<飛車上 雷の屋敷にて>
«side 朧»
「雷様!ただいま戻りました。」
ついに奴の正体を掴めた。
「黒羽か!?どんな情報が分かった?」
雷様が私に聞く。
「結論から言います。奴は間違いなく魔神です。」
「して根拠は?」
「信じられぬことかもしれませぬが、奴は鬼を簡単にあしらい倒す程の実力です。」
俺がそういうと雷様はガッカリとした様子だった。
「それだけでは魔神だという証拠にはならないではないか?」
「しかし、その鬼が星熊勇儀様だとすれば…?」
私がそう言った瞬間、部屋中に妖力が充満する。
「ふざけているのか!!!!」
こ、これほどまでの力とは?!
「いえ!事実でございます!」
「そんなもの信じられるか!!!」
ど、どうすれば信じて貰える?!
私がそう思った次の瞬間、
「失礼します。」
障子から女の声が聞こえた。
「取り込み中だ!」
雷様が怒鳴る。
この部屋には結界があるので中には入れない。
しかし、障子の向こうにいる者が続けてこう言う。
「天魔様からのご命令です。」
?!
「なんだと?!」
私と雷様が同時に驚く。
「入れ!」
雷様が結界をとく。
「失礼します。」
中に入ってきたのは……
「お、お前は?!」
件の犬走椛だった。
«side out»
«side 雷»
私は予想だにしていなかった来客に驚いていた。
「貴様!よくもノコノコと入ってこれたな!」
私がそういうと…
「申し訳ございません。天魔様からの命令と言うのは嘘です。」
なに?
「貴様!覚悟は出来ているな?」
私は妖力を撒き散らしながら彼女に問う。
「貴様は何者だ?!噂に聞く魔神とやらか?!」
私は彼女に聞く。
「はい、その通りです。」
意外にも、彼女はすんなりと認めた。
……不気味だ。こいつはさっきから顔色ひとつ変えていない。
何故こんなにも冷静なのだ?!
「貴様……わかっているのか?私の一存で貴様を処刑出来るのだ「その話、私も混ぜてもらおう!」
我々は一斉に声の主を見た。
「な、な、な?!何故、貴方様が?!」
驚いて声を上げたのは黒羽だった。
私だけでない、犬走椛も驚いている様子だった。
声の主は天魔様だったのだ。
「私がここにいる理由か?下にいるバカ娘に呼ばれたのでな!聞いた話によると、犬走、君は魔神らしいではないか。」
「は、はい。」
「では聞こうか。」
突然天気が悪くなり初める。
天魔様の妖力だ。彼女の強大な妖力が天気をも変えてしまったのだ。
「君は妖怪の山に仇なす存在か?」
「いいえ。」
即答である。
「信じられるか!!」
私がそう言う。
すると…
「はぁ……」
彼女はため息を着いた。
「あまり力を引けらかせたくないのですが……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
「?!?」
「む?!?!」
「おえぇぇぇぇええええ!!?!!」
反応は三者三様だった。
天魔様は驚いた声を出し、私は足が震え始めた。
黒羽に至ってはあまりの重圧感に吐いていた。
無理もない。私も下手をすれば黒羽のような無様を晒していたかもしれない。
「ね?」
「なるほど。理解した。」
犬走椛が発した一言で天魔様は何かを察したらしい。
「雷よ。私じゃ逆立ちしても無理だわ。」
な、なんだって?!
「それは本当ですか?!」
「ああ、それどころか多分妖怪の山全勢力が束になってかかっても勝てないな。本当に文の言った通りだったな。」
「文様はなんと仰っていましたか?」
犬走椛が天魔様に聞く。
「ああ、強大な力を持ってるがそれを行使しないことが平穏な日々を送ろうとしている証拠だってさ。」
「文様…」
「で?実際はどこまでやれる?」
「え?」
「いや、恥ずかしながら私じゃ君の力の全容は捉えきれないから。」
「……働かせてもらってる身なので説明しないとダメですよね?」
「そこまで堅苦しいことを言うつもりはない。」
天魔様でさえこいつの力の全容を図りきれないのか?!
「信じる信じないは自由ですが………頑張れば10分で星1つの文明全てを消せます。……10分もいらないか。」
「なるほど……、妖怪の山のためにその力を使うつもりは……」
「ないです。昔それをやって捕まりました。」
何をしたんだ?!
「そうか、このことを公表した方がいいか?」
「それをするなら私達は妖怪の山から去ります。」
ん?
「達?」
「あ」
「説明頼む。」
「私の配下達です。放っておくと何するか分からない奴もいるので。」
「お互い部下を持つもの同士苦労するな。」
「さて、君にはこれまで通りの業務を行って欲しいのだが、最低でも文の部下になって貰うぞ。いいか?」
「はい!ありがとうございます!」
「なんだったら私の代わりに妖怪の山の長になってもいいのだぞ?」
そんな事を天魔様は……
「ええ?!」
そんな事になったら今度は私が犬走椛に処刑されるかもしれない。
「結構です。」
即答?!?!
「私には上に立つ資格はありません。」
「そうか、安心して引退できると思ったのだが……」
「まあ、いいか。この話はこれで解決、2人ともそれでいいな?」
「「はい。」」
この方がこういってしまえば私は何も言うことが出来ない。
これからどうなる事やら……。
«side out»
«side 椛»
ついにこの日が来てしまった。
「……。」
「も、もーみじ……。」
……
「このまともに隠し事の出来ないバカになんのごようでしょうか……。」
「そ、そんなに自分を卑下しないでください。」
文様が慰めるが……
「もっと早くにつけられていることに気づくべきでした。」
「仕方ありませんよ。朧さんは妖怪の山でも1,2を争うほど隠密行動が得意なんですから……」
そうなのか……
「ちなみにいつ気づきました?」
「名前の無い橋を渡る寸前です。」
「あなたは十分すごいと思います…」
これからどうなる事やら……。