9話
ごめんなさい。(唐突)
いや、あの。言い訳させてもらいたいんですよ。ホント。
この前の夜からですね。うちは君がね、すっごく優しくなったんですけど。いや、俺的には何か悪い事を言ったつもりはなかったんです。
とりあえず有耶無耶にしてしまえばどうにかなるかなぁっていう、出来心ってやつだったんですよ。マジで。
「メグル、修行に付き合ってくれないか?」
「サスケって呼べ。お前とは対等でいたい。」
「俺たちは兄弟だ。何かあったら言え。」
距 離 の 詰 め 方 が 極 端 。
なんで?俺知らないうちにうちは君とstay nightしたの?
確かに夜だったけどね。うちは君の声もマスターっぽいけどね。俺セイバーじゃないし。どっちかってとアサシンだし。
まぁそんなわけで、俺としては全く心当たりがないわけなんですよ。
何が起きたらあんなにデレる事になってるのか全くわからないんですよ。
「さぁて、キリキリ吐かないと痛い目見るわよメグル?どうやってサスケくんとあんなに仲良くなったのかしら?」
そう言って正座を強制されてる俺を見下ろしてる山中さん。
後ろで奈良君と秋道君がめんどくさそうなオーラ出してこっち見てるんですけど。たしけて、あ、無理?そう…。
「山中。少し落ち着こう。」
「山中ぁ?」
「…ぃ、ぃの……さん。」
「さん?」
「………いの、ちゃん。」
「よろしい。」
スゲェだろ?メグル君マウス従わせるんだぜこの子。
俺ですら制御不可能なのにわけわかんない。
こんなの絶対おかしいよ!でもこれが現実っ…!
なんでこんな事になったかというと、事の始まりは奈良君達との任務の後なのよね。
正式な班が決まってない俺は他のみんなに混じりながら任務をこなしてたのよ。
そんなわけで、今日は奈良君達第十班との任務だったわけさ。
任務内容は畑の手伝いなんだけど、これはまぁ特に何も起こらなかった。せいぜい奈良君がやる気なくて山中さんが活入れて秋道君がのんびりしてるだけだったよ。俺?仕事なんで黙ってやってました。
そんで、任務が終わってアズマせんせーが帰った後、みんなで飯でも行こうかなんて話になってさ。さて、じゃあ目的地である焼肉屋に向かおうとした時にやってきたのよ。
うちは君が。(あっ…。)
山中さんはうちは君好きだから颯爽と声色変えて迫ったんだけど、うちは君はそれを華麗にスルー。そして俺の前に来て一言。
「メグル、付き合え。」
山中さんが固まった。(理解したくなくて)
奈良君と秋道君も固まった。(意味がわからなくて)
俺も固まった。(言葉足らずすぎて)
そんな告白紛いの宣言をこんな人がいるとこでやるもんだから、近くにいたおばちゃんが「あら、最近の子って大胆なのね。」なんて言ってるけど、俺男だから。体の線は女の子っぽいし顔もまぁ女の子っぽいけど中身もしっかり男だから!なんか次元の壁の向こうからメス堕ち期待されてるけど男だからぁ!!(フラグ?)
とりあえずこの後みんなでご飯だし、飯食った後でと約束して帰ってもらった。誘うか迷ったんだけど奈良君が『めんどくせぇからやめろ』と目で訴えてきたので従いました。
そして、俺は正座する事となったのです。
あん?今日は負けだよ。シャワー浴びるわ。
☆☆☆☆
始まりはいつだったか。いのは目の前で正座している無表情の少年との思い出を振り返る。
「アンタ綺麗な髪してるわねぇ。ちょっと嫉妬しちゃうかも。」
山中 いのは持ち前の明るさと気の強さで、アカデミー内の女子からも頼られる姉御のような立ち位置にいた。本人もそれを気に入っていたし、陰湿なイジメなどを嫌ってもいたので更に皆に頼られた。春野 サクラもその1人である。
そんな時、あまり女の子に馴染まず、男の子に付いている事の多い子を見つけた。犬塚 キバに引っ張られ苦笑いをしながら遊ぶ子だ。
いのは当初、女の子と馴染めないその子が可愛そうだと思ったのだ。なら、自分が一番に仲良くしようと考えた。
そうして話しかけて、髪を褒められて照れ臭そうに笑うその子とすぐに仲良くなった。
よくその子の長い髪を梳かしてやった。本当に綺麗な黒髪で、どんな手入れをしているのか聞いたこともある。石鹸で適当に洗ってると答えたので説教してやった。
家で遊んだ時に、綺麗な花を見せてやった。花言葉を教えてやれば、「いのちゃんは物知りだね!」なんて笑う。その顔がまた可愛いものだから調子に乗って更に色んなことを教えてあげた。「まるで姉妹みたいね。」なんて言われた時は、ホントにこの子のお姉ちゃんのように振る舞った。
ある程度仲良くなってから、その子が男の子だとわかった時は驚いたものだ。
スカートを進めた時に必死に抵抗していた理由が今ならわかる。いや、似合うのは間違いないしやはり無理矢理着せればよかったかな。
なんて、心の中でいのはクスリと笑う。
そして、あの日が訪れた。
朝から苦しそうにしていたメグルは、急に叫び声を上げて意識を失った。
教室内も騒然としていたし、メグルと親友だといつも言っていたキバは泣きそうな顔をしてメグルに声をかけていた。
戻ってきたメグルは、まるで別人のようだった。
いつも眉をハの字に曲げて笑っていた温和な表情は、冷たい刃のようになっていた。
キバはメグルがアカデミーに戻る前に話したらしく、特に気にした様子はなかった。
どうしていいかわからなかったが、キバに連れられいのの所に来たメグルを見た時、気づいたのだ。
「すまない。俺は以前の記憶がない。どうか貴方を教えてくれないか?」
あぁ、この子は何も変わってなかった。
笑う事もなく事もなくなったが、その心は変わってない。
いのの目には申し訳なさそうに眉を下げている可愛い弟がいる。
表情が変わらなくても、それくらいわかるのだ。
だって、私はお姉ちゃんだから。
そうして、過去の思い出を取り戻すかのようにメグルといのは仲を深めた。
唐突に、髪の手入れの仕方を聞けば、石鹸で適当に洗ってると答えたので笑顔で説教してやった。
こうして、いのとメグルは以前の関係を復活させたのだ。
そんなわけで、いのはメグルに容赦が無い。
今回の件を言葉にするなら、こうなるだろう。
『私の大好きな男の子が私の弟に告白したんだけど。』
パニックである。
とにかく、詳細を聞かねばなるまい。
いのの心情は、憧れの男の子が男に告白した事。弟が慣れたように後でと約束を取り付けた事でぐっちゃぐちゃだった。
まぁ、年頃の女の子には刺激が強すぎるのは確かだろう。
この後、メグルは何とかいのへの説得を成功させるも、紛らわしい事をした罰として焼肉を奢ることになる。チョウジが肉の最後の一枚に舌鼓を打ち、いのはデザートに顔を綻ばせ、メグルは心なしか憔悴しているようにも見えた。
そんな光景を、シカマルはこの一言で締めくくった。
「あー。めんどくせぇ。」
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後、この小説がランキングに載ったとの事でとても喜ばしく思います。
これも皆さまのおかげでございます。
これからも、どうかよろしくね。
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