19.春雪異変①
『みんなへ
もう私は長くないのかもしれない。もしかしたら明日死ぬかもしれない。でもどうせ死ぬなら世界の行く末を見続けたい。本当は死にたくないかった。でもこれが現実だから仕方ないよね?場所はどうしよう?そうだ!生き物に最も近くて遠い場所にするよ!我ながらいい案だね!
シロギーより』
その魔神は死ぬにはまだ若すぎた。
<side 椛>
大天狗の事件が解決した後、私の家にはラティオが住み着いた。彼女が居るだけで結構助かることが多い。掃除やら洗濯やら色々手伝ってくれる。
そんな事よりここ最近、まだまだ寒い。4月なのに!妖怪の山を見渡すとまだ雪が大量に積もっている上に次から次へと、どんどん雪が降ってくる。それに加えたくさんの動物が餓死している。
このまま続くのは、あまりよろしくない。
妖怪の山本部も解決に乗り出そうとはしているがまだしっぽすら捕まえていない。
「ヘックション!!」
今私は休憩中であり、たまたま天星様と会っていた。
「大丈夫ですか?」
私が聞くと彼女は
「私よりもあなたの方が心配だ。何せずっと外で哨戒任務をこなしているからな。」
そう、あれから天星様は昇級したのであまり哨戒任務につかなくなった。公にはされていないが白狼天狗の責任者となった。
「…あなたの能力でこの異常な現象の原因を解明出来ないのか?」
そう、その方法もあるのだが…
「実はPHOUKAには弱点が合って、寒くなると三体位しか出せなくなるんです。あと、千里眼は目的の場所がないと使えませんよ。」
「そ、そうか…。」
意外な弱手!PHOUKA!
でもこんな能力使わずとも…
「あなたの能力で解決出来ますよ。」
「そうか!使って見るか!」
そう言って彼女は魔書を取り出し、そして…
『わがひとみに このはざまの いじょうたる しんじつを うつせ』
と唱えた。
かなり古い魔術だなぁ。そんなことまで記録されていたのか。
「わかったぞ、場所は冥界だ。どうやら冥界の女主人が西行妖なる物を咲かせるために春を集めているらしい。もうすでに博霊の巫女達が解決に向かっているようだ。」
「そうですか。ならもう直解決するかもしれないですね。」
本当に仕事が早くて助かる。
社様の言った咲かせると言う単語が気になるが…
「所で、最近風間先輩とはどうですか?」
あの事件以降、二人は付き合い始めたらしい
「!?!???!
そ、そうだな!とっても…」
「社様こんな所におられたのですか!?」
突然、甲高い声が響いて来た。
視線の先には、白狼天狗の少女が立っていた。
彼女は山城 音。私の後輩だが上司である。噂によると入隊試験の時にこれまで類をみないほどいい成績だったらしい。社様はそんな彼女の実力を買ってか彼女を直属の部下にした。一応牙様も社様の直属の部下にあたる。私も誘われたが丁重にお断りした。
話を戻そう。そんな優秀な後輩なだけなら別にいいが彼女は特別私を目の敵にしている。
「あなたは、犬走 椛!また社様をつけ回しているのですね!いけません社様、嫌なら嫌と仰ってください。さもないと彼女が付け上がりますよ!」
…ひどい言われよう。悲しくなってきたな。
「やめろ音!むしろ私が彼女をつけ回していたのだ。だから彼女を責めるな。それに彼女は私の恩人でもある。」
そう社様は諭す。
「社様はお優しいですね。フン!社様の優しさに感謝しなさい!」
「それに本当に手柄を立てたのですか?話を聞く限り社様を救いだしたのは牙様のようですが?あなたは牙様の手柄にあやかっただけではないのですか?あまり出世出来ないのが良い証拠です。」
「おやおや、それは辛辣ですね。椛はしっかりと大天狗の悪事の証拠を手に入れましたよ。」
…あんたがここで出てきたら色々と話がややこしくなります。
私の頭を撫でながら文様は、音に言う。
「こ、これは射命丸様!」
ほら、社様はともかく音が驚いてるよ。
「椛に何か言うことは有りませんか?」
そう文様はニコニコしながら言う。
…なんか怒ってるなぁ彼女。
「くっ!ご、ごめんなさい。」
渋々と言った感じで音は謝った。
「私からも謝らせてくれ椛。すまなかった。」
社様まで謝り出した。
「それでは私達は持ち場に戻ります。行くぞ音!」
「はい!社様!」
そして音は私をひと睨みして去っていった。
「もう!あの子椛に対して失礼すぎます!」
私と文様の二人になったとたん彼女はプンプンと怒り出した。
「私は、あまり気にしてないので構いませんが…そんなことより!」
「?」
「あなたの新聞のせいで私は、あれから暫く悪目立ちしたんですよ!」
私は、文様にクレームを出す。
「良かったです!みんなに椛の活躍を知ってもらえて!」
彼女には悪意がないのか嬉しそうにニコニコしていた。
「わざわざ私に文句を言いに来る人もいたんですよ!お前ごときが付け上がるなよってね!」
思わず殴り飛ばす所だった。
「金輪際私の事を記事にするのはやめてくださいね!」
「えーそんなー。」
文様は残念そうな顔をして言った。
「うー、そこまで言われるなんて。しくしく」
うっ
「な、泣くことないじゃないですか。分かりましたよ私が悪かったです。」
そう言うと彼女はこう言った。
「なら、しっぽと耳揉ましてください!!」
この人はじめからそれが目的か!!!
久しぶりに書きました。
誤字脱字が有るかもしれませんがご了承ください。