≪side 椛≫
「く、来るな!!」
大天狗がそう叫ぶ。しかし私は無視する。
「お、お前達いけ!」
大天狗の部下達が突っ込んでくる。
右腕に瘴気を集中させ巨大なそして漆黒の腕に形成し大天狗の部下達をまとめてなぎ倒す。
「そ、そんな…」
大天狗が何かいっているが気にしない。
「そ、そうだ!お前のほしいものを全てやろう!さっき魔書の事を言っていたな!そ、それをやろう!」
私は口を開いた。
「あ?魔書ならもうないぞ。」
私の言葉に大天狗が振り向く。
「な、なんだと!」
まぁ、その本は然るべき者の手に渡ったんだからな。
「クソクソクソクソ!!かくなる上は!」
そう言って大天狗は、地面に何かを投げた。すると辺りに煙がまい。その混乱に乗じて大天狗は逃げた。
まぁ、もう奴にはもうなにも出来ない。
にしても… 少しやり過ぎたかなぁ。
よくよく考えると結構ヤバイかも…まぁ良いか。
すると…
「犬走~!犬走~!どこだ~!」
…まだ敵地のど真ん中だぞ。て言うか早く逃げろっていったよな?
「私はここです。なんでまだいるんですか?」
私は部屋から出る。
「!すっげぇぶっ壊れてるな!何があったんだ?!」
牙様は私の後ろに広がる惨状を見て驚きの声をあげた。
…もうさすがに誤魔化せないか。
私が口を開こうとしたとき。
「あまり詮索はやめようじゃないか牙。こうしてみんな無事だったのだから。」
意外にも口を開いたのは社様だった。すると社様は自らの右肩を指差し、そのあとに私に向かって4本の指を立てた。
あいつ、まだあの世にも行かずにこの世でフラフラしてたのか。
彼女はおもむろにこう言った。
「4番は私に自らの全てをくれた。何もかもをな。だからお前が気に病むことはない。このまま生活を続けてくれ。」
私はこう返した。
「そうですか。ありがとうごさいます。」
牙様だけが、話に着いていけてないのか私達を困惑した表情で見る。
「あ、そうだ!証拠を天魔様の所に持って行かないと!」
「その必要はない!」
突如、辺りに凜とした声が響く。
…おやおや、おいでなすった。
この山の長が…
「て、天魔様!?」
牙様は突然の事に驚いている。
そして向いた方向には数人の部下を連れた。黒髪のどことなく文様ににている美女がたっていた。
「何、驚く事はない。我々上層部にかけられた暗示が消えたのだからな。」
「ッ!!」
その言葉に社様は身構えた。
天魔様は社様の前まで行きそして…
「すまなかった。」
頭を下げたのである。
「て、天魔様?!」
さすがの社様も驚きを隠せなかったようだ。
「私が奴をなんとかしていたらお前達をこんなに苦しませる事はなかった。許せとは言わない、だが謝らせてほしい。」
自分の非はしっかり認める。
なんて出来た上司なのだろう。
「さて、風間 牙、ならびに天星 社。お前達を二階級あげることをここに決定する。」
おお!良かった良かった!
「ちょっと待ってください!犬走は?犬走には何も無いのてすか?今回の作戦、全て犬走が考えたようなものです!それなのに…!」
余計な事を!私は静かに暮らしたいんだ!目立つのは御免被る!
「その事なんだが…」
「いえ!お言葉ですが私の作戦は安直なもので誰でも考えられたものです!それに結局私は何もできませんでした!」
うん!これで行けるかな!
「ほう、何もできなかったねぇ~。」
そう彼女は私の後ろを除きこんだ。別に何も…。
……………………………あ。
そこには私が怒りのあまり吹き飛ばした大天狗の部下達が転がっていた。どうやらまだ生きているようだが…。
やっちまった~
「それに、証拠はお前が集めたんだろう。ありがたく受けとるとするよ。」
そう言ってニヤニヤと笑いだした。
うん、この人は間違いなく文様の母親だ。
「犬走 椛。大天狗の屋敷への突入作戦の考案、及び証拠の収集。その功績を讃えて四階級昇級とする!」
ウワァーーーーーー!!
私のほのぼの隠居生活が~~!
「良かったな!犬走!」
牙様、うるさい。
「お前の場合階級が4つ上がった暗いじゃまだ低いほう何だがな。」
この天魔様なんで私の階級を知っているのだろう?
「文がいつもお前の事を話していたぞ!」
案の定と言うかなんと言うか…。
「因みに大天狗は勿論指名手配をする。」
まぁ、あとはなんとかしてくれるだろう。そう言って解散となった。
【椛宅にて】
「それで、社様。どこまでついてくるのですか?」
私はおもむろに彼女に聞く。
「話が終わったら帰るから。」
「はぁ、とりあえず上がってください。」
そう言って私は彼女を家の中まで迎え入れた。
「これは!?うん、私には人の趣味をとやかくいう資格はないが…」
聞いてるか弟よ。お前の嫌がら、ついに本領発揮だぞ!
「弟が送ってくるんです。一本どうですか?」
「いや、いい。」
「本題に入ろう。今回私は一度死んだ。」
「そうですか。」
「しかし、エルマ氏によってよみがえった。」
「それで?」
「その時、彼女の能力、知識 そして記憶を受け継いだ。」
「…そこまで知って私を侮蔑しないのか?」
私は口調を戻した。
「ああ、しない私は君を悪いとは思っていない。」
「そうか。」
「そして万が一君が道を踏み外したのなら、私は君を止める。先輩として。」
「…そうですか。これからもよろしくお願いいたします。先輩。」
今の私には私を止めてくれる遥か年下の先輩がいる。その事実だけでも私はとても幸せなのだろう。
≪side out≫
≪side 大天狗≫
なんなんだ!?あの化け物は!??!
今俺はうっそうとした森を駆け回っている。
クソ!惨めだ!!何故俺様はこんな目に!
次の瞬間、後ろから何か得たいの知れない気配がした。さっきの白狼天狗とはまた違う気配!
俺はその恐怖に動けないでいた。
「あらあら、この程度の殺気で動けなくなるとは…情けないわね。」
後ろから揺ったりとした女の声が聞こえた。
「お、俺を殺すのか?」
俺はその何かに問う。
「愚問ね、当たり前じゃないの。ウフフフフ!」
何がおかしいのかそれは笑っている。
「頼む命だけは助けてくれ。」
「もーまったく。」
後ろから何かが近づいてくる気配を感じた。そいつは俺の耳元で
「だーめ」
ひどく不自然なほど甘ったるい声が俺の耳を襲う。気を抜くと魂ごと持ってかれそうなほどだ。
「じゃあね、バイバイ。」
死んでたまる?!??!
ぐちゃ
≪side out≫
こんな下賎な輩はあなた様が手を下す価値はありません。
あなた様に仇なすものは私が排除しますわ!ウフフフフアハハハハ
そう言って左手の平に「Ⅵ」の入墨をほった彼女は存在しないはずの空間で躍り狂う。
次でこの章終わりです。