クロスアンジュ〜天使と竜と怪盗の円舞曲〜   作:かもめカメ

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ーーーーーSIDEtoラヴェンツァ

あれは、貴方が此処…「アルゼナル」に収容されてすぐの頃です。

その時の私は貴方の役に立てるよう事が無いのか調べを尽くしました。

 

貴方のお手伝いと言うのもそうだったのですが、私は貴方の恋人としてもお手伝いしたいと心の奥底に思っていました。

そうしてふと私はベルベットルーム中央に位置する場所。

我が主「イゴール」様が貴方や「ワイルド」の素質を持つ者達の為に利用する合体方法が記された書物が置かれておりました。

 

そこには数多くのペルソナ合体が記されておりました。

中には12体ものペルソナを合体させて初めて出来るペルソナの事なども詳しく書かれておりました。

 

そんな書物がひしめく中、たった一冊。明らかに他の本よりも厚みが少ない本がありました。

 

そこには「禁手」とのみ書かれていた書物でした。

 

どんな物なのか、貴方の役に立てる物なのか等の思考が当時の私の理性を超えて手を出してしまいました。

そこにはペルソナ合体させたペルソナを分離させる力を秘めた書物でした。

様々な事が書かれていた書物なのですが、この書物に書かれている事はやらない事が薦められていました。

その理由は…使用すれば、感情が欠落すると言うものでした。

 

しかし、その注意事項は小さく書かれていた為、私は気付かず、その書物に書かれていた事を実行したのです。私自身で。

 

ーーーーーNO SIDE

「…そして終わったと同時に気が付いた時にはまさか、双子の時の私が近くにいて、お姉様扱いを受ける事になったのです。

その後、その注意事項を見た私は後悔先に立たずな状態でしたが…」

 

そう言いながらラヴェンツァはカロリーヌとジュスティーヌを抱き寄せる。

2人はびっくりするもすぐに蕩け、甘え始めた。

 

「今となっては双子の妹が出来たと思って仲良くなっている。

と言う状況なのです」

 

「成る程」

 

「いや、成る程じゃねぇだろ⁉︎」ミャ⁉︎

 

そう言いながらラヴェンツァの話を聞いたジョーカーは理解したのだが、モルガナが待ったをかける。そしてラヴェンツァに質問した。

 

「ラヴェンツァ殿。

その書物は確か、使用すれば感情が欠落するって言っていましたよね?

ラヴェンツァ殿は今、どんな感情が欠落しているのですか?」ミャ〜?

 

「今の私には『甘えたい』と言う感情が欠落しており、

代わりに『愛されたい』と言う感情が大部分を占めています。

この子達がその分、『甘えたい』と言う感情が多くを占めています。

一応、其々が其々の感情を補っており、私が『愛されている』と、彼女達にも反映されます。逆に彼女達が『甘えられている』と私も反映されると言う感じになります」

 

「要するに、どちらかが満たされれば、もう一方の感情が補える?」

 

「流石です♪その通りです。

なので、これからも宜しくお願いしますね。マイトリックスター♪」

 

そう言いながらニコニコするラヴェンツァ。

どうやら機嫌が良い様だ。

所で気になっていた事があったのか、ジョーカーは聞いてみた。

 

「…因みに此処、交遊禁止なんだけど?」

 

「え?…」ガーン…|||

 

その話を聞いた瞬間、ラヴェンツァは、服の真っ青さが抜け出し、白くなったかの様に感じた。

それを感じ取ったのか、双子はラヴェンツァに顔を寄せて、よしよしと頭を撫でた。

こんな姿のラヴェンツァを見るのは意外にも初めてなのかもしれない…。

そう感じながら、ジョーカーは思った。

普段は冷静で、時折見せる可愛さもあるけど、こう言うショッキングな表情を見たのは…やっぱり初めてだった。

 

「なんなんだ…このカオスな空気感…」ミャ〜

 

流石のモルガナも、この空気感には流石に参った様だ。

それはジョーカーも同じであった。

そこでジョーカーは…なんと!

ラヴェンツァを膝の上に乗せ、その隣に双子を置かせた。

 

「…っ⁉︎れ、蓮⁈な、何を⁈」///

 

「落ち込んでる君を見るのが辛くて。

カロリーヌやジュスティーヌも今の君を見続けたら悲しくなるから。

だから、こうやって愛でてる」

 

そう言いながらラヴェンツァの頭を撫でる。

ラヴェンツァは突然の事に顔を真っ赤にしつつも次第に顔が蕩け出し、終いにはジョーカーの胸板に身を預けていた。

その一部始終をみた双子は上目遣いでジョーカーを見やる。

 

「お、おい囚人。その…」

 

「宜しければ…私達も…」

 

「うん。良いよ」

 

許可を得た双子は笑顔を見せるや、そのままジョーカーに抱きつく。

完全に身を預けられたジョーカーは身動きが取れなくなった。

それをみていたモルガナは溜息をしつつも満更でもなさそうな顔を見せた。

 

「やれやれ。ワガハイはとんでもない奴を相棒にしてしまったぜ…」ミャ〜

 

「今更だろ?」

 

「ま、そうだがな。ラヴェンツァ殿は幸せ者だな」ミャ〜

 

「いつかは檻から脱して皆んなと暮らせたら良いね」

 

「それはお前の力量次第だろ。ワガハイはそれに便乗するだけだ」ミャ!

 

「無賃乗車な猫だ」

 

「ニャハハハ!ワガハイは猫だぞ!

…って、猫じゃねぇって!何回でも言わせるな!」ミャ〜

 

なんとも和やかな雰囲気である。

それはそうと、モルガナはそのネタをいつまで言い続けるのであろうか?

 

ーーーーー

そんな和やかな中、ヴァイオレットはナオミの部屋に案内されて、ベッドで寛いでいた。

 

「うーん!…背伸びが出来て良いですね♪」

 

「ありがとう♪それにしても、ヴァイオレットは…」

 

「?」

 

「ジョーカーと何処までいってるの…!」

 

「ふぇ⁈」///

 

突然の発言にヴァイオレット=すみれは顔を真っ赤にさせる。

実はナオミ…色恋沙汰には目がないのである。

するとヴァイオレットは自分が出会った頃からの話をする事にした。

 

「そうですね…あれは…私がまだ先輩と初めて出会った頃からになるのかな…」

 

「うんうん!…ん?

(あれ?これって、もしかして…長くなる話?)」

 

そう察したナオミだが、時既に遅し。

そうしているとヴァイオレットはジョーカーとの話をし始めた。

 

ーーーーーSIDEtoヴァイオレット

 

最初は何気ない日常で出会い、

先生との会合の後に再会して、

学校行事で約束を交わした事。

私が良く食べるので、それを見た先輩が苦笑いしていた事。

あの日の時の先輩が気になって尾行して助けた事。

 

他にもあったのですが、夢現なものもありました。

怪盗団の面々と一緒に大晦日を迎えたり、初詣に先輩と参拝した事。

丸喜先生に自分の正体を言われてショックになった事。

皆に助けられて、先生のやろうとしていた事を阻止した事。

その際に私の心も大きく成長した感じも。

けど、それが丸喜先生の見せていた夢幻だった事も。

 

2月に入ってバレンタインで先輩と過ごせたのは良かったけれど、その翌日にまさかの修羅場が起こった事。

最初こそはそんなにも付き合っているとは思わなくて、怒りに満ち溢れていた事。

それと同時に悲しくなった事も。

でも、それでも彼からは皆を幸せにさせる何かがありました。

今ではすっかり皆さんと仲良しになりました。

 

それからホワイトデーでのイベントは凄く嬉しかった事も。

先輩の帰省の時に、挨拶をしてその時に私が良く着けていたヘアゴムを渡した事。

 

それからの私は新体操に力を入れて、いつの間にか世界選手の1人にまで選ばれる様にもなっていました。

そんな中で、去年久しぶりに皆さんと…そして先輩と再会した時は思わず抱きついてしまいました…///

そこには新しい怪盗団の仲間であるAIのソフィアちゃんの事を紹介されました。

それからミスルギ皇国で旅行と共にまさかの怪盗稼業をやったのは本当に驚きました。

 

「…どれを取っても私にとっては良い思い出です。そして先輩との事も」

 

「ウ、ウン。ソウダネ…(もう…お腹いっぱいです)」

 

「?どうかしたんですか?」

 

「なんでも無いよ‼︎」

 

そう言いながらぶんぶんと首を振り回すナオミさん。

 

「き、今日はもう早く寝ようね⁉︎お、お休み〜⁉︎」

 

そう言うとナオミさんはベッドの横になり、そのまま就寝しました。

私も早く寝ましょう。明日も早いですし!

 

ーーーーーNO SIDE

その頃、1人部屋になっていたアンジュは部屋の中を見渡す。

ありとあらゆる物が揃っていたあの頃とは違い、此処は寂しくそして寒かった…

クローゼットを開けば沢山の衣装があり、それをいつも侍女であるモモカに着せてくれた。あの日々。

そして窓の外には妹が自身を呼ぶ声がする。

だが、それも全て幻聴…現実は残酷だった。

 

「モモカ…寒いわ…」

 

そう言いながら自身が信頼する侍女のモモカの名を部屋の壁に垂れ掛かりながら呟くアンジュであった…

 

ーーー

 

一方、此処は『旧』ミスルギ皇国。

そしてその名はジュリオの命により『新生』ミスルギ皇国へと変貌を遂げていた。

そんな皇国の屋敷の応接室と思われる場所にて、今回のクーデターを引き起こした張本人…ジュリオ・飛鳥・ミスルギ皇太子改め新生ミスルギ第一皇帝のジュリオが来客者との対談に応じていた。

だが、そんな中でジュリオは苦虫を噛んだかの様な苦い表情をしていた。

対談した相手はやや太く、丸みを帯びてはいるものの、その目は穏やかさを秘めている…

 

男の名は吉田寅之助。

かつて「ダメ寅」と呼ばれていた者にして、蓮=ジョーカーと交流を深めた取引相手(コープ)であった。

そんな彼もその志の持ち続けた事で、今では誰もが支持する総理大臣の地位に着いていた。

そして、此度捕らえたジョーカーの故郷…日本の出身であった。

 

そんな中、ジュリオは足を崩す。

 

「それで?この私に会うが為に態々、総理大臣である貴方が来た目的はなんです?」

 

如何もジュリオは落ち着きが無い。

それもその筈、ジュリオは新生皇国の復権の為に動いており、そしてそんな最中での総理大臣の来訪なのだ。忙しい時に来たのだから、イライラしていた。

そんな中で、彼…寅之助は発言する。

 

「まずは、此度の新生皇国の皇帝就任。おめでとうございます」

 

と言いながら礼節を重んじる寅之助。

彼もまた1人の日本人である。

しかし、それに対してジュリオは苛立ちを隠しきれていない。

実はジュリオは寅之助…と言うよりも日本と言う国自体が嫌いだった。

と言うのも、日本はミスルギ皇国周辺とは違い、海の向こうの国。

そして他の経済発展国に匹敵する技術力を持つ先進国。

そしてなによりもジュリオが毛嫌いしているもの…

「ノーマ」を受け入れている事に嫌気をさしているのである。

ジュリオと言う男は根っからのノーマ根絶派に属している。

それに対して寅之助を初めとする日本人はそのノーマを根絶どころか、勧誘しているのだ。

それ故に彼は日本の事をあまり好きに捉えては居ないのだ。

だが、その技術力やノウハウ・経験・食材の新鮮さに対してはぐうの音も出なかった。

現に寅之助の前の総理大臣がジュリオとアンジュリーゼの父にして、皇帝・ジュライとの対談の際にはその高さに惚れ、和親条約を交わした程だ。

 

「祝言を上げに態々来たとは思えんな」

 

「ええ。その通りです。

此度の件に関しては貴方の言葉次第では皇国との和親条約を破棄しようと考え、此処にやって来た次第であります」

 

「⁉︎和親条約の破棄だと⁈」

 

突然の発言に驚きを隠せ無いジュリオ。

それに対して寅之助の眼差しは真剣そのものだった。

 

「ふざけているのか⁈我が皇国との和親条約を破棄するだと⁉︎

先代の意思を踏みにじるつもりか⁉︎

「踏みにじったのは貴方が最初かと思いますが?」

何?」

 

そう言うと寅之助の眼差しが変わった。先程までのだらしなさが一切、無くなり、かわりにまるで寅之助の名を冠したかの様に彼の背後に虎が見えた。

 

「私は此度の件にきた目的は但一つ。

心の怪盗団《ザ・ファントム》の身柄の譲渡についてです」

 

「ザ・ファントム…だと…?」

 

取引材料はザ・ファントムの身柄譲渡。

…と言うのは建前であり、彼にとっては逆に1分1秒でも早く彼等を救う事に余念が無かった。

彼もまた怪盗団を支持する者の1人だからである。

 

「既に私の耳にも届いています。彼等がこの国で何をやらかしたのかを。なので、我々がきちんと引き取り、処罰を致したいと思い、此処に馳せ参じました」

 

「巫山戯るな!彼奴らはもう既に去年において、我が皇国を担っていた者を蔑ろにし、先の件では何者かが母君を連れ去った!

これだけの大罪を犯したのだ!我々が処罰を下す!」

 

そう言いながら頑なに身柄引き取りを拒むジュリオ。

寅之助は先程話されたジュリオとアンジュリーゼの母君…ソフィアの事を呟いた。

 

「ジュリオ皇帝の母君…ソフィア・斑鳩・ミスルギ皇妃。

彼女の遺体は我々の元に置かせております」

 

「⁈…何だと⁉︎」

 

実は寅之助は以前、ソフィアと交流があったのだ。

彼がまだ若かりし頃…若さ故の過ちにまだ気づかなかった頃に。

そんな彼女が怪盗団の支持者と共にやってきたヘリの中で既に息を引き取っていた事に関してひどく落胆していた。

今、思い返してもあまりにも酷な事態だった。

腹から血が流れ出た後が服に付着し、

白みがかかった肌も色素が抜けたかの様に薄く、

そしてなによりも手を触れた際には既に冷たくそして身が固くなっていた。

 

「ジュリオ皇帝。もし、この示談に応じてくれるのであれば、ソフィア皇妃の身柄を貴方達の元へと返還し、条約破棄も無かった事にしましょう(とは言ったものの…彼の目は昔の私を思い出すかのような目つきだ。若さゆえの過ちを犯し兼ねない)」

 

「……やはり出来ぬ。

例え、その示談が成立したとしても、その怪盗団がまた悪さをするのであれば、我々が処罰を下し、二度とこのような事があってはならないのだ!それになにより、彼等はノーマだ!

我が皇国に於いてノーマとは相入れぬ!そして不必要!あれらを逃せば、国民が怯える毎日だ!

そんな事は私がさせない!させてなるものか!」

 

「…そうですか。わかりました。

では、交渉は決裂。先の和親条約はこの日を以て破棄させて頂きます」

 

そう言うと寅之助は立ち上がり、この場を後にしようとした。

しかし、ジュリオはそれを静止させる。

 

「待て⁉︎まさか本気なのか⁈」

 

「ええ。本気ですとも。

彼等がノーマだろうとそうでなかろうと関係が有りません。

 

彼等は我々と同じ()()なのですから。

それを貴方は人として見ない道具と言う概念にしか見えていないのであれば、尚の事。

私はそんな者と共に政治に就こうとは思えない。

それに今の君には経験が足りなさすぎる。

その浅はかさはやがて命取りになるだろう。

「んな⁉︎」

これは経験者である私自身の発言だ。総理大臣としてではなく、1人の男・吉田寅之助としてな。

では、いずれ…」

 

そう言うと近くにいた眼鏡をかけた男性がドアを開き、寅之助はドアの先へ、そしてメガネの男も共に退室して行った。

その場に残ったのは、話をずっと聞いていた近衛長官である女性・リィザと、髪を毟りながら苛立ちを放つジュリオだけしか居なかった。

 

 

 

そして退室した寅之助とメガネの男。

寅之助の先程の発言を聞いた男は心臓の位置に手を置いた。

 

「やめて下さいよ…総理。

貴方の一言一語で私の寿命が縮む所でしたよ」

 

「がはは。それはすまなかったね。

長谷川君。

穏便に済ませたかったのだがね?」

 

「争う気満々でしたけど⁈」

 

そう言いながら自分の心臓を掴む長谷川と呼ばれた男。

本名「長谷川善吉」

警視庁の公安部の警部補であるこの男。

そして心の怪盗団の仲間の1人。

コードネームは「ウルフ」の名を冠する。

自ら「イケオジ」と呼んでいるが、まぁ流行らない。

仲間達も何も言われないので地味にショックだったりしている。

けど、その名に恥じぬダンディーかつワイルドな戦いを行う。

 

さて、話を戻そう。

長谷川の発言にまたもや笑いを上げる寅之助。

 

「まさか警察である君が、

怪盗団の一員だとは思いもしなかったがね?」

 

「…彼奴らには借りが出来てしまったんですよ。

かつては監視する側だったのが、いつのまにか片棒を担がされて、

終いには彼奴らのおかげで娘との仲も良くなった。

彼奴らにやれる恩返しがしたかっただけですよ。

それが済めば、足を洗ってまた0から仕事をするだけです」

 

「ははは。やはり若者の原動力は我々の良い起爆剤になるよ」

 

「それに冠しては…同感ですね」

 

そう言いながら2人は談話しながら話していると寅之助はふと気づく。

今日はこの長谷川と共にもう1人来ていた筈。

 

「そういえば彼は今、何処へ?」

 

「・・・あ」

 

 

そして2人の探し人である彼はと言うと…

 

 

「えっと〜…此処って、どのあたりなんだ?」

 

屋敷の広さのせいで絶賛迷子中であった。

 

ーーーーーーSIDEto???

えっと〜…確か。

総理と長谷川(おっさん)と一緒に来て、俺は総理の命によって、地下に備えられている独房?みたいな所に行って、偵察したんだよな。

そこには元皇帝のおっさんがいて、今にも死にそうだったから…監視の目を盗んで、胃に優しい物を食べさせてやったんだよな。

しかし…あのジュリオっていう奴。頭イカレてんのか⁈

父親をこんな所に閉じ込めさせて…おまけにその父親からの証言であと数日でこの世から居なくなるとか言われやがった。

居なくなる…つまり、処刑されるって言われた。

正直彼奴の頭に1発殴りたい所だぜ。

でも、示談中の間に乱入してやったら、下手したら日本に戦争仕掛けてしまい兼ねないからな。

モルガナに言われたんだった…「怪盗ならスマートに事を進めろ」って。

正直、あの猫に言われるのが癪に触るけど、今となっては良い教訓だぜ。

それに…蓮も、いやジョーカーも、彼奴は物事の見極めがあったから俺達のリーダーになったんだしな。

 

でも、今はそのリーダーが捕まってる。

おまけにすみれ…ヴァイオレットも捕まってる。

俺は皆よりも真っ先に来たのは長谷川のおっさんが寅之助総理と一緒にミスルギ皇国に行くって言われて、俺も「大人しくするから連れて行ってくれ‼︎」って、あの2人に対して土下座までして懇願したんだよな。

流石の総理もこれには驚いたもんだ。

でも、寅之助総理は理解していたのか、「大人しくするのであれば君も来なさい」と言われた時は嬉しかったぜ!

おっさんは「胃痛薬買っておかないとな…」と呟いていたけど、気にする必要無し‼︎

 

さて、そんな最中で俺は2人とは別行動を取っていたんだけど。その理由がさっきの元皇帝の事だ。

総理がどうしても遭うと言われたから俺がその道案内役として先行した訳だが。

…ヤベェ…迷子になっちまった⁉︎

どうすんだよ⁈良い年した大人が迷子なんて⁉︎

 

「はぁ…参ったな…」

 

「どちら様ですか?」

 

「うぇ?…うぉ⁈」

 

「ひゃ⁈」

 

びっくりした⁉︎いきなり後ろから声がしたから驚いちまった!

って、あれ?この子…何処かで…あ!

 

「もしかして…し、シルヴィア皇女殿下?」

 

「え?…ええ」

 

まさかのお姫様ーーー‼︎

ヤベェよ!ヤベェぞ!こんなところで皇女殿下に出会ったら、俺…不審者じゃなくて不届き者扱いされちまう⁉︎

 

「見かけない顔ですね?」

 

「け、決して不届き者では有りません‼︎」

 

「え?…あ。もしかして、今ご来訪している日本の総理の付き添いですか?」

 

「!そ、そうです‼︎」

 

「もしかして…屋敷の中で迷子になられたんですね。

私もまだ立って歩いていた頃は迷子になってしまいました!」

 

す、すげえ…。この屋敷内。地主ですら迷わせるなんて。

と、それどころじゃないや。この皇女殿下…親しみ易い!

とことんヤベェ⁉︎悪人の悪商売に簡単に騙されそうだよ⁉︎

 

 

「そ、そうですか…。あ、実はおr…ゲフンッ。

私は寅之助総理の付き添いをしております。

「坂本竜司」と言います。皇女殿下の事は向こうでも液晶越しなのですが、拝見しておりました」

 

…ヤベェ。物凄くキャラ被ってる…。

いつもなら砕けた態度や口調をしそうになったのを危うくやめてやったけど…やっぱり畏った口調なんかは性に合わねぇ。

俺はやっぱり砕けた態度の方が合ってんだよな。

 

それに比べて蓮…うちのリーダーは髪型こそあれだけど、それさえ整えば、何処へ出してもおかしく無い程、律儀なんだよな。

それに体型もちょうど良いから、ドレスコードなんかも決まってるし。

それにああ見えて二桁台の彼女達と付き合ってるから恐ろしい。

うちの怪盗団メンバーである杏や真パイセン。春先輩に双葉とすみれも入ってるしよ…

おまけにこの前、見かけた時は国文の「川上先生」や祐介と同じ学校に通っていたって言う現在10連覇中の女流棋士「東堂一二三」とも付き合ってるし。

新聞記者の「大宅一子」とも会っていたし、パンクファッションの医者である「武見先生」も、俺に悲運を当てたあの占い師の「御船千早」さん?(年が分からねぇくらいに若い)も付き合ってるし…。

うん…やっぱ、10 は軽く行ってる。なのに、あんなにモテモテ。

まさにハーレムって感じだぜ。

 

っと、話が脱線し過ぎちまった。

要するに俺はこんな堅苦しい台詞を吐くのは正直、しんどい…という訳だ。

けど、相手は少なくてもこの国のお姫様だ。言葉次第では俺、牢獄行き確定!それだけはマジ勘弁!牢獄なんざ、あの日のイヴだけにしてくれ!

 

「まぁ!それは嬉しい限りです!」

 

「さて、話の本題に入りますが、皇女殿下の言う通り、私…この歳で恥ずかしながら、この場所にて迷子になってしまいました。

出来る事ならこの場所がどの辺りで、総理のいる応接室までのルートを教えて下さい。お願いします」

 

そう言って俺は皇女殿下に頭を下げた。

俺、間違ってねぇよな?これで良いんだよね⁈

 

「そう言う事でしたら、私がその場所まで案内しますわ」

 

「!本当か⁉︎

「?」

あ、いや…失礼。先程の発言は取り乱してしまったが故、撤回させて頂きたいと存じます」

 

「?そう言う事でしたら。では、こちらですよ」

 

そう言うとマナで構成された車椅子で動きながら道案内をする皇女殿下。

…やっちまった。目の前で完全にやらかしちまった…。

正直、嫌だ!堅苦しい台詞‼︎早くこんな台詞とおさらばしてぇ!

あ、そう言えば…

 

この皇女殿下。目の前で姉であるアンジュリーゼ様がノーマだと知らされてショックで倒れ込んだんだっけ。

 

「…そう言えばなのですが」

 

「?どうかなさいましたか?」

 

「…貴方様のお姉様の事で」

 

「…」

 

そう言うとなんかさっきまでの風格が様変わりした感覚を俺は気づいた。

 

「…皇女殿下?」

 

「御免なさい。お姉様の事に関しては今はまだ動揺しているの…」

 

そりゃそうだよな。いきなりあんな出来事が起こったんだ。

動揺もするだろうさ。しかもそれを行ったのが自分の兄。

俺は正直、

 

「…大変失礼しました。

けど、これだけは言わせて下さい」

 

「?」

 

「家族は一度失ったら最後だと思って下さい。

うちは父親が居なくなって、母親1人で私を…いや、もう堅苦しいのは無しにしよう。…たった1人で俺を育ててくれたんだ。

でも、その恩を仇で返すような事をして、逆に迷惑をかけてしまった。

不甲斐なかった。…死にたいと思った。

でも、それを止めてくれた俺の友達がいてな。

そいつに助けられてから、今日まで親に恩を返し続けてきている。

…だから、自分の数少ない家族に対して憎しみを持つのはやめた方が良い。

俺の仲間には両親や恋人・家族と死に別れた奴がいてな。俺、そう言う気持ち…少しだけど分かるんだ。

まだお前のお姉さんは生きている筈。だから、少しだけで良い。優しみを忘れないでくれ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

 

「悪りぃ。今の話は別に気にしないでくれ」

 

「…お優しいのですね。それに、先程の発言よりも活き活きしています。それが貴方の素なのですね」

 

「あ。…⁉︎さ、先程の発言はし、失礼しました⁉︎」

 

「ふふっ。遠慮しないで下さい。その優しさだけが今の私の中では唯一の救いです」

 

「そ、そうっすか『やっと見つけた』あ。

…如何やら彼方から迎えが来た様なので、俺はこれで」

 

「また、逢えますか?」

 

「…貴方がお姉さんの事を憎しみに囚われ無い限り」

 

「?それはどう言う…?」

 

「では、これにて」

 

そう言うと俺はさっさと去った。

多分だけど、あの娘…誤ちをやりそうな気がする…

 

俺達が改心しないといけないのかもしれない…

それだけはマジで御免だぜ。

俺達は悪人の歪んだ欲望をオタカラにして奪う…怪盗団だ。

あんな幼い娘からオタカラを盗んだら、どうなるか分からない。

だから、彼女からオタカラを盗まずに、彼女自身が改心してくれた方が俺達は良いと思ってる。

 

それに俺達は此処に来た目的はもう一つ…

 

必ず助けてやるからな!…蓮!すみれ!

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