英雄がヒーローになります!給料次第ですけど。 作:聖剣エクスカリ棒
話がかなりまとめられています。読みにくいかも知れません。
エクスが敗退した後も多くの人々が見守る中、体育祭は順調に進んでいった。
最終的に準決勝に残ったのは轟、飯田、葛葉、爆豪の4名。
轟vs飯田の試合は轟が飯田のエンジンを停止させたことにより、轟の勝利。
葛葉vs爆豪の試合は葛葉の放つ武器類を吹き飛ばしつつ、最大威力の爆撃を直撃させた爆豪の勝利となった。
そして決勝戦。
互いに実力が拮抗した五分五分の試合だったが、爆豪の切り札を受けた轟がステージ外に出たことにより爆豪の勝利となった。
結果として、1位が爆豪。2位が轟。3位タイが飯田と葛葉という結果に終わった。
そして…
「終わったぁ〜〜」
無事に閉会式まで終わらせたメンバー達は、疲れた体に鞭打って帰宅の準備をしていた。
「ありえんくらい疲れた…。ふぁ……ぁ」
「でっけぇ欠伸だな。でもまぁ、……ふ、分かるぜその気持ち」
カバンを肩に担ぐように持ちながら欠伸をするエクス。それを見た切島も、エクスのが移ったのか欠伸をしながら応える。
「切島さんって誰に負けたんですか?」
「俺は爆豪にやられた。やっぱ特訓が足りてなかったわ」
「特訓ってマジで言ってます?」
切島の言葉にうへぇと顔を歪ませるエクスに、切島が笑いかける。
「エクスもやろーぜ! 今以上に強くなって、来年は優勝だ!」
やる気に満ちた声と共にガッツポーズをする切島を見たエクスはまた顔を歪ませる。
「なんでそんな元気残ってんすか」
「すげー楽しかったからな!」
笑顔を見せる切島を見て、自然とエクスの口角も上がっていた。
「来年は僕が優勝かぁ。 楽しみですね」
「おう、負けねぇからな!」
「……それで、理由は?」
「ちゃんと7時には準備終えてて、二度寝して起きたら8時半でした」
「反省文。 10枚だ」
「なんでですか! 謝ってるじゃないですか!」
「騒ぐな。 あんまり五月蝿いようだと、明日からうちのクラスの生徒が1人減るぞ」
体育祭が終わった次の日。 当然のようにエクスは遅刻していた。
相澤から容赦のない罰を受け、渋々席につく。
「んじゃま、話を戻して。 指名が本格化してくるのは経験を積み即戦力として判断される2、3年から…。つまり今回来た『指名』は将来性に対する『興味』に近い」
相澤の話を聞いていたエクスが手を上げる。
「何の話ですか」
「遅刻したお前が悪い。 あとで周りのやつに聞け」
ギロりと睨まれ、エクスは身を縮こまらせた。
「それで、だ。 今回で得られた興味が卒業までに削がれたら一方的にキャンセルなんて事はよくある。 で、その指名集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが今回は二人に偏った」
相澤がリモコンのようなものを操作すると、教室に設置されているモニターに画像が映し出される。
そこには映っていたのは、数名の生徒の名前と棒グラフだった。
【轟】 3854件
【爆豪】 3375件
【葛葉】 590件
【常闇】 314件
【飯田】 298件
【エクス】 227件
【上鳴】 166件
【八百万】 97件
【切島】 62件
【麗日】 23件
【瀬呂】 14件
移さ出されたグラフを見てクラスの生徒達は様々な反応をみせた。 喜ぶもの、落ち込むもの、特に反応を示さないもの等。
だが、エクスだけは違った。
「これなんの数だ…。 クレームの数的なやつか? うわありそー。 オリンピックの代わりらしいしなー」
ブツブツと見当違いの推理をして、間違っているのに納得する。
エクス自身の地頭は悪くない。 なんならかなり良い方なのだが、いかんせん情報が少なすぎたのだろう。
そんなエクスを見かねてか、アルスがノートに簡単な説明を書いて、個性を使ってエクスへ飛ばした。 なんだかんだアルス師匠は優しいのだ。
エクスは受け取ったノートで何が起こっているのかを理解する。
「なるほどな、つまり227人が俺をスカウトしてんのか。 うわ迷うなー。 やっぱ収入が良いところがいいな。 オールマイトからスカウト来んかなぁ」
椅子を後ろに傾け、両手を後ろに伸ばすエクス。 そのエクスの言葉に相澤が反応する。
「エクスお前話聞いてたか?」
「まぁまぁまぁ…。 そこは捉え方次第みたいなとこありますよね」
「はぁ…」
質問の答えをはぐらかすエクスに相澤がため息をつく。 相澤からすれば、エクスは『成績は優秀だが所々不真面目な生徒』といったところだろう。
「お前、地頭は良いんだからもう少し真面目にやれ」
「なんで真面目にやってない前提かわかんないです」
「真面目な奴は何回も遅刻しねぇだろうが」
「俺、遅刻するやつとか許せねぇっすわ」
「あ?」
言い逃れようとするエクスをまた睨みつける。 睨みつけられたエクスは目を逸らして無駄に上手い口笛を吹いた。
「…話を戻すが、要するに君達には職場体験でヒーローの仕事を経験してもらう。 その為に今から君達には『ヒーロー名』を決めてもらう」
ヒーロー名という単語にクラス中の生徒が一斉に反応する。
「まぁ、仮ではあるが適当なもんは…「付けたら地獄を見ちゃうよ!」」
謎の声と共に教室の扉が勢いよく開かれ、体育祭で司会をしていたヒーロー、ミッドナイトが教卓へと歩いてくる。
突然のミッドナイト登場に少しザワつく生徒達にミッドナイトは話を続ける。
「学生時代に付けたヒーロー名が世に認知されそのままプロ名になっている人多いからね!」
「まぁ、そう言う事だ。 その辺ミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそう言うのはできん」
そう言って相澤は懐から寝袋を取り出した。
「将来自分がどうなるのか、名を付けることでイメージが固まりそこに近づけていく。 それが『名が体を表す』ってことだ。 例えばオールマイトとかな」
それだけを伝えると、目を閉じて眠ってしまった。
代わりにミッドナイトがペンと小さいホワイトボードをクラス全員に配り、授業の概要を説明した。
曰く、みんなでヒーロー名を決めて発表するそうだ。
何名かの生徒はヒーロー名を発表という事実に震えた。
レヴィの机の前にエクスがしゃがみこみ、体重をかけるようにして両肘をついている。
「なんかあります?」
「ナンデ席立ってるノ?」
「え、駄目なんですか?」
エクスが教卓へ振り返る。 ミッドナイトは難しい顔をしていたが、やがて無言で親指を立てた。
「大丈夫みたいですね」
「エェ〜…」
この学校大丈夫カ?とレヴィは思った。
「なんかカッコイイやつ考えてくれません?」
困惑を隠しきれないレヴィ。 そんなことお構い無しにエクスが机に頭も乗せる。
「自分で考えなヨ…」
「僕が考えたら『絶対無敵エクスアルビオ!』とか『ヴォルデモート』とか『エクス・メロディ』とかになりますよ?」
「ン???」
「お互いに考えるのどうですか。 めちゃめちゃイカした名前つけますよ」
「信憑性ないワ〜。 ゼッタイふざけるデショ」
レヴィが疑うようにエクスを見る。 エクスは不本意だというように机を両手で叩いた。
「僕が! ふざけると思いますか!? この僕が!」
エクスが周りに迷惑がでないボリュームで叫ぶ。
「さっき自分で言ったヒーロー名思い出せる?」
「ちょっと何言ってるかわかんないです」
「ほら見ロ」
レヴィに言い負かされたエクスがぐぬぬと唸る。
「でも、割とまじで悩んでるんですよ。 僕が考えるとふざけちゃうんで」
「ふざけなきゃァいいジャン」
「…無理だ…ッ!」
苦しむような声で拳を震わせるエクス。演技が微妙に上手い分余計に腹が立つ。
「ンジャ、『英雄 エクス・アルビオ』にしたラ? 個性からとっテ」
片腕で頬杖をつきながらレヴィが言った言葉を聞いたエクスは腕を組んで上を見上げる。
「あ〜、英雄かぁ。 いいな、しっくり来るわ。 それにしますね」
レヴィの机に突っ伏し、英雄かぁ…と呟いているエクス。 結構気に入ったらしい。
「ボクはちゃんと考えたんだシ、エクスくんもボクのヒーロー名考えてヨ」
「『亜人ヒーロー レヴィ』とかでいいんじゃないですか? レヴィさん名前カッコイイですし」
「無難だネェ」
実際、名前をそのままヒーロー名にしても違和感の無いエクスやレヴィはかなり考える上で有利だろう。
「決まった子からそろそろ発表していきましょうか。 エクス君は席に戻って?」
「っす」
席に戻り、ボードにヒーロー名を書くエクス。 ついでに自分の似顔絵も書いた。 自信の出来だ。
「それじゃあ発表してもらいましょうか。 最初にやりたい人はいる?」
ミッドナイトが教室内を見渡す。 すると、1番端の人物が手を挙げた。
「『輝きヒーロー I can not stop twinkling!』
「短文!」
青山のヒーロー名にクラスの殆どが思ったことを誰かが代弁した。
ちなみに、エクス、アルス、葛葉の3名は英語が苦手なので分からなかった。
次に出てきたのは芦田三奈。
「『エイリアンクイーン!』」
「2!? 血が強酸性のアレをめざしてんの!? やめときな!」
今度はミッドナイトが直々に突っ込んだ。
ちなみに、エクス、アルス、葛葉の3人は元ネタが以下略。
「それじゃあ次、私いいかしら」
蛙吹梅雨が手を挙げた。
「小学生の時から決めていたの。 『FROPPY』」
このヒーロー名にクラス中が沸いた。 エクスには理解出来なかったが、何かしらが起こったのだろう。
「次、いっすか…」
続けて手を挙げたのは葛葉。
「えー、『ヴァンプヒーロー ラグーザ』」
またもやクラスが沸いた。 普通にカッコイイヒーロー名だった。
「はい、僕行きます」
この気を逃すまいとエクスが手を挙げる。 今の雰囲気なら行けると確信していた。
「『英雄 エクス・アルビオ』です」
「ちょっと名前が長いわね。 もう少し短くした方がいいかも」
「ッスー…、まじですか。 じゃあエクスでいいです」
「それなら呼びやすくて良いわね」
予想外の反応で焦ったが無事に対処出来たエクス。
席に座ると、アルスから紙切れが送られてきた。
『エビオでいいじゃんw』
エクスは紙切れを握りつぶし、ごみ箱に投げた。
その後も順調に発表は進んだ。
問題も、強いていえば爆豪のヒーロー名が何度か書き直しにはなった程度。
無事に全員のヒーロー名が決定した。
時刻は午後8時。
生徒達が全員帰宅している時間に、雄英高校の教師達は会議室に集っていた。
「それで、本当ですか。 その話は」
オールマイトの問いに根津は両手を広げて答える。
「あぁ本当さ! ようやく解読できた暗号には、明らかに『雄英高校にヴィラン襲撃。 A組ヒーロー基礎学。 目的オールマイト』と書いてあった」
今日この時間に教師達が集められたのは、先日のヴィラン襲撃に関して何者かが警告を発していたことが分かったからだった。
「その暗号が届いたのは?」
「襲撃の3日前。 その時はただのイタズラだと思って解読しなかったんだけどね。 襲撃の後に何か手がかりは無いかと思ってダメ元で解読したらこれだったのさ」
根津の返答に相澤は肩をすくめる。
「という事は、
「そりゃいいぜ! 互いに内通者が居たらプラマイゼロだ!」
「まだいると決まったわけじゃない」
皮肉るように声を上げたプレゼント・マイクに相澤は目線を鋭くする。
「確かに内通者がいるかは確かめる必要がある。 だが、それは今回じゃない。 問題は次に暗号が送られてきた時の対処だよ!」
根津の言葉に教師達が押し黙る。
「私は信用するべきだと思います。 今回警告をくれた以上、敵対心は無いと思われます。 それに、人を信じなくてはヒーローは務まりません」
「だが、今回ので信頼を得てから次の暗号でオールマイトを罠に嵌めるという可能性も0じゃない。 ヒーローなら最善を考えながら最悪を想定するべきです」
「難しく考えないでいいんじゃなーい? オールマイトが嵌められる可能性があるならオールマイトを1人にしなきゃいいし?」
「私も花畑先生に賛成ね。 この件を大きく見すぎるのもどうかと思うわ」
様々な教師がプロヒーローとして話し合う。
暗号の主が敵か味方か、どういう意図があるのかなど次々と話題が出てくる。
「はわわ…。 わ、私はとりあえずは信用してみるべきではないかと思いますぅ」
「信用するのには賛成ですけど、全面的に信じるのも危険ですから様子見でいいんじゃないですかね。 私的には文面に敵意は感じませんでしたが」
「神田先生の意見で、相澤先生の仰った通り警戒をしておく。 というのが今のところ1番無難ではあるね。 どうだい?」
教師達の反応を見る限り、特に反対意見は無いようだ。
ひとまず様子見をしつつオールマイトが孤立させられないように警戒することで話を落ち着ける。
「まだまだ話すことはある。 この暗号の送り主についても情報は欲しいし、そもそもただのイタズラが的中しただけの可能性も無くは無いからね!」
そうして、その日のプロヒーローによる会議は深夜まで続いた。
ヒーロー名
英雄 エクス
亜人ヒーロー レヴィ
マジックヒーロー アルス
ヴァンプヒーロー ラグーザ