53.銀色の狼の旧地獄巡り①
<深夜 とある大天狗の屋敷にて>
「黒羽、只今参上しました。」
とある烏天狗が膝をつく。
「よく来た黒羽。貴様に任務を言い渡す。」
大天狗である飛車上 雷が黒羽に言う。
彼女は大天狗の中でも特に天魔に信頼されていた。
「なんなりとお申し付け下さい。」
「この女を監視しろ。」
そう言い雷は写真を差し出した。
「これは白狼天狗?何故こやつを?」
「お前は近頃、銀色の狼なるものを聞いてはおらぬか?」
雷はそう言う。
「はい。風の噂には……まさか?!」
「決まった訳では無い。しかし可能性が高い。こやつは博麗の巫女の一撃、それも神に撃つべきであった一撃を無傷で受け止めた。」
「そんなことが……」
「こやつは明日1日有給を取る。私からの任務は一つ。こやつを監視しろ。そして……………」
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<雷と黒羽が話し合う1日前、妖怪の山麓にて>
≪side 椛≫
「……………………」
私は木の枝に腰掛けぼーっと明後日の方向を眺めた。
私の実の母。それも五大厄災。
………彼女はどう言う心境で私を産んだのだろう。
そもそも私の育ての親は知っていて黙っていたのか?
「犬走椛!!」
「はい?!」
びっくりした。
突然、音が話し掛けて来た。
「あなた……何をぼーっとしてるのですか?」
「いえ!すみません!」
「もしかしてあのことですか?」
っ!やはりあの場にいた音は知っている。
「………1日ばかり休息をとることをおすすめします。正直邪魔ですので。」
お?!なんだなんだ?!音が私を気遣ってくるなんて明日は嵐か?!
「いえ!そういう訳には行きません!」
「……そうですか。勝手にしてください。」
そう言い音はパトロールへと戻って行った。
「休みたいのはやまやま何だけどな………。」
「もーみじ!」
今度は文様が来た。
「どうされたのですか?」
「聞いてましたよ!椛、色々あって疲れてるみたいですね!私も休息を取るべきだと思います!」
「ですが私には哨戒任務が……」
1人抜けると音が可哀想だ。
「仕方ない…」
…あれ?前にもこんなことがあったような……。
「犬走椛!大天狗として命じます!休暇を取りなさい!」
……ああ、そうだったな……。
「叛逆しても宜しいですか?」
「だだだだだだめですよ?!?!」
……仕方ない。
「……旧地獄なんかどうですか?温泉もありますし!」
温泉旅行か……悪くないな……。
……でも。
「私の穴は誰が埋めるんですか?」
私が聞くと彼女は自信満々にこう返してきた。
「天星さんに言ったら変わるって言ってました。」
まじですか……あんたもそって側ですか天星先輩。
「………わかりました。明後日は休みを取ります。」
「それは良かったです!所で椛……」
「なんですか?」
「私か天星さんの直属の部下になりませんか?」
うーん……それもいいかもしれない。むしろ私にとっては得策だろう。妖怪の山の中でも名の通る文様だ。
何かあったとしてももみ消してくれるだろう。
しかしあの女神がなにかしてきたら危険が及ぶかもしれない。
「……まだ検討中です。」
「そうですか。……まあそれは温泉にでもつかってゆっくりと考えてください。」
………そうしようか。
「所で文様?」
「はい!何でしょうか?」
「何か気になる勢力はありませんか?例えばシロギーだったり、タル……鈴仙だったり。」
タルタロスは流石に異変を起こすことは無いだろうけど……
「どうしてそんなことを?」
「何かあったら私が止めに行くので……」
「……今のところは何もありませんが…。新しい勢力に隠れて来るかもしれません。」
特になしか……
それとこれも一応話しておこう。
「天使達にも十分注意してください。頭のネジが外れた奴らみたいなのがいるので。」
例えば天使の癖にとある魔神を崇拝している奴だったり……
快楽殺人をするやばい奴だったり…
「友人を人間に殺されて人間に対して激しい憎悪を抱いているものもいます。」
「ま、待ってください!いいネタになりそうです!」
そう言い彼女はメモ帳を出した。
「あとは「ちょっと!!!」」
なんだ……げっ?!
視線を向けるとそこには音が仁王立ちしていた。
「すみません!文様!見回りに行ってきます!」
「ちょっ?!待ってください!!!話の続きを聞かせてください!」
私はそそくさと逃げるように見回りに行った。
≪side out≫
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<次の日、博麗神社にて>
「どうなってんの?!」
神社の近くで温泉が噴き出していた。