英雄がヒーローになります!給料次第ですけど。   作:聖剣エクスカリ棒

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職場体験先、無事にアルスとレヴィちゃんのとこの設定も完成しました。まぁ今言うことではないですね。
体育祭の後に軽く日常回入れます。そこでメイフとか星川と絡ませる予定です。


社長とタイマン張ります!勝ちます!【#雄英体育祭決勝戦】

繰り出した右拳を防がれ、反対に脇腹へ鋼鉄の蹴りが叩き込まれる。

予想以上の衝撃によろめきかけるが足に力を込めて踏みとどまり、裏拳でスーツの顔を撃ち抜いた。

 

「ぉぉおおっ!」

 

よろける加賀美にラリアットで追撃。加賀美の首に腕をかけ、地面に叩きつける。

地面がヒビ割れ、スーツが軋んだ音が聞こえてくる。同時に拳や腕に鈍い痛みが走り、エクスは顔を顰めた。

かなりの強度を誇るスーツを生身で殴れば、柔らかい肉体の方がダメージを受けるのは当然だ。

 

「まだまだ!」

 

起き上がった加賀美が拳を振るう。最低限の接触で受け流しつつ、もう一度加賀美を投げる為に腕を掴む。

 

「同じ手は食らいません!」

 

加賀美が強く地面を踏みしめると、加賀美の足が地面に沈みこんだ。そしてエクスの腕を逆に掴み返し、勢いよく投げ飛ばす。

背中から地面に叩きつけられたエクスはその衝撃と痛みで意識が飛びかける。

一進一退の攻防。だが、攻撃力防御力共に高い加賀美の方が優勢なのは明らかな状況だった。

 

「っくそ…そのスーツぶっ壊れじゃないですか」

 

ふらふらと立ち上がるエクスが愚痴にも似た事を呟く。

 

「私の持てる全ての力の結晶なので」

 

『残り時間30秒!』

 

「時間も少ないですし、終わらせましょう」

 

地面から軽々と足を引き抜き、エクスへと歩み寄る。エクスも拳を構えて真正面から加賀美を見据える。

睨んでいるわけではないにも関わらず、圧倒的な迫力を与えてくるエクスの瞳に冷や汗を流しながらも、加賀美の口の端はつり上がっていく。

 

「いきます!」

 

「っ!!」

 

地面を砕きながら加賀美がエクスに接近する。加賀美が拳を引いたのを見てエクスは体を屈め、足払いをかける。瞬時に足を止める加賀美。

 

「(しまった!)」

 

生まれた明確な隙を逃さず、両手で体を持ち上げてスーツの胸部を蹴りあげるエクス。更にその反動を利用してエクスが立ち上がり、ストレートに攻撃を受けた加賀美が少し離れた位置で膝をつく。

だが、加賀美は膝をついた体制を即座にクラウチングスタートの構えに変えて再び走り出す。

 

「おらぁっ!」

 

助走をつけたエクスの拳は、的確にスーツの顔部分が来るであろう場所に向かって進んでいく。このまま進めば明らかに攻撃を受ける状況。だが、加賀美は加速を止めなかった。

 

「ぁぁああっ!」

 

エクスの拳にぶつけるように左手を突き出す。ペキリという軽い手応えが加賀美の手に伝わり、エクスが顔を歪める。

 

「ふっ!」

 

エクスの攻撃を打ち破ったのもつかの間、薙ぎ払うように振るわれた右脚が加賀美の脇腹を直撃した。

不意をつかれてよろめく加賀美をエクスは力いっぱい蹴り飛ばす。

 

「こほっ、こほっ…。 あー、スーツじゃ衝撃は防げないのは難点ですね」

 

軽く頭を振り呼吸を整える加賀美と苦痛を顔に滲ませながら右手の中指を抑えるエクス。

 

「硬すぎですよそれ…。ダメージ通ってる気がしないんですけ…どぉ!」

 

喋りながらも一瞬で距離を詰め、下から拳を振り上げる。加賀美はそれを1歩後ろに下がることで回避する。

 

「はっ!」

 

すかさずエクス目掛けて右拳を放つ。

真正面から受ければ先程のように指が折れかねないと判断したエクスは体を僅かに横へ逸らし、左手で加賀美の右手首を掴む。

 

「おら!」

 

お返しとばかりに右拳を突き出す。が、加賀美はこれを左手で受け止めた。

ギリギリと押し合うものの、力をそのものは拮抗している為に全く手が動く気配がない。

これでは無意味だ、そう悟ったエクスは息を吸い込み――

 

「づっ!」

 

「んな……っ!?」

 

額を加賀美の顔部分に思い切り叩きつけた。予想外の行動とエクスの額から流れる血に気を取られる加賀美。

その隙をつき、拳を引き戻して加賀美の腹部に思い切り突き立てる。

エクスの拳からまた軽い音が響く。そして、強固な加賀美のスーツに僅かながら罅が入った。

肺の中の空気を無理やり押し出され、動きを止める加賀美にエクスの追撃の嵐が降り注ぐ。

体を縮めてなんとか耐えようとする加賀美にエクスは容赦なく攻撃を浴びせる。

 

「っ、うあぁ!」

 

加賀美が体を縮めたまま、エクスに体当たりする。鋼鉄の直撃をもろに食らったエクスは後ろに倒れ込んだ。

 

「はぁっ!」

 

起き上がろうとするエクス目掛けて突き出された脚を両手のひらで受け流しつつ、立ち上がる勢いで後ろに下がる。

 

『残り10秒!』

 

プレゼント・マイクの声がスタジアム中に響く。エクスの大振りな拳を姿勢を低くすることで避け、逆にエクスの顔めがけて拳を放つ加賀美。

エクスはそれを両手で受け流しつつ加賀美の腕をがっちりと掴む。

 

「うおおおおぉっ!」

 

そしてそのまま、加賀美を横振りに投げ飛ばした。

地面に叩きつけられるのを避けるために受身をとり、膝立ちになる加賀美。

エクスにまた近づく為顔を上げると、既にエクスは目の前まで来ていた。

咄嗟に腕を交差させて防御の姿勢をとる。その防御を意に介さないエクスのヤクザキックが加賀美の体を更に後方へ突き飛ばした。

 

「っぐ…! まだまだ!」

 

更なるエクスの攻撃に対し、加賀美はスーツで強化された身体能力をフルに使った【腕の力で体を跳ね上げる】という荒業で回避する。

 

『残り5秒!カウントスタート!』

 

躱されたと気づいた瞬間、エクスが即座に方向を変えて加賀美へ距離を詰める。そして、地面が砕けるほど強く踏み込んだ。

 

「シッ!」

 

見るからに持てる力の全てを込めたエクスの右ストレート。

それを見て、加賀美はスーツ中で微かに笑みを零した。

それはまるで、その全力の拳を打ち破り決着をつける秘策があるかのようで。

 

「はぁッ!」

 

エクスの拳が突き出された瞬間、その腕に絡みつかせるように加賀美も拳を放つ。時が遅くなったような錯覚の中、2人の拳が伸びる。

エクスの拳は絡みついた加賀美の腕に動きを誘導されるように加賀美のスーツ胸部を掠り、加賀美の拳はエクスの顎を捉えた。

 

「『クロスカウンター』。エクスさんがご存知かは知りませんが、この技は間違いなく必殺の一撃になりうるものです」

 

加賀美の拳を受け、仰向けに倒れたエクス。

審判役のミッドナイトがエクスに近づき、安否確認を行っている。

 

「はっきり言って、上手くいくかは五分五分でした。このスーツの身体能力をもってしてもあそこまで的確なカウンターを打てるかはわからなかった。何せ、最低でも自分と同等以上の相手に対する技ですから」

 

スーツの下で加賀美は小さく息を吸い込み、キッと鋭い視線をエクスに向ける。

安否確認を済ませたミッドナイトが手に持った鞭をしならせて声を上げた。

 

「エクス君戦闘不能!加賀美君2回戦進出!」

 

「私の勝ちです。貴方の敗因はただ一つ、貴方はひたすらに強かった」

 

ワッと特大の歓声が湧き上がる。

 

『まさかまさかの番狂わせ!勝者、サポート科!加賀美ハヤト!!』

 

「よっしゃぁぁあああ!!」

 

拳を突き上げ雄叫びを上げる。ちょうどそのタイミングで、スーツの放っていた光が消える。

それをスーツの内部から見ていた加賀美は笑顔のまま肩を落とす。

 

「ただ、これ以上の戦いは無理でしょうね。サポートアイテムも使い果たしましたし、優勝は無理か…」

 

ぽつりと呟く加賀美。優勝という目的を掲げてはいたものの本気でそれを達成するのが難しい事を加賀美は理解していた。

 

「これで、1人でも夢を諦めない子供が増えてくれたら良いんですけどね」

 

そう言ってくすりと笑い、加賀美はステージを降りた。

 

 


 

 

「全く…これで何度目か分かってるのかい?流石に怪我が多すぎるよ」

 

「すみません…」

 

リカバリーガールの説教を受け、土下座するエクス。加賀美の見事な一撃で無事に気絶したエクスは保健所で治療を受けていたのだ。

 

「確かに、相手の子の思いに全力で応えたい気持ちは分かるけどね、それにしたって骨折した手であのスーツを殴り続けるのは良くなかった」

 

「いやもうほんと…すみません」

 

「顔を上げな。男が簡単に土下座なんかするもんじゃないよ」

 

「はい…」

 

言われた通りに顔を上げる。リカバリーガールは既に怒ったような表情ではなくなっていた。

 

「痛むところはあるかい? ないならクラスの席へ戻りな」

 

「はい…。ご迷惑おかけしてすみませんでした…」

 

「なるべくウチには来ないようにね」

 

失礼します、と頭を下げて保健所を出る。廊下は全くといっていいほど生徒がおらず、しんと静まりかえっていた。

 

「喉乾いたな」

 

観客席に戻る前に、飲み物とスマホを取りに控え室へやってきたエクス。スマホを見ると、メッセージアプリに十数件の通知が来ていた。

控え室のベンチに座ってメッセージアプリを開く。

 

 


 

 

ふれん<( アルビオ、エビオって呼ばれてんの草なんだが )

 

イブラヒム<( これからはエクスさんじゃなくてエビさんで良くね? )

 

メリー<( 草 )

 

イブラヒム<( え、エビさんの相手の人めちゃめちゃかっこいいんですけど )

 

メリー<( いやあれ、どう見てもアイアンマン… )

 

イブラヒム<( 手からビームとか出んのかな )

 

ふれん<( アルビオ強くね? )

 

メリー<( 何気にエクス先輩が本気で戦ってるの初めて見たかもしれない )

 

ふれん<( アルビオ見た目弱そうだしね )

 

イブラヒム<( エビさんより俺の方が強い )

 

ふれん<( は? )

 

メリー<( それは無い )

 

イブラヒム<( うわ、超否定するじゃん。具合わる )

 

 


 

 

覗いて見れば、いつの間に作られていたのか中学時代に仲の良かった後輩3人とエクスのグループが新たに追加されていた。

話がコロコロ変わるトークに笑を零しながら、エクスもグループに参加する。

 

 


 

 

( このグループなに? )>エクス

 

ふれん<( アルビオ〜!お疲れ様! )

 

イブラヒム<( 乙 )

 

メリー<( 惜しかったですね )

 

( いや、本気出せば勝てたよ? ただ滅茶苦茶お腹痛かっただけで)<エクス

 

イブラヒム<( はい、言い訳〜 )

 

ふれん<( うわ、アルビオそういうことするんだ〜 )

 

メリー<( 先輩最低ですね )

 

( メリッサさんのが1番心に来る!)>エクス

 

( 嘘です。嘘つきました。ごめんなさい )>エクス

 

イブラヒム<( 草 )

 

メリー<( なんか…ごめんなさい )

 

ふれん<( 謝れてえらい! )

 

( で、このグループなに? )>エクス

 

ふれん<( いや、アルビオと最近連絡取ってなかったじゃん? )

 

ふれん<( だからみんなで寂しいねーって言ってたら )

 

ふれん<( いぶちゃんが「俺エクスさんの連絡先知ってるよ」って言ったから )

 

ふれん<( アルビオと話すためにいぶちゃんに作ってもらった )

 

メリー<( フレン入力早くない? )

 

( ヒムさ、なんで呼びかけ変えたの?エクスさんでいいじゃん )<エクス

 

イブラヒム<( エビさんのせっかくの渾名じゃん?だから )

 

( 俺あの渾名認めてないからね!? )>エクス

 

メリー<( 草 )

 

ふれん<( 草 )

 

イブラヒム<( 何事も慣れって大事よ? )

 

( 慣れたくねぇ…! )>エクス

 

メリー<( っていうか、エクス先輩トークしてていいんですか? )

 

イブラヒム<( それな )

 

( やばいかもしれん。戻るわ )>エクス

 

ふれん<( いってらー )

 

イブラヒム<( がんば )

 

メリー<( ……何を頑張れなんだろう )

 

 


 

 

スマホをポケットに入れ、ペットボトルのお茶を飲みながら観客席へと向かう。フィールドでは常闇と葛葉が戦っていた。

 

「む、エクス君。怪我は大丈夫なのかい?」

 

「っす、大丈夫です」

 

「そうか。いい戦いだったぞ」

 

「ありがとうございます」

 

隣の席に座る飯田に返事を返しながら試合を見る。ちょうど今は葛葉が作り出した赤い槍や剣を常闇のダークシャドウが弾き返しているところだ。

地面に落ちたら消えるところを見ると、あの武器類は葛葉の血を操って作り出したものなのかもしれない。

未だに謎が多い葛葉の個性についてエクスが考えていると、後ろから突然肩を組まれた。

 

「さっきの試合みたぞ! めちゃくちゃ熱かったな!」

 

「ありがとうございます。…そんなに面白いとこありました?」

 

「だってお前、逃げれば勝てるのに本気で向かっていってたろ? すげーかっこよかったぞ」

 

「あぁ、まぁ…。ありがとうございます」

 

「お、エクス! さっきの見てたぞ! 凄かったな!」

 

思ったよりも褒められて戸惑うエクスに、クラスの面々が次々と賞賛の言葉を浴びせていく。

 

「なんですか、皆めちゃめちゃ褒めるじゃないですか僕のこと」

 

「それだけエクス君が凄かったって事じゃないかな。エクス君、凄くかっこよかったし。…それにしても、スーツか…。強い個性を持った人がヒーローになるのが普通だけど、ああいうのがあれば無個性でもプロヒーローに…

 

「前から思ってたんですけど、緑谷さんって何書いてるんですか?」

 

「ぅえぇっ!? そ、そんな、人に見せるものじゃないって言うか…」

 

ノートらしきものに何かを書き始めた緑谷にエクスが以前から疑問に思っていたことをぶつけてみる。

緑谷は慌てたように両手を動かしてノートを庇う。

 

「ただ将来ヒーローになる為の研究っていうか、その…。分析、みたいな…?」

 

「そんな凄いもん書いてるんですか!? 僕にも見せてください!」

 

自分のオタク趣味に顔を赤くする緑谷。だが、そんなことお構い無しにエクスが瞳を輝かせて詰め寄っていく。

じりじりと寄ってくる子犬のような瞳に緑谷はうぐっと表情を固め、

 

「ぅ…、ちょっとだけなら…」

 

「! まじですか!」

 

純粋無垢なエクスの瞳に根負けした緑谷がノートを手渡すと、エクスは新しいおもちゃを買ってもらった子供のようにはしゃぎ出す。

 

「僕あんまりヒーローに詳しくないんで、これ書いてる緑谷さん凄いと思いますよ」

 

1ページ1ページを丁寧に読みながらエクスが言った。

 

「そんな事ないよ。多分誰でも出来るし」

 

「まぁ、確かにそうかもしれないですけど。でもやってるのは緑谷さんだけじゃないですか」

 

そうでしょう?と首を傾げるエクスに緑谷は目を見開く。

 

「出来る出来ないじゃなくて、今やってるかどうかだと思いますよ。僕はね」

 

ノートに視線を戻しながらエクスの呟いた言葉。それが、僅かながら緑谷の心にあったモヤモヤを晴らした。

 

「エクス君って凄いや」

 

「あ、気づきました? 僕この世界でいっちゃん強いんですよ。多分オールマイトの次の次の次くらいに」

 

「それ1番かな…?」

 

のほほんとした空気のエクスに思わず苦笑し、緑谷は自分の考えを改める。

見た目的に自分とは話が合いそうにないと思っていたけど、そんなことは無さそうだ。

楽しそうにノートを読み進めるエクスに、緑谷はそんな感想を抱くのだった。




エビオが何の動画を撮っているのかが気になりすぎる…。
剣持の久しぶりのおえ森でやっぱり爆笑しました。ぜひご覧下さい。
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