あくタイプはかくとうタイプに弱い   作:T-

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良い子のみんな!

家でジンギスカンをやる時は、お肉にしっかりと火が通っているかを確認しよう!作者との約束だぞ!隣でマクドウメェw wお前も食うかw wっていってきたYよ、テメーは許さん!

そしてそれを表したかのように今回の話は難産だ!そして多くのオリジナル設定を含んでいる!
ん?と思う描写やあれ?っと思う設定、なんか繋ぎ目の怪しくね?って感じる展開が出てくるかもしれないが、猫のお腹をさする様に優しくしてくれよな!元々だろって思ったそこの貴方!電車の中で催す呪いを掛けてやる!ポンポンペイン!




ふいうち

 オレはあくタイプが大好きだ。

 

 何故あくタイプが好きなのかと問われれば、軽く半日は語ってしまう程、オレはあくタイプを愛している。

 

 あくタイプと聞けば、人によって顔を顰める人もいるだろう。が、少し待って欲しい。『あくタイプ』という五文字だけで、あくタイプの全てを判断するのは、あくタイプ使いとして許せないものがある。

 

 そんな、最近次男と長女から旅が順調だという報告を受け、なんとか崩壊寸前のメンタルを立て直したあくタイプ使いことオレ。

 

 我らが宿敵サイトウを倒すべく、今日も元気にラテラルタウンへと足を運ぶ…のだが、今回は同じラテラルタウンでも目的地が違う。

 

 何故なら…

 

「頼むゴースト仮面!オレにゴーストタイプの扱い方を教えてくれッ!!」

 

「え、ぇ…あの、その…どちら様、ですか…?」

 

 ここはいつもお馴染み、枯れた風が吹き抜けるラテラルタウン。

 

 そこの、サイトウのジムとは真反対の丘に建っている、チャレンジャー最初の選択肢が一つ、ゴーストジム。

 

 オレは今、ゴーストタイプの極意を教わるべく、このジムのジムリーダー、オニオンことゴースト仮面に絶賛土下座中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪りぃな、こんな無茶振り聞いて貰ってよ!あ、自己紹介が遅れたな!オレはアクサキ!唯我独尊、疾風怒濤を掲げし新星のあくタイプ使いだ!ま、あくタイプ使ってもう数年は経ってっから、新星でもなんでもねぇがな!アッハッハ!」

 

 そう言って、土下座により真っ黒になった顔を振り上げ、自己紹介をしてきたチャレンジャーさん。

 名を、アクサキ、というらしいです。取り敢えず、ジムの入り口で土下座されても目立つし困るので、ロビーへと入って貰いました。

 後、汚れが凄いので、拭う用にハンカチを…あ、でも…僕なんかが使ったもので大丈夫かな…大丈夫、だよ、ね?

 

「あ、すまねぇな、ハンカチまで貸して貰っちゃって。洗って必ず返すぜ。あと、これ…ちょっとした菓子折だ。フエンせんべいってんだけどな、お茶でも飲む時食ってくれ」

 

「あ…わ、ざわざどうも…ありがとう、ございます」

 

 よ、良かった…見た目に反して、意外と律儀な人のようだ。

 

 なんでも彼は、サイトウさんの所でチャレンジを受けているそうなのですが、使っているタイプの都合上(彼は頑なに自分の腕の問題と言うのですが)中々突破出来なくて困っていたそうで。

 

 そこで悩んだ結果、かくとうタイプの技を無効化できるゴーストタイプを扱えるようになればいいんじゃないのか、という結論に達したらしく。

 じ、自分で言うのもなんですが、一応ゴーストタイプを上手く扱える方である僕の所に、教鞭を振って貰うべく訪ねてきた…らしいです。

 

 ここまででしたら…その…ポケモンの、何よりゴーストタイプの事で頼って貰えるのは…あの…僕的に凄く嬉しいし、一トレーナーとして誇らしいんですけど…

 

「いやぁ、噂には聞いていたが…ホントに仮面つけてんだな!その仮面どうなってんだ?なんかの骨で作られてんのか?なんか、ミステリアスでカッケェな!しかし…お前ちゃんと飯食ってるか?随分と細い身体しちまって…オラ!」

 

「わ、わ…!?」

 

「ほらこんなに軽い。お前まだまだチビなんだから、いっぱい食わねぇとおっきくなれねぇぞ。よっしゃ!先ずは飯屋に行って腹拵えするか!好きなの言っていいぜ!カレーか?ラーメンか?それともジョウト料理屋か?勿論勘定はオレが持つぜ!」

 

「そんな、お気になさらず、お、おろして、下さい…!?」

 

 急に彼が立ち上がったと思うのも束の間、腰に手を回されます。何を、と彼に問いかける暇もなく、そのまま一気に重力から引き剥がされ、彼の頭上へと…所謂タカイタカイの体勢です。

 

 そう、この人…口調が乱暴な割に、凄く真面目で律儀な人なんですが、いかんせん、なんというか…

 

 僕たち、初対面のはずなのに、凄いグイグイくるというか…!?

 

 なんなのだろう…いや、ホントになんなのだろう。

 完璧にノリが昔ながらの友達感覚で接してきます。人付き合いが苦手な僕にとって、この状況は少し厳しいものが。

 正直言って、タイプ相性が不利すぎる。流石はあくタイプ使い、ゴーストタイプ使いの弱い所をズンズン突いてきますね…

 

「そ、その…!ご飯に、行くのも良いで、すが…その前に、あの…貴方のポケモンを、見せて、欲しい…です。どんな、子か…その…ゴーストタイプも、色々、あって…教えるのも、楽なので…」

 

「お、そっかそうだよな、今日はゴーストタイプについて教わりにきたんだった。色々飛ばしすぎちまったな、すまんすまん。えーと…ほれ、こいつだ。こいつの事で、少し話を聞きたくてな」

 

 そのまま僕を担いで外に出ようとするアクサキさんを、なんとか引き留めます。幾らゴーストタイプの扱いに長けているとはいえ、ゴーストタイプにも、それぞれ個性がありますから。

 事前にどんな子か、知っておくおかないで、大分、対処の正確性が、変わってきます。そ、それに、僕も、もう男の子なので、流石に恥ずかしいですからね、肩車。

 

 僕の、必死に捻り出した言葉を、しっかり聞き取ってくれたアクサキさん。肩から下ろしてくれました。

 そのまま流れるように、目線を合わせようとしゃがむ所を見ると、僕のような年齢の子との、接し方には慣れているのでしょうか…

 あ、あの、なんで頭を撫でてくるの…?

 

「…出てきてくれ、ヤミラミ。少し話をしようぜ」

 

『……』

 

 少し躊躇ったような表情を見せた彼は、ホルスターからダークボールを取り、中にいるポケモンを呼び出します。

 

 出てきたポケモンはヤミラミ。あく ゴーストタイプのポケモンです。

 土を掘り返す鋭い爪と、主食の鉱石を噛み砕く尖った牙を持っており、暗闇で宝石の瞳が光る時、魂を吸い取ると言われ恐れられています。

 

 で、ですけど…

 

 洞窟のゴーストタイプと言ったら、というポケモンですが…シャンデラやフワライドなどと比べたら、比較的扱い易い方に分類されています。

 アクサキさんは脱落者が多く出るカブさんのチャレンジを突破する程の実力を持っていますし、とても扱えないという程のポケモンでは…

 

「ヤミラミ、です、か…あくタイプ、ちゃんと入ってますもんね…」

 

「そうなんだよ〜あく ゴーストっていうスッゲェ優秀なタイプでさぁ、何よりキュートでミステリアスだろ?オレは大好きなんだが…いってぇ!?」

 

『…!…!』

 

「だ、大丈夫、ですか…!?」

 

 アクサキさんがヤミラミの頭を撫でようと手を伸ばした、その腕に、ヤミラミが妖しく光る紫紺の爪を突き立てます。

 加減はされているようですが、衝撃により仰反ったアクサキさんの腕には、真っ青な痣が。

 

「イチチチチ…相変わらず乱暴な奴だなお前は。そこもいいんだけどよ…あ、大丈夫大丈夫、心配すんな。日常茶飯事だから」

 

「いや、でも…痣が…!」

 

「大丈夫だって、ほっときゃ治る」

 

 ほ、本当に大丈夫でしょうか。ポケモンの技を、それもゴーストタイプの技を受けるなんて、普通の人なら慌てるなりすると思うのですが…

 顔に刻まれている裂創然り、腕に染み付いている咬傷然り、随分と、自分の怪我に頓着がない人の様です。

 

…サイトウさんが良く話してくるチャレンジャー、今更ですが、この人で間違いないですね。あの人が嘆く気持ちが、すっごく分かります。これは確かに心配になっちゃう。

 

「今のを見てくれれば分かると思うけど、この通り、あんまオレには懐いてくれなくてなぁ。バトルでも言う事聞いてくれないし、ホント、どうしようかって思っててよ…だから…」

 

「…なるほど…なんで、こんなに懐かないのか、知りたいと…」

 

「そう言う事。オレの知り合いで頼れる霊能力者はジョウトにホウエンと、聞こうとしてもちっとばかし無理があるだろ?お前の事はサイトウやマリィから聞いてたし、少しばかり、仲良くなるきっかけになるかなってな」

 

 そう言って、アクサキさんはボールに戻ってしまったヤミラミを、愛おしそうに、寂しそうに見つめます。

 トレーナーに牙を剥くポケモンなど、運が良ければポケモン大好きクラブ行き、悪ければ捨てられるのに…それでも自分のポケモンとして、愛そうとする彼は本当に優しい心の持ち主なのでしょう…顔は怖いですけど。

 

 さて、では早速始めましょうか。

 

「で、は…その、ボールを、貸してもら、えますか…?」

 

「ん…OK、分かった。気を付けろよ」

 

「だ、い丈夫…です。こう、見えても…ジムリーダー、ですから…」

 

「ははっ、そりゃ頼もしいこって」

 

 む…また頭を撫でられました。僕が幼く見えるのはしょうがない事ですが、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい…なまじ気持ち良いのが厄介すぎます。

 

 おっと、気が逸れてしまいました。いけないいけない、集中しましょう。

 

 彼からダークボールを受け取り、開閉スイッチを押します。飛び出すヤミラミ、辺りを見回せば、後ろに主人、正面に訳の分からないトレーナー。

 そのトレーナーが、自分に掌を向けてくる。とても不審に見えるでしょう。ヤミラミの、歪む顔、強ばる体、妖しく光る影の爪。

 空気が張り詰める。

 

「ッ、おいヤミラーーー!」

 

「ーーーまって」

 

 それを見たアクサキさんが腰を浮かせますが、手で制します。

 詰まる喉、瞳に不安の色が濃く、されど此方の意を汲んで言葉通りに、ソファーに重量が加わる音。

 

 下手に、ゴーストタイプの気を立てると、霊気や波長が合わせ辛くなってしまいます、からね。少し、待ってください。

 

『……ッ!ッ!』

 

「だ、いじょーぶ、怖くない、よ…」

 

 ゆっくりと、手を伸ばす。彼から発せられる霊気、波長を、取りこぼさないように。紺碧の身体へと、手を伸ばす。

 

 この力を扱えるようになったのは、小さい頃の、大怪我がきっかけ。あの大事故で、生死の狭間を彷徨った僕は、亡くなったゴーストタイプのポケモンが見える程の、霊力を授かった。

 

 他人には見えないモノが、僕には見える。

 

 他人には聴こえないモノが、僕には聴こえる。

 

 他人には感じられないモノが、僕には感じられる。

 

 ゴーストタイプ

 

 当時は唯々恐怖の象徴でした。無理もありません。まだ今も未熟な僕ですが、あの時はもっと未熟、まだ暗がりで二の足を踏む、年相応の子供です。

 当然、怖かった。周りにいた、大人達でさえ、ゴーストタイプの事を恐れ、避けていたのですから。

 

 だから最初は、戸惑い、怖くて、不安で。

 

 もう普通の生活が送れないと、暗澹とした気持ちになったりもしました。

 

 勿論、()()()ですけどね?

 

 ヤミラミに意識を向けながら、チラリと自分の腰にかかっているボールを見る。中に入っているのは、小さい頃から共に戦い、共に泣き、共に笑った相棒、ゲンガー。

 

 ゴーストタイプとはいえ、ポケモンはポケモン。

 

 そう、僕に教えてくれた、掛け替えの無い存在。

 

 あれは確か…朝から雨がシトシトと降っていた、薄灰色の日曜日。

 

 家族みんなで、おばあちゃんが眠っている霊園へと足を運んだ、あの時に。

 

 墓石の前に、1束の花を添えて、手を合わせるゴーストを見て。

 

 僕の世界はさっぱりと晴れたんです。

 

「…よし、掴ん、だ…」

 

 構える姿勢は、次第に、鷹揚。

 一つ一つの細い糸が絡み合い、丈夫な紐へと昇華する感覚に、ヤミラミの周りに張られていた空気が弛緩します。色々と思いに耽っている間に、どうやら波長があったようです。

 

 これが野生のポケモンだったら、もっと時間が掛かったのでしょうが…そこはモンスターボールの力か、はたまたこのヤミラミが、まだ彼に対して心を塞ぎ込んでいないのか。

 

 多分、後者でしょう。

 短い付き合いですが、アクサキさんはポケモンの事をとても理解している優しい人って分かります。どんなに邪険に扱われても、どんなに反抗的な態度を取られても、それを許して、自分のポケモンをどこまでも愛せるポケ格者。

 

 きっとヤミラミも、それに気付いている筈です。ただ今は、ちょっとした、それこそ反抗期のようなものが来ているだけ。

 

 さぁ、ヤミラミ。僕に、君の想いを教えて下さい。

 

 君が、彼の事をどう想い、どれほど愛しているのか。

 

 恥ずかしがらなくていい。僕だけに、少し、教えて下さい、ね?

 

 それらの言葉、その意味を霊力に乗せて、さっきより淡くなった紫紺の手を取り送り込みます。

 

 びくりと跳ねるヤミラミ、しかしこちらの求めているものを理解して、考え込む。しばらく下を向いて、心の整理をしているようです。その姿は、まるで告白前の子供の様。

 

 少し微笑ましく思いながら、ようやく意を決したヤミラミの、光り輝く瞳。それを介して、彼の想いが乗った霊力を受け取ります。

 

 ふふふ、さて、一体どんな事が書かれているのかな…?

 

 

 

 

 

『アノヒトノ、コトガ、トテモ、コワイ。タスケテクレ』

 

 

 

 

 

……あれ?

 

「あ、あれ?お、か、しい、な…?」

 

「おっ、どした?なんか分かったか?」

 

「え、ぇ…確かに、彼の想いを、聞き出すことが出来、た、のですが…」

 

「おぉ!流石ガラル一のゴーストタイプ使い、霊能力者としての力もピカイチだな!で?なんつってた?」

 

「いやぁ、その…なんというか…」

 

 これは伝えても良いのでしょうか…?

 

 思った以上に、深刻な想いを伝えられた事に対する動揺が隠せません。

 え?あのヤミラミそんな事思ってたんですか?てっきり、『最近中々素直になれなくて…』みたいな事がくると思ってたのですが。

 

 どうしましょう、頭に思い浮かべてたものが一気に崩れ去りました。結構ちゃんとした恐怖の念が含まれていましたからね。

 あれ?もしかしてアクサキさんって、見た目通りの人?僕の早とちりなの?

 

 いや、一旦落ち着きましょう。先ずは彼にこの事を話さない限りには、進みません。何かしらの事情があるのかも知れませんし、それを知ってからでも対処は遅くないでしょう。

 万が一、ゴーストタイプが軽視されている様な事をしていたら…お家に藁人形余ってましたっけ…

 

 取り敢えず、伝えておきましょうか。ゲンガー、一応構えてて。

 

「……はー成る程、オレの事がめちゃくちゃに怖いと…」

 

「はい、確かにその様な事を…あの、つかぬ事をお聞きしますが、何か心あたりとかはありますか?どんな小さいことでも構いません。洗いざらい話して下さい。いいですね?」

 

「お、おう、急にハキハキ喋りだすな…なんか怒ってる?」

 

「怒ってません」

 

「いやだってダークボール構えてるし、ヤミラミの事抱きしめて離さないみたいになってるし、やっぱ怒って」

 

「早く話して下さい」

 

「は、はい」

 

 そ、そうだなぁ…と顎に手を当てるアクサキさん。記憶の海へと泳ぎだす。さぁ、ちゃんと思い出して下さい。

 何も危害を与えていないなら、ゴーストタイプが、ゴーストタイプがっ、人をこんなにも怖がる筈が無いんですからっ!

 

「…あぁ〜…オレの事怖がってる理由、分かっちまったかも…」

 

「なんですか!?」

 

「ちょ、近い近い仮面落ちるぞお前、ちゃんと話すから落ち着け。しっかし何処から話したもんかなぁ…」

 

 ま、無難に出会いからか

 

「そいつはさ、実はオレが捕まえたポケモンじゃないんだ。話すと少し長くなるんだが…オレがホウエンを旅してる時に、ゴーストタイプ使いと友達になったんだよ。そいつから貰ったポケモンでさ」

 

「友達から、貰ったポケモン?」

 

「そう、貰いモン」

 

 交換ではなく、貰ったポケモン、ですか。

 

 でもそれだけで、ここまで彼を怖がるでしょうか…もしかして、半分奪う様に貰っていったとか…!

 

「お前が考えている様な、強制的に連れていったってぇ訳じゃねぇぜ?ちゃんとそいつから直々に貰ったんだ。

『この子を見て、いつでも自分を思い出して』って。

まぁ、確かにトレーナー直々に貰っただけだから、ヤミラミが納得してたかって言われたら、首を傾げるしかないんだがな。そこは悪いと思ってる。でも多分そこじゃないんだよ、オレの事怖がってる要因は。問題は…その、貰う前に過ごした時間かもしんねぇ」

 

「そこで酷い事をしたと」

 

「違うよ?急に辛辣だなお前。バトルをな、したんだ。特訓とも言うか。最初もいったが、そいつの親トレーナーゴースト使いだろ?そいつがな、自分はあくタイプ使いに中々勝てない、克服する為にも手伝ってくれって言ってきたんだ。まぁ別に断る理由もねぇから、当時持ってたポケモン達で付き合ってやったんだけどよ。そんときに…」

 

「そんときに…?」

 

「そのぉ…ほら、オレってば最強のあくタイプ使いじゃん?だから、さ…あの、ちょこっと見栄を張っちゃったというか、ゴースト使いには負けたくなかったというか、なんというか…結構、そいつと派手に殺りあっちゃったんだよね…ガキどもに見られたら泣かれるレベルで…」

 

「子供が泣いてしまう程この子を虐めたんですか…!?」

 

 完璧にギルティじゃないですか。問答無用案件ですねこれは。ゲンガー、出番です。彼に向かってシャドーボール、手加減はしなくていいですよ。

 

「待て待て待て!?誤解だ!いや誤解じゃねぇかも知れねぇが!少なくともオレは戦闘不能の奴に死体蹴り行為なんてクソみたいな事やってねぇぜ!?泣くってぇのはオレの顔を見て、って話だ!」

 

「…聞きましょう」

 

「シャ、シャドーボールの構えは解いてくれないのな…お前もさっきからチラチラ見てるから分かると思うが、オレの顔って結構ワイルドだろ?当時もこの傷はちゃんとあってな、なんなら今より生々しく刻まれてて…

それに…オレ、よくサイトウとかから言われるんだが…本気で集中してたり、かなり気持ちが昂ぶってきたりしやがると、な。それらが合わさって、かなり怖く映るらしいんだ。この前なんてサイトウのやつに、何人ミロカロ湖に沈めましたか?なんて聞かれちまってさ…でも、そうか…ヤミラミお前…」

 

 オレのこと、怖かったのか

 

 そう言ってアクサキさんは、本当に悲しそうに眉を下げて笑いました。自分の顔に刻まれた裂創を、ゆっくりとなぞり、色濃くそれが歪みます。

 

 彼の顔見たゲンガーはシャドーボールを引っ込めて、申し訳なさそうに隣のソファーへ。元気だせよと、背中を摩ります。

 

「す、すいません、早とちりしてしまって…」

 

「いや、いいんだ、気にすんな。確かにオレは人相が悪りぃし、オマケにあくタイプ使いときてらぁ、そりゃ勘違いの一つや二つするさ。この傷も、テメェの落ち度でついたって訳だし、元々こっちにくる前はトラブルとかもあった。使ってるタイプの関係上、エスパーやゴーストに嫌われやすいことは分かってた筈だしな、ありがとよゲンガー、もういいぞ」

 

 深く帽子を被り直す仕草、ソファーから立ち上がり、ゲンガーの頭を揉みくちゃに撫で回します。気持ち良さそうに目を細めるゲンガー、その様子を見て僅かに口角を上げますが、直ぐに戻し、僕に向き直ります。

 そのまま僕に抱かれたままのヤミラミを真っ直ぐ見つめた後、机に置かれていたダークボールを構えて、中に戻しました。

 

「すまねぇなヤミラミ、今までお前の気持ちに気付かなくて。今からお前の親元に送り返してやっから、少しだけ我慢してくれよ。ホント、今までありがとな、楽しかったぜ?少なくともオレはな。でも、その分お前に迷惑掛けちまった」

 

やっぱり、オレなんかがゴーストタイプなんて扱おうとした事が、間違いだったって訳だ。

 

 そう、とても悲しそうに、とても寂しそうに呟いて。

 

 それなのに、それら苦しい事を、心の奥底に押し込んで、見せない様に笑顔を浮かべたアクサキさん。

 

 そんな姿を見てしまった僕は。

 

「ーーーッ、そ、そんなこと、ないですよ!」

 

 思わず声を荒げてしまった。自分でもこんなに大きな声が出せたのかと驚くほどに通る声量、キョトンとするアクサキさん。どうしたんだと此方を見てきます。

 

 当然、その先の言葉なんて考えていませんでしたから、あたふたと慌ててしまい、何を思ったか彼の手をガッチリと握ってしまって。

 

「その、あの、無理なんてッ、そんな事ないですよ!た、確かにアクサキさんは、そ、あ、えと、顔は怖、怖いですけど、僕も勘違い、しちゃいましたけど!と、と、とても優しい方だって分かります!あんなに自分を嫌っているポケモンに、愛おしそうな目を向けられる人、それにゴーストタイプに、ぼ、僕、初めてで!きっと、きっと、まだお互いに心がすれ違ってるだけで、少し気持ち、分かるんですっ、ゴーストタイプも見た目だけで怖がられる事がありますから!でも、その、あの、僕は何を言いたい、えっと、その…!

ーーーあ、アクサキさんなら、絶対にゴーストタイプと仲良くなれますよ!僕が保証します!!」

 

 だ、だから、付いてきて下さい!

 

 そう叫んで、手を繋いだままジムの外に彼を連れ出した僕を、本気で殴り飛ばしたい気分です。

 あぁ…僕は何て恥ずかしい事を…穴があったら入りたい…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし驚いたぜ、お前ってばあんな大きな声出せたのな。急に手を掴んでくるし、ようやくガキらしい姿見せるじゃねぇか」

 

「あぅあぅ…や、やめて下さい、思い出しただけで恥ずかしいんですから!」

 

「そうかぁ?年相応な姿だっただろ、恥ずかしがる事なんてなかったと思うが。オレも弟が増えたみたいで楽しかったぜ。ほら、なんなら今も手ェ握ってやろうか?」

 

「ッ〜〜ーーー!?」

 

 薄暗い空気、どんよりとした空模様に、湿った風が吹き抜ける。

 

 ここは、ガラル名物ワイルドエリアの中で、屈指の人気(僕調べ 質問対象:サイキッカー、オカルトマニアその他)を誇るゴーストタイプの名所、見張り塔跡地。

 

『ーーー!』

 

「あっぶッッ!?馬鹿野郎テメゴースト何しやがんだ!?石投げてくんなよ殺す気か!?」

 

『ーーー!ーーー!』

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

 ラテラルタウンから移動した僕たちは、そびえ立つ崩れそうな影に身を包まれながら、彷徨うゴーストポケモン達と戯れていました。

 

「ったくゲラゲラ笑いやがって…で、この作戦とやらは本当に上手く行くのか?オレ、さっきからイタズラばっかされてんだがあっダァァ!?ゴビットおま、スネはダメだって…!?」

 

「い、いえ、大丈夫…です…上手くいきますよ……多分」

 

 力ない返事、不安そうな表情を浮かべ、少し離れた倒木に腰掛けるヤミラミを眺めるアクサキさん。大丈夫だろうかと頬を掻きます。僕も確証がある訳じゃないので…すいません…

 

 僕たちが現在実行している作戦、ゴースト(G)ポケモンに(P)好かれちゃいたい(S)、通称GPS大作戦は大変難航していました。

 

 内容は極単純、僕がお友達のゴーストポケモン達を呼び、アクサキさんが仲良くなる事で、ヤミラミの恐怖心を失くし、打ち解けようというもの。

 アクサキさんはゴーストポケモンと戯れるだけ、というとても簡単な作戦なのですが…

 

「アッチィィィィ!?馬鹿かヨマワルおにびすんな馬鹿かお前!?」

 

 難航している理由。それはアクサキさんとゴーストタイプの相性が、僕の想像を数倍超える程悪いと言う事です。

 

 しかし凄い嫌われ様ですねアクサキさん。さっきからゴースト達に揉みくちゃ(物理)にされてます。

 僕、何回もここに足を運んでいますが、ここまで誰かに過激なイタズラするゴーストポケモン達は初めて見ました。

 

 いや、でも本気で命を取りにいこうとしている子はいないので、見ようによっては仲良しに見えない事も…

 

「ヤミラミーほらほら怖くないぞーみんなとこんなに仲良く出来てるぞー遠慮なくオレの胸にグボはァ!?の、ノータイムあくのはどう…良い威力…流石はオレのヤミラミ、良い腕してるぜぇ…!」

 

「す、凄い音鳴りましたけど…いや、ほんとに大丈夫ですか?」

 

「へ、へ、ふぅ、おぶ、ヘーキ、ヘーキ…まだいけるおぇぇぇぇ…」

 

「む、無理しないでください…ほら、お水です…これで冷やして…」

 

…まだまだ先は長そうです。

 で、でもまだ始まったばかりですからね。全然チャンスはありますよ…きっと。

 

「うぅ…やっぱりオレはゴーストタイプに嫌われるんだなぁ…もう無理なんじゃ…」

 

「そ、そんな事ない、ですよ!アクサキさん、中々良いスジ持ってますから…!」

 

「本当かよ…まぁお世辞でも助かるぜ、もうちっと頑張ローブシン、なんちっぐべばぁ!?は、鼻っ面に、ダイレクト…!」

 

「は、はは…」

 

 ドヤ顔でそう言った彼に、何処からともなく飛んできたモンスターボールがめり込みます。群がるゴーストポケモン、溢れてしまう乾いた笑み。ついつい先の言葉を否定できなかった。

 

 でも、お世辞ではありませんよアクサキさん。今のギャグはお世辞にも面白くありませんでしたが、貴方は本当に良いチカラを持っています。

 

 確かに、びっくりする程彼はゴーストタイプと相性が悪いです。ですが…()()()()使()()としての素質が時折垣間見えます。

 

 例えば…

 

「ーーーズボン下げようとしたな、そうは行くかゴーストテメェ!」

 

『ーーー!?』

 

 彼は、異様にゴーストタイプの察知に長けています。

 

 最初にここを訪れた際、お友達のゴーストポケモン達はすり抜け、いわば霊力者など一部の人を除き、姿を見せなくする状態で彼を驚かせようとしていました。

 

 当然僕には見えていましたし、少しかわいそうにも思いましたが、これもゴーストタイプの特徴、知ってもらうには良い機会だと、意趣返しも込めて見逃したんです。

 

『そこの岩陰に二匹、草むらに三匹、地中に一匹…おぉお前ら二匹は積極的に近づいてくるな。よっ、オレアクサキってんだ、仲良くしようぜ?』

 

 彼は、全て気付きました。流石に種類までは判別出来なかったようですが、それでも隠れているゴーストタイプの位置や距離感を掴めるなんて、普通ではあり得ない事です。

 

 多分最初のそれが原因ですね。

 ゴーストタイプ達が執拗にイタズラしてくるのは。彼らにもプライドはありますから、全く驚きもせず、怖がりもしない。

 挙げ句の果てに自分の居場所を突き止めて挨拶してくるなんて、一泡吹かせないと気が済まないでしょう。

 

 まぁ、大半は今みたいに事前で気付かれているので、クリーンヒットしたイタズラは数回程度しかないのですが。

 これはアクサキさん自身が知らず知らずのうちに薪割って火に投げ込んでいますね。別に彼は何も悪く無いので、気の毒です。

 

 あまりにも酷いようでしたら、僕が一言言っておきましょう。

 

 十分今も酷いですが、これも作戦の一つ。アクサキさんがゴーストタイプに弱い所を見せれば、ヤミラミの恐怖心を消せるかも知れないという期待も込められていますから。そこは彼とも話していますし、大丈夫だと思います。

 

『ーーー!ーーー!』

 

『……』

 

「あ、コラ、人のバッグを勝手に開けちゃダメだよ…大切な物が入ってるかもだから、ね?」

 

 あらら、言ったそばから、ですね。

 

 直接的なイタズラは効果が薄いと感じたのか、二匹がアクサキさんのバッグを物色し始めました。

 人の物を盗ったり、隠したりするイタズラは今回の主旨に反していますし、それ無しにしてもやり過ぎですので止めに行きます。

 

「ねぇ、ダメだってば。ちょっと君たち度が過ぎているよ…?ほら、えーと…それはバッヂケースかな?それもちゃんと戻してあげて」

 

『ーーー』

 

「聞いてる?もう、いい加減にしないとぼく怒るよ?早く返しなさい」

 

 何度呼びかけてもやめようとせず、バッヂケースの様な物を持ったまま固まる二匹。あまりにも言う事を聞かない彼らに顔を顰めるも、それほど言う事聞かない子達だったっけなと首を傾げます。

 しかし持って逃げようともしていないので、ゆっくりと近づいていき、そっとバッヂケースを抜き取ろうとして。

 

 

「ーーーへいへーい、面白そうな事やってんじゃねぇかイタズラっ子共」

 

 

 影が差す。背中に感じる暖かな気配、

 しかし、一抹の違和感を抱きながら、振り返れば、口角を上げたアクサキさんが立っていました。

 

「あ、アクサキさん、すいません。この子達が…アクサキさん?」

 

 いつもより影が濃い目元、それでも分かる色を含む瞳に気圧されながらも、状況を説明しようと口を開きます。

 が、その言葉を最後まで聞く事なく、アクサキさんは僕の横を通って、バッヂケースを持ったまま動かない二匹の前で屈み、手から引ったくるように取り上げました。

 

 今までの彼を見てきて、らしくもないその行動。抱いた違和感が拭えず、困惑します。帽子を取られた時は、あんなに有無を言わさず取り上げたりなどしなかったのに。

 なすがままにされているゴーストポケモン達然り、本当に、どうしたのでしょう。

 

「楽しんでらところわりぃな。しかし、これぁオレの大事な物なんだ。失くされたり壊されたりしたら堪んねぇからよ、返してもらうぜ。おいおいそんな怖がるなよ、ちょっと注意しただけじゃねぇか。ほら、仲直りのハグをしようぜーーもう、やるなよ?」

 

 口調はいつも通りーーーいつも通りと言えるほど、長い時間を過ごしていませんがーーーフレンドリーで、少しワイルドなお兄さん。

 姿も表情も柔らかく、特にこれと言ったものは見受けられません。今も、イタズラした二匹を諭し、優しく抱きしめてあげています。

 

 ポケモンをどこまでも愛そうとしている、いつも通りの姿。後ろに控えているゴーストポケモン達が囃して…二匹は苦笑いです。心なしか、表情に余裕がないような…

 

 確かに感じられるこの違和感は一体ーーー

 

「…い。おーい。ゴースト仮面、聞こえてるか?おーい」

 

「ーーーは、はい!?」

 

「うぉびっくりした…急に大きな声でたな。いやな、暫くゴーストタイプとじゃれついてみたが、この後どうすりゃいいんだと思ってよ。お前に声掛けても返事がなかったもんで…どうしたボーッとしちまって。疲れてきたのか?オレが見張りしとくから、昼寝でもしたらどうだ?」

 

「いえいえ!少し考え事を、していただけで、まだまだ行けますよ!」

 

 意識を揺さぶる声、ハッと顔を上げると、アクサキさんが心配そうな顔をして、こちらを覗き込んでいました。どうやら考え事に集中し過ぎて、アクサキさんの呼び声に気が付かなかったようです。

 違和感の正体が分からないまま急接近してきた彼に、一瞬身構えてしまいますが、直ぐにその違和感が感じられない事が分かり、杞憂に終わりました。

 

 また、僕の勘違いかな…?

 

「それならいいんだが…いや、今日はもう帰ろうか」

 

「え…?い、いや、本当に大丈夫ですよ?これでも僕はジムリーダーですから。ほら、こんなにっ、動けますっ」

 

「それ以前にテメェはガキだ。そんなに飛び跳ねなくたって分かってラァ。日も落ちてきたし、今日知り合った野郎にそこまで尽くす必要はねぇってことだよ。暗くなったら流石のオレでもゴーストタイプに遅れを取りそうだし、なんかあったら親御さんに申し訳が立たん」

 

「で、でも夜は僕にとってホームグラウンドの様なものですし…」

 

「夜遅くまで起きてると背ぇ伸びねぇぞ?十時から一時まではゴールデンタイムっつってな、その間に熟睡してると身長が高くなるらしい。オレも最近その時間に寝るようゲフンゲフンつまりだ、夜のワイルドエリアに居て得られるモノは危険と睡眠不足って訳。すまねぇな勝手な男でよ。もし次の週末暇だったら、またオレとここに来て、ゴーストタイプを扱えるよう手伝ってくれよ、な?」

 

「…そ、うですね…分かりました。約束しましょう」

 

…うん、勘違いだな

 

 やっぱり、なにかの気のせいだったようです。

 しかし、全くアクサキさんは、凄い人だ。確かに少し疲れてきた僕を一目見て、それを当ててしまうんですから。

 

 顔が怖くて、ガサツで、口が悪い、でもそこに有る不器用で柔らかな暖かさ。面倒見の良さで、彼の右に出る人はそうそういないんじゃないでしょうか。

 サイトウさんが心の底から彼のことを楽しそうに話すのが良く分かります。確かにこれは居心地が良いです。

 

…もしこのままサイトウさんに勝てないというのなら、僕の所に来てもらうのもアリでしょうか?

 

「ありがとな。さ、じゃあ帰る準備すっか!覚えてろよお前ら!次来たときはゼッテェに仲良くなってやっからなブハァ!?さ、最後に…丁寧なお見送り…きんのたまッ…!?」

 

『ーーー!』

 

「う、わぁ…い、痛そうだなぁ」

 

 浮かんで来た不思議な感情に首を傾げていると、ゴーストポケモン達に別れの啖呵を切ろうと近づいたアクサキさんが、殴られたのでしょうか。下腹部を押さえて転がり回っていました。

 ゲラゲラと笑うゴーストポケモン、背筋を硬らせながら同じく下腹部を押さえる僕。

 

 とても下らない一コマの日常。ジムリーダーの仕事に加え、いつ終わるかも分からない特訓に、これから目が回るときがくる時が来るかもしれません。我ながら中々無責任な約束をしてしまったなと、ちょっぴりの後悔。

 しかしそれを優に上回る期待に、お腹の底を持ち上げられる感覚、やはり彼との時間は心地が良いと思っている自分がいます。

 

 これから、すごく忙しくなるだろうな

 

 そんな不安を、心から楽しみに思うくらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 でも。

 

「が、は…あ、あれ…あれ…?」

 

「大丈夫ですかアクサキさん?どうしました?」

 

 でもですよ。

 

 

「ヤ、ヤミラミの、ヤツ、どこいきやが…った…?」

 

 

「ーーーえ?」

 

 

 こんなに早くも忙しくなるとは、誰が想像出来ましょうか?

 

 存在の失くなった倒木の上、顔から血の気が引いて行く感覚に目眩を覚えながら、僕はかなり動揺してしまいました。冷静さを欠いて、今思えばなんとも危ない判断だったことか。

 

「あ、お、おい待てゴースト仮面!一人で行く、な!ぐ…そっ、はよ治まれやオレのきんのたま…!」

 

 黄昏が降り始めたワイルドエリア、ヨルノズクの鳴き声が響きわたる、ワイルドエリア。

 

そんな危険地帯を、後ろから飛んでくる制止の声も聞かず、聞こえず。

 

焦燥という魔の手に、背中を押されて走り出してしまったんですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 走る、走る、走る。

 

 息が切れても、草木が身体を裂いても、喉がひでり状態になっても走り続ける。

 

 原動力、すべてはこの背中に突き刺さる様な恐怖心。

 

 あぁ、あの同類達はなんて事をしてくれたんだ。心に有る古傷が再び開き、そこに新たな矢が刺さった。思い出しただけで背筋が凍る。泥水の様な不快感が身体を満たす。

 

 あの時、忘れもしない。

 

 我が真の主人と、アイツが共に時間を過ごしていた、あの時に…自分も同じ事をした。

 

 最初は好印象を持てていた。

 

 主人と余り変わらない身長、されど鍛えられている肉体に、顔に刻まれた裂創の数々。斜めに帽子を被り、ニヒルに笑って見せてきたアイツは、しかし我らが同類達を気味が悪いとせず、主人にも分け隔てなく接していた。

 アイツは天敵を従える者だったが、不快な気配も感じず、波長もそこそこあっていた。

 

 アイツには我らを従えるのに必要な原石があった。

 

 幽霊や、死んだ同類達を直接可視化する事は出来ないが、気配は感じ取れる。

 主人も、彼の秘めたるソレに気付いたのだろう。同族だ、同類だと、絆を深めるのにそう時間はかからなかった。

 

 そのまま幾日か、主人はアイツについて行った。確かに主人は若くて、それにしては忙しい立場にあったが、別に急ぎの予定がある訳じゃない。

 羽を伸ばせと言われていたし、暇を潰せそうな、面白い人間がいたらついて行くのが我らの特徴、ある種のシキタリみたいなものだ。

 

 山道を進み、橋を渡って、焚き火を囲む。主人は心底楽しんでいて、アイツはそれをとても喜んでいた。

 

 一人旅は寂しいから、一緒に時間を過ごせる友達が出来て嬉しい

 

 そんな言葉を吐いて、顔に似合わない、とても懐かしそうな目をしていたのを覚えている。感情に敏感な我らは、それが何なのか気になった。

 が、主人は深く聞こうとしなかった。それ以上に、友達、という言葉に意識がいって仕方なかったようだが。

 

 顔が怖くて 目つきが鋭くて、口が悪くて、だけど気さくで、優しい所謂いいヤツ。

 詰まる所、それが、アイツに対する我らの評価だった。

 

 評価()()()

 

 終わりを告げたのは、ある街に着いたときだ。到着した途端、アイツは行く場所があると別れを告げた。

 当然、主人がそう簡単に離れる訳もない。常に我らは娯楽に飢えており、アイツは飢えを満たすには十分過ぎる存在。

 

 主人は邪魔じゃなければ着いていかせて欲しいとアイツに頼んだ。少し戸惑った様子を見せたアイツは、数秒思案、苦笑いしながら構わないと言った。対して面白くないと思うぞとも言った。

 

 そのまま我らを治療する建造物に立ち寄り、何かの準備をするアイツ。腰に着いた六つの球体を確認し、町の中心へと繰り出していく。

 

 結論から言うと、アイツは修行者だった。

 

 各街に配備された(リーダー)、それに従う者と力比べをする、人間と我らに最も関わり合いのある儀式。それに挑戦する修行者だった。

 

 主人は喜んだ。何せ主人はその儀式に深く関わる重要人物。新しくできた友がソレに挑んでいれば、嬉しくもなるし、応援したくもなる。

 次々と配置された主の手下を蹴散らしていくアイツの背中を見て、主人は満足そうに口角を上げた。

 

 しかしここで問題があった。アイツは、肝心の主には勝てなかったのだ。何度も何度も、アイツは主に敗北を期した。

 一日が過ぎようと、二日が過ぎようと、一週間が過ぎようと…果敢に挑んでは、負け続けた。

 

 最初の数回は、残念だったなと軽い気持ちで眺めていた主人も、後半になってくると流石に焦り始めた。

 何か彼に協力してやれる事はないものだろうかと、我らを交えて考える程に。

 

 立場上、一人の修行者、挑戦者に肩入れをするのは気が引ける。

 だが、それ以上に友が負け続け、挫折してしまう事を恐れた。主人は何度もその様な者達を見てきたし、何より、唇を噛み切る程に悔しがりながらも、何処か瞳に青を灯し、息が抜ける様に苦笑するアイツの姿が、頭から離れなかったのだろう。

 

 だから、不味そうに飯を食うアイツに主人は言った。

 

 ゴースト使いとして強くなる為にも、あくタイプ対策の特訓に付き合って欲しい

 

 極力アイツの心情を慮る言葉。アイツは気づいたのだろうか、二つ返事で頷いた。

 

 主人はこの時、アイツに胸を貸してやる心持ちであった。実際主人はとても強い部類に属していたし、我らもそう考えていた。相性など関係ないと思っていた。

 

 しかし、嬉しい誤算というべきか。

 

 アイツは、我らに対し滅法強かった。

 この街の主とのバトルとは比にならないくらいに、的確な指示を出し、冴え渡った思考で此方の動きを読んできた。

 完璧に虚をついた筈のかげうちを気配で察知し対処してきたのを今でも覚えている。反撃で食らったあくのはどうの痛さは忘れもしない。

 

 拮抗した戦いの結果、主人は負けた。

 

 もしかして、手を抜いていたのだろうか。相性不利とはいえ、あの主人が苦戦を強いられ、惜敗したのだ。

 アイツは従えている属性的に、我らや念力使いの対処には長けていると言っていたが、それだとしてもかなり異色だ。

 

 姿を消しても気配で察知して攻撃を当て。

 

 透過を使って地面に潜っても、霊感的なもので出現場所を割り出し。

 

 霊力や怨念、神通力など不可視の一撃さえ避けれるルートを感じとり指示を飛ばす。

 

 そして何より、アイツが発する凶悪な(プレッシャー)が、我らの心を揺さぶり、苦しめた。

 顔の傷や、目つきに加えて、まるでそれは悪鬼の様で、我らより断然怖かった。

 

 主人はそれらアイツに備わっている力を目の当たりにして、益々気に入ったようだった。久しぶりに熱い戦いが出来る事を、アイツとの時間が更に心地良くなったと喜んだ。

 

 それからは毎日、アイツに戦いを挑むようになった。

 

 惜敗、惜敗、辛勝、惜敗……

 

 勝つこともあったが、それもギリギリで。

 

 こうも立場が逆転し、戦いにも負け続けると我らにも不満が募ってくる。どうにかして、アイツを一泡吹かせてやりたいと皆が考える様になった。

 だが、アイツには我らの透過や姿消しなどが効かないし、何より器がデカく大抵の事は声を上げながらも笑って許してくれる。

 生半可なイタズラでは意味がない。もっと大きな事をしなければ。

 

 そんな考えが、大きな過ちだと気付く事なくーーーアイツの逆鱗に触れてしまった。

 

 さっきの奴らのように物入れを漁り、大事そうにしまってあった、七つある勝者の証を、いじってしまったのだ。

 

『おいおいイタズラっ子共、何してやがんだ?人のバッグを勝手に物色するたぁ感心しねぇぜ?』

 

 底冷えするような声が耳朶を打ち、呼吸が浅くなるのを感じた。そこにいる全ての同族は、かなしばりにでもあったかのように動かない。

 腰を抜かした者もいたし、完全に委縮する者もいた。

 

 それほどまでに発せられた圧は強烈で、向けられる目線には暖かさなど微塵も残っていなかった。

 いつも通り、犬歯が見える笑みを浮かべていたが、中に渦巻く激情はドス黒く、我らの恐怖心を煽るだけだ。ただひたすらに怖かった。

 

 七つの証を返したら、アイツはすぐに許してくれたが、それが意味を為さないほどに、植え付けられたものは大きい。

 主人の様子も、アイツと共に過ごしているうちに少しおかしくなってしまった。固執、独占。少なくとも、自分を簡単にアイツへと送るぐらいには。

 

 自業自得だというのは分かっている。普通に接していれば、普通にいいヤツだというのも分かっている。

 

 だからこそ、そんな過ちを経験してしまっているから。

 

 アイツの裏に、何かとてつもなく禍々しいものが潜んでいるんじゃないかと、恐怖心が募っていく。アイツの元で過ごすようになってから、安眠出来た試しがない。

 

 怖い。

 

 アイツの一挙一動。従える者達。吐き出される言霊。

 

 全てが怖い。

 

 不快だ。

 

 アイツの力ない笑みが。青色に染まる瞳が。痛々しい傷が。

 

 無差別のアイジョウが。

 

ーーーそれを拒んでしまう自分が。

 

 不快だ。

 

 あぁ誰か、誰か頼む。

 

 

「ーーーい、た…!」

 

 

ーーー愚かな自分を、救ってくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、た…!」

 

 すっかりと暗幕が垂れた林、持ち前の霊感と夜目を駆使しながら探した先に、佇む小さな宝石人。安堵の二文字が、身体中を駆け巡ります。

 

 飛び出た音に驚き、ヤミラミは此方を警戒してシャドークローを構えます。

 しかし僕だと気付いたのか、直ぐにそれを解きました。響く安堵のため息。自分でどっか行ってしまった癖に、ホッとしているんでしょうか。

 何故飛び出したか、理由を問いただしたい所です。所ですが…

 

「よ、良かった…!見つかって、本当に良かった…!」

 

『………ッ』

 

 駆け寄って、紫色の矮躯を抱き寄せます。ビクつくヤミラミ、冷たい肌、泥だらけの顔が僕を迎えますが、構いません。

 汗でビシャビシャになった服を押し付け、ギュッと。もう離すもんですか。

 

 本当に良かった。この広大なワイルドエリアで家出もといトレーナー出をするなんて。探し当てられたのが奇跡です。ヤミラミがそこまですばやさの高いポケモンじゃない事が幸いしました。

 これで居なくなってしまったら僕が悲しいですし、何よりアクサキさんに合わせる顔がありません。

 

 流れる風の音。暫くの時間が経ち、漸く落ち着いて来た僕は、ヤミラミの両肩に手を乗せ、その煌びやかな眼を見つめます。

 

「ダメ、でしょ…凄く心配、したんだよ?気付いたら居なくなったから…もう、やめて、ね?」

 

『……。ーーー』

 

 怒っている事が伝わったのでしょうか、申し訳なさそうに目を伏せるヤミラミ。どんな理由があるにせよ、トレーナーをほっぽり出して何処かに消えてしまうなんて…ゴーストタイプと言えばという話なのですが、いけない事です。

 どれほど心配するか分からない悪い子に、少しぐらいの説教は許されていいはず。今度は手を掴み、力の抜けてしまった膝を立たせます。

 

「ほら、帰ろう…?皆んな、待ってる。アクサキさん、が、怖いなら、僕が間をもって…もって………う、ん。出来る限りで、仲介するから」

 

『ーーーッ………ッ……』

 

「君が、アクサキさんの、何に恐れて、何に縛られているか、僕にはわからないし、汲み取ってあげる事も、出来ないけど…でも、やっぱりそういうのは、しっかりと正直に伝えた方が、良いと思うな…案外、簡単に解決することだったりして…」

 

『ーーー!』

 

「お前に何が分かる…なんて言われても…さっき言った通りだよ。僕は何にも分からない。でも、アクサキさんは、違うんじゃないかな…?大丈夫だよ、きっと…彼なら、君の事も…悪いようにはならないよ。ほら…帰ろう、ね?」

 

『……』

 

 優しく頭を撫でてあげます。彼の様には上手く出来ないでしょうが、心を込めて、少しでも和らいでくれる様に。

 完璧に俯いてしまったヤミラミを見て、頑固な子供を相手にしている気分、苦笑いを浮かべます。

 ヤミラミの為にも、もう少しここにいてあげたいですが、そんな事したらアクサキさんの心臓が大変なことになってしまうと思うので、戻らなくてはなりません。

 

 アクサキさん…そろそろ歩ける様にはなったでしょうか?

 

 脚をプルプルさせているアクサキさんを思い浮かべながら、クスリ。

 そして来た道を引き返そうとーーー

 

「危ねぇ!!」

 

「ーーーえ?」

 

 宙を舞う。

 

 喉から漏れる呆気ない声、力の奔流に錐揉み回転しながら、何かに包まれる感触。轟く爆音、漫画のワンシーンの様にゴロゴロと転がり、やがて木にぶつかって止まります。

 視界が上下左右にままならず、脳が揺れ、思考回路がオーバーヒート、痛みを感じません。

 

 滲む視界が、だんだんと晴れていきます。目に映るのは…

 

『ーーーッ…!』

 

 シャドーパンチを振り下ろし、割れた地面の上で此方を睨んでくるーーーヨノワールと

 

「ごふ、いっテェ…お目目がパッチールだぜ…」

 

 鉄の匂いを垂らしながら、僕とヤミラミを抱えて目を回すーーーアクサキさん。

 

 本日何度目かわからない、血の気が引く。

 

「なんで、ヨノワール、気が付かなかったッ…そ、それよりも、アクサキ、アクサキさん!?大丈夫ですかしっかりしてください!?」

 

 帽子が吹き飛び、顕になった額が血潮に染まるアクサキさんの肩を強く叩きます。

 返る呻き声、目を回しながらも、ニヒルな笑みを浮かべて、青黒いガッツポーズ、そびえ立つ親指。全然GOODじゃないですよ!?

 

「大丈夫大丈夫。こんなの、お茶の子サイホーン、ルンパッパよォ…いやぁしかしギリギリだったな。お前らが抱き合ってる所ほのぼの見てたら、後ろからシャドーパンチ構えたヨノワール出てくんだもん。メジャーリーガー並のファインプレーみせちまったぜ。これからオレの事、ヘイガニー・マナフィの再来って呼んで良いよ。あ、あと…あんまり、肩、バシバシ叩かなイッデェ!?」

 

「言ってる場合ですか!?そんな、僕が気が付かなかったばっかりに、身を呈するなんて…!あぁ、頭から血が、ハンカチで止血を…いや、ヨノワールの対処が先…ダメだ、ホルスターはキャンプに置いて来てしまった…僕のバカ!?」

 

 空を切る指、キャンプにゲンガー含むボールを置いて来てしまった事を思い出します。青い顔からさらに血が…心臓バックバクで、ヨノワールの特性プレッシャーも相まってか、今にもへたりこんでしまいそうです。

 

「あーあー顔面蒼白になっちまって、白いお顔が最早舞妓さんの化粧だぞ。まぁまぁ落ち着けもちつけ、こう言う時はメリープを数えるんだ。メリープが一匹、メリープがぶはッ!?」

 

「それを言うなら素数です!あとなんでメリープ、というか、こんな下らない事ばっか言って、このままじゃ全員戦闘不能のひんし状態ですよ!?」

 

「待って、ゴースト仮面待って、先にお前のツッコミで戦闘不能になりそう。オレ怪我人だよ?もう少し威力下げてくれもいいじゃん若干キャラ崩壊してやがるぞお前。あと大丈夫だから落ち着け座ってろ。寧ろパニクって変な事されるとそっちが厄介だ。ほら、オレの後ろに隠れてな」

 

「どこからそんな自信が…楽観主義にも程があります…!!」

 

 ダメだ、きっとアクサキさんは頭を打ってこんらん状態になってるに違いない。適切な判断が出来ないんだ。

 

 なら、僕がどうにか、どうにかしないと…!こうなったのも、彼の制止を聞かずに突っ走ってしまった僕によるもの。

 責任を、取らなくては。

 

 此方を睨んでくるヨノワールを睨み返します。ヤミラミに戦って貰おうとも考えましたが、既にいろんな事が起き過ぎて、心が耐えられなくなったのでしょう。アクサキさんの胸の中で寝息を立てています。所謂気絶、戦闘不能。

 

 よって、今出来る最善の策とは、霊媒師の如くヨノワールと波長を合わせ、気を鎮める事。それしかありません。それしかありませんが…成功する確率は凄く低いでしょう。

 

 ヨノワールは意思があるのかわかっていないポケモンです。

 いや、実際には意思のある個体は確認されていますが、それは全て長い間人の手で育てられた者や、偶々そういう個性、性格を持っていた者ばかり。

 

 さらにヨノワールは人やポケモンの魂を奪い、霊界へと連れて行ってしまうポケモン。

 ゴースト然り、ポケモン界屈指のブラックリストと協会が直々に指定し、依頼を受け持つ際、ブリーダーランクはどんなに低くてもBは必要と義務付けられました。

(九段階評価 S、A〜Hの順 Bは一般的にベテランブリーダーと称され、ポケモン協会本部直属のレンジャーやブリーダーの最低ライン)

 

 それでも誘拐事件などが後を絶たず、毎年協会本部オカルト課が各地の僧侶、祈祷師、サイキッカー、レンジャーにオカルトマニアなどを収集し、被害者救助、魂奪還及び掃討作戦が繰り広げられる程。

 

 僕のヨノワールだって、ブリーダー、呪術師、霊媒師管理下の元、ヨマワルの頃からしっかりと育てたんです。そう簡単に野生のヨノワールを従えられたら苦労はありません。

 大好きクラブの初代会長は目を合わせただけで仲良くなれたと言われていますが…今の僕には関係のない話です。

 

『ーーー』

 

「や、やっぱりダメ、かぁ…!」

 

 案の定、ヨノワールは手に霊力を溜め始めます。シャドーボール、とくこうは余り高く無いとはいえ、直撃したらタダでは済まないでしょう。

 本能が危険を知らせるアラームを鳴らし、脚がガクガクと震えます。

 

 しかし避ける訳にはいきません。何せ僕の後ろには重傷のアクサキさんと、気絶しているヤミラミがいます。ヤミラミはまだしも、アクサキさんに当たってしまったら今度こそ死んでしまうかも知れません。

 ノーダメージの僕にはまだ、受け切れるチャンスがあるんですから。アクサキさんが身を呈して守ってくれた様に、今度は僕が…!

 

 溜まり切ったエネルギー、妖しく光るそれを振りかぶるヨノワールを最後に、来たる衝撃に備え、ギュッと目を瞑ります。

 

 で、出来れば、余り痛くありません様に…!

 

 

 

「いや、だから大丈夫だって言ってんだろ。話聞いてる?あんまり信用してくれねぇと泣くぞコラ」

 

 

 

 けれど、終ぞ僕の胸にシャドーボールが叩きつけられる事はありませんでした。

 

 ゴキリと響く重低音、立ち上がる気配、鋭くも暖かい口調に恐る恐る目を開けば、唇をフルフルさせているアクサキさんと、頬を凹ませながら吹っ飛ぶヨノワール、凛とした佇まいに澄まし顔のブラッキーが。

 

 腰が抜ける。

 へ?っと、思わず情けない声が喉から漏れでます。

 

「あ、アクサキさん…?怪我は…いや、それよりも何したんですか?」

 

 状況を飲み込めず、脳内ケーブルがこんがらがりショート寸前。純粋な疑問をアクサキさんに投げかけます。

 アクサキさんは、あぁ?と声を上げた後、頬を掻きながら答えました。

 

「何をって言われても…ふいうち、わかんだろ?アレをタイミング良く叩き込む様ブラッキーに指示を出しただけなんだが…」

 

「ふ、ふいうち?ブラッキーってふいうち覚えれましたっけ?というか、アクサキさんポケモン持っていたなら早く言ってくださいよ…!」

 

「だから大丈夫っつったじゃねぇか。近くにボールを投げられた事悟られない為にも、無防備演じるしかなかったんだからヨォ。ま、作戦は大成功って言った所だな。中々に名演技だろ?」

 

 そう言ってカラカラと笑い出すアクサキさん。どっと力が抜けます。

 ふいうちを、それもあんなに綺麗に当てたのに、唯当てただけ、なんて…それがどれだけ凄い事か、知ってて行っているのでしょうか?

 

 素早く攻撃できて、威力も高く、技の反動も極めて少ない、あくタイプの先制技、ふいうち。上位の大会などに良く見られ、ここぞという時の決め技として使われる事が多い技です。

 その人気度は、あくタイプで印象的な技は何ですかと聞いた場合、イカサマ、ちょうはつに次いで名を挙げられる程。

 

 代わりに、完璧に相手の攻撃に合わせなければならず、下手したらねこだましより低い威力になって後隙も多く生まれてしまうという、ハイリスクハイリターンな技でもあります。

 ですから、あんな当たり前だろ?なんて顔されても困るんです。

 

 いやでも、本当に良かった、全て演技だったのか…あの額から流れた血も、僕はてっきりかなりの怪我だと思ったのだけれど、アレも大した事なかったなんて

 

「あ、それはホントだぜ?今も血ィ止まんねぇし、ガンガン頭イテェし。なんならアイツのシャドパン当たった右腕スッゲェ腫れてきたからさ。いやぁまいったまいった!」

 

「馬鹿なんですか!?相当な大怪我負ってるじゃないですかぁ!?」

 

 全然大した事だった!?今も血が止まらないなんて、普通に大怪我じゃないですか!なんでそんなに余裕な表情浮かべてるんだろう!頭の怪我なのに!

 

「待ってください、今応急処置を…!」

 

「おいおい、んな事後でいいんだよ。怪我なんざほっときゃ勝手に治るしな。それよりも、今はやるべき事があるだろ?」

 

「何を言ってるんですか!ちょ、頭掴まないで下さい!ちょくちょく思ってましたけど、アクサキさんはホントに怪我に頓着がないですね!そんなではーーー」

 

 応急処置をしようとハンカチを取り出した僕の頭に手を置いて、アクサキさんは渋い顔。

 そんな彼に止血だけでも施そうと、頭に乗せられた手を退かそうと力を込めて。

 

「ーーー今」

 

「傷が残って…今?」

 

 再び響く、重低音。

 

「ーーー!?」

 

「……チッ、流石高耐久持ちのヨノワール。二発で堕ちてくれる程甘くはねぇかぁ」

 

 アクサキさんの表情が更に渋く歪みます。振り返った先には、ダメージを負いながらも、瞳を赤色で染めたヨノワールが。

 ブラッキーがまたしても綺麗にふいうちを当てた事に、アクサキさんの技量の高さが露呈しますが、それよりも、ヨノワールの粘着質な姿勢に唖然、緊張が走ります。

 

『ーーー!ーーー!』

 

「そんな怒んなよ、吹っかけてきたのはテメェだろ?しっつけぇヤツァ嫌われるって親父が言ってたぜ。さ、オレもブラッキーで攻撃しちゃったし、ここは一つお互い様って事で…」

 

『ーーーッ!!』

 

「ですよねー参ったなぁかなりキテやがんぜコイツ。なんでこんなに虫の居所悪りぃんだ?意中のヤツにでもフラれたりしたのか?しゃぁねぇな…ブラッキー、斜め右にあくのはどう!んでもってそっからちょい右にふいうち…今!」

 

 どうやら相当頭に血が上っている様です。制止という名の警告もなんのその。何度も何度も、ブラッキー繰り出すあくのはどうや、ふいうちを食らっているにも関わらず、目をギラつかせ、荒い息を吐きながらアクサキさんへとにじり寄っていきます。

 

 それに対し、溜息を()きながら、的確に指示を出していくアクサキさん。流石あくタイプ使い、完璧にゴーストタイプを捌いていくその背中は、男ながら心にくるものがあります。

 

 というかアクサキさん普通に凄いですね…透過したり、すり抜けを使ってきたりするヨノワールの行動先、全部見極めて攻撃を当てるなんて。

 このバトルだけを見たなら、ジムリーダーのそれと言われても違和感はありません。はて…これぐらいの実力があるなら、タイプ不利とはいえサイトウさんのジムも突破出来そうな感じがしますが…?

 

『……ッ……ッ…!』

 

「いやしぶといなお前、いくら何でも堅すぎんだろ随分と頑張るじゃねぇか。あくのはどうにふいうち、結構あてた筈なんだがなぁ」

 

 しかし、ヨノワールはブラッキーの猛攻に倒れる事なく、遂にアクサキさんの目の前まで到達してしまいました。息を切らしながら、待っていましたと言わんばかりにお腹の口を大きく開きます。

 魂を奪う、ヨノワールの捕食行動。あれに食べられたら最後、現世に残るのは肉体だけとなってしまいます。直ぐにブラッキーで迎撃するべきーーーなのですが

 

「あ、おいブラッキーさんや。勝手にボール戻んないでくれよ」

 

「ーーー」

 

ーーーブラッキーが、あくびをしながらボールへと戻ってしまいました。

 

 予想外の事態、呆気に取られる僕に、苦笑しながらボールに呼びかけるアクサキさん、勝利を確信したヨノワール。

 

 対抗手段がなくなり、絶対絶命のピンチ。

 

 いや、え、何やってるんですか!?

 

「眠かったんかな。まぁいつもこれくらいの時間まで寝てやがるからな、膝も貸してやらなかったし、拗ねちゃったのかも知れん。しゃぁねぇ、帰ったらおもっきしモフモフしてやっかぁ」

 

「のんきな事言ってる場合ですか!?アクサキさん、アクサキさんッ!?早く、逃げてください!早くしないと!?なんで、そんなに余裕そうにしてるんですか!?」

 

「大丈夫大丈夫、時間は稼げたし。ほら、そろそろ正義の騎士(ヒーロー)さんが、颯爽とオレたちを助けに来る頃だぜ?んなら、もうちっとピンチ演出しとかないとなぁ。きゃー助けてー!たべられちゃーう!」

 

「ふ、ふざけるのもいい加減に…!?」

 

 ダメだ、アクサキさん。今度こそ、今度こそ血を流し過ぎて、こんらん状態、適切な判断が出来ないんだ…!現状どれだけ危険に晒されてるか分かってない。

 僕がなんとかしなくちゃ、僕に何か出来る事は…!?考えろ、守って貰ってばっかで、このままじゃ、アクサキさんがーーーアイタッ!?

 

「あのなぁ、ゴースト仮面?あったばかりでキツイ話だと思うが、少しは信用してくれよ…そんな顔されっと、こっちまで悲しくなってくんぜ?ほれ、もうそろそろ来っから、それつけとけ」

 

「イタタ…来るって、なにが…?」

 

 ズンと奥底にクる声色、アクサキさんの真っ直ぐな瞳、乱雑に混ざりあった思考の沼から抜け出します。

 アクサキさんが投げてきた何かが当たった額をさすりさすり、疑問。一体彼は何を待っていて、何が来るのか。

 

 涙目になりながら、それを提示しようとして。

 

 アクサキさんの、曇りのないしたり顔が目に焼きつきました。

 

 

「何って、そらぁ言っただろ?」

 

 

 

 

「ーーーゴロンダ、つじぎり」

 

 

 

 

「正義の騎士(ヒーロー)さんだよ」

 

 

 

 

 一陣の風が吹く。

 

 砂煙を上げながら、アクサキさんの隣に立ったその人の背中は、随分と見慣れたものでした。

 

 砂金の様に綺麗な短髪に黒いリボン、スパッツに包まれた健康そうな褐色の肌、服の上からでも分かる、鍛えられた肉体。

 

 そしてなにより、男よりも男らしく、凛とした出で立ち。

 

 

 

「お待たせしました。貴方の騎士(ナイト)がきましたよ」

 

 

 

 鈴の様に綺麗な声でーーーサイトウさんは、アクサキさんに迫ったヨノワールを吹き飛ばしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、間に合った!確保ー!」

「ランプラー、ほのうのうず!」

「デンチュラ、エレキネット!オクタンはうずしおを頼む!」

 

 サイトウの野郎がヨノワールをぶっ飛ばした後、続く三人のリーグスタッフ。吹き飛ばされたヨノワールを、見事なコンビネーションでたちまちに拘束していく。

 目を回すヨノワール、戦闘不能。漸くそれが確認出来た所で、身体が休めと危険信号、ふッと息を吐く。流石のオレでも、ちっとばかし疲れちまった。

 怪我もあるし、サッサとゴースト仮面とキャンプに戻って、今日は早めに寝よう。

 

「何もう全部終わったみたいな顔して戻ろうとしてんだ?お前にはまだ治療と念のための解呪、事情聴取という名のお説教が待ってんだよ逃げんな」

 

…そうだ厄介なのが残ってた

 

 踵を返そうとしたオレの肩を、いつの間に戻ってきたのか、ガッチリ掴んでくるランプラー使いのリーグスタッフ。言葉の通り、逃がさないと言う意思が伝わってくる。

 

 コイツは以前サイトウとワイルドエリアにいた時、オレの事を見捨てやがったサイキッカー、霊媒師だ。暇なのか、コイツはいつもワイルドエリアをプラプラ回ってやがる。

 オレ自身、特訓とかでワイルドエリアを使う事が多いし、毎回オレの捕獲方法にケチつけてきやがるから、いまじゃすっかり顔見知りだ。同郷だし、話が合うってのもある。

 

 いつもならこのまま一、二時間くらい説教を喰らうハメになるが…今回のオレは一味違うぜ。

 

 何たって、今回は今までとは違い、人助けによる行動だもんなぁ!ゴースト仮面という証人もいる。テメェの長い説教地獄からぁオサラバだぜ!

 

「まぁ待てサイキッカー、落ち着け。今回ばっかしは責められる謂れはねぇぜ?何てったって、一連のオレの行動は、ゴースト仮面を助ける為のもの。人として、当たりまーーー」

 

「テメェオニオンさんの事ゴースト仮面って言ってんのか!?不敬にも程があるだろふざけんな!てか何オニオンさんとワイルドエリアデートしてんだよ羨まけしからん俺と変わりやがれ!!」

 

「何処でキレてやがんだテメェは!?訳わかんねぇ事言ってんなよデートな訳ねぇだろ!デートってのは、その、こ、恋人同士のやる奴だろ!オレたちゃ男だ!てかなんでさっきからそっぽ向いてんだテメェ!」

 

「馬鹿野郎おま馬鹿野郎!今の状態のオニオンさん直視できる訳ねぇじゃねぇか!生で見たら死ぬわ!仰げば尊死!浄化されちやう!あとテメェがそういうのでどもっても全然萌えないんだよ萎えるわ!」

 

「えっ」

 

「やかましい!てかテメ、なんて酷い事言いやがる!?顔見て死ぬとかクソ悪口じゃねぇか!謝れよゴースト仮面に!」

 

「そういう意味じゃねえよお前本当にそういう所鈍感だよなサイトウさんが可哀想だわ!この天然タラシ!女だけには飽き足らず、今度はショタか!?ぜってぇさせねぇぞコンチクショー!?」

 

「んでサイトウが出てくんだよぶっ飛ばすぞテメェェ!?」

 

「大丈夫ですか!?今すぐ手当てをしますので…って何やってんの!?」

 

 取っ組み合いが始まる。右頬を抓ってくるサイキッカーと、鼻を摘んで上に引っ張るオレとの、あつき戦いが。

 すぐ様もう一人のリーグスタッフが止めてきたが、両者はまだ睨みあったままだ。めっちゃほっぺイテェ…ぜってぇはっ倒す!

 

「またオニオンさん絡みで揉めてんの?いい加減大人になりなさいよ。ほら、アクサキくんだっけ?怪我したところ見して…うわぁ派手にやったねぇ。こりゃ跡残るかもよ?エルレイド、いやしのはどうお願い」

 

「ほら言われてんぞサイキッカー、大人になれよみっともねぇぞ?」

 

「何度も何度も何度も何度も注意してんのに、事の重大さを理解できないオツムの弱ぇお前には言われたくないな!いい加減にしねぇと、サイトウさんにいいつけんぞ!」

 

「バッ、テメェそれ言ったら戦争だろうがァァ!?」

 

「ちょ、暴れないで治療中!傷が開くよ!?」

 

 コイツが言っちゃいけねぇ事言った!言っちゃいけねぇ事言った!!サイトウにバレたらヤバイ事になるに決まってんだろうが、人にはやっていい事と悪い事があるんだぞ!?

 

「ーーーぷっ、アハハ!やっぱりアクサキさんは、愉快な人です。さっきまであんなだったのに…一緒にいるサイトウさんは、毎日が飽きないでしょうね…羨ましいです」

 

 唸り合ってるオレたちに、割って入るかの様な笑い声。振り向けば、お腹を抱えて、目に涙を浮かべながら笑っているゴースト仮面が。

 

 なんか唐突にオレを褒めてきやがった。

 愉快?オレが?馬鹿野郎、オレはクールなあくタイプ使い。愉快なんて言葉とはかけ離れた存在だぜ?コイツめ…もう少し審美眼という奴を磨いてやった方がいいな。

 

 それにサイトウの野郎が飽きてねぇ訳ねぇだろ。何ヶ月顔あわせてると思ってんだ。そろそろヤツも次の街に進ませたいと思ってる筈だぜ。飽きてねぇのは、どっちかっつぅとオレの方じゃねぇか?

 

「して、アクサキさん。ジムチャレンジは、一回だけなら四番目と六番目のジム選択を変更する事が出来るんですよ。知っていました?」

 

 一頻り笑ったゴースト仮面は立ち上がり、寝ちまったヤミラミをオレに手渡してくる。サイキッカーがめちゃくちゃ青い顔しながら睨んでくるが、訳わからんから無視だ無視。

 そりゃ、開会式のときにそう説明を受けたから知ってるが…それがどうしたんだ?

 

「アクサキさん、最近チャレンジが停滞してきたんですよね?良かったらーーー僕の所に来てもいいんですよ?」

 

 そう言って、笑みを浮かべて手を握ってくる。頭に疑問符を浮かべているオレに、ゴースト仮面が甘美な誘いをドストレートで打ち込んできた。

 

 なんか嫌に粘着質で、一瞬マリィが頭を過った気がするが、気のせいだろう。クソ、ゴースト仮面め…なんて優しい子なんだ…!

 特訓に付き合ってくれるだけでは飽き足らず、オレがジムチャレンジを突破出来る様に心配してくれるなんて…!

 思わず涙がでそうだぜ、ガキどもが積んできた花束を渡されて号泣してた親父の気持ちがわかる気がする。

 

「あ〜成る程な。確かにお前んところに行ったら突破出来る可能性が上がるもんな。ゴーストタイプだし」

 

「なら…」

 

「でもやめとくわ」

 

 まぁ勿論答えはNOなんだけどな。悪りぃなゴースト仮面、舐めてもらっちゃ困るぜ。

 オレにはな、ジム変更をしたくない大きな理由があるんだ。それだけは曲げちゃいけねぇって、決めてあるからさ。

 

 何故…?と困惑した表情を浮かべるゴースト仮面。そりゃ名案却下されたらそんな表情にもなる。ガキの考えた案は極力否定したくないが、流石にそれはな。

 でも悪い事じゃないってことを、理由だけでも教えてやらなくちゃな。スゲェ自分勝手な理由だし。

 

 

 

「だってそんな事したら、サイトウの野郎に会えなくなっちゃうじゃん」

 

 

 

「「「「「…え?」」」」」

 

「え?」

 

 何、みんなどうしたんだよそんな目で見てきて。オレ変な事言ったか?

 




アクサキ
ジョウト地方出身。
マリィから借りた少女漫画で号泣した。サイトウにボコボコにされるシーンばかり書かれるため、弱いと思われがちだが、タイプ相性関係なしなら普通に強い。
相性有利のエスパー戦やゴースト戦の時には鬼と化し、その時だけはジムリーダーとも引けを取らないと言われている。

念波や霊力をそこそこ感じ取れるという、一応サイキッカーの適正持ち。
本人曰く、エスパーやゴーストには負けないように修行してたら、なんか勝手に身についた、との事。
ポケモン世界なら割とこういうのあるんじゃないかな、超能力者普通にいるしと考えた作者による勝手な考察&妄想。
何度かオカルト課から声を掛けられた事がある。全部断ったらしいが。
相性有利戦に滅法強い理由は、彼の性格故か、はたまた……
本人はまだ、奢られた分を返してもらう為という理由で言ったのを、誤解されていることに気がついてない。

サイトウ
ラテラルタウンジムリーダー。
リーグから定期的に依頼されるワイルドエリアの警邏を行なっていた際、リーグスタッフの一人から応援を頼まれ、いち早く駆けつけた凄い子。
愛ゆえに出来た技と本人は語っている。
どういう原理で要救助者がアクサキと分かったのかは謎のまま。
多分聞いても愛ゆえにとか言われて長くなるから割愛させてもらう。

オニオンがアクサキにした提案に戦々恐々したが、アクサキが最後に言った一言に見事胸をふいうちされた。
ちゃっかり録音済み。
帰ってからどのように式を上げるか考えたらしい。
子供も沢山欲しいと。アクサキ逃げて、超逃げて。

オニオン
ラテラルタウンジムリーダー。
今回色んな意味でアクサキ的にも、サイトウ的にも、作者的にも一番危なかった子。作者はタグ、後は察して。
一連の出来事を通して、アクサキに対し危ない扉を開き掛けた。家に帰った後めっちゃベッドの上ゴロゴロしたらしい。
因みに途中から仮面が外れていたが、本人が気付いたのはお風呂に入る前。
後日アクサキにその事を伝えたら、中々可愛い顔してんじゃねぇかとあくタイプ笑顔で言われ、ン゛ッ!となった。
マジで気をつけないと大変なことになる、この人ヤバイ。
そう再確認するオニオンだった。別に嫌いじゃないか(殴

ヤミラミ ♂
途中から空気だった子。
いやマジですまん。
アクサキとはホウエンで出会っており、ガラルに渡航する際に譲り受けたポケモン。
ある一件により、アクサキの事を恐怖の対象として見ている。
しかし、今回の出来事により、少し見る目が変わった。
が、アクサキがヨノワールと戦っているときに目が覚め、その姿を目の当たりにしたのでやっぱりダメだった。
現在はオニオンの所でアクサキに対するリハビリを行なっている。
オニオンに凄い懐いているヤミラミを見て、アクサキは悲しそうにしながらもヤミラミをオニオンに渡すか元の親に戻すか悩んでいるらしい。
因みにオニオンの所にヤミラミが住むようになった次の日、アクサキに一通の電話がきた。宝石。

ブラッキー ♀
正確にはアクサキのポケモンではなく、実家のポケモン。
アクサキがまだはいはいも出来ないときからイーブイとして共に暮らしており、実質アクサキの最古参手持ち。
他の手持ちポケモンからは姐さんと呼ばれ、慕われている。新人手持ちには大体姐さんから指導が入り、アクサキがどのような人物か、どのように生きてきたかを語られる。
コマタナやニューラ、ダーテングは勿論の事、あのシザリガーでさえ彼女の指導には根を上げた。
曰く、主人の事になると話が長くなるらしい。
それも淡々と話す、とのこと。基本的に放任主義の自由人であり、アクサキの現状を黙認している。
それは彼の一番は自分という余裕の現れか。
流石ブイズの中で一、二を争う高耐久。130は伊達じゃ無い。クーデレ。

リーグスタッフA
ランプラー使いのサイキッカー。
分類は解呪などを生業にしている呪術師。ブリーダーランクはCであり、そこそこの腕前をもっている為、ポケモン協会ジョウト支部アサギ部署からガラルへの赴任を命令され、こんにちまで働いている。
今年で5年目。大霊戦(大規模霊界掃討及び魂奪還作戦 ヨノワールのやつ)には参加した事無いが、定期的に行われる小規模のものなら参加した事がある。
オニオンファンクラブ会員番号1598。
しかしお気づきの方もいるだろうが、名前が記されない時点でコイツの出番は…

リーグスタッフB
エルレイドでアクサキの傷を治したサイキッカー。
分類は占い師。ネイティオを持っており、先見による救助要請を行う。
彼女自身の占いも当たると評判であるため、機会があれば受けてみるのも良いだろう。
ただし婚期の事を聞くと泣くのでそこら辺は慎重に。しかし、お気づきの(r y

リーグスタッフC
オクタンとデンチュラを使っていた男。
一番出番がない。主に水難救助を担っている。酒の席でAとBの愚痴を毎回聞かされる苦労人。しか(r y

いや本当、遅くなってすいませんでした。
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