東方魔天狼   作:タバスコ星

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38.風神異変④

≪side 文≫

 

恐れていた事が遂に起きてしまった。

 

命令が来た。

 

博麗の巫女を倒せと…

 

本当に命令通りに霊夢さんを攻撃していいのか…

 

彼女は私の友達なのに…

 

≪side out≫

 

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<妖怪の山麓にて>

 

≪side 霊夢≫

 

「止まれ!ぐはっ!?!」

 

「ま、待て!グワァ!?!」

 

私は向かって来る天狗たちを次々と倒して行った。

 

確か…秋姉妹と言ったかしら…彼女達を倒してからどんどん増えて来たような気がする。

 

「ま、待ちなさい!!」

 

私の目の前に怯えた様子の少女が立ちはだかる。

 

「退きなさい!あんたには用はないわ!!」

 

私は彼女に向かって怒鳴る。

 

「ひ、ひぃ…。わ、私は、あなたを倒さなければなりません!だ、だから!ここで退く訳には行かないんです!!!」

 

…いい度胸ね。

 

「…あなた名前は?」

 

「わ、私は鍵山雛…厄神です!」

 

そう言ったかと思うと彼女は弾幕を私に撃ってきた。

 

…それ相応の相手だ…私も出し惜しみはしない!!!

 

≪side out≫

 

≪side 椛≫

 

『す、すげぇ…』

 

『まさか厄神様があそこまで強いなんて…』

 

友人が褒められるとなんだか嬉しい気持ちになるのって本当だったんだな。

 

私達は何をしているかと言うと、近くの草むらで雛と博麗の巫女の闘いを見ていた。

 

私達を仕切っていた天狗は雛が瞬殺されると踏んで、倒された瞬間にいっせいに襲いかかると言う作戦を立てていた。

 

まぁ、予想通りの結果になったけど…

 

雛は臆病だけど弱い訳では無い。むしろ強い部類に入る。普段からあまり強く出ないから周囲には弱いイメージを持たれている。

 

「お、俺だって!やってやる!」

 

「お、おい!バカ!今行ったら危ないぞ!」

 

な!?今行くのか?!

 

血気盛んな白狼天狗の若者が飛び出して言った。

 

博麗の巫女の弾幕、あれは厄神()レベルでさえ当たればただじゃ済まないんだぞ!それを白狼天狗が当たるとなると……

死にはしないが怪我が治るまでに相当時間がかかるはずだ!

 

「あ、あんた!?!」

 

突然飛び出されて驚いたのか博麗の巫女が反射的に弾幕を放つ、今までの威力通りに。

 

「あ、危ない!!」

 

咄嗟に雛が彼に覆いかぶさって庇おうとする。

 

…………

 

次の瞬間、自然に私の体は動いていた。

 

私は両腕を広げ、博麗の巫女の弾幕を受け止めた。

 

≪side out≫

 

≪side 雛≫

 

私が突然出てきたこの子を庇った時にそれは起きた。

 

今の威力の弾幕に当たるとこの子が大怪我しちゃう。そう思って自分自身が弾幕の犠牲になる覚悟でこの子を守った。

 

でも弾幕の衝撃は来なかった。

 

代わりに私はもっと酷いものを見てしまった。

 

私たちの横を白煙に包まれながら吹き飛んで行く椛が見えた。

 

「いやあああ!!!!椛ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

私は絶叫した。

 

そしてすかさず横たわる彼女の元へと向かった。

 

「……くっ!ごめんなさい……。」

 

後ろで博麗の巫女がそう言いどこかへ飛んで行った。その場にいた誰もが動けないでいた。

しかし、私にはもうどうでもよかった。

 

「椛ぃぃ!!目を覚まして!!!」

私は彼女を抱き抱えながら再び絶叫する。

 

 

 

 

 

「うはぁ〜〜、正直舐めてたわ。」

そんな気の抜けた声がした。

 

「え?!」

 

私の腕の中の椛は何事も無かったかのような振る舞いだった。

 

よく見たら所々服が破けているけどかすり傷一つ見当たらない。

 

「なあ!私強いだろ?」

 

「………。」

 

「さっきの吹き飛んだフリどうだった?」

 

「…………。」

 

「ん?雛?」

 

 

 

「椛のバカアアアア!!!!」

 

≪side out≫

 

≪side 椛≫

 

「お…え?…あ、はい…」

 

突然の雛の剣幕に私はまともな言葉すら出てこなかった。

 

「とっても心配したんだからね!!!」

 

あ……

 

「椛に何かがあったらと思うと…私…私…。」

 

私は雛の頭に手を乗せ撫でた。

 

「大丈夫、雛の思うような事にならないから。」

 

やっぱり優しいな。

 

「雛!!!大丈夫かい?!?!」

 

突然背後から声が聞こえてきた。

 

にとりだ!

 

「なんだか聞いた事ないほどの雛の怒鳴り声が聞こえたんだけど…」

 

「いやぁ、ごめん。無茶して雛を心配させちゃって…」

 

「無茶?!?!椛!!?怪我はない?!?」

 

「うん。この通り元気にやってます。」

 

私は立ち上がり自分の体が正常に動くことをアピールした。

 

『すげぇ、あの博麗の巫女の一撃を食らっても無傷だなんて…』

 

『あの子何者?!』

 

やべ!しまった!

 

「え?!博麗の巫女の攻撃を受けたの?!どういうこと?!説明して?!」

 

にとりがすごい勢いで質問してくる。

 

「いや、それはその…当たりどころが良かったって言うかなんというか…」

 

ど、どうしよう……。

 

≪side out≫

 

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<存在しないはずの世界にて>

 

≪side ファフニール≫

 

「離しなさい!!ファフニール!!」

 

「ちょっと落ち着いてくれ!!」

 

私は怒り狂うラティオを抑えていた。

 

「あの紅白女!よくも私の主様にあんな仕打ちを!!直接殺してやる。」

と、このように先程から随分お怒りの御様子だ。

 

「今行ったら王様の命令を破ることになるぞ!!それでいいのか?!」

 

お?急に動きが止まった。

 

「フフ…ウフフフフフ……アハハハハ!!!」

 

な、なんだ、なんだ?急に笑いだしたぞ?!

 

「確かにあなたの言う通りね。今回は!今回だけは!!!今回のみは!!!!!!我慢するわ。」

 

顔は笑ってるけど目が笑ってない…。

 

こ、こわい……。

 

≪side out≫

 

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<妖怪の山上空にて>

 

≪side 霊夢≫

 

「よう!霊夢!遅かったじゃねぇか。こっちは河童と戦ってたんだが急にどっか行きやがった。」

 

「…そう…。」

 

……

 

私は先程の事を思い出していた。

 

あの強力な弾幕を受けてしまった子…あれは間違いなく文が連れて来た子だ。

 

文に合わせる顔がないわ……。

 

私は人知れず罪悪感を感じていた。

 

≪side out≫

 

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