすることを軸にスポーツ推薦を取り入れたのがきっかけだったのだ。

 

「……それじゃあこのパーティ中はどうかな?」

「それくらいなら別にいいけど。」

 

としている中であることに気づく

 

……ハジメ逃げやがったな。

 

軽く舌打ちをしてしまうあいつと一緒なら友達と一緒に回っていると言い訳ができるのに。

 

「んじゃ行くか。」

「うん。」

 

と嬉しそうにする香織を連れて俺たちは回り始めた


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