英雄がヒーローになります!給料次第ですけど。 作:聖剣エクスカリ棒
今回は途中で視点が変わります。xxxxx←これで分けています。
ほぼオリジナル回+戦闘描写が下手です。ご注意ください。
レヴィの拳を受けた鎧がギシギシと音をたてる。
「ハアッ!」
レヴィの首元を狙ったエクスの上段蹴りは後ろへ飛ぶことで避けられた。
「危なかっタ~、スレスレだったネ」
「当たってくれてればありがたかったんですけど」
軽口を叩きあう2人。だが、その瞳は冷静に相手を見つめていた。
小さい頃からの幼馴染である2人はお互いの個性や動きを熟知している。その為、下手に動くと逆に叩かれる可能性があるのだ。
「……ッ!」
レヴィが足を1歩引く。攻撃が来ると感じたエクスは身構えて一一
「Aaaaa~♪」
辺りに響き渡るレヴィの声を聞いた瞬間、大きな脱力感がエクスを襲った。
「隙あリ!」
「ぐっ…!」
エクスの胸元めがけての飛び蹴りを、腕を交差させて防ぐエクス。だが、先程とは違い後ろへ吹き飛ばされた。
「そのままやっても勝ち目薄いかラ。多分、パートナーの方も筋力が落ちてると思うヨ?」
レヴィの個性による敵へのデバフ。恐らくはこのフロアにだけ響く様に声を出したのだろう。
全身の筋力が低下しているのを実感しながら、エクスは拳を構える。
「逃げないノ?」
「正直逃げたいですけど、葛葉さんに頼まれましたし。それに」
エクスはレヴィを見つめる。幼い頃から知っているこの少女とは何度も喧嘩をしてきている。
本当にヒーローになる為にも、最初に超えなければならない壁は彼女だとエクスは考えていた。
「レヴィさんには、負けたくないので」
しっかりとレヴィを見据えたまま、にやりと笑うエクス。
それを見たレヴィも笑みを浮かべた。
「ボクも、エクスくんには負けたくなイ!」
2人の拳が衝突した。
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「っくそ、どーなってんだよ」
ビルの階段を登りながら葛葉がボヤく。エクスに後ろを任せて走り出して少し経った時、急に全身の力が抜けたのだ。
時間帯も合わせて考えれば、葛葉は今、少し強い程度の人間だ。
「逃げんな俺、ABOが頑張ってんだぞ…」
2階には核らしきものは無い。階段を上る度、葛葉の体力は削られていく。
「…見つけた」
「見つかっちゃったね」
3階、階段から最も離れた部屋に核はあった。そして、それを守るように立ち塞がるアルスの姿。
「レヴィちゃんの個性で弱体化してるでしょ?降参しなよ」
「誰がするか、馬~鹿。言っとくけど、俺が頭を下げるのは家族に対してだけだからなぁ!」
アルスに向かって走る葛葉。
「《サンダー》」
「…!」
咄嗟に体を捻る。次の瞬間には、葛葉がいた場所に雷光が走っていた。
「あっっっぶねぇ!手加減無しかよ!」
「速く降参しないと、大怪我しますよ?」
魔道書を開いたアルスが葛葉に向かって右手を伸ばす。
「上等だァ!かかって来いよォ!」
「《ファイア》!」
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ミシリ、と鎧が軋んだ。レヴィの拳を受け止めた胸の装甲に軽いヒビが入ったようだ。
「マダマダ!」
「づっ…」
顔を狙った回し蹴りを左手で防ぐ。が、踏ん張れずに吹き飛ばされる。
口に溜まった血を吐き出して立ち上がるエクス。それを見たレヴィが、問いかける。
「『剣』、使わないノ?」
戦いが始まって、エクスは1度も剣を抜いていない。それも、抜こうとしてレヴィに阻止されたわけではなく抜く素振りすら見せていないという意味だ。
レヴィの質問にエクスはさらっと答える。
「基本的に使ったことないので、振り方とか分かりません」
「エェ!?」
衝撃の発言に驚くレヴィ。そこへ隙ありとばかりに殴り掛かるエクス。
「っと、今のエクスくんに負ける気はしないヨ?」
レヴィはエクスの拳を難なく受け止めた。
「流石にやばいな…」
ずっと肉弾戦を続けていた為エクスはかなり疲弊しており、それがさらにエクスを弱めていた。
「ハァ!」
レヴィがエクスの胴体を蹴り上げる。
「かはっ…」
防ぐことも叶わず、エクスはビルの壁に叩きつけられた。そのまま、ずるずると下に落ちる。
「エクスくん、降参する気はあル?」
「あると思いますか?」
「だよネ」
ゆっくりとレヴィが迫る。
「(せめて、剣くらい使えたらよかった…)」
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「《ウィンド》」
「づぅ…!」
風の刃が全身を切り裂く。思わず、葛葉は倒れ込んだ。
今の葛葉に避ける気力は残っていない。出来るのは、ただひたすらに前に進むだけだ。
「降参してよ。じゃないと、本当に死んじゃうよ」
これは、アルスなりに心配しての発言なのだろう。しかし、葛葉には受け入れられない言葉だった。
「(最初の女子がこっちに来てないって事は、まだABOが抑えてるって事だ。なのに俺が降参なんかしたら、ABOに恥かかせるだけじゃねぇか…!)」
ただエクスの努力に報いるためだけ、それだけの為に葛葉は再び立ち上がる。
「それに、ここで降参したらまた説教されちゃうからな」
葛葉の家族は、仲間への裏切りを許さない。そんな、厳しくて優しい家族なのだ。
「あんまり痛ぶるつもりは無いし、もう終わらせるよ」
アルスの持つ魔道書が輝き出す。
「……ッ!負けんのか、俺…!」
「《メガサンダー》!」
葛葉の体を雷が包み込んだ。
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「エ?」
レヴィが戸惑いの声を上げる。無理もない。決着をつけるために放った蹴りがエクスの剣に防がれているのだから。
だが、1番戸惑っているのはエクス自身だ。身体が勝手に剣を抜いてレヴィの攻撃を防いだのだから。
「…っ!危、なイ!」
エクスの剣撃を何とか回避して後ろへ下がるレヴィ。頬に、浅い傷が出来ている。
剣を支えにして、エクスが立ち上がった。
どういう事だ?エクスは剣が使えないのではないか?嘘をついたのか?レヴィの頭に次々と疑問が浮かぶ。
だが、エクスが満身創痍なのに変わりはない。あと一撃を入れればレヴィの勝ちだ。
レヴィがエクスに向かって向かって行き、気がつけば目前に剣が迫っていた。
「………!?」
慌てて後ろに戻る。エクスは追撃をしなかった。
そこで、違和感に気づいた。何故か、エクスは剣のみでしか攻撃をしてこないのだ。もしも剣以外でも攻撃ができるなら、今避けた瞬間に蹴られて隙を作られていたはずなのだ。
「エクスくんの『個性』カ…」
「やっぱりそうなんですかね?さっきから腕が勝手に動いてるんですよね」
不思議そうに自分の腕を見つめるエクス。
何故、今更剣を使えるようになったかは分からない。だが、チャンスには変わりない。
「レヴィさん。正直、僕はもう殆ど動けません。なので、勝負をしましょう」
剣を肩に担ぎ、指を立てるエクス。その提案に、レヴィは首を傾げる。
「お互いに一撃ずつ入れあった後、倒れたほうの負けでどうですか?」
エクスからの提案は、レヴィにとって圧倒的に有利なものだった。
既にボロボロなエクスに対して、レヴィはノーダメージと言ってもいい。
故に…
「いいヨ。勝負、受けル」
「ありがとうございます。じゃあ…レヴィさんからどうぞ」
また、エクスから予想外の言葉が飛び出した。
「本当にいいノ?エクスくんが先じゃなくテ」
「いいですよ。来てください」
手を広げるエクス。レヴィは軽い深呼吸をした後、エクスに向けて走り出す。
そして、勢いを乗せたパンチをエクスの胸に突き刺した。
鎧が割れ、肉体そのものを殴った感触を得る。
…だが、エクスは倒れなかった。
「じゃあ、次は俺の番ですね」
そう言って、エクスは剣を捨てた。意外すぎる行動に、レヴィは戸惑う。
「レヴィさんを本気で切る気にはなれませんでした」
レヴィの体を、エクスは押し倒した。レヴィの目の前に、エクスの顔がある。
「…これで、二人共脱落です。良いですよね?」
息がかかる程の距離でそう言われ、思わずレヴィは頷いた。
すると突然、糸が切れたようにエクスがレヴィに倒れ込んだ。もちろんレヴィは慌てふためく。
「え、エクスくン!?ボクたち、そんな関係じゃないよネ!?落ち着いテ!」
だが、エクスはピクリとも動かない。よくよく耳を澄ませば、微かに寝息が聞こえる。
「…全ク。ビックリしタ~」
エクスの下から、這い出る。そして、眠るエクスの頭を太ももに乗せた。
「エクスくんは変わってないネ」
思い出すのは幼い頃の記憶。誰かと喧嘩をする度、最終的には泣いていたエクスの事。
「皆が痛がるのを見たくない」
そう言って自分で殴ってつけた傷を鼻を鳴らしながら手当てして、最後は泣き疲れて寝てしまう。あの頃からこうやって膝枕をしていた気がする。
「お疲れさま、エクスくン」
「(この後みんなに冷やかされるかナ?)」
そんなことを考えながら、レヴィはエクスの髪を撫で続けていた。
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葛葉がいた場所から煙が立ち上る。だが、アルスは気づいていた。この煙からは、何かを焼いた匂いがしない。つまり…
「戻ってきたァ!」
煙の中から葛葉が飛び出す。傷口からはシューという音と共に水蒸気が上がっている。
「っ!《ファイア》!《ウィンド》!」
魔法が葛葉に傷をつけるが、数秒で回復している。身体の機能が大幅に低下していた為に発動しなかった再生能力が発動し、葛葉の身体を癒していく。
更に、ビルの中には太陽の光が届きにくい。その状況も微力ながら葛葉に力を与えていた。
「意味ねーよ!俺にお前の魔法は通用しねぇ!」
「《ギガサンダー》!」
巨大な雷が、周りを巻き込んで葛葉に命中した。だが、その傷すらもどんどん回復していく。
「俺たちの、勝ちだ一一!」
葛葉の手が核に届いた。
エクスが目を覚ますと、太陽が既に落ちかけていた。薬品や消毒の匂いから察するに、どうやら保健室に運ばれたようだ。
体を見下ろす。傷が全て塞がっていた。
ぼーっと天井を眺める。あれだけ戦ったせいか、何も考える気力が起きなかった。
しばらく天井を眺めていると、誰かが保健室に入ってくる音がした。
「失礼しまーす。…あ、えび先輩。起きてたんだ」
「…師匠」
カーテンを開けて入ってきたのはアルスだった。
「さっきの勝負、えび先輩達の勝ちだったよ」
「そうですか」
「レヴィちゃんを押し倒したんだって?えび先輩ってえっちだなぁ」
「誤解です。あれしか思いつかなかったんです」
「…元気、無い?」
「いや、なんも考えれないだけです」
エクスの返事を聞いたアルスが吹き出す。
「えび先輩はなにも考えてないのが普通じゃないんですか?」
「流石に泣きますよ?」
顔を見合わせて、クスクスと笑う。
「えび先輩、いつになったら戦い方教えてくれるんですか?」
アルスの言葉に、エクスは少し考える。
「そんな話、してましたっけ?」
「してたわ!入試の時に!」
確かに、そう言われればそんな話をしたような気がしないでもない。
「明日からでいいですか?今日は疲れたんで」
「しょーがねーなー」
腕を組んでふんぞり返るアルス。エクスはちょっとイラッとした。
「顔がでかいと態度もでかくなるんですね。初めて知りました」
「なんだとぅ!?もういっぺん言ってみろ?」
「あーししょうはかしこいなー」
「お前みたいな弟子は破門だ!」
いつも通りの貶しあっていると、少しずつエクスの思考がまとまってきた。
「そろそろ帰る準備しないと」
ベッドから起き上がろうとすると、アルスが自分の横を指さした。
「もう荷物は持ってきてるよ」
エクスは少しキョトンとした後、口角を上げて下を向いた。
「うわぁ、めちゃくちゃありがてぇ…!」
「今日は疲れてるだろうし、僕がえび先輩の家まで送るよ。いいよね?」
「えー…。師匠、泥棒とかしません?」
エクスの言葉に、アルスはベッドを殴りつけた。
「しねーわ!ボクをなんだと思ってんだ!」
「じゃ、お願いしまーす」
「最初からそう言えよ、全く…」
「うーん?思ったより弱いなぁ…。もっと強いヒーロー居ないかなぁ…。オールマイトとか」
赤く染まった路地裏で、ナイフを持った1人の女性が呟くように言葉を紡ぐ。
すると突然、虚空に向かってナイフを投げた。
「あれ~?おかしいな…当てた筈なんだけど…」
女性の目線の先には、いつの間にかモヤに包まれた男が立っていた。
「これが、先生が言っていた…」
「ヒーローに通報しますか?通報するならその間は生かしてあげますよ?」
女性がナイフを指で回しながら問いかける。モヤの男は、とんでもないというふうに手を振った。
「私は、貴女をスカウトに来たのです。SS級ヴィラン、『鈴原るる』さん」
男の言葉に、女性一一鈴原るるは首を傾げる。
「スカウトってどういう事ですか?」
「そのままの意味です。今度、我々は雄英高校を襲撃します。そこで貴女の力をお借りしたく」
丁寧に頭を下げる男に、鈴原が問いかける。
「雄英高校って、強いヒーローは居ますか?」
鈴原の質問に、モヤの男は嬉しそうに答える。
「えぇ居ますよ。平和の象徴、オールマイトが」
途端に、鈴原の目の色が変わった。目に光が宿り、表情も格段に明るくなった。
「やります!オールマイト…強いんだろうなぁ」
その場でクルクルと回る鈴原に、男がモヤを広げる。
「ようこそ《
鈴原はモヤに向かって歩を進めた。
エクス・アルビオ
個性:《英雄》
肉体がかなり強化される。
求めた時、あらゆる武器がエクスに力を貸すようになる。
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エビオの新衣装が楽しみすぎて投稿ペースバフがかかってます。