10.妖怪山反乱異変①
【妖怪の山本部にて】
「いやぁ、実に惜しかった。」
とある天狗がそう言う。
「もしあの時、紅の館の勢力が勝てば我々天狗の幻想郷内での地位は上がってたのになあ。」
「本当だなぁ、大天狗様が奴等を倒して幻想郷の英雄になる。その功績で天魔を今の地位から蹴落とせる上にこの幻想郷での権力も鰻登り。そうすれば俺たちもうまい汁が吸えたってのになぁ。」
他の天狗達が同調する。
「いや、そうでなくともこれから大天狗様は天魔を今の地位から蹴落とそうと準備されているらしいぞ。」
一人の天狗がそう言う。
「というと?」
「お前ら知らないのか?ある白狼天狗の能力を使って天魔を落とし入れようとしているらしい。」
「本当か?仮にそうだとしてもそいつは信用なるのか?」
「そうだぜ。それに白狼天狗ごときにそんな大役が務まるとは思えんが。」
「信用するもなにも、そいつは大天狗様の命令に逆らえない。逆らうと死ぬからな。とある古の禁術らしい。そいつの能力については教えてもらえなかった。」
「ああ、例のあの禁術か。正直あんまり信用ならんが…その白狼天狗の名は?」
「ああ、天星 社ってヤツだが。知ってるかお前ら?」
「ああ!あいつか!結構な美人だよな。すべてが終わったらそいつを俺たちにくれないか聞いて見ようぜ。」
「いい考えだ!」
そう天狗達は下卑たことを言い出した。
「おっとこの会話を聞かれたらまずいな。」
「そうだな。」
そう言って天狗達は笑い始めた。
とある白狼天狗の男に聞かれている事も知らずに。
「まさか!あいつがそんな!」
その白狼天狗はあまりにも純粋で正義感に溢れていたが、どうすればいいか思い悩むことになる。
≪side out≫
≪数日後≫
【妖怪の山哨戒任務集合場所にて】
≪side 牙≫
ああ、俺はどうすればいい。
「……様。」
あいつとはガキの時からの付き合いだ。
「…ば様!」
思えば、最近になって妙に大天狗に呼ばれていた。あいつは俺よりはるかに優秀だとは思ってたんだが。
「牙様!!!」
「おっおう!?」
俺は声をかけられていたことに気づく。
「どうされたのですか?ぼうっとして、あなたらしくない。」
彼女は、犬走 椛。俺の後輩でよく任務で一緒になる。俺は彼女に一人前になってもらいたくいつも厳しい態度をとっている。
「なんでもない。すまないな…。」
いつも厳しく接している先輩がこうでは説得力がないな…
「何か悩み事ですか?解決できる保証はありませんが、他人に打ち明ける事で気分が晴れる事もあります。私で良ければ聞きますよ。」
彼女はそういったが、そんな事に彼女を巻き込む訳には行かない。
「悩みなんてないぞ!そっそうだな!最近読んでいる本が面白くて夜遅くまで読んでしまった!いやぁ俺としたことが!」
彼女を騙すようで悪いがいた仕方ない。
「そうですが…。」
まだ少し疑いの目で見ていたが、これ以上は聞いてこない。
俺はひとまずホッとした。
この日俺は妖怪の山に迷いこんだ人間を5人も見逃すという大失敗をした。
≪side out≫
≪side 椛≫
信じられない!
あのむちゃくちゃ厳しい牙様があんなミスを犯すなんて!
思えばここ数日、彼はずっと上の空だった。
いつからだったか…
そうだ!紅い霧の異変が解決したという報告のために呼び出しされてからだったと思う。
これは何かあるぞ!っていうかこれ以上こんなミスされたら困る。連帯責任で私まで罰を食らうんだぞ!このままではいけない。
う~ん、どうしたものか…。
はい。今回の章は先輩方の回になります。果たして後輩はどう動くのでしょうか。
なんか急に難しくなってきたなぁ、色々と…