≪side 椛≫
牙様と別れた私は大天狗の不祥事に関する証拠を集めていた。まあでるはでるは、闇取引から賄賂まで暗殺の証拠すらある。
「急げ!あちらから大きな音がしたぞ!」
大天狗の部下が大勢大きな音のした方に向かっていった。どうやら牙様と社様が戦っていることがばれたようだ。
私は急いで例の本のある大天狗の部屋まで行った。
部屋の前まできた私は気づいた。
…中にいるな。
部屋の中から八つの人型の生き物がいる。そのなかで一体特に強い気配を感じる。恐らくそいつが大天狗だろう。しかしどこか不自然な力の大きさだ。まるでどこかから取って付けたような感じだ。
私達が作った禁術ではないようだが…
私は障子を勢いよく開け中に入った。すると先程開けた障子が勢いよく閉じた。
そんな中、私は七人の烏天狗に囲まれた。
そして、一人の偉そうな烏天狗がゆっくりと拍手しながら嫌らしい笑で近づいてきた。
「おやおや、誰かきたと思ったが白狼天狗の小娘ではないか。」
大天狗がそんな事を言っていたが私は机の上においてある魔書「omninomicon」に目を配った。
それは私の大事な12人の配下の一人、人間であったが「世界の真理を知る程度の能力」を持った天才魔術師のエルマ・ファウストによって書き上げられた魔書。彼女の能力を用いて彼女自身が知り編み出した全ての魔術が書かれた書。
あれは人を不幸する物ではない。全ての発展のために存在する物だ。しかし私の手に余る。私が殺した彼女のためにも、いつかあの本を正しく使える者が出てくるまで封印しなければならない。
「白狼天狗の分際で俺を無視するとは!後で後悔させてやる!」
自分の発言を見下しているやつに無視されるのが気にくわなかったのか突然怒りだした。
「まあいい、誰に命令されてここにきた。お前ともう一人の白狼天狗が俺を嗅ぎ回っていることはもうすでに知っているからな。しかし問題は誰が首謀者なのか、白狼天狗ごときにそんな計画は出来ないからな。」
…こいつ、やたらと白狼天狗を見下してくるな。
「首謀者なんていませんよ。私達の目的は天星 社様の解放とついでにあなたの反乱の証明ですよ。」
私は敬語で答えた。
すると、奴は突然笑いだしこういった。
「あの白狼天狗の解放だと!面白い!まるで獣畜生のような仲間意識だな!あんなクズのためにわざわざ自殺しに来たと言うのか!」
そんなことを言う奴に私は一言こう返した。
「あなたよりはましだと思いますけど。」
案の定と言うかなんと言うか…
「なんだと!!!」
怒り出してしまったようだ。
「下手に出ていれば!生かして私の慰み物にしてやろうと思っていたがもう許さない!!気がすむまでいたぶってぶち殺してやる!!」
…見下している白狼天狗にまでそんな目で見ているのか。いよいよ救いようがないな。
「ふっふん!まあいい殺す前に教えてやるよ!」
そういって聞いてもいない、恐らくこいつに取ってとても重要なことを話し出した。
「俺は、前天魔の息子でとても偉い。だから俺が妖怪の山、いや幻想郷の頂点に立つべきである!そのために今の天魔を失脚させる!」
………はっ?
うすうす思ってはいたが…
こいつ、馬鹿だな。
あまりにも馬鹿な事を言うものだから驚いた私の表情がどうやらこいつに取っては畏怖の表情に見えたようだ。
「どうだ!素晴らしい判断だろう!」
いいえ全く
「俺見たいな奴はそういない!」
ええ、あなた程馬鹿な奴は他に見たことありません。
「まあ、俺は今気分がいい。冥土の土産にお前の知りたいことを教えてやろう。」
ならば…
「その後ろの本どこで手にいれたんですか?」
私は聞く。
「これか?これはな、俺の部下が珍しいものとして俺に献上したものだ。どうやら忘れ去られて幻想郷に来たらしい。」
忘れ去られた?私はカウントされてないのか?失礼だな!
まあそんな冗談はおいといて、実はあの魔書私とエルマ以外は存在を知らない。創作者のエルマはすでに死んでいる。しかし幻想郷にいる私は恐らくカウントされていない。だから忘れ去られたと言う判定になっていると私は仮説を立てる。
すると奴はこう言ってきた。
「この本の創作者はほんとに馬鹿だな!」
………は?
「こんなに禁術を作り出しているくせに、最後になんて書いていると思う?」
……
「全ての世界の平和を願ってだってよ!」
「俺だったらこの力を持って世界を俺の物にするけどな!ハッハッハッハ!」
「…れよ」
「え?何だって?」
「黙れ!!!!!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!
もう怒りが抑えられない!
こいつは
『……様!』
あいつを!
『私はあなたを愛してます!!』
エルマを!
『生き…て…くだ…さ…い』
侮辱した!!
溢れだした魔力に当てられ数名の大天狗の部下は気を失い。等の本人は腰が抜け座り込んでいた。
無意識のうちにあふれでた魔力をこれも無意識のうちに瘴気に変化した。あまりの量に瘴気が天井を突き破り夜空を飲み込んだ。
このとき一瞬、大天狗は椛を白狼天狗ではなく禍禍しい狼の何かと錯覚した。
実は椛さん本来の力の千分の一すら出していません。何せチートですから!