?…なんでパラメイルの後ろに?が付くのかって?
…作者は知りません。
「例の新人達ですが…基礎体力・反射神経・格闘対応能力。更に戦術論の理解度。どれも平均値以上を叩き出しております。
特に、ジョーカー。男とはいえ、その能力は軍人レベルの実力を誇っています」
そう説明しながら、身体能力等のステータスを司令に見せて情報を与えるエマ監察官。
それを聞いたジルは顔を普通に、ぶっきらぼうな口調で語る。
「…優秀じゃないか」
「
そう言うと2人は敬礼して解散する。
そしてジルは例の場所へと足を運ぶ。
「パラメイルの操縦適性。特質すべきもの有りか…」
そう良いながら到着したのは、パラメイルとは構造が全く違う二騎が横に並べられていた。
そしてジルは未だに自分を拒絶する方の機体に腰掛ける。
「…そして、一般人かと思っていたが、その戦闘力は軍人レベル。
何者なのだ…ジョーカー。
まぁ、どうでも良い。こいつを動かせなかったら…
そう呟くジル。その目に有るのは駒という感じでしか人を見ていない目だった。
そしてそれとは相反して、腰掛けた機体が微かにながら、エンジン音が聞こえた…
だが、ジルはその音には気づかなかった。
ーーーーーーーーーー
一方、その頃。
此処はアルゼナル内の食堂。
今はノーマ達の配膳が行われていた。
そして大好物のプリンが出たら、
「はぁ…!」
と声を上げた女の子…ココ。
「またとっておくの?」
そう言う女の子はミランダ。2人はジョーカー達と同じ新人の新兵であり、2人はとっても仲良しであった。
「だって、今食べちゃうと勿体無いんだもん!」
「たかがプリンでお子様だな?ココは」
「もう!お姉さんぶらないでよ!」
「ふふふ。その仲良しさは側から見たら姉妹だよ?」
そう言いながら、2人の後ろについてきていたナオミ。
よく見ると、ナオミの後ろにはジョーカーとヴァイオレットもいた。
因みにジョーカーの右肩にはモルガナが定位置の様に肩に乗っかる。
だが、後ろ足がジョーカーの服にくい込んでいた。
ジョーカーは今、服越しにモルガナの爪に引っかかれていた。
仕方が無い。何せ、学生の頃に使っていたモルガナを収納しているバックは現在、宿泊していたホテルに置いてきたまま。
勿論、モルガナを入れるケースも無い。
故に現在、モルガナは背伸び感覚でジョーカーの右肩に乗っかり、
ジョーカーは必死に耐えているので有る。
…苦痛の顔を出さずにやり過ごしている時点で凄いとしか思えないのだが。
そんな状況の中、ナオミの発言を聞いたジョーカーとヴァイオレットも「「うん」」と頷く。
それを言われた2人は顔を紅く染めた。
「…あ」
すると、ココが何か見つけたのか、他の皆も視線を向けると、
そこにはアンジュが食事している場面だった。
けど、どうも手付かずで匙を投げ出す始末。
そんなアンジュの元にやってくる者在りけり。
「はぁ…「おや?これはこれは、痛姫様」?」
「あら?なんでも出来ちゃうお方が好き嫌い?」
それはヒルダ・ロザリー・クリスのゾーラ寵愛組だった。
やはりアンジュとの溝は埋まっていない様だ。
…と言うより、アンジュ自身が掘り返して更に深くしている様な感じがしていた。
ジョーカーは少なくてもそう感じていた。
「良くないね…?しっかり食べないといざって時に戦えないよ?」
「うんうん。良くない」
そう言いながら、ロザリーはアンジュの配膳を奪って、全て自分のプレートに乗せて、アンジュに空のプレートをやる。
「!先輩…」
「どうする気だ?」ミャ?
「何もしない」
ジョーカーの判断にヴァイオレットとモルガナはそのまま見過ごす。
このまま穏便に…ならなかった。
当の本人が火に油を注ぐ言動をしたからだ。
「…良く食べられますね。そんな物」
「「っ⁈」」
「あらあら?痛姫様のお口には合いませんでしたか?」
「お高く止まってんじゃねぇ!」
そう言ってロザリーが水をぶっかけようと高くしたその時。
ガシッ!
「っ⁉︎…!」
『!』
「ジョーカー…」
瞬時にやってきたジョーカーがロザリーの腕を押さえる。
「離せよ!」
「Stay cool.」
「は⁉︎」
「…『落ち着け』か。ジョーカーの言う通りだよ。ロザリー」
そう言うとロザリーからコップに取り上げ、コップをテーブルに置いたヒルダ。それを見たジョーカーもロザリーの腕を放す。
「貴方は私の味方なのですか⁉︎敵なのですか⁉︎」
そう言いながらアンジュはジョーカーに向けて言い放つ。
▶︎保護観察者だ。
どちらでも無い。
「んな⁉︎」
「…それはつまりどっちもつかずって言う所か?」
「嗚呼」
「…そうかい。
さて、頼れる存在もこれだから。言わせておくよ。
痛姫様。一つ忠告しておくよ」
そう言いながらアンジュのプリンを取るヒルダ。
「此処はもう、あんたのいた世界じゃない。
早く気が付かないと…死ぬよ?」
そう言われたアンジュは黙って此処から去る。
するとその後を追う様にココがアンジュにプリンをやっているシーンを遠くから見るジョーカー。
するとジョーカーの元にヒルダが駆け寄る。
「ロザリーの痴態は済まなかったね」
「ちょっ⁉︎ヒルダ!」
「別に構わない。
後で掃除させられそうになっていたから」
「…あ」
そう言われたロザリーはまるで小動物かのように小さくなった。
食堂は皆んなの場所。それ故に汚した所は汚した本人が掃除する義務が食堂に入った際にジョーカーは張り紙に書かれていたので、それを言った。
それは勿論、長年此処に住んでいるロザリーも分かっていたので、それにより少し頭を冷やしたのだ。
「…あんた、凄いな」
「?」
「初対面なのに、こうも言い包められる説得力。
成る程、ゾーラが危険信号を発しているくらいだ」
「…そうかもね」
そう言いながらジョーカーは何処かに向けて何かを投げた。
それに一瞬、気づいたヒルダ。
すると投げた方向にはアンジュがいて…
ガコンッ!
『痛っ⁉︎って、なんでチョーク⁈何処から⁈』
「⁈
…なぁ。まさかとは思うけど…」
「♪」
アンジュがなんとチョークによって後頭部を撃たれたのだ。
しかもこれがかなり痛い。
そしてそれを見たヒルダはまさかと思い、ジョーカーに聞き返すと、そこにはうきうき気分でジョーカーが指の間にカラフルなチョークを挟み持っていた。
確信犯である。
「…見ずに良く当てたな…」
「予想立て易いし♪」
「…もう何も言わない」
そう言ったヒルダは頭に手をつける。流石の男勝りなヒルダでも大胆不敵なこの男の前では形なしであった。そしてそれを見ていた皆も様々な声が出る。…時々、腐女子みたいな声がしたのは気のせいであって欲しい。
「なぁ?取引と行かねえか?」
「?取引?」
そうしているとヒルダから突然、取引を持ち掛けられるジョーカー。
それを聞いたロザリーとクリスはヒルダを制止しようとするも本人がそれを拒否した。
「まぁ、此処では何だから、
「…うん」
そう言うと2人は食堂を後にする。
勿論、ロザリーとクリスも気になるのでついて行こうとすると…
「悪いが此処からは行かせないぜ?」ミャ〜?
そう言いながらモルガナが爪を出して敵意剥き出しで、2人を威嚇した。
それにより、2人は食堂にて待機する事になった。
因みにその間にナオミに無理やり抱き抱えられて、撫でられて出た鳴き声を聞いた後、2人からも可愛いがられるモルガナの姿が有ったと言うが、それは後の話になる。
因みにこの際に、ジョーカーはヴァイオレットとアイコンタクトを行なっており、ヴァイオレットはアンジュの動向を見る事にした。
ーーーーーSIDEtoジョーカー
俺はヒルダと共に食堂を後にし、一路は射撃訓練場にやってきた。
「さて、私から取引を掛けたいのは他でもない。
単刀直入に言う。
…此処からの脱走だ」
だ、脱走?
「…正気か?」
此処はアルゼナルと言う場所。此処にある軍事基地以外で周りの陸地は存在しない。
そんな中で脱走を図っていたと言う事か?
この事を司令に伝えれば彼女は牢屋入りだろう。
だけど、正直に言うと俺も抜け出したい気持ちである。
他の怪盗団のメンバーと再会できる可能性があるからだ。
「…まあ、こんな話しても納得が行かないのは分かってるさ。だから、私の話を聞いてから取引に応じるのかどうかを確認してくれ」
そう言われた俺はヒルダの話を聞く為、頷く。そしてヒルダは話を始めた。
ヒルダは6歳までごく普通の家庭で順風満帆な生活を送っていたそうだ。
彼女の住んでいた場所はミスルギ皇国と同じ、ノーマ管理法が施行されている国「エンデラント連合」に所属している地域であった。
そしてヒルダは6歳の頃「ノーマ」だと決定付けられ、母親と生別してしまったらしい。
それがかれこれ11年前であると。
11年前。当時の俺はまだひ弱だったから何も出来なかった。
けど、今ならなんとか救えるかもしれない。
「…私の目的はただ一つ。
此処から脱走して、お母さんに逢いたい!
その為なら耐え抜いて、そして計画を練ったんだ!
そんな時にお前達がやってきた。
正気に言うと…私はあんたが危険分子だと思っている…
「賢明な判断だ」え?」
「最初から信頼や友好が取れる相手よりも、
最初から危険や警告・拒絶をしていてくれた方が俺としては良い。
何故なら、そこから徐々に友好関係を深めていって、
最終的に絆を生めば万々歳だ。
…俺も正直に言うと脱走したい。
俺には大切な仲間がいる。支えてくれる人達がいる。
その人達に元気である事を見てもらいたい。
だから、此処から脱走して、皆んなと逢いたい」
「利害の一致だね」
「そうだな」
そう言いながら、ヒルダは契約の証拠として握手を交わそうとする…が、俺は手を取らない。
それに気づいたヒルダははっとした顔を見せる。
恐らくこう感じている筈だ。
「『この事を司令に伝える気じゃないのか』と思っているのか?」
「この事を司令に伝える気じゃないのか⁈…っ⁉︎なんで⁉︎」
「…俺は人の心を見てきた。
悪しき大人の歪んだ欲望が張り詰める心を。
ある程度なら、読心術が使える。
もっとも、それに長けた奴を俺は知っているがな。
安心してくれ。司令には伝えない。墓まで持っていくつもりだ」
「…説得力ありすぎだろ…歴戦の貫禄と言う奴かい?」
「そう捕らえても良い。
脱走の手助けをする代わりとして何か対価を欲しい」
「対価⁈…な、何するつもりだ⁉︎」
そう言うとヒルダは胸を隠すポージングを見せる。…服越しで。
取引を持ち掛けてる相手に身体で要求する様な俺じゃない。
それにそれは怪盗の美学に反するからそれは断じて否である。
「対価と言っても、そうたいした事じゃない。
俺は取引を持ち掛けた奴に対して何かを与えるかわりに何かを受け取ってきた。それは今までも、これからも、この先も変わらない。
対価さえ支払えば、俺は君の脱走の手助けをする。
その代わりにヒルダが俺に対して何か得になる事を与えて欲しい」
「…等価交換の様な物か。
…とは言っても…私はこれと言ってあんたを得させる物なんて…」
困ったぞ。これでは取引に応じる事が出来ない。
何かしらのメリットなければ人間は動かないのである。
それに、3つのメリットに対して1つのデメリットと言う風にデメリットが増えれば、その3倍のメリットを見出さないといけない。
そしてなにより、対価=等価で無ければならないのである。
そうしながら、ヒルダは頭を掻き毟る。
…あまり髪にダメージを与えたら、髪が減ってしまうぞ。
「うーん…!そうだ。
なぁ、そのさ…」
そう言いながらモジモジと身体をくねらせるヒルダ。
…なんだか、彼女らしからぬ行動だ。
なんだか、嫌な予感がする…!
「あたし、マッサージが得意なんだけど…」
「⁉︎それって…まさか…⁉︎」
「…う、うん。
あんたの疲労を少しでも和らげる。
け、決して疚しい奴じゃねえよ!服越しでのマッサージだ。
これじゃ駄目かな…」
そう言いながら俯くヒルダ。
マッサージときたか…。
マッサージはどちらかと言うと川上先生から良くやって貰ったからな。
川上先生…本名「川上 貞代」
俺が秀尽学園の際に国語教師兼担任だった先生。
そして…俺が1年間の間、お世話になったメイドでもある。
メイドでの源氏名は「べっきい」としてマッサージを受けたりしてくれた。
今となっては中々会う機会が無い恋人の1人だけど、俺が渋谷に帰って来た時には真っ先に連絡入れている相手である。
今は成人したから、その後の関係と言うのも得ている。
しかし、此処ではそんな彼女の恩恵はまず受け入れにくい。
そこに来て、マッサージと来た…
うーん。取り敢えずどうするべきか。
保留にしたくは無いけど、恩恵が少ない。
「…?」
そう思っていた俺はふと相手が女の子だと言う事を思い出す。
そして今の俺の装いを見つめる。
そこで俺は閃いた。
「実はマッサージをしてくれる存在が既に居るんだ」
「⁉︎…そ、そうなんだ…」
「ただ、此処には来れない」
「?…それって、マナを持っているから?」
「それ以前に、此処よりももっと遠いところにいる。
それにその人は社会に貢献している人でね。忙しいんだ。
だから、あまり呼べない。
マッサージの件にプラスして、俺から一つ提案があるんだ」
「提案?」
お?食らいついた。
「実は小物系やアクセ系がどうも欲しくて。
俺に見合う物をコーデして欲しいんだけど…。
それとさっきのマッサージをやってくれるなら、
対価として脱走の手伝いをしてあげる」
「!うん!それ良い!賛成!取引成立だ!」
そう言うと先程とは打って変わって、キラキラしていた。
なんだ、この子もこんな笑顔を見せてくれるんだと思った。
「マッサージは週一のペースでしかやれないけど、アクセ系なら任せな!」
「宜しくお願いするね」
「ああ!」
そう言うと俺達は堅い握手を交わした。取引成立した瞬間であった。
その瞬間、俺の中に新たな力を得た感覚がした。
我は汝 汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りは即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我「棒杖」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…
コープアビリティ「洒落」
コーディネートにおけるカスタマイズが可能になる。
週一の夜にマッサージを受けられる様になる。
これは思いもよらない収穫だった。
「ああそうだ。この事はロザリー達には秘密にしてくれ。勿論、ジョーカーの仲間のヴァイオレットにも内緒にして欲しい」
「ロザリー達のことに関しては分かった。でも、ヴァイオレットは薄々気付くと思うから先に言っておいた方が後々楽になるよ?」
「そうなのか。分かった。ヴァイオレットには伝えておいてくれ」
「うん」
そう言うと先に帰って行ったヒルダ。
その様子を最後まで見送ると、声を掛けられた。
「新しいペルソナの祝福を感じ取って見ましたが、お見事です」
「ラヴェンツァ」
声の主…ラヴェンツァは俺を迎えに来てくれていたのか、ニコニコしていた。
そういえば前々から思っていたのだが…
「ラヴェンツァって、綺麗な笑顔を見せてくれるね」
「んな⁉︎」///
そう言われるや、顔を茹で蛸以上に真っ赤に染まっていた。
そしてラヴェンツァは俺の方に駆け足で駆け寄るや否や、
「も、もう!貴方と言う人は!」
と言いながら、俺の腹にポコスカと言う音が出そうな叩きがやってきた。可愛いな。
「バカばか馬鹿!この女誑し!」
「ははは…」
それに関してはなんとも言えない。
でも、好きな人との仲を良くしたいのは本当だ。
そこにはラヴェンツァも入っているから。
そうしていると…
「なんだか、囚人とお姉様がイチャイチャしているな」
「此処はそっとしておきましょう。
お姉様も私達の前では囚人から愛でられないので」
「それもそうだな!」
…2人に見られてた。
そしてその声に気づいたのか、ラヴェンツァは俺を見た後、顔を赤く染め、すぐに2人を見つけるや駆け走る!
「こぉらぁ!」
「わ⁉︎姉様⁉︎」
「此処は撤退行動です」
「ジュスティーヌは、
なんでこんな状況でも平然としていられるんだ⁈」
そう言いながら、駆けながら去っていった3人。
…なんか、俺だけ取り残された様な感じだ。
…っと、そろそろ戻りますか。
そうすると俺は食堂へと帰る。
…因みに残っていたのはプリンだけだった。
ヴァイオレット…食べ過ぎだ。
俺の分も残して欲しかった。トホホ…。
…そう言えば、ヴァイオレット達は何処へ行ったんだ?
ーーーーーSIDEtoヴァイオレット
私はアンジュリーゼさんの後を追う事にしました。
そこには今日、一緒に訓練をやったココちゃんとミランダちゃんの2人と一緒に、アンジュリーゼさんがショッピングモールへとやって来ました。
それにしてもあの子達…大丈夫なのかな…。
私が尾行している事に気付いて欲しいんだけど…
でも、あの様子だと全く気付いていない。
気づかないと言う事はいつ敵に襲われたらそれこそ一環の終わり。
だから、気付いて欲しいんですけど…
そうしながら私はアンジュリーゼさんが2人と別れると私は彼女達と接触を図ります。
「ココさん!ミランダさん!」
「あ、ヴァイオレット。ほら、ココ。ヴァイオレットだよ」
「え?…はっ⁉︎ヴァイオレットさん⁉︎」
「むう…その様子だとアンジュリーゼさんに惚れた?」
「はぎゅ⁉︎」///
「ははは…。そう見たい。
それはそうと、ヴァイオレットはジャスミンモールで買い物?」
「ジャスミンモール?…へぇ。此処が」
「ん?おや?…例の男の彼女が来るとはね」
「えっと…」
「ジャスミンだよ。このモールの主人」
「そうでしたか!初めまして、ヴァイオレットです。
先輩がその節はお世話になりました」
「良いんだよ。これからもあの子には色々とイーブンな関係を築きたいからね」
そう言いながら、ジャスミンさんはキャッシュと呼ばれるこの基地内の紙幣を数えます。
ふと目にするとそこには画用紙でですが、なんとモルガナ先輩の肖像画が描かれていました!
「!モナ先輩⁉︎」
「?…ああ、そいつかい?
それは、ジョーカーが私に与えてくれた絵でね。
アイデアの足しにしてくれと言われてくれたんだ。
その代わりに消臭スプレーとタオルをタダでやったよ。
まぁ、今後はお嬢ちゃんと共にこのお店で購入していくのを楽しみにしておるよ」
「か、可愛い!」
「私にはクールに見えるけど?」
そう言いながらジャスミンさんとの会話をしていると、2人がモナ先輩の肖像画を見て、賛否両論に話していました。
そして私はそんな2人の隙にジャスミンさんに聞きました。
「あの…つかぬ事をお伺いしますが…」
「なんだい?」
「ココさん・ミランダさん・アンジュさんの内、買い物をしたのは誰ですか?それと出来れば、購入物を教えて貰って良いですか?」
「ココだね。レターセットを購入していたよ。
ただ、代金はアンジュの持ち金だったみたいだね。
それがどうかしたのかい?」
「…多分ですけど、アンジュさん。まだ自分が置かれた立場を理解すらしていないと思います。
あ、そうだ。何か飲食物とかって売ってありますか?
実は昼食の時、先輩の配膳…プリン以外全部食べちゃったものでして…」
「……。…あんた、意外に大食漢なんだね」…。
「ち、違…わないです。
はい、そうです。
腹八分目まで食べないと調子が出なくて…」
「…あの配膳の量でも腹八分足らずとは…。
まぁ、良い。今後とも彼氏君と共に贔屓にしてくれ」
そう言うと私に対して食料を売ってくれました!
しかも、食堂で出されていたよりも歯応えがあって美味しそうな物ばかりです!
「…涎出てるよ」
「はぐっ⁈」
いけないいけない⁉︎つい癖で。
そう言うと私は涎を拭き取り、会話を再開しました。
「まぁ、今回ばかりはタダでやってやる。次回からはキャッシュを持って買いに来な」
なんと!これは嬉しい誤算です!お言葉に甘えて頂きましょう!怪盗だけに!
そういえば、此処ってある程度の品揃えが揃っているんでしょうか?
…よし、一か八か。聞いてみましょう!
「あ、はい!ありがとうございます!
…あ、そうだ。実は購入したい物が有るんですけど…」
「?…なんだい?」
「「?」」
「3mくらいの長さのリボンと紐、あと手に持てる細長い棒ってありますか?」
「リボンと紐と細長い棒?何に使うんだい?」
「自分の趣味です♪」
そう言うとジャスミンさんは私が言った品々を用意して、金額を掲示しました。
「合わせて500キャッシュだよ」
「では、これで」
そう言うと私はナオミさんから貰ったこの場所でのお金「キャッシュ」を渡し、支払いました。
あとは…と思って思い出しました。
…私…物作りが下手だった事に。
買ってしまったのは良いけど…どうしよう…。
「ナオミさんって、物作り得意だったかな…」
「…あの…ヴァイオレットさん?」
「?…は、はい?」
「ヴァイオレットさんって、おいくつですか?」
「19ですけど?」
「…」「…」「…」
え?何ですか?
ココさんも、ミランダさんも、ジャスミンさんまで。
何か、私…変な事言いました⁈
「ナオミさん…14です」
「………え」
ええええええええええ⁉︎
じじじじじゅ、じゅ、じゅう、14歳⁈
私より年下でした⁉︎
「…前々から言おうと思っていたけど、此処に居る女の子達は大抵がお前さん未満の子達がほとんどさ。ゾーラやジル、私なんかの年上は両手で数えきれるくらいしか居ないね」
「………」
「それと、地味に本音が聞こえていたけど、ナオミは時々、物を壊しちゃう事があってね。現在、絶賛借金中だよ」
「ええええ⁉︎」
まさかのカミングアウトな発言に頭の中の思考が追いつきません。
「ヴァイオレット。あんたの彼氏なら良いんじゃ無いのかい?
絵の良さもそうだし、手先が器用だ。何か出来るんじゃ無いのかい?」
「!分かりました!ありがとうございます!」
そう言うと私は速攻で先輩の部屋へレッツゴーです!
「あ、ちょっ…。
…2人はジョーカーの部屋を知ってるかい?」
「い、いいえ」「全然」
「ありゃ、間違い無く迷うよ。確かサリアが部屋当てしてた筈だ。サリアを連れて追いかけてくれ」
「「イエス、マム」」
ーーーーーNO SIDE
一方、その頃の日本では…
ウルフこと長谷川善吉と、スカルこと坂本竜司がアジトであるルブランに帰って来ており、報告をしていた。
だが、めぼしい結果…それこそ、自分たちの本命である
ジョーカーとヴァイオレットに関する機密事項は手に入らなかった事を告げた。
そこで参謀であるクイーンこと新島真が皆に荷造りの準備を済ませて欲しいと告げる。
曰く「全員で行くのはダメだけど、少しずつ現地入りした方が良い」と言う事だった。
つまり、自分の好きな時に出発する様に催促したのだ。
真の発言を聞いた怪盗団の面々は着実に準備に取り掛かっていた。
因みに今、マスターである惣治郎は買い出しに出かけている為、現在休業中である。
「荷物はどうするんだ?」
「衣類とかは現地調達で!」
「だけど、マナで構成されてたら、厄介だぞ」
「マナで作られていると、肌着が弾け飛ぶ筈だ。
双葉。蓮に渡したあのリストバンドは作れないのか?」
「…一応、作れない事も無いが。
費用がバカにならねぇ。蓮に渡したのは試作用として作ったからな。
それにプログラムの一部はソフィアも加担している。
今、此処にソフィアがいないんじゃ作る事も出来ない」
「困ったわね…」
「取り敢えず、今は荷造りの準備だけしましょう?」
「そうとなれば、済まないが俺は一旦家に帰らせて貰う」
「此処からかなりの距離があるだろ?
高速使っても9時間は掛かるぜ?」
「家に帰ってやる事済ませてから現地合流しよう。
実はSPとして発つ前に佐倉さんと相談したんだ」
「そうじろうと⁈」
「ああ。茜の事でな」
そう言うと善吉は自身の娘であり、唯一の家族である茜の事を話す。
長谷川茜
善吉がペルソナを覚醒させるきっかけを生んだ少女。
そして2年前の事件「全国改心事件」の被害者の1人。
かつては、善吉の事を家族であるにも関わらず、ツンツンとした態度で毛嫌いしていた。実の父親ですら名前呼びする程に。
けど、事件の最中で当時の悪党だった男にして、コンシェルジュアプリ『EMMA』を運営していた会社の社長「近衛明」の手によって異世界ジェイルを作らされ、更に彼女自身を囚われの王《キング》に仕立てあげられた過去を持つ。
しかし、それも善吉がペルソナを覚醒し、ウルフとなって怪盗団と共に彼女の心を救ってからは善吉の事を「お父さん」と言っており、今でも善吉の帰りを待っているとの事だった。
善吉は自身と茜の仲を戻してくれた怪盗団に借りが出来たが故に、今もこうして怪盗団を監視と言う建前をつけつつも、日々恩返しを地味にしつつあるのである。
「もうすぐ、茜が高校生になるからさ。
怪盗団を多く輩出したお前達の母校・秀尽学園の事を伝えたら、そこに通学すると言って聞かなくてな」
「んじゃ、私達の後輩になるって事だね♪」
「ただ、此処から京都までの道のりは正直言って長い。
そこで蓮を見守り続けてきた佐倉さんに相談したんだ」
「どうなった?」
そう双葉に急かされた善吉は、双葉に指を指す。
指差された双葉はしどろもどろになる。
「『お前の部屋の隣を暫く貸しておく。
代わりに部屋を綺麗にしておけ』と言われたよ」
「マスターの目が黒いうちは安心だな!」
「んじゃ、この上は使われ無いんだな」
「なんでも『そこはあいつの部屋だから、通せさせる訳にはいかない』だそうだ」
「流石ね。惣治郎さん」
「プライベートはあまり見て欲しく無いものもあるものね」
「そこでだ。もうすぐ春休みが明ける。だから俺は京都に戻って色々とやる事済ませてから現地で合流しよう」
「とは言え、まだ未成年が一緒だ。お前達の事だから心配はしてないが、1人は経験者を連れて行け」
「経験者…俺達よりも年上と言う事か」
「お姉ちゃんは忙しいから無理ね」
「鞠子さんも今は誠意を尽くしているからダメかも」
皆が考えている中、お店のドアが開く…
「グッドアフターヌーン!」
謎テンションな声を上げながら、お客がきた。
「すみません。現在立て込んでいて…って⁉︎」
『⁉︎一ノ瀬さん⁈』
「ヤッホー!怪盗団の諸君‼︎…って、あれ?マスターさんは不在?」
この謎テンションな女性…「一ノ瀬久音」
2年前の事件にて、鍵を握っていた物にして、先程述べたコンシェルジュアプリ『EMMA』の発案者。
そしてソフィアの生みの親である。
ただ、彼女…心が無いと言われており、自身の両親が死んでから心を失ったと自負している。
そして2年前の事件にて、丸喜と同じ…怪盗団と激闘を繰り広げた大人の1人であった。
終結後はソフィアと共に旅をしつつも、心に関する研究を行っていた。
そして偶にソフィアを怪盗団の面々と合わせていたりと、交遊している。
さて、話を戻そう。
久音の突然の登場に驚く怪盗団の面々。だが、その表情はやがて獲物を捕らえようと視線を飛ばす形相をする。
それに気づいた久音は…
「あ、あれ?…私…何かやらかした⁉︎
と言うより、何か凄く嫌な予感がするんだけど…」
そう言いながら、額から冷や汗を出す久音。
そして真が…
「皆、異論は?」
『無し‼︎』
「俺も今回ばかりは賛成させて貰う」
「という訳で…」
そう言うと真は久音に顔を向ける。
そして向けられた久音はゴクリと喉を鳴らす。
「一緒について来て下さい。ミスルギ皇国に」
「え?
えええええええええ⁉︎」
波乱万丈の幕開けであった。