あくタイプはかくとうタイプに弱い   作:T-

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因みに作者が一番好きなタイプはいわタイプです。嫁ポケはタケシかな。


つじぎり

 オレはあくタイプが大好きだ。

 

 何故あくタイプが好きなのかと問われれば、軽く半日は語ってしまう程、オレはあくタイプを愛している。

 

 あくタイプと聞けば、人によって顔を顰める人もいるだろう。が、少し待って欲しい。『あくタイプ』という五文字だけで、あくタイプの全てを判断するのは、あくタイプ使いとして許せないものがある。

 

 さっきも言ったが話すと長くなるので簡潔に伝えておこう。

先ず見てほしいのは見た目だ。フォルム。

 あくタイプは一目見るだけで、全身の毛が粟立つ程にカッコいい。凛とした佇まい。クールだ。イケメンだ。

 しかし唯かっこいいだけじゃない。妖艶さも兼ね揃えていればワイルドな面も持ち合わせている。

 

 それに偶に見せる心からの笑顔はキュン死に値するものだ。可愛い。カッコよくて可愛いとか最強。

 あくタイプが好きな人の9割はこれが理由だろう。

 

 え?それはどのタイプにも当てはまるだろって?

 黙ってろ。テメェの喉にじごくづきしてやろうか。

 

 そして何よりトレーナーとして外せないのはバトル。そうバトルだ。多くのトレーナーは自分の好きなタイプで、尚且つ強いポケモンを求める。

 

 安心してくれ。お前の所望しているサザンドラとバンギラスはしっかりとあくタイプだ。遠慮せず此方の世界に飛び込んでこい。

 

 あくタイプの残忍で、卑怯で、徹底的に叩き潰すパワフルなバトルは、一度ハマると抜け出せない。背中がゾワゾワする程の気迫、プレッシャーに魅了されない奴は正直言って感性死んでると思う。エスパータイプに強く出れるしな。

 

 育て易さは…そこそこだな。強いポケモンが多いから、そりゃ主な三タイプやノーマルと比べたら少しは大変だ。

だがそこがいいんじゃないか。苦労して育てた先にある、悪友みたいな絆は一生モンの宝だ。これに関しちゃどのタイプにも言えるがな。

 だがドラゴンタイプやゴーストタイプ、どくタイプよりかはマシだろ。ちょっとした悪戯(過激)に目を瞑れば比較的いける。

 

 こんなまぁ、あくタイプの素晴らしさについてつらつらと述べた訳だが…

 

 悔しいかな、完璧で偉大で18あるタイプの中でも最強格のあくタイプでも、弱てnゲフンゲフン宿敵(ライバル)というものが存在する。

 

 その名も、かくとうタイプ

 

 脳筋の二文字を表すような、バチバチの近接戦闘プロフェッショナル集団。物理攻撃はこいつらの為にあるだろと言わんばかりの技構成。

 

 あぁ、忌々しい。そのガッチガチに鍛えられた肉体から繰り出される技にはうんざりする。なんど苦しめられたことだろう。神は人に、いやポケにニモツを与えないという事か。

 

 何よりムカつくのはかくとう使いとバトるとまるで戦隊モノの悪役にされた気分になる事だ。んだあいつら。どいつもこいつも正義の鉄槌を振り下ろすような顔しやがって。あくタイプが何したってんだよ。むし?フェアリー?あいつらは知らん。

 

 だが、オレはそんな事でメソメソ泣き寝入りするような三下のチンピラじゃねぇ。なにも悪者がヒーローに勝っちゃいけないなんてルールはない。世の中いつも善より悪が満ちている。どんな時代も悪がこの世を牛耳っているのさ。

 

 だから、今日もめげずに抗って見せようじゃないか。運命様ってやつによぅ!

 

「サイトオォォォォォォ!!オレと勝負しやがれぇぇぇぇ!!」

 

「また懲りずに来たんですか。私と勝負をしたいのならユニフォームに着替え、ジムトレーナーを倒してからにしてください」

 

 ボールを握りしめ、そう叫んだ。

 

 オレはジムチャレンジャー、アクサキ。

 背番号062のあく使い。

 

 絶賛ラテラルジムにて停滞中の、期待の新人(自称)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…へへ、漸く、漸くここまで来たぞ…!さぁ、観念してオレと勝負しやがれ!」

 

「観念も何もずっと待っていたのですが。随分と遅かったですね。トレーニングの一つでもやっていれば良かったです」

 

「テメェ…!余裕こけるのも今のうちだ!直ぐに吠え面かかせてやる!」

 

 チクショオ…今回はイケると思ったんだが、またジムトレーナーとのバトルが長引いた。このオレがポケセンを往復する屈辱を、何度も遭わせられるとは…!

 だが、今日でそんな辛い日々ともオサラバだ。今日勝って、さっさと次の町に行ってやる!

 

「で?今回もまたあの条件をつけるんですか?勝った方の言う事をなんでも一つ聞く、というやつを」

 

「当たり前だ!今度こそ今まで奢らされた飯代やら何やらをせしめてやる!今から財布の心配しておけよ?オレはお金に関してはキッチリしてるからなぁ!」

 

「そうですね、確かに心配です。私、最近シュートシティにできたケーキ屋さんに行きたいのですが、貴方の手持ちで足りるかどうか…」

 

「オレのじゃねぇよテメェのだよ!?クソッ、ふざけやがって…行け、コマタナ!ぶちのめしてやれ!」

 

 固く握りしめたダークボールを叩きつけるようになげ、中から相棒を呼び出す。

 

 コマタナ。はものポケモン。あくタイプの中でも人気が高く、その名の通り、全身が刃物でできた最ッ高にクールでイカすポケモンだ。その手から繰り出されるつじぎりやきりさく攻撃には惚れ惚れする。

 それに進化するとキリキザンになる。あく使いならサザンドラ、バンギラスに並んでゲットしておきたい一体、今のままでも十分可愛くてラブリーだが、育てない訳にはいかないだろ。

 

 相手は…カポエラーか。

 

「コマタナ、ですか。何度も聞きますが本当にバッチ3つ受け取ったトレーナーですか?相性の事とか、一回一から学び直した方がいいかと思うのですが」

 

「ふん、舐めるなよ?オレのコマタナは毎日毎日、大岩を相手に特訓して、こうげきを最大まで上げているんだ!攻撃は最大の防御ってなぁ!さぁ、とくと味わいやがれ!この鋭いコマタナのつじぎりを!」

 

 しかもこのコマタナの特性は『まけんき』。『いかく』持ちのポケモンと相性が良いんだ。

 

 威圧的な鳴き声がカポエラーから飛ばされる。それを食らったコマタナの身体が淡い青色の光に包まれたのも束の間、直ぐに濃いオレンジ色に変化した。コマタナの掲げる手刀が、ギラリと鋭く輝く。

 こうげきランクが一段階降下からの二段階上昇。差し引き一で結果的にこっちのこうげき力が上がっただけ。イケる!イケるぞ!このまま押し切ってやる!

 

「今だコマタナッ!つじぎrーーー」

 

「カポエラー、インファイト」

 

「え、ちょ」

 

 カポエラーの目に淡い赤色が浮かんだと思った途端、凄まじい勢いで回転キックを連発される。コマタナが溜めた黒い斬撃は、いとも簡単に打ち砕かれた。突き上げた拳が少し下がる。

 そのままフィールドの壁に激突して目を回すコマタナ。戦闘不能。 

 急いで駆け寄り、昨日奮発してかったげんきのかけらを与えてボールに戻す。すまん、ゆっくり休んでくれ。

 

「コマタナのタイプははがね あくタイプ。かくとうタイプの技はただのこうかばつぐんどころか四倍にまでダメージが膨れ上がります。しっかりと相手との相性を考えるのも、トレーナーとしての役目ですよ」

 

「う、うるせぇやい!そんな事ぐらいオレでもわかるわ!でもあくタイプ使いとして、あくタイプ以外を使うなんてあり得ないだろ!」

 

「その気持ちはジムリーダーとして痛い程分かりますが、それなら尚更しっかりと作戦を立ててですね…つじぎりだって、かくとうタイプにはこうかいまひとつの技ですよ。あそこの場面ははがねタイプの技を打つべきです」

 

 まぁ、それでも勝てるとは思いませんが。

 

 そう言ってやれやれと首を振るサイトウ。チクショウ腹立つ…!絶対、絶対に泣かしてやる!

 

 コマタナを入れたボールを腰に掛け、もう一つのボールへと手を伸ばす。さっきはこうげきを最大まで育てた。

 だが、肝心の技が当たらなければ意味がない。繰り出す前にやられてしまった。

 つまり、速さ、速さだ。あの時オレたちには速さが足りなかった。

 

「行けっ、ニューラ!」

 

 放り投げる。中から現れたのはかぎづめポケモン、ニューラ。

 

 こおり あくタイプ。

 黒い毛並みと赤色の左耳に尻尾、鋭い爪が特徴(チャームポイント)のポケモンだ。とてもずる賢く獰猛で脚が速い。親が見てない隙にそのすばやさを活かしてタマゴを奪い取るなど、悪知恵が働く。

 よってしばしばブリーダーから怒りを買い、駆除される事もある。

 

 以上から、とても育てにくいポケモンの内に入るニューラだが、オレから言わせて貰えればそんな事ない。

 どんなポケモンもたっぷりと愛情を与え、真摯に付き合えば仲良くなれる。出会った当初は一悶着あったが、今のオレとニューラは切っても切れない固い絆で結ばれているのだ。

 でもお前たまにオレでつめとぎしてくんの、あれやめろよ?

 

「…また貴方は四倍弱点のポケモンを…これは一度本気で講座を開いて上げた方がいいですね。次の休み、開けといてください」

 

「なんでだよ大丈夫だよんな事百も承知だから!?確かにニューラはぼうぎょもとくぼうも高くない。だがどんな攻撃も当たらなければ意味ねェ!ついてこれるかなッ、オレのニューラのスピードに!行けニューラ、こごえるかぜ!」

 

 先ずは動きを止めてやる。

 オレの指示を受けたニューラがカポエラーの周りを高速で回り始め、全てを凍てつかせる吐息を吹きかける。パキパキと空気が悲鳴を上げ、カポエラーの身体が霜ついた。青色の光が生じ、動きが鈍くなる。

 よし、すばやさ一段階降下!このまま一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)でじわじわと体力を削り切ってや

 

「カポエラー、でんこうせっか」

 

「ッ!?リ、リフレクタァァ!?」

 

 声を張り上げる。直ぐさま物理攻撃を通さないエネルギーの壁を貼るよう指示を出すが、間に合わない。

 突如、姿が霞む程に加速したカポエラーがリフレクターとニューラの間に割り込み、重い蹴りをたたき込んだ。

 

「ニューラ!?大丈夫か!?」

 

 吹っ飛ばされ、苦しそうに声を上げるニューラ。思わず悲鳴が漏れ出す。きずぐすり片手に急いで駆け寄り、その身体を抱き上げようとしてーーー制される。

 

「にゅ、ニューラ…お前…」

 

 ゆっくりと、まるでキャタピーの行進の様に遅く、しかし確実に立ち上がっていくニューラ。その身体はボロボロで、美しい黒い毛並みは泥を被り霞んでいる。

 

 だが、その目はまだ獰猛に光っている。まだ行けると、オレに伝えてきている。ニューラがこんなにも頑張っているのに、ここでニューラの気持ちを汲み取らずにバトルを終わらせるなんて、あくタイプ使いとして、いや、一トレーナーとしてあってはいけない事だ。

 オレ、お前の事を甘く見ていたよ。今の行動は、ニューラを信じていないも同然だった。へへっ、トレーナーとして恥ずかしいや。取り敢えず面白くない茶番を見せられてるかの様な目ぇしてるサイトウ、お前は潰す。

 

「ニューラ、まだ行けるな?すまねぇな、お前を信じてやらなくて。許してくれ。よーしこれからだ。あの澄まし顔に一発叩き込んでやろうぜ!」

 

『ーーー!』

 

 だから、今度はこっちの番だ。

 

 雄叫びを上げる。オレも、ニューラも。フィールドに響き渡る程、声を張り上げる。

 ニューラの手に黒いオーラが溜まる。漆黒の斬撃が渦巻く。

ギラリと、かぎづめが煌めいた。

 

「殺れ!つじぎりぃぃぃ!!」

 

 走り出したニューラに指示を飛ばす。完璧なタイミング。オレとニューラの絆が生み出した結果。その凶悪な一撃の、なんと美しい事か。あぁ、惚れ惚れする。

 そのままカポエラーへ肉薄し、黒の残滓を空中に撒き散らしながら凶刃を叩き込もうとして。

 

「カポエラー、インファイト」

 

「え、いやおいどうしたニューラまてまて戻ってくんの嘘だろなんでだよ今いい感じになってたじゃゴハァ!?!?」

 

 炸裂した。思わず涙が出るほど綺麗に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トホホ…今月厳しいのになぁ…」

 

「ふむふむ、これも美味しいですね。あ、これも美味しそうです。頼んでいいですか?頼みますねすいません店員さん、これとこれと、あとこれお願いします」

 

「お前は鬼か?少しは遠慮しろよ」

 

「大丈夫です。私がこんな風に接するのも貴方だけです。貴方は私の特別なんですよ」

 

「主に財布としてだろふざけんな。変な事言ったって乗せられやぁしねぇぞオレは」

 

「むぅ、そうですか。私は嘘は言わないのですが。因みに貴方は食べないのですか?」

 

「オレは甘いのが苦手なんだ。胃がムカムカするからな」

 

「そうですか。人生損してますね」

 

 そう言って残りのショートケーキを口に放り込むサイトウ。モキュモキュと頬張り、身体から幸せオーラを放つコイツの姿は、確かに一定のファンに需要はありそうだ。

 オレには何が良いか分からんがな。相変わらず無表情なのは変わらないし、目に光が灯ってねぇし。てか人生損してますねは言い過ぎだろ甘い物の比率デカ過ぎない?

 

「しかし今日のバトルも惜しかったなぁ…後もう少しで行けると思ったんだが…」

 

「笑えない冗談ですね。あの状況を見てそんな事宣えるなんて…昔頭を強く打った事はありませんか?私の知り合いに腕の良い医者がいるので、今度見て貰いましょうか」

 

「ナチュラルにバカにすんじゃねぇよこの野郎。今日のはホントに惜しかったって。なーコマタナ、ニューラ。お前らもそう思うよな?」

 

 横にいるコマタナとニューラの頭を撫でながら、同意を投げ掛ける。不思議そうに此方を見上げる二匹は当に悪魔級の可愛さだ。

 はぁ〜尊い。コマタナが手刀を使ってケーキ切り分けてニューラに上げてるのマジ尊い。あくタイプ最高。例えバトルに負けてもあくタイプという事だけで実質勝ってるみたいな所ない?あるよね?(威圧)

 

「はぁ…しかしいつになったら次のジムに行けるのやら…次も次でフェアリータイプのジムだし、結構キツイんだよな…」

 

「んぐんぐ、一番早い解決方法は他のタイプを使う事だと思うのですが」

 

「じゃあテメェはかくとうタイプ以外のポケモン使えって言われたら素直に使えんのか?あ?」

 

「専門には劣ると思いますが一応使えない事もないかと」

 

「マジかよ凄いな」

 

 流石、ジムリーダーは伊達じゃないって事か。オレ今から他のタイプを使えって言われても無理だわ。扱える気がしねぇ。

ホント、どうすっかなぁ…修行しかないのはわかんだけどさ…

 

「…ん?どうした?」

 

 はぁ…と、ため息を吐くオレの袖が引っ張られる。クイクイと小刻みに伝わるリズムの発信源は、目線を下げた先、コマタナとニューラ。此方をジッと見てくる。心なしか、その瞳は悲しげに揺れていた。可愛い。

 

「おいおいどうしたんだよ二人とも。ケーキのおねだりか?」

 

 可愛いが、悲しそうにしている姿を見続けるのも人としてどうかと思うので、理由を聞くべくロトフォン片手に立ち上がる。

 

「ウォッ」

 

 座らされた。二匹同時に膝の上飛び乗られた。小柄な二匹とは言え、合わせたら30Kgある。中々重い。

 

「ちょ、甘えてくれるのはスゲェ嬉しいし俺的にもウェルカムだけど、重いってイッタァ!?え!?なんで!?なんで引っ掻いたのお前!?」

 

 脚がキツいので二匹には悪いが降りて貰おうとした所、ニューラに思っくそ引っ掻かれた。

 いいから黙って私の頭を撫でろと鼻を鳴らすニューラ。超絶腹立つ。可愛いから許すけど。てかお前最近オレに当たり強くない?可愛いから許すけど。

 

 しかし珍しい事もあるもんだ、と。

黒く艶のある毛を撫でながらそう思う。普段なら触ろうとすると凄い嫌がって引っ掻いてくる癖に、今日に限って自ら触れとすりよってくるんだから。

 ホント、猫系ポケモンって気まぐれだよな。可愛いから別にいいけど。あぁ…癒されるなぁおい。

 

「…ん?コマタナ、これ、オレにくれるのか?」

 

『………ー!』

 

 更にコマタナがアーンしてくるとか、オレ、明日死ぬんじゃないだろうか。

 自慢の手刀で綺麗に切り分けたケーキを、オレの口に刃が当たらないよう持ってきてくれる姿に感動しつつ、頬張る。

 

…うん。甘いのは苦手だが、愛するマイラブリー達の為なら幾らでも食べよう。一旦コーヒー頼んで良い?

 

 しかし、まぁ…なんというか。

 

せっせとオレの為に奉仕してくれる二匹をみてると…

 

「もしかして落ち込んでるオレの為にやってくれたのか?」

 

『……!』

『ーーー!』

 

 あ、照れた。

 

「っぅ〜〜!可愛い奴だなお前ら!今日は一緒のベッドで寝るか?ん?」

 

 そんないじらしい姿に我慢出来ず抱きついてしまう。オラオラお前ら暴れんなよ!ったくホントに愛しい奴らだなぁおい!

 

「アハハハ!いってぇ!いってぇよお前ら!いってぇしくすぐっテェ!?待ってコマタナの刃物が食い込んでる!食い込んでるってマジで暴れんな離すから!?」

 

 強く抱きしめ過ぎてコマタナの全身刃物が腕にブッ刺さった。あまりの痛さに反射的に離す。

 そのまま二匹はオレに威嚇した後自分のボールに入ってしまった。解せぬ。いや解せるけど。

 

「クソォ…ちょっと甘い顔したと思ったら直ぐに攻撃的になりやがって…そこが良いんだけどな。帰ったら死ぬほど特訓と称してじゃれついてやる。…で?テメェは何してんだサイトウ?取り敢えずその手にある皿とフォークを静かに置け?」

 

「いえ、大した事じゃないです。唯少し、貴方にケーキのお裾分けをしたいと思いまして」

 

 皿にナイフが当たる音に、数少ない客の話声、そして微かに豆を炒る音が響く。寂しくなった店内に、糖に染まった口を潤そうとコーヒーに口づけて。

 目線をずらした直ぐ先に皿とフォークを持ったサイトウが映し出される。思わずコーヒー吹きそうになった。てか何言ってんだこいつ。

 

「話聞いてたか?オレ甘いもの苦手なんだよ」

 

「ここのチーズケーキはとても絶品でして、思わず頬が落ちるかと思いました。はい、アーン」

 

「いや話聞けよ!?オレホントに甘いもの苦手なんだって!」

 

「かくとうタイプ使いとして、あくタイプに負ける訳にはいきません。さぁいざ尋常に、勝負」

 

「ホントに何言ってんだテメェ!?てか近い近い近いッ!?」

 

「インファイトは超接近戦闘(インファイト)と書きますので近いのは当然ですが。もれなく今の私はとくぼうとぼうぎょが一段階ダウンです。大人しくしてください。ハイ、アーン」

 

 逃げようと席を立とうとして、ガッチリと肩を掴まれる。更にそのままオレの関節やらなんやらに身体を当ててきやがった。完璧にキマッてるのだろうか、ぴくりとも、動かせない。

 

 てかガチで顔が近い…!?砂金のように煌びやかな髪やら、程よく濃くて健康的な褐色肌やらが全身にぶつかってきて、クソ、女特有の良い匂いが…!

 お、落ち着けアクサキ…こいつはオレの宿敵なんだ。超えるべき壁。動揺するな動揺するな…あくタイプ使いとして、こんな情け無い形で負けランねぇ!ぜってぇくわねぇぞオレは!隙見てその澄まし顔にコーヒーぶっかけてやラァ!

 

 

 

 

 

 

 

 結果だけ簡潔にいうと、オレは盛大に砂糖を吐く(物理)を体験し、即落二コマみたいなセリフを言う羽目になった。

 

 かくとうタイプには勝てなかったよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アクサキ
ジョウト地方出身。
幼少期、四天王カリンのバトルを見てあくタイプに魅入られた。十二歳になると各地方のあくタイプを捕まえるべく旅に出ており、現在はガラル地方に滞在。
ジムチャレンジに参加しているが、当の本人は誰から推薦されたのか分かっていない。
最近の悩みは年下のサイトウと背が変わらない事。アホ。

サイトウ
ラテラルタウンジムリーダー。かくとうタイプ使い。
冷静沈着なバトルをし、表情筋死んでるんじゃないかというレベルで顔に出ない為、よく怒ってると勘違いされる。
あくタイプ使いとしてあくタイプを使い続けるアクサキのバトルを、本気で指導したいと考える事もしばしば。
最近の悩みはアクサキとのバトルが一方的になる事。因みにアクサキと戦う時のみ、インファイトを覚えたポケモンを使用してくる。なんでですかねぇ…?可愛い。

コマタナ ♀
アクサキがワイルドエリアで最初に捕まえたポケモン。
群れと逸れていたところを捕獲した。アクサキの溺愛っぷりをうざいと思いつつも、キリキザンのように尊敬している。最近の悩みはカレーを上手く食べられない事。玉ねぎみじん切りにしてるところを見たい。

ニューラ ♀
アクサキがワイルドエリアで2番目に捕まえたポケモン。
始めてのキャンプにウキウキしながらカレーを作っていたアクサキの横に、気付いたら皿を持って並んでいた。
アクサキの事をチョロいと思っている。最近の悩みは余りにもアクサキがチョロすぎて、逆に心配になってきた事。赤い耳モフモフさせて欲しい。

カポエラー ♂
今回登場したサイトウのポケモン。
しばらく出番が続くと思う。最近の悩みは主人がインファイトを連発させてくる事。コマ。



基本的な設定を言うと剣盾合併ルートの世界線です。某仮面少年もいれば、某ムチムチ熟女もいます。主人公とホップ、マリィ達も多分います。出るか分からんけど。
その他諸々雑な設定が出てくると思いますが、目を瞑っていただければ嬉しいかなと。


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