«side 霊夢»
「皆さん!ありがとうございます!」
事情をさとりに伝えたらものすごく感謝された。
「ねぇ、お空がこんな風になった理由…本当に知らない?」
私が聞くと。
「ええ、恥ずかしながらある日突然お空が覚醒したとしか分かりません。」
今まで見た神の中でも明らかに異常だった。
「誰か見知らぬ人が来たとかありませんか?」
そう聞いたのは椛だった。
「いえ、心当たりはありません……あの!お空は大丈夫なんでしょうか?!」
「今はまだ新しい力に身体がついていけて無いだけで、慣れると力を自分の手足の様に使うことが出来ますよ。今は休息が必要ですが……」
なんでそんなに詳しいの?
「そうだ!異変が解決したから宴会にしようぜ!」
魔理沙がそう言う。
「丁度鬼たちも宴会を開いていた所だしな!」
釈然としないがひとまず落ち着くことにした。
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「ねぇ、なんであんなに詳しかったの?」
私達が鬼たちの宴会場に行く道中、椛に聞いた。
「………神核って知ってるか?」
「ええ、神達の心臓みたいなものでしょ?最も人の信仰が無いと自然消滅してしまうけど……」
その代わり絶大な力が使える。
「昔の神々は信仰が無くても大丈夫だった。」
………どんだけやばい世界だったんだ。
「神核には2種類の生まれ方がある。1つは旧世界の壊れない神核から派生して生まれる弱い神核。これはあんたも知ってるやつな。信仰がある対象や概念に憑依する様にくっついてくる。」
それは初めて知った。てっきり信仰から生まれるものだと思ったが信仰されているものに取り憑く物なのか。
「恐らくだが、今ある強い神核の持ち主はどいつもこいつも名だたる神ばかりだと思う。」
………
「じゃあ、強い神核はどこから産まれるの?」
「始まりの神、母なる神、地母神。色んな呼ばれ方がある。だが全て同一人物、いや神だから人と表すのはおかしいか……まぁ神核の生産機みたいな奴がいるわけだ。」
………まさか!!
「そんな奴が幻想郷にいるの?!」
「かもな」
頭が痛くなってきた。
「姿を表すことが滅多にないから顔も名前も知らないけど噂で色んなやつに神核を与えまくってるっていう噂を聞いたことがあるぞ。」
「そ、そんな………」
「まぁ、産まれたばかりの神核はすぐに対処出来る上に目立つからなんとかなるって。」
そう言い彼女は私を励ましてくれた。
そろそろ鬼の宴会場が見えてきた。
「さて、私は帰るわ。鬼たちに目をつけられたら困るし。」
椛が皆に聞こえるように言うと……
「そうか……気をつけて帰れよ。」
椛が違う道へ向かおうとした瞬間、
「おおい!!!銀色の狼がいたぞ!!!!姿は白狼天狗だ!!!!」
どこからともなくそんな声がした。
私たちは全員びっくりしていた。当の本人もびっくりしていた。
少し遠方の宴会場から砂埃が上がる。
しばらくすると椛の5歩先に何かが降ってきた。
「お前か?銀色の狼ってのは?」
勇儀だ……
それに続いて色々な妖怪が集まってきた。
「さぁ………なんのことか分かりません。私はただの白狼天狗でございます。」
椛が地面に膝をつきながらそう言う。
次の瞬間、勇儀からとてつもない殺気が溢れ出た。
「お前、知らないとは言わせないよ?鬼は嘘が嫌いだってな。それも嘘をつく相手をその場で捻り潰すほどにな。」
あまりの妖力に地面がひび割れる。
「あいつ、姉御を怒らせやがった。」
「死んだな。」
色々な妖怪がそんなことを言っていた。
椛は下を向いて黙っていた。
「ただ手合わせをするつもりだったが……お前を殺すつもりでぶっ飛ばす。」
ドスを聞かせた声でそう言ってきた。
「ちょっと………?!」
私が制止しようとすると椛が止めた。
「………………私は戦いたくありません。」
「黙れ。私に指図するなら私を倒してからしろ。」
「さとりさん………」
「は、はいなんでしょう?」
「この雑魚を抑えるのに結構建物が壊れますが大丈夫ですか?」
『な、なに?!』
『勇儀の姉御が雑魚だって?!』
四方八方から驚きの声が上がっていた。
「お前……本当に殺すぞ。」
「口だけは達者に回るな。クソガキ。ごちゃごちゃ言ってないで早くこいよ。」
その言葉を言い終えると同時に勇儀は距離を詰め椛に拳を叩き込まんとしていた。
«side 朧»
俺は、俺は夢でも見ているのか?!
俺は犬走椛を鬼たちにけしかけた。そこまでは計画道りだった。
しかし、やつは鬼の前で嘘をついただけでなく、あの星熊勇儀を雑魚と吐き捨てやがった。
当然星熊勇儀は怒る。
この時俺は犬走椛がやけくそになっていると思った。このまま星熊勇儀の拳に潰されると思った。
しかし、やつは………
微動だにせず片手だけで拳を受け止めた。
「な、なに?!」
星熊は驚いていた。無理もない。語られる怪力乱神と言われた彼女の力が通用しない。
俺も驚いていた次の瞬間………
「私も貴様の怒りに触れてしまったな。そこは謝ろう。すまない。」
そう犬走椛は言ってのけた。
「ハハハハ………まさか私の拳がこうもあっさり止められるとはな………酒呑童子様だけだと思っていたがな。だが……鬼には引けない誇りがあるこのまま戦わせてもらうぞ。」
星熊勇儀がそう言った瞬間。
犬走椛からとてつもない威圧力が放たれた。
それと同時にやつの顔には漆黒の痣の紋様ができていた。それだけでは無い。やつの体から黒いモヤがまるで触手の様に出てきていた。
間違いないやつは………魔神だ。
今は少しでもやつの力を解明しなくでは!!
そんなことを考えていると星熊が二撃目を打ち込もうとしていた。
ひらりと犬走が交わすと星熊が膝をつき血を吐いていた。
「ガハッ!?!ゲホッ?!」
あの一瞬で彼女の腹に拳を打ち込んできたのだ。
あの星熊勇儀が膝を着いたのだ。こんなことが信じられるか?!
「うぉぉぉぉおおおおお!!!!!」
星熊が咆哮をあげる。あまりの迫力に思わず足が凄んだ。
咆哮を上げ終わると彼女は立ち上がり再び犬走に拳を向けようとした。
しかし、顔を上げると同時に犬走の容赦ない拳で再び地に手をつかされる。
万が一あそこに居たのが俺だったならば一撃目で俺は死んでいただろう。
「まだやるか?」
静かに犬走は聞く。
「まだだ、まだ負けちゃ居ない。」
「そうか……終わりにしよう。」
「なに?!グッ?!」
犬走が星熊の首根っこを掴んだと思った瞬間、星熊の腹に膝蹴りを入れた。
その一撃で星熊は膝から崩れ落ちる。
「あ、さとりさん。結局建物は壊しませんでしたね。」
そう言い彼女はそそくさと帰って行った。
この事を大天狗様に報告せねば!!
«side out»