英雄がヒーローになります!給料次第ですけど。   作:聖剣エクスカリ棒

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今回、僅かに原作と出来事の順序が変わっています。あまり気にするほどの変化でもないのですが、念の為ここに書いておきます。
ラストを考えるのが難しすぎていつも雑になるのをどうにかしたい…。


休憩時間らしいのでなにかします!弁当食べます!

轟による挑発(2人の中ではそうなった)の後、加賀美と剣持を待ちながらPUBGをプレイしていた2人。

1戦目が微妙な結果で終わったのでリベンジをしようとしていた所に、待ち人2人がやって来た。

 

「お待たせしてすみません。少しやることがあったので」

 

「つーか、こんな時にまでゲームやるか?普通。もっと体育祭を楽しめよ!」

 

エクスと葛葉の肩を激しく揺さぶる剣持に、2人は揃って顔を顰める。

 

「耳元で叫ぶな」

 

「唾飛ばさないでくださいね」

 

グイグイと剣持を押しのけようとする2人の隣に加賀美が座る。

 

「遊んでないで弁当食べましょう。皆さんってレクリエーションどうします?」

 

黒のシンプルな二段弁当を開ける加賀美の言葉に、じゃれあっていた3人も大人しく座って弁当を開いた。

 

「レクリエーションってなにすんの?」

 

「私もよく知らないんですけど、スタンダードに大玉ころがしとか玉入れみたいな競技じゃないですかね」

 

葛葉の問いに答えながら、口元についている米粒をジェスチャーで示す加賀美。指摘された葛葉は興味なさげな返事をしながら米粒を口に運ぶ。

 

「僕は多分出ないですね。面倒くさいです。…うわ、剣持さんの弁当めちゃめちゃ美味そうじゃないですか」

 

剣持の弁当から卵焼きを奪って口に放り込むエクスを肘でどつきながら、剣持も同意する。

 

「まぁ僕らは次に備えて体力温存が1番いいと思いますよ。…っと、貰い!」

 

「あぁ、ちょ、はぁ!?卵焼きに対して唐揚げは釣り合ってないでしょ!?」

 

「なにやってんのお前ら」

 

弁当の奪い合いを始め出す2人に呆れた目を向ける葛葉。

 

「でも意外でしたよね。まさか棄権者がでるなんて」

 

「あ〜、あれね」

 

騎馬戦が終わってすぐのこと。順位発表が終わった後に何故か再び生徒達が呼び出されたのだ。

なんでも、4位チームのうち2人が棄権を申し出たらしい。

その為、別の上位チーム2つの代表者が代わりに第3種目に出ることになったらしい。

結果、5位だった轟と6位チームの推薦を受けたB組の鉄哲が出場することとなった。

 

「まぁ、自分の信念に従って棄権を決めたのって普通に凄いと思いますけどね。僕ならそんなの気にせずにやると思いますし」

 

剣持の弁当からたこさんウィンナーを奪い取ったエクスが視線を剣持に向けたまま話す。

 

「そうやって何かを辞めるのも何かの勇気ぁぁあ!」

 

ハンバーグを奪われ、絶叫するエクス。言いかけていた言葉は中断され、ひたすらにクソが…と呟くだけのマシンになってしまったようだ。

 

「…まぁ確かに、エクスさんの言う通りですね。正直、棄権の理由を聞いて不謹慎ながらかっこいいと思いましたし」

 

ああいうのもヒーローの素質なのかなぁと考えながら水筒の麦茶で口の中の物を流し込んだ。

 

「第3種目ってどんなのっすかね。長距離走とかだったら無理だわ」

 

背もたれに体重を預ける葛葉。

 

「いやいや、いつも通り第3種目はトーナメントでしょ。なぁ?」

 

何を言っているんだろうな、とでも言うようにエクスに視線を向ける剣持。だが、エクスは感心したように声を漏らすだけだった。

 

「……え?待って、もしかしてだけど体育祭見たことないの?お前ら」

 

「ないっすね」 「興味ないわ」

即答する2人に剣持は頭を抱える。

 

「なんでお前らみたいなのがA組になれたんだよ…」

 

「…んぐ。流石にいってること酷すぎません?」

 

剣持の肉巻きおにぎりを頬張りながら、エクスがジト目を向ける。

その視線に剣持も、さすがに言い過ぎたかもしれないと謝ろうとして

 

「いや、なに人の主食食ってんだよ!釣り合わないだろ!」

 

エクスの食べている肉巻きおにぎりに気づき、盛大な台パン(ベンチパン?)をかますのだった。

 

「別におかずは良いんだよ!いや、良くないよ!?でも主食はダメだろ!もっと主食を大事にしろよ!」

 

「剣持さんうるっさ!…仕方ないから僕のおにぎりをあげましょう。感謝してください」

 

「お前を恨みはするけど感謝はしねぇよ」

 

ぶつくさ言いながらエクスのおにぎりを食べ始める剣持。白米に混ぜこまれた梅がカリカリとした食感と程よい酸味を与えてくる。

 

「え、うま…。これお前が作ったの?」

 

「おにぎりに混ぜるふりかけみたいなやつ、スーパーにあったんで入れてみました。それ美味しいですよね」

 

「うん。めっちゃ美味しい。」

 

今度スーパー行く時に探して見よう。そんなことを考えながら、剣持はおにぎりを食べ進めていく。

 

「?葛葉さんどうしました?」

 

ぼーっとエクスと剣持を眺める葛葉に、加賀美が声をかける。

 

「ん?ぁや、なんでもないっす」

 

そう言って自分の弁当に視線を落とす葛葉。だが、箸をつけずに加賀美の弁当をちらちらと見始める。

その様子に苦笑を零し、加賀美は弁当からミートボールを取り出す。

 

「葛葉さん、おかず交換しませんか?」

 

加賀美の言葉に一瞬硬直する葛葉。だが、すぐに顔を輝かせる。

 

「え、いいんすか!?」

 

「(ここまで食いついてくるとは思わなかった…) 勿論いいですよ。どうぞ」

 

加賀美が弁当にミートボールを入れると、葛葉もいそいそと焼き鮭の切り身を加賀美に渡す。

 

「俺今まであんまり友達とか居なかったんで…、こういうの憧れてたって言うか…」

 

恥ずかしそうに頬をかく葛葉を見て、加賀美はクスリと笑う。

 

「ならこれからどんどんやっていきましょうか、こういうの。エクスさんと剣持さんもいいですよね!」

 

「え、あー…いいっすよ!……エクス君、何の話か分かる?

 

全然わかんないですけど、多分大丈夫でしょう!

 

ヒソヒソと話をする2人だが、間に葛葉を挟んだだけの距離感で聞こえないはずもない。

そんな2人の可愛らしいやり取りに頬を緩めながら、加賀美は葛葉から貰った焼き鮭を口に運んだ。

 

「これ美味しいですね!塩加減がちょうどいいと言うか…。これは葛葉さんが?」

 

「いや、母さんです。俺は家事とか出来ないんで」

 

「お母様、料理お上手なんですね」

 

「そんな事ないっす。普通っすよ、普通」

 

加賀美に褒められたことで照れて顔を赤くしながら、貰ったミートボールを食べる。

口に入れた瞬間一気に広がるソースの濃厚な味で葛葉はその場でピタリと硬直した。

 

「…?く、葛葉さん?」

 

1口噛めば、柔らかすぎず硬すぎない絶妙な食感とともに驚くほど旨味の詰まった肉汁が溢れてくる。

弁当に入っていたので出来たてほど暖かくないが、その分ソースが染み込んでいて肉の味をより引き立たせている。

 

「……うめぇ」

 

気がつけば口の中にミートボールは無く、思わずそう呟いてしまうほどに加賀美のミートボールはあまりにも美味しかった。

 

「あの、葛葉さんどうされました?ミートボールがお口に合わなかったのなら申し「違いますよ社長、めちゃくちゃ美味かったです!美味すぎて意識がとんでただけなんで!もうほんと、気にしないで大丈夫です!」 急にめっちゃ喋るじゃないですか!どうされました!?」

 

黙り込んでいたと思いきや、急に饒舌になった葛葉に加賀美が驚く。

 

「社長の弁当やばいっすわ。やばすぎてやばい。俺の焼き鮭じゃ申し訳なくなってきたわ」

 

「いえいえとんでもない!とても美味しかったですよ!」

 

互いの弁当を褒め合う加賀美と葛葉。そんな2人の会話にエクスと剣持が反応する。

 

「そんなに美味しいものを2人で独占って、それでいいんですか?」

 

「僕達友達だからさ、ちょっとは弁当分けてくれてもいいよね?」

 

言うが早いか、目にも留まらぬ速度で2人の弁当からおかずを奪い去っていく。

 

「うおぉ、めっちゃ美味えぇ!」

 

「こんなん美味いしか言えんて!」

 

勝手に盗み、テンションを上げるエクスと剣持。その2人から弁当のおかずを奪われた加賀美と葛葉は頷き合う。

 

「私達ばかり弁当を取られるのっておかしくないですか?」

 

「取ったってことは取られる覚悟があるって事だよな?」

 

葛葉と加賀美の言葉に、エクスと剣持もニヤリと笑って答える。

 

「欲しいならいくらでも交換しますよ。僕のおかず1つにつき、そっちのおかず2つでいいです」

 

「まぁ結局のところ、欲しいなら奪うしかない。この世界はそういう風に出来てるんでね」

 

勿論本気ではない。だが、巫山戯ているとはいえ4人に手を抜くつもりもない。

ただ弁当のおかずを奪う、そのために全霊をもって戦いに望むのだ。

 

「行きますよ、葛葉さん!」

 

「っし、全部食い尽くす!」

 

「僕達が負けるわけないんでね、勝ちますよ」

 

「最悪剣持さん置いて逃げますしね」

 

「は?」

 

今ここに、戦いの幕が上がる――

 

 

 


 

 

 

弁当戦争(仮)を終え、お腹を満たしたエクスは適当に外をぶらついていた。

校内には様々な出店が立ち並んでおり、小さな子供やお年寄りまでみんなが楽しんでいるようだ。

そして、周りから結構見られる。3回戦目まで進出したから顔を覚えられているのだろう。

注目を浴びて若干の気恥しさを感じながら歩いていると、前方に見慣れた影が2つ。

 

「切島さんと爆豪さんじゃないですか。なにしてるんですか?」

 

「ん?おぉエクスか!いやぁな、次に備えてなるべく食っとこうと思ってな」

 

「チッ」

 

「爆豪さんはせめて喋りません?」

 

声をかけた瞬間舌打ちをされたエクスは困惑しながら爆豪の隣を歩き出す。

 

「…っ、テメェ何俺の横歩いてんだコラァ!クソ髪の横でいいだろうが!」

 

「そんな事でいちいちキレてたら疲れません?リラックスしましょう、リラックス」

 

エクスに宥められ、目をつり上げる爆豪。その向こうから切島が顔を出して右手で手刀を作った。

 

「ごめんな?コイツ、さっきの騎馬戦で3位になってから機嫌悪ぃんだよ」

 

「アァ!?誰が3位だ!」

 

「あー、なるほど…」

 

確かに爆豪の性格なら納得だ。1位チームのエクスに思い切り不快感を示すのも当たり前だろう。

 

「まぁ勝ってしまったものは仕方ないんで、次頑張ってください」

 

「テメェは、次、叩き潰す」

 

「アハハハハ、まじで目が明らかに人殺ってる目だもんな!」

 

「なんでそれで笑えるんだよ…」

 

キレる爆豪に爆笑するエクス、困惑する切島。周りの人達はこのカオスな3人を見て頭にはてなマークを浮かべている。

 

「あ、串焼き屋ありますよ。買うんですか?」

 

突然左手を伸ばしたエクスの指の先には、確かに串焼き屋の出店があった。

3人で列に並ぶ。

 

「エクスも食うか?」

 

「満腹なんで遠慮しときます」

 

「そっか。爆豪は?」

 

「自分で買う」

 

財布を取り出しながらの質問にエクスと爆豪が答える。

 

「爆豪、食うなら奢るぞ?」

 

「要らねぇ。奢る余裕があるなら自分で食え」

 

「おう、気遣ってくれてんのか?サンキュー!」

 

「気遣ってねぇわ!」

 

声を荒らげる爆豪を聞いて切島が笑う。

 

「爆豪さんと切島さんって仲良いですよね。同じ中学だったんですか?」

 

「いや?今年初めてあったぞ」

 

「仲良いって誰がだコラァ!」

 

「お前と葛葉だって仲良いだろ?それと一緒だよ」

 

切島の言う通りエクスと葛葉は同じ中学ではないが仲がいい。なるほど、確かに仲の良さに中学は関係ないらしい。

 

「それを言ったら、切島さんとか爆豪さんとも僕は仲良いと思ってますけどね」

 

最初に話しかけてくれた切島と瀬呂、そしてそこから話すようになった爆豪や尾白、上鳴などはエクスにとって既に『友達』認識だった。

 

「おう、俺達もだぜ!なぁ爆豪!」

 

「一緒にすんな!」

 

「お、次だぞ爆豪」

 

爆豪が叫ぶのも意に返さず、財布から紙幣を1000円札を1枚取り出す切島。そして前の客が居なくなると紙幣を差し出した。爆豪も500円硬貨を差し出す。

 

「タレ5本で。爆豪は?」

 

「…塩2本」

 

店員が2人の注文を聞き、串焼きを紙袋にそれぞれ入れる。

 

「100円のお返しでーす。ありがとうございました!」

 

爆豪がお釣りの100円を受け取り、3人は列を出る。

 

「で?どこに座るんだ」

 

「あん?別に歩きながらで良くねーか?」

 

「爆豪さんいい子ですね」

 

「立ち食いは行儀悪いだろうが!」

 

2人を怒鳴りつけ、道路脇の花壇の縁に腰掛ける爆豪。それに続いて切島とエクスも花壇の縁に座る。

 

「っし、いただきます!」

 

「いただきます」

 

低い声で呟かれた爆豪のいただきますに吹き出すエクス。爆豪がまた目をつり上げるが、口に食べ物を入れているためか叫んでこない。

 

「………。何笑ってやがんだテメェ」

 

「いや、爆豪さんってなんだかんだ育ち良さそうですよね」

 

「別に普通だわ!……それに、育ちが良いのはお前だろ」

 

「え、なんでですか?」

 

爆豪の予想外の言葉に首を傾げるエクス。そんなエクスを横目で見ながら爆豪は答える。

 

「お前、いつも相手の目ぇ見て話してるだろ。そんな癖がついてるのに育ちが悪いわけねぇ」

 

「あー、言われてみれば、エクスと話してる時ってずっと目合うわ。爆豪、お前よく気づいたな」

 

「ずっと見られてりゃ嫌でも気付く」

 

爆豪に言われて今までの記憶を思い返してみると、確かに思いつく全てで相手の顔をみていた気がする。

 

「うわ、なんか言われてみたら死ぬほど恥ずかしいんですけど」

 

赤くなった顔を両手で覆い隠す。

 

「爆豪って思ったより周りのこと見てるよな。やっぱ友達だからか!?」

 

「誰が友達だ!テメェらとは格がちげぇんだよ!」

 

「あっはは!だよな!それでこそ爆豪だわ!」

 

「暑っ苦しいわ!」

 

切島が爆豪と肩を組む。爆豪は顔を背けながら無理やり切島を引き剥がした。

 

「こんなクソ暑い中で何やってんすか」

 

羞恥からある程度復活したエクスが切島と爆豪を見て呆れたような声を出す。

傍から見れば暑い中抱き合っているようにしか見えない。

 

「エクスも爆豪のこと友達だって思うよな?」

 

「まぁ思いますね。爆豪さんは認めないでしょうけど」

 

「ったり前だ!ボケ!」

 

予想通りの返答にエクスも切島も笑みを浮かべる。

 

「心配すんな、お前になんかあったら絶対助けてやる!友達だからな!」

 

「ですね。友達の為ならなんだってやります。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕以外の人が」

 

「「いやお前じゃねぇのかよ!」」

 

エクスの言葉に切島と爆豪の声が重なった。ハッとした爆豪が隣を見れば、切島がハモったな!と言わんばかりの笑顔を浮かべていた。

 

「死ねぇ!」

 

「ぐはぁ!?」

 

ついに我慢の限界を迎えた爆豪が唐突に切島を爆破した。

あまりの出来事にエクスは一瞬理解できなかった。

 

「えぇ!?今の流れでそうなりますか、普通!?」

 

すぐさま逃走を開始するエクス。その後ろから爆豪が爆速で迫る。

 

「黙ってやられろやぁ!」

 

「うわこの人やばい!誰か助けて!ヒーロー呼んできてぇぇえ!!」

 

しばらくして、3名の生徒が相澤先生に補導されたらしい。




近頃にじさんじssが増えてきていて嬉しいです。中にはこのssから書き始めた方もいらっしゃるようで…。
いつも読んで頂きありがとうございます。
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