戦術人形は迷宮都市を満喫する   作:abelu

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狂乱編のC96が可哀そうだったので、初投稿です。



C96ヤーパンの創作世界に立つ

 人形製造。

 それはグリフィン&クルーガーに所属している指揮官が、強力な人形を得る為か、はたまた一日4回行うと任務達成報酬としてもらえる資源のために行う作業。

 ある日、ある地域の基地ではそんな報酬のために最低限の資源で行う指揮官がいた。

 

 30:00

 

 そのタイマーは、”ドイツの旧式自動拳銃と結びつけられた人形(その指揮官にとってはコア)”が来る合図。

 

「任務用の最低資源でコア1つか。ラッキーだな」

 

 その人形の性能からか、その基地が貧乏だからか、着任するであろう人形には悲しい運命が待っていた。

 

     ~30分後~

 

 私はC96のという武器を与えられた人形です。

 私を手にした指揮官は運がいいですよね!

 なんたって、C96は19世紀もっとも成功したと評価されている自動拳銃なんですよ!

 きっと私が来たことで、指揮官は喜んでくれるはずです。

 ならば、私はその期待に応えましょう!

 戦場で指揮官の敵をいっぱいやっつけて、いっぱい褒められるのです!

 そして、ゆくゆくは指揮官と…(≧∇≦)キャー!

 では、いざ行きましょう!指揮官の元へ!

 せ~の!

 

「あなたが私の指揮官なのですね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早速で悪いが、ここは資材が不足していてね、君は解体だ。」

 

 ……はい?

 いま、なんて言いました?

 解体?

 待ってくださいよ。

 私が指揮官に褒められたり、敵をやっつけたり、指揮官を誘惑してキャッキャウフフな展開になったりするはずの私のグリフィン生活は!?

 嘘でしょう!?

 

「…わかりました。早速お役に立ててうれしいです。」

 

 

 頭の中でさっきまでの楽しい妄想は、爆発しました。

 悲しいかな、人形は人間に逆らえないようにできているのです。基本的にyesマン(…ウーマン?)なのです。

 鉄血がちょっと羨ましいです…せめてちょっとだけ逆らってわがままが言いたい…

 今日が私の命日よ!

 んふふ…(´Д`)ハァ…

 私は後ろで待機していた後方幕僚のカリーナさんに言われるがままに武装解除され、とうとう機密保持のために記憶の抹消作業に入ります。

 こんにちは私、バイバイ私。

 私が消えた私は民間用の人形として頑張るでしょう。

 

   ザザッ…

”赦さん……断じて貴様らを赦さんッ! 利益に憑かれ、人形の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい!

代用コアに呪いあれ! その戦場に災いあれ! いつか地獄の釜に落ちながら、このC96の怒りを思い出せ!”

 

 う、うん?これは走馬灯というものでしょうか…人形もそんなものを見るんでしょうか…

 あぁ、準備ができたようです…さようなら

 

 

 消えたはずの私がなぜか存在している。これは一体どういうことなのだろうか?

 

「私は抹消されたはずでは?」

 

「それに関して今から説明いたします。」

 

 うーん、生前?のおよそ30分の間に聞いたことのある女性の声ですね。

 

「カリーナさん…?」

 

「すみません。私はあなたのことを知りませんが、きっと数多の姉の誰かとは面識があるのでしょう。」

 

 いやいや、待って!?

 

「数多の姉って、どういうことなのですか!?」

 

「えっとですね、私達カリーナはグリフィンの基地一つにつき一人はいるんです。それだけじゃありませんが。それはさておき、人形が誕生する前にクローン技術に関しての実験が行われていました。その成功例が私達カリーナタイプです。戦後復興の人員不足の解消を解消するためだったそうですが、実用レベルに成長しきるころには人形ができました。教育などに時間がかかる私達の必要性がなくなり実験は終わりました。」

 

 グリフィンの基地一つにつき一人+α。なるほど、確かに姉妹としては”数多の”という言葉がつくくらいには多いですね……

 ちなみに、私と今話しているカリーナさんは末っ子らしいです。

 

「それでは、本題に入りましょう。まず、編成拡大というシステムには、代用コアや、同一の人形が必要になるのはご存じですよね?」

 

「それはまぁ、戦術人形として生まれた時から記憶領域にインプットされてるから…」

 

「そうでしたね。それでですね、人形の皆さまはかわいいじゃないですか!」

 

 ん、んん????

 いきなりテンションが上がるカリーナさん。

 ちょっと話が飛びすぎていると思います。

 

「仕方ないとはいえ、こんな風に生産されていきなり解体を言い渡すのは、私としてはとても心苦しいのです。ですから、私達は考えました!そんな皆様に、疑似的に人生を謳歌してもらおうと!」

 

「どういうことですか?」

 

「くっくっく…それはですね」

 

 カリーナさんによると、コネを使ってゲーム会社に話を通し、解体予定の戦術人形の記憶とメンタルモデルをあるサーバーに移し、その中で、ある種ゲームのような世界での人生を楽しんでもらうシステムを作ったそうです。

 開発費は、いろんな指揮官との商売で稼いだものを、姉妹からちょっとずつ集めたものだとか。

 要は、指揮官たちのお金ですね……

 語るカリーナさん…すごく悪い笑顔でした。

 

「で、これはメンタルモデルの開発実験の部分もあります。」

 

 というのも、戦術人形は意図的に”死”を恐れないようになっています。

 だが、人と同じように死という概念を与えれば、生存性向上と特殊技能の発現を促せるのでは?という意見もあったそうで。

 そんなわけで、カリーナさんの計画はI.O.Pの協力も得られたそうです。

 

 …ちなみに、一定の成果がでた場合、カリーナさんに収入が入るとのこと。

 

「解体される人形は人生が与えられ、I.O.Pはメンタルモデルの観察データが手に入り、私達とゲーム会社には収入が入る。みんな幸せですね!」

 

 自身の善意すら回り回って収入に変える…カリーナさん、恐ろしい人!

 

「というわけでc96さんには、私がサルベージした日本の創作物の世界を再現した、”ワールド1”に行っていただきます。頑張ってください!」

 

 怒涛の展開です。生まれて30分くらいで戦術人形としての私は死んで、仮想的に人間として生まれ変わるのです!

 うん、意味が分かりませんね!

 

 

 

 

 

 ここは、どこでしょうか。

 無事、仮想空間内で目覚めた(起動した)と思ったら、知らない木の天井が私の視覚情報として飛び込んできました。

 体を起こすと、私の膝のあたりで、私と同じ白髪の少年が眠っています。

 どうしようか反応に困っていると、少年がもぞもぞと動き始め、大きく伸びをしました。

 

「ふぁはぁ……あれ?」

 

「……おはようございます」

 

「じいちゃん!女の子が起きたぁあああああああああああああ!!」

 こちらに気づいたようなので、気さくに挨拶をすると、少年は弾くように立ち上がり、慌しく外へ飛び出していきました。

 え、何その反応は……第一世界人?に猛ダッシュで逃げられたんだけど……

 いや、まぁ人を呼びに行っただけなのだろうけどさ。

 

「おぉ、目が覚めたようで何よりじゃ。」

 

 ほら、クルーガーさんがいらっしゃいましt……く、クルーガー社長!?

 

 

 開け放たれた扉の向こうには、G&Kのクルーガー社長(の毛をすべて灰色にしたような人)が立っていました。

 

「おや、ワシと誰かを勘違いして居るようじゃが、生憎そのクルーガーとやらではないぞ。」

 

「いやいや、あなた社長でしょう!?こんなところで何やってるんですか!?職務にお戻りになってください!!」

 

「ちが、落ち着け!落ち着けというておろう!?痛い痛い!髪をつかむな!わしはその社長ではない!禿げる!やめっやめろぉおおおおおおおおおおおおお!」

 

 勘違いでした。あわてて手を離したら、髪がごっそり抜けてて、ちょっと禿げ……いや、やめておきましょう。

 私は電光石火の勢いで平伏した。それはもう額をこすりつけて謝った。

 

「うぅ……禿げてしもうた……もうワシお婿いけない……」

 

「おじいちゃんはもう、お婿さんって年じゃないよ?」

 

「ぬぉ!?まさかの孫からのダイレクトアタック!?わしは、ワシは悲しいぞぉ……ベルよぉ……」

 

「あの、謝ってるこっちが言うのもあれなんですが、身内で漫才し始めないでください。話が進みません。」

 

「ウォッホン!……して、何の話じゃったっけな?」

 

「何の話もしてないです。」

 

「そうじゃったのう!お前さんがどうしてここにいるかの話じゃった!」

 

「……」

 

 この気さくなおじい様によると、日課の狩りをしていたら、木陰で気絶している女の子を見つけたので捨て子?かと判断し、家まで連れてきたとか。

 

「そうか、捨て子といえば捨て子ですね。私。」

 

「なんじゃ。やけに達観しておるではないか?」

 

「いや、まぁいろいろとありましたねぇ……」

 

 というと、空気が重いというか、いたたまれない雰囲気になり始めたので、無理やり話を変える。

 

「そ、そういえば自己紹介まだでしたね!私はC96といいます!」

 

「お、おう……それは囚人番号か何かか?」

 

 しまった!話題をミスったかもしれない!今の名前では機械的に過ぎた!あぁ、また空気が重く……

 

「ウーム、ならばグレイという名前はどうじゃ?C6で白、96で黒。併せて灰色じゃ」

 

 人懐っこい輝くような笑顔を向けながら、さらっと名前を授ける爺。

 

「グレイ、ですか。いいですね。」

 

 さっきの名前より、よほど人らしい名前です。

 

「ほほぅ、気に入ってくれたようじゃな。では、改めてわしはエゴールと名乗っておるよ。」

 

「ぼくは、ベルだよ!グレイ、よろしくね!」」

 

 

 

それからどした。

私はグレイクラネルになった。

私はエゴールの養子になった。

私はベルの妹になった。

私は畑を耕している。

私はエゴールに常識などを教えてもらっている。

私は英雄にあこがれるベルと殴り合いをしている。

私はエロ爺を畑に植えた養分にしようとした。

私は

私は

私は……

 

 

 

 平和だぁ~~!!

 

 いやぁ~平和っていいですね~。

 戦術人形だったら、頭や四肢のどこかが吹き飛ぶことが当たり前になってそうですね。

 それに比べて、ちょっと土をいじって、植物を観察して、兄と足り回ったりして遊んで、一部剥げの頭をしばいて、育てた野菜を使った普通のご飯を食べて、そして寝る。

 (*´Д`)はぁ~幸せ

 

「とう!」

 

「せい!」

 

「やあ!」

 

「どっせい!」

 

 え、何してんのかって?

 兄の本気の蹴りや拳を、避けたり、撃ち落としたり、いなしたり、たまにこっちも殴って蹴ってをしてるだけですよ。なんでも、祖父ちゃんの語る英雄譚に憧れているというので、

 

 取り敢えず、殴る蹴るを寸止めして暴力に慣れてもらい、その攻撃を弾く、流す、避けるができるようになってもらったり。

 薪を割るとき、どうすれば綺麗に割れるか競争したり。

 山を走り回って、足腰を鍛えたり。

 日常の動作でそれっぽいことをさせて、なるべくこの純粋無垢でひ弱な兄が、願わくば現実を見てくれるよう促した。

 

 駄目だった。

 あのエロ爺の話を聞くたびに、ハーレムやらなんやらを憧れるようになる。

 まぁ、エロ爺とは言うけれど、私にセクハラすることはない。いや、やってたら全身の毛という毛を引ん剝く。

 たまに来る親しい女性のお客さんにセクハラをして、爺を畑に埋めるのを手伝うけど。

 話を戻して、兄は少し嫌がってた畑仕事とか、洗濯とかの家事を、鍛錬と称してまじめにやってくれるようになったのでいいや(諦め)。

 

 で、型も何もないけれど、祖父ちゃんに『冒険者流格闘技』なんてものを教えてもらい、いつの間にか打ち合うようになった。

 いやね?この世界、現実並みに治安悪いんですよ。

 しかも、龍やらなんやらモンスターがいるっていうじゃありませんか。

 そこに、銃を持たない戦術人形が一人。

 ちょっと身を守るすべくらいは欲しいかな?って思ったわけです。

 

「グレイ、今日はここまでにしようか。畑仕事しなきゃ。」

 

「そうね、もうちょっと続けてもいいけれど、やるべきことはやらなきゃ。」

 

 二人して同じような動きするもんだから、決着がつかなくなりました。

 これ以上は、基礎能力あげて動きを早くするか、一発一発の威力を上げるしかない気がする。とか考えながら、土に鍬を綺麗なフォームで振り下ろすのでした。

 

 

 

 かつーん、かつーん。

 日の光が届かず、空晴れ渡る真昼間だというのに薄暗い森の中で、演奏会のごとく独特の音が響き渡る。音の発生源をたどると、光が差すちょっとした広場に出て、

 

「もっと大きい木も切ってみたいな~」

 

 そう愚痴をこぼしながら、斧を一本の木に振るうベル。そしてそれを、そばにある切り株に座りながら眺めるグレイの姿があった。

 

「いやいや、持って帰る時を考えようよ。二人して、いまだにひーこら言ってる有様でしょ?」

 

「いつか。そういつかの話だよ……あ、半分まで来たから交代ね。」

 

「はいはい。ベル兄ぃ、そっち危ないからこっち来て。」

 

 かつーん。かつーん。

 

「祖父ちゃん、この頃どんどん元気なくなってきたね……」

 

「そうだね……祖父ちゃんがそんな簡単にくたばる人間だとは思えないんだけどね……ああなるまで、死因は痴情のもつれで刺されるぐらいだとばかり……」

 

 そう、祖父ちゃんがぶっ倒れた。

 狩りをしていたら、毒蛇が喉元を食いちぎったらしい。

 すぐに回復ポーションを使い傷は治せたが、解毒ポーションは家にもなく、医者が来て解毒ポーションを処方したときにはもう手遅れだったらしい。体から毒が消え切らなかったそうだ。もちろん、消しきるポーションもあるが、いかんせんお金がなかった。

 

「ベル兄い、心の準備はした方がいいと思う。」

 

「うん……」

 

 看病は?と思うかも知れないが、

 

『この寒い季節にわしを温める為の薪がないのはシャレにならん。ワシのために二人で行きなさい。』

 

なんて言って、無理やり家を出された。

 せめて、あの気遣いがへたくそな優しい祖父ちゃんのために、さっさこの木を伐採して持って帰ろう。その思いで斧を振るっていると、木がバランスを保てなくなり、倒れ始める。

 

「あとは、小分けにしないとな……」

 

 そう、ぼんやりとつぶやくベルの耳が、ドシ、ドシという足音のようなものを捉えていた。

 聞こえる方向に振り向くと、木々の隙間から、異形が垣間見える。

 でっぷり肥え太った腹に、貧相な腰巻。一般的な大人より1.5倍は大きいその人型は、イノシシのような顔。

 オーク。

 この森にいるはずのない怪物が、こちらに向かって走ってきていた。

 

「グレイ!今すぐ逃げよう!オークがこっちに向ってきている!」

 

 顔を真っ青にしたベルが叫ぶ。

 

「そうだね、逃げよう。でも、家まで来るかもよ。どうするの?」

 

「それは……」

 

 仮に、家までたどり着いたところで、いるのは動けない祖父ちゃんだけ。

 ここらへんに、このオークを倒しきるものが現れるのは何日後?

 

「ねぇ、グレイは逃げて……」

 

 今日この日、僕は冒険をしよう。

 だって、今までの日々はそのためのものだから。

 

「嫌だね。むしろ、ベル兄いが逃げたら?」

 

 どうやら考えることは同じだったようだ。

 同じ髪の色の少年少女は互いに苦笑し、その手で斧を構え、相手をにらみつける。

 怪物は、偶然見つけた人間2人の構える武器が貧相な斧だとに気づき、嘲笑うかのような表所を浮かべ、加速する。

 

 こん棒が届く距離まで接近したオーク。

 全身の体重を乗せた次を考えない一撃を振り下ろし、土煙と木の葉が舞い散る。

 こん棒に血とくず肉が付着している光景は、しかし何もなかった。

 

「この先には、行かせない!生かせない!」

 

 だって、僕らがここをとしてしまえば、その先には親切な村の皆さんがいて、僕らの家があって、何より僕らを愛し育ててくれたお祖父ちゃんが臥せっているのだから。

 

 横っ腹を切り裂く一撃。油断しているところを死角からの攻撃。

 オークは、撃ち払って防ぐことはできなかった。が、天然の鎧が刃を通さなかった。

 振り抜こうとして斧の柄が折れた。何せ木こりが切る為の斧。もとより戦闘用ではない。

 己を傷つけようとした羽虫を振り払おうとする。

 

「がぁっ!?」

 

 左腕に衝撃が走り、白兎が吹き飛ぶ。

 叩きつけられたベルは額に血を流しながら、立ち上がろうとして、殴られた左腕がうまく動かないことに気づいた。

 正確には、あらぬ方向に曲がっていた。

 

「ベル兄い。生きてる~?」

 

 その声で、視界を上げると、そこには、オークに刺さったままの刃の部分をさらに斧で打ち付けているグレイがいた。

 刃が腹により深く刺さったオークは激痛にもがき苦しみ、狂ったようにこん棒を振り回す。

 一撃目を避け、二撃目も危なっかしくよけ、三撃目で足を狙われ飛び上がったところ、四撃目の切り返しが小さな躯体を捉えてしまった。

 ベル同様叩きつけられたグレイは気を失ってしまった。

 

「グレイっ!」

 

 一撃。たった一回殴られただけで二人ともこの有様。

 無謀だった。それはわかっていた。このままでは自分だけでなく、グレイも殺される。

 グレイを巻き込んで、勝手に動揺して、あっけなく吹き飛ばされて。

 様々な後悔がベルを蝕み苦しめる。

 

「ワシの孫たちに何しているんじゃこの豚がぁああああああああああああああああ!!」

 

 聞きなれた声。助けてくれる安心感と、どうしてここにいるんだという怒り。

 僕たちのお祖父ちゃんが、右手に物干し竿を携えて、そこにいた。

 

「ぬおりゃぁああああああああああああああああ!!」

 

 物干し竿を持った腕が一瞬かすんで、風を斬る音共に、爆砕音が鳴った。

 何かと見れば、オークの首から上が消失している。

 お祖父ちゃんはオークが消えていくのを見届けた後、グレイを抱えて僕の隣に降ろし、僕らにポーションを飲ませる。

 

「ベル!グレイ!無事か!?どうしてこんな無茶をしおった!?」

 

「それはこっちのセリフだよ……どうして来たの……?」

 

「なぁに、子が危ないとなれば、親はそれを守ろうとするものよ。」

 

「だからって!口から血を吐いて!片腕がないじゃない!」

 

 お祖父ちゃんの体はボロボロだった。毒が残っている状態で無茶をして血を口から吐き出し、あり得ない力で何かを投げ、それに体がついてゆかず腕が消えていた。

 

「ほほっ!この傷こそ、親の誇り高き勲章よ。なに、これから死にゆく者の命で未来ある子の命を守れたのじゃ。どうということはない」

 

「でもっ!」

 

「お前たちはもう立派に生きていける。それに、いずれは別れが来るものじゃ……それが早まっただけよ」

 

 こんなにボロボロなのに、痛くて苦しいはずなのに、優しく言い聞かせるような声。

 

「おじい……ちゃん……」

 

「あぁ、よかった。グレイ、よく無事だったな。二人とも、よく頑張った。」

 

「……そこは、『どうして逃げなかった』って怒るところじゃない?」

 

「はっ、お前がのんびり寝ている間に怒ったわ」

 

 

 

 それから、オークの魔石を拾って、二人で止血したお祖父ちゃんを担ぎ、家に帰りました。

 お祖父ちゃんの右腕にポーションを吹っ掛け、傷も防いだので、何とか一命をとりとめました。

 夕飯は小さな英雄の誕生祝いだとかで、私が腕によりをかけ、豪華な食事になりました。

 夕食の時間はとても幸せでした。

 小さな宴はお開きになり、ベル兄いはあんなことがあったので疲れて机の上で眠ってしまいました。

 私が食後の片づけをしていると、暖炉の前の椅子に座るおじいちゃんが静かに話し始めます。

 

「のう……グレイよ……片付けながらでいい。聞いてくれ。」

 

「うん。」

 

 この幸せはずっと続いてくれることはなかったようです。

 

「もう、ワシは助からん。」

 

「そっか……」

 

「二人には、オラリオに行ってほしいと思っておる。」

 

「いきなりですね」

 

「前々からそう思っておったんじゃよ?」

 

「ベル兄い?」

 

「うむ……ベルは優しすぎる。きっと、ワシを置いてはいけないじゃろう。」

 

 そういって、ベル兄いの頭をなでるお祖父ちゃん。その顔はずいぶんと白くなっていた。

 

「わかった。その時が来れば、ベル兄いとオラリオへ行くよ。」

 

「グレイよ、ほんとうにベルと同い年なのか?しっかりしすぎじゃろ。もうちっと悲しんでもいいんじゃぞ?」

 

 アハハ…と苦笑いしながら、誤魔化す。いや、まさか、中身がベル兄いより年下ですなんて言えない。

 

「のう、ワシはいいおじいちゃんだったか?」

 

 そんなの、答えは一つしかない。

 

「えぇ、とっても。」

 

 万感の思いを込めて、5年近く育ててくれたことに感謝を気持ちを伝える。

 

「そうか……そうか……それはよかった……」

 

 お祖父ちゃんは白い顔に澄んだような笑顔を浮かべ、一筋の光が零れ落ちた。

 

「お祖父ちゃん……お休みなさい。」

 

「あぁ……お休み。」

 

 

 翌日、暖炉の前で安らかになくなっていたお祖父ちゃんがいた。

 ベル兄いは大泣きした。それはもう泣いた。

 そのベル兄いの頭を、泣き止むまで胸に抱きよせて慰めた。

 これではどっちが上なんだか。

 遺体は、村の神父さんが引き取り村の皆で葬儀した。

 エロ爺ではあったが、なんだかんだ愛されていたんだなと実感した。

 

 

 さて、そんなごたごたが片付き、家も村の村長に譲り、オラリオへ出発し、私たちは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷宮都市に立っていた。




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小説を書くって、難しいですね……
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