英雄がヒーローになります!給料次第ですけど。 作:聖剣エクスカリ棒
アンケの結果、圧勝で職場体験先はやしきず事務所に決まりました。
ついでにメイフと絡ませる神の一手を導き出しました。
相澤の説教によって休憩時間も殆ど終わり、一緒に指導を受けた切島・爆豪と別れて一足先に控え室へ戻るエクス。
スマホを弄りながら歩いていると、A組の控え室の廊下に顔を真っ赤にしたアルスと笑いながら何かを言っているレヴィを見つけた。
「師匠、レヴィさん、こんなとこで何やってるんですか?」
片手を上げながら声をかけると、ビクッと肩を揺らしたアルスが涙目でエクスを睨みつける。
「えびせんぱい、見た!?」
「さぁ?見てないと思いますよ。何の話ですか?」
「ほんとに見てない!?」
ぐいぐいと詰め寄ってくるアルスを両手で抑えながらレヴィにアイコンタクトで説明を求める。
レヴィはエクスの意図を察し、エクスに簡単な説明を施した。それによれば
「レクリエーションの1つでA組の女子がチアやったんだケド、それが上鳴くんと峰田くんのついた嘘だったんダ〜。それで、結構張り切ってたアルスちゃんは恥ずかしさのあまりこうなっちゃったと言う訳デシタ。メデタシメデタシ」
とのこと。
尚、説明を聞いたアルスが「なんもめでたくないわ!」とレヴィに突撃したもののエクスが肉壁となってレヴィを守ったのでレヴィに被害はない。
「まぁなんとなく理解はしましたけど、それって要するに師匠の八つ当たりですよね?馬鹿ですか師匠?」
「う、うるせー!そんなの自分でもわかっとるわぁ!」
エクスに正論で殴打され、ア゚ア゚ア゚ア゚という奇声を上げながら悶えるアルス。その光景を見たエクスはそっとレヴィの傍に近寄る。
「控え室に戻りましょう。友達と思われないようにしましょう」
「明らかにエクスくんが火に油注いだくナイ?」
「気のせいですよ」
レヴィの背中を押しながらエクスが控え室に入る。アルスはそのうち勝手に落ち着いてくれるだろう。そうじゃなくとも他の誰かが何とかしてくれる筈。多分。きっと。
「そう言えば、エクスくん第2種目突破オメデトウ!」
「あー。ありがとうございます」
レヴィからの純粋な祝福。人から祝われることに慣れていないエクスは少し照れくさそうに返事をした。
「ボクのチームは結局エクスくん達と戦わなかったけど、実は最初のやつでエクスくん達の騎馬にポイント取られてたんだよナァ」
「まじですか。全然気づかなかったです」
「ボクは眼中にないカ…」
「レヴィさん僕で遊ぶのやめません?」
エクスの困ったような声を聞いて、レヴィが朗らかに笑う。そして、レヴィの笑い声に被さるように集合のアナウンスが鳴った。
「オッ、もうこんなジカン。んジャ、そろそろ行ってこーイ!」
グラウンド側の出入口に向かって軽く押される。レヴィに言われた通り、エクスがグラウンドに出ようとした時。レヴィに呼び止められた。
「応援してるゼ!」
振り向いた視線の先でサムズアップをするレヴィを見て、エクスは小さく笑う。
「優勝したらなんか食べに行きましょう。レヴィさんの奢りで」
「エ〜、まぁ優勝できたらネ」
「っしゃあ、やる気出てきたわ」
くすくすと笑い合い、そして目を合わせる。
「行ってきますね。帰ってきたらトロフィー触らせてあげます」
「ほんとニ!?楽しみにしてるワ〜」
イッテラッシャーイという元気な声に見送られながら控え室を出る。燦々と輝く日光に照らされながら、グラウンドの中央へ急いだ。
レヴィに見送られながらグラウンドに出たエクス。そのエクスは今、レヴィの姿を見ながら頭を抱えていた。
「(いや何これ気まず!カッコつけなきゃよかった…!)」
先程グラウンドに集められたエクス達。そこで、最終種目となる競技が発表された。競技は剣持の言っていた用にトーナメントだったのだが、トーナメントで直ぐに戦いが始まる訳もなく。順番が発表されただけでメンバーは解散となったのだった。
「(え、この空気感やば…。シンプルに吐きそうなんだけど)」
頭を悩ませながら、4つほど空いた席を挟んだ先に座るレヴィを盗み見る。当のレヴィは楽しそうにスタジアムへ声援を送っている。
「おーぅい、なにレヴィちゃんの事ジロジロ見てんだよぅ」
「うわ、なんか顔でかいやつがいる…。え、師匠力よわ。全然痛くないですよ?」
「うっざ」
「普通の悪口やめてください」
後ろの席からひょっこり顔を覗かせながらエクスの頭を肘で殴りつけているのは、数分前まで廊下で赤面発狂していたアルスだった。
「もう復活したんですね」
「うん〜。ちょっと憂さ晴らしっていうか、仕返ししたからね」
不穏な言葉で何があったかを察したエクスはキョロキョロと周りを見渡す。
だが、上鳴と峰田は見当たらない。
「…何しました?」
「燃やした」
「燃やした!?」
簡単に何が起きたかを教えてくれる一言にエクスは心の中で超絶ビビりまくる。
そんなエクスをよそに、アルスは平然と話を続ける。
「ちょーっと呼んでみたらほいほい着いてきたからさぁ、物陰に連れていって死なない程度に炙ったわ。火傷はちゃんと治したから気絶してるだけだよ」
「ちょっとこれからの師匠との距離感考え直しますわ」
「なっ、なんでだよぉー!」
頬を膨らませてポカポカとエクスを殴りつけるアルスの姿にエクスは爆笑する。アルスの非力な拳ではエクスに痛みを与えることは出来ないのだ。
「師匠の顔今めちゃくちゃでかいっすよ。これを師匠に見せられないのは残念だわ〜」
「顔でかくないわぁ!おまえ、髪むしるぞ!?」
「え、何この人なんか怖いこと言ってる…」
エクスの髪をつかんでグイグイと引っ張るアルスと、それを必死に止めようとするエクス。観客席にいるにも関わらず、試合を見ずにじゃれあうアホ2人はかなり目立っていた。
「それで?なんでレヴィちゃんの事ジロジロみてたの?」
「ジロジロって言い方やめませんか?そしたら教えてあげましょう」
「はぁ〜?なんっか言い方腹立つなぁ」
ぶつくさ言いながらも、結局は分かったよぅ、仕方ねーなぁとエクスの言う通りにするアルス。…まぁ、現時点で本当にアルスが言うことを聞いたかは分からないのだが。
しかしそれに気が付かないエクスは、アルスがちゃんと約束を守ったと確信しながら事の顛末を話した。
「〜〜っ、ま、まって…お腹痛い…!」
のだが、何故か話の途中からアルスがお腹を抱えて笑っているのだ。
馬鹿にされたと感じたエクスはむっと顔を歪ませる。
「なんで笑うんですか。こっちは真剣なんですよ」
「しっ…んふふ、真剣だから面白いんだよぉ、っ!」
体をぷるぷると震わせ、エクスの座る席の背もたれに寄りかかり涙目で顔を赤くするアルス。
あまりにもアルスに笑われるものだからエクスは全く面白くない。
「いい加減にしないと流石に聖人の僕でも怒りますよ?」
「えびせんぱいが聖人って…んんっ、あー、ちょっと落ち着いた」
深呼吸をして自分を落ち着かせるアルス。だが、未だに顔は赤く息も荒い。
「もー、えびせんぱいのせいでちょっと見逃したじゃん!」
「は?言っとること無茶苦茶やん…」
アルスの理不尽な言葉にエクスは言い返す気力も失っていく。
そんな時、突然誰かがエクスの左肩を叩いた。
「ん?…あ、レヴィさん。どうしました?」
左をむくと何やら切羽詰まった様子のレヴィ。何が起きているのか分からず首を傾げるエクスに、レヴィはスタジアムの中心を指さした。
「遅刻だよエクスくン!早く行かないと棄権になっちゃウ!」
「……えぇ!?は、嘘でしょ!?」
レヴィの指の先を見れば既に対戦相手はステージに立っており、プレゼント・マイクが何かのカウントを数えていた。
『残り15秒!エクスは早く来ないと失格になっちまうぞ!!??』
「師匠!俺をぶっ飛ばしてください!全力で!」
エクスが叫ぶ。それを聞いたアルスは、エクスの言う通り今出せる最大出力の風魔法をエクスの背中に展開する。
そして、失言に気がついたエクスは顔を強ばらせた。
「ちょっと待って師匠、やっぱ全力じゃなくて3分の1くらい「《メガウィンド!》」でぇぇぇええ!!??」
止めようとするが時既に遅し。魔法で起こった風により物凄いスピードで吹き飛ばされるエクス。そして、丁度スタジアムの中心付近を狙うように減速を始めた。
「あれちょっと待ってこれ死ぬくない!?うおぉあ高さが高い!」
高所からの落下で死を覚悟するエクス。だが、衝撃が体を襲うことは無かった。
うっすらと目を開ければ、自分の足の少し下に地面があるのが見える。
「はーーーー、絶対死んだと思った…。吐きそうだわ」
ゆっくりと体が落下して優しく地面に下ろされる。つまり、アルスが魔法でエクスを受け止めたという事なのだろう。
地面にへたり込んだままのエクスに、金属製の手が差し伸べられる。
「エクスさん大丈夫ですか?」
「…大丈夫です。気にしないでください」
全身に金属製のスーツを着込んだ加賀美。エクスの1回戦目の相手は彼だ。
明らかにアイアンマンを模したであろうスーツはこの最終種目まで取っておいた切り札らしい。
『まさかの上から登場エクス・アルビオ!待ちに待った第2回戦の選手紹介に行くぜェ!』
「2人とも、自分の立ち位置に立って頂戴?」
審判のミッドナイトに促され、ステージの端に立つ。
『現代に生きるアイアンマン!技術の力で優勝を狙う!サポート科、加賀美ハヤト!』
「アイアンじゃなくて金とチタンの合金なんですけどね。…言ってみたかったこのセリフ!」
『対するは!ヒーロー科A組から推参!生徒たちの間で話題の人物【エビオ】とは彼のこと!エクス・アルビオ!』
「はぁ!?なんでここでそんな事いうん!?余計広まるやん!」
プレゼント・マイクの口上でテンションを上げる加賀美とテンションを下げるエクス。
『時間も押してるし早速いくぜ!レディ…』
体を適当に動かして違和感が無いかを確認する。
『ゴー!』
合図が出たと同時に走り出すエクス。まずは小手調べをと左の拳を握る。
「ちょっと!ちょっとだけ待ってください!」
握った拳を振り抜こうとしたところで突然待ったをかけられ、加賀美に放とうとした拳を止める。
「あの、ご提案があります。出来れば聞いて欲しいんですが…」
敵対の意志を見せない加賀美に、エクスもひとまず拳を収める。
「なんですか。もう始まってるんですけど」
「本当は始まる前に言うつもりだったんですが、エクスさんが中々来なかったので言えなかったんですよ」
「すみませんでした」
気がつけば土下座をしていたエクス。その速さに若干引きながら加賀美が1本指を立てる。
「このスーツ、燃料とかの問題で1分しか全力を出せません。なので戦うのは1分だけにしませんか。どちらにせよ、1分経てば私は負けが確定しますので」
加賀美の提案を聞いてエクスは考える。互いにこれと言ったデメリットもないように感じる。加賀美らしくフェアな条件という事だろうか。
「分かりました。さっき勝たせてもらったですし、そのくらいなら」
「ありがとうございます!」
『ここで予想外の展開!1分間だけってスピード勝負すぎて流石のウルトラマンもびっくりだ!』
アナウンスを聞きながら改めて距離をとる2人。
「すみませーん、スタートの合図お願いしまーす」
『オウ任せとけ!んじゃ改めて。レディィィーーー…』
「システム起動。出力100%」
加賀美の纏うスーツ、その目に当たる部分や胸の中心などが青白い光を放つ。
『ゴーーー!!!』
「エクスさん、頑張って耐えてくださいね」
次の瞬間、鋼鉄の拳がエクスの目の前まで迫っていた。
「っ!」
上半身を右に傾けて拳をかわし、がら空きの胴体に向かって左足を振り上げる。
「甘い!」
その蹴りを受け止め、逆にエクスを投げ飛ばす。エクスは何とか空中で身を捻って着地した。
「エクスさん。騎馬戦が始まる前に、私の夢…教えましたよね?」
「…言ってましたね」
「そのために私はここで、全力をもってエクスさんを倒します」
「……出来るなら、良いですよ」
息を吐き出し、拳を構える。僅かな動きでも見逃すまいと加賀美を真っ直ぐ見据える。
「ありがとうございます!」
またもや目の前に居る加賀美。横薙ぎの蹴りを両腕で受け止めるものの、圧倒的な威力で吹き飛ばされてしまう。
地面に足を擦りつけながら威力を殺すものの、既に加賀美は接近している。
「はぁっ!」
放たれた拳は頭を下げる事で回避し、下から加賀美の顎に向けて拳を振り上げる。加賀美は若干よろめいて1歩下がる。だが、それだけだった。
「嘘やん…」
「まだまだ戦いはこれからです、よっ!」
再度放たれた拳。こんどは避けずに左手で受け流し、伸ばされた右腕を右肩に担ぐように体を半回転させる。
そして、背負い投げの要領で全体重をもって加賀美の体を投げ飛ばした。
地面に叩きつけられた加賀美からは、小さいながらも確かに肺の中の空気を吐き出したような声が漏れる。
「なるほど。硬いものは硬いものにぶつけろって事ですね」
「…まさか4回目の攻撃で対応されるとは思ってもみませんでした」
起き上がる加賀美から距離を取ったエクスの言葉に、加賀美はどこか嬉しさを滲ませたような声を出す。
「まだまだここからです。場外負けなんてことはさせないので安心してください」
「僕が負けるとか面白いこと言いますね。言っておきますけど僕最強なので」
自信満々のエクスに、スーツの中で頬を緩ませる加賀美。だが、直ぐに表情を引き締めて脚裏のブースターで加速する。
「はっ!」
加賀美の突き出すような蹴りを振り下ろした拳で叩き落とし、所謂ヤクザキックで逆に蹴りをいれる。更に、ジャンプしてからの回し蹴りで加賀美の首を強制的に右に向かせる。
今度は明らかによろめいて数歩後退する加賀美。だが、そこまでダメージが通っているようには見えない。
「そのスーツ硬すぎません?全然攻撃通ってるように見えないんですけど」
「それはこっちのセリフですよ。なんでこのスーツの動きについて来れるんですか」
互いに軽口を叩きあいながら今1度衝突する。
戦いはまだ、始まったばかりだ。
ebrrのss読みたいけど自分で書いても自分の好きな展開ばかりになって面白くない。つまり、誰か書いて?
スプラ大会、エビオめちゃくちゃ惜しかったですね。ありがとう!
それとは別にゆめおの司会能力の高さを改めて痛感しました。